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Live Report

2005年4月23日 森山威男QUARTET+1 @ STUDIO F
聖地訪問

スタジオFはわたしにとって聖地である。 個人的なことなので詳しくは書かないが、森山サウンズを初めて聴いたのがスタジオFである。 それ以降「森山ジャズ道一直線」の人生を貫いているのであります。
しかし、聖地は遠い。 わが家から国道を通らず裏道経由で行くと車で1時間半くらいなのだが、 山峡を縫い深山幽谷へ入っていくので(ちょっとおおげさか)、 実際以上に遠い感覚になる。
けれども、聖地は山奥にあるからありがたい。 (ごめん。F井先生ならびにK原町民の皆様。)
これが、あなたが毎日通勤で利用している電車の駅の隣りにあって、 朝夕、その前を通っていたら、なんとなく有り難味も薄れるでしょ。 そんなことないかなあ。
と、くだらないこと言っているうちに、わたしの華麗な運転(?)で 一行四人を乗せたポンコツ車は無事聖地に到着した。 諸事情があって一旦同乗者を降ろして、T治見市へ車を走らせ、 もう一度戻ってくると客は既にホールに入場していた。
同乗者が気を利かせて私の席を取っていてくれた。最前列の上手側一番端。 目の前にピアノが。わたしはもともと田中信正(p)のファンだから、 まったく文句はない。…と、思ったのだが、 いざ演奏が始まるとここは結構マズイ席だった。

理由1
田中の真後ろ。真後ろというのはよくないな。 表情はわからないし指使いもあまり見えない。 斜め後方というのが やはりベストポイントか。

理由2
下手を見たときわたしの視線の先に森山威男(ds)がいるのだが、 ちょうどその線上にフロントの音川英二(ts,ss)と Guestの佐藤芳明(acc)がいて森山が見にくい。
音川は佐藤の陰になりこれまたあまりよく見えない。
では、その佐藤はどうかというとわたしの至近距離にいるのだが、 45度位の角度の左半身(ひだりはんみ)で下手の方を向いているので、 わたしは彼の左脇しか見えない。
accの鍵盤を担当する右手側は全く見えない。 pとaccの間から望月英明(b) は比較的よく見えるが。

理由3
スピーカーがわたしのすぐ右隣りに。
右耳に入ってくるスピーカーからの音が気になる。

さて、この席がマズイ理由をクドクド書いたが、 席に不満があることを言いたいのではない。逆である。
今回のライヴ、あまりにも素晴らしくて席なんかどこでもよかったことを言いたいのだ。
たとえ後ろの方の死角の多い席だとしても、 大いに感動を味わえたはず。 その場にいたすべての人が息を飲むような極上のライヴであった。

時々、佐藤、音川の向こうにに垣間見える森山。とても楽しそうな表情。
その楽しさが音にも乗り移って、いつもにも増して音が弾んでいる。
森山夫人とちょっとお話させていただいたが、 「今日はリラックスしてのびのび叩いていますね。」とおっしゃっていた。 森山が体調万全、リラックスして叩くときは恐ろしいぞ。 雷鳴轟くとかいうけれど、そんな陳腐な言葉では表現できない。
では、どう表現したらいいのかと言われても言葉にはできない。 …という言葉でしか表現できないくらい凄い。
その轟音にインスパイアされたのか、目の前の田中、 椅子の上のお尻が上下左右にスイングする。 わたしはお尻に、あまり、いや、ゼンゼン興味がないことをここでハッキリ宣言しておくが、 激しくスイングする田中のお尻を見ているのも愉快ではある。
音川も、もともと鋭いサウンズが一段と切れ味鋭くなって持てる力を存分に発揮。
佐藤に至ってはあまりの激しいアクションにaccにセットされていたピックアップマイクは脱落するわ、 accの背面のネジが1本外れて床をコロコロ客席まで転がってくるわだが、 それに全く気づかずの熱演。
accといえばシャンソンの伴奏しか想像できない諸君、 森山バンドでの佐藤は必見、必聴モノですぞ。
こんな白熱したシーンなら、客席も拍手、歓声の嵐と、もちろんなるのだが、 一人涼しい顔、無表情なのは、ご存知、望月グズラ。
無表情なのだが、上目遣いにチラッとメンバーを見る頻度が多くなるのが見ていてなんとなく可笑しい。 無論、顔は無表情でも、弦をはじく右手、弦を押さえる左手は、とびっきり表情豊か。
ともかく、5者がそろって渾身の演奏をしつつ、 互いにインスパイアされながら“音の高み”を目指して、 更に更に、上昇していくシーンを観ていると、 深い感銘を受けるのはわたしだけではないだろう。

森山にとってスタジオFは、いわばホームグラウンド。 メンバーも気心知れたレギュラーカルテット+1という状況で、 しかも、さっき言ったように体調も良くリラックスしているというコンディションで、 もてる力を充分発揮できたのだろう。
acc、ts、pと続くタイマン三番連続勝負でも、キッチリ勝負をして、その後ソロへ。
あれだけ三者と壮絶なタイマン張った後に続くソロはもうわずかな余力しか残っていないのではないかとおもうのだが、 なにがなにが、三者に鼓舞されたのか、 かえってエネルギーを充電できたようで、タイマン勝負のとき以上の激烈ドラミング。
拍手、歓声もあったが、ただ呆然として声もだせず拍手さえできないで、 その場に立ち尽くすだけ(座っているけれど)という客も多かったのではないか。
終了したとき、ハア―、ハア―息を切らすのはいつもの森山だが、 そんなとき、「疲れたでしょう、森山さん。」と普段なら言うところだが、 今夜は「楽しかったでしょう、森山さん。」と声を掛けたくなるような演奏だった。

随分、長くなってしまった。
森山はじめメンバーのソロの具体的な様子なども書きたかったが、あまり長いと読む人の迷惑、 この辺で切り上げることにする。
詳細は管理人さんのディテールまで行き届いた細密画のようなレポートをどうぞお読みください。 確かに“鬼神降臨”((c)YAMさん)したけれどおどろおどろしい雰囲気はなく、 客席とのコミュニケーションも実にハートウォーミングで、最近聴いたライヴの中では 1 LIVE だった。


(ふな)







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