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Live Report

2005年12月28,29日 森山威男QUINTET @ jazz inn LOVELY
これを聴かねばお茶はコせても、年はコせないというラヴリー恒例年末森山Quintet。
おいしい紅茶飲みたいなあー。ガトーショコラ付きで。
おっとっと、また、オフザケモードに突入しそう。 イカン、イカン。一年のシメのレポートくらい真面目に行かなきゃ。行けるか?

さて、唐突だけれど、「心の琴線に触れる。」という言い方があるでしょう。
2日間、森山Quintetを聴いて、この美しい言葉を思い出した。
まあ、この言葉は、2日共佐藤の口笛を伴うacc、それに続く田中の丁寧なpのイントロで始まった “Gratitude”のようなバラードにこそふさわしいのかも知れないが。
田中のpに望月のbが寄り添うように、静かだけれど確実にわたしたち聴く者の耳に届くリズムを刻む。 気がつくと、いつのまにか音川のts、森山のブラシによるdsが、これまた静かに音の流れに合流していく。 やがて静かだった音の流れがdsの強い音に目覚め、うねりながら徐々に奔流へと変化していく。 「ああ、心の琴線に触れるなあ。」と、このように使うのが、この言葉の正しい使い方だと思うのだが...
しかし、しかし、である。 わたしはハードな“Sound River”でも“N.O.W.”でも“Sun Rise”でも、この言葉を感じてしまう。 もっとも「心の琴線に触れる。」ではなくて「心の琴線をかき鳴らす。」といった方が正確なのだが。
田中の十指が、いま自身が弾いた音を追い越すのではないかという、ものすごい勢いで鍵盤上を疾走する。
佐藤は首をガクガク、口を突き出して、蛇腹をのたうち廻らせる。
音川、tsを持ち上げ、たたらを踏めばベルからこの世の音とは思えぬ咆哮が。
望月、メンバー必死の表情で演奏しても、われ関せずといった風情。 が、ベースの音、ボンボンボンではなくてバシッバシッバシッと聴こえる。 弦を押さえる左手、弦を弾く右手、ネックや弦との摩擦で火花が散るよう。
リーダー森山、この状況ならもちろんフルパワー。 dsセットから発する音、連続した音の塊なのだけれど、一音一音は独立しているように聴こえる。 “ドカドカ ダダダーン ドカ ダーン”という音団の場合、もちろん、そのように聴こえるのだけれど “ド”“カ”“ド”“カ”“ ”“ダ”“ダ”“ダ”“ー”“ン”“ ”“ド”“カ”“ ”“ダ”“ー”“ン”とも聴こえる。
音団は超高速で進行していくのにもかかわらず。
ご飯に例えると、お茶碗からお箸で口に運ぶとその一口分のご飯の塊を咀嚼しているのだけれど、 一粒一粒を噛み締めていることもはっきりわかり、とても美味しい「幻のナントカ米」みたい。 そんなもんに例えるなって?
すみません、食いしん坊なもんで。
この全員が見事にシンクロして頂点に達するころ、わたしの心の琴線は「かき鳴らす」程度ではなく、遂にプッツリ切れた。
ついでに心のすぐ近くにあるはずの胸の肋骨も5,6本バキッと折れたと感じたのは、確かに錯覚ではあるが。

最後に音川作曲の新曲“911”にも少しだけ触れたい。ハードな素晴らしい曲。
望月のbが結構聴けるようアレンジしてあるのが、望月ファンのわたしとしてはうれしい。 この曲はコードがFmの9thと11thでタイトルが“911”ということだが、 誰もが“911”と聞けば、4年前のあの、あまりにも忌まわしい事件の日付けを思い出すことだろう。 音川がそれを意識してこの曲名にしたのは間違いない。
ウーム、音川、そういう問題意識をもっていたとは。 ま、ミュージシャンといえども現代という時代を生きているわけだからなあ。

紅茶は出てくるわ、ガトーショコラやご飯は出てくるわの食いしん坊レポートになってしまった。
やっぱり、わたしには真面目路線のレポートは無理だわ。ウ〜ン。

皆様、今年もいろいろお世話になりました。良いお年をお迎えください。


(ふな)







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