7時の開場に間に合わないかも、と急いでピットインに向かうが、開場したのは7時半過ぎ。寒かったあ。

H条さんが私の分まで予約をいつも入れてくださり、いい席で見られる。感謝。

8時ぴったりにスタート、オープニングはDeparture from the mysterious flash(通称コルゲン)。出だしのタイミングが一瞬揃わず。音川さんブルーのストライプのシャツにジャケット、ノブ君グレー地にピンクの柄が入ったシャツ、グズラさんはいつもの黒シャツ、森山さんは白のシャツ。いつもの全員真っ黒け、もしくは森山さんだけ白シャツというパターンからはずれた。音川ソロから。ピアノの音がちょっと小さいみたい。ノブ君と森山さんの間にちょうど望月さんがいて、お互い見えるのかなという位置関係だが、森山さんの方を見つめてガンガンと不協和音でバッキングをつける。森山さんの手から早くもスティックが落ちる。途中で大きなハウリングがおきてノブ君顔をしかめる。そういえば森山組を聴くのは何ヶ月ぶりかなあ?あ、北海道ツアーから2ヶ月ちょっとしか経ってないのにすごく昔の様な気がする。贅沢になったもんだ、昔はラブリーで盆暮れしか聴けなかったのに。音川ソロ吹きまくり延々続く。ノブ君の床を蹴る音がカツカツと聞こえる。ピアノソロ、ノブ君からフレーズをしかけて低音から高音にガリガリカリカリ〜と鍵盤を叩き、森山さんニヤッと笑って余裕で受ける。ガリガリバンバンとの応酬からノブ君がすうっと退いて、ここからまた違う感じのソロが始まるのかと思ったらドラムソロになってしまった。拍手しそびれる。ちょっとロールの粒の粗さが気になります。ドラムソロよりテーマに戻る。

森山さんMCなくニヤッと笑い、テンポを出す。Hole in the world、音川さんの曲。ノブ君ソロのテンポ、ゆったりしていて良い。森山さんの腕の振りもスバラシイ、思わず見惚れてしまう。音川ソロ、思わず聞き入ってしまうがあ、写真も撮らねば・・・。エンディングでサックスを振り上げて下ろすところ、またかっこいい〜と見惚れる。

曲をうち合わせをステージ上で。You don't knowと言ったかなと思ったら始まったのはIn a setimental mood。あれ?音川さんの吹くテーマ、低音が響いてすごくシブイ。スティックからブラシに持ち替え音川ソロ、ああ、低音から中音のフレーズがしびれちゃう。思わず聞き入っていたわ。ノブ君のバックのグズラさんの音がまた良く響いてる。あれノブ君ソロ短い・・・ゴージャスな和音でかっこよかったのに・・・もっと聴きたいよ・・・もっとやってくれても良かったのに。エンディング、音川さんのカデンツァがあるかと思ったけど意外とあっさり終わる。

ありゃ、またMCナシ。響き線をはずしたスネアをタムのようにして叩きまくる森山さん、お、Sound River。一部は半分が音川さんの曲ね。音川さんのシャツのボタンの色はパープル?光ってきれい・・・ってそんなとこ見つめてどうする。アフロリズム、森山さんの腕とスティックの軌跡が美しい。ノブ君のソロに今度は森山さんがしかけてガンガンガンとリズムを入れてノブ君が反応。ここに望月さんが緊張を高めるベースラインを入れる。う〜む、すごい〜〜〜!毎回情けないよ、私は。このメンバーが紡ぐ音に比べ自分の表現力のなさ。音川ソロ。だんだんヒートアップしたところで森山さん叩きまくりであおるあおる。ブロウするバックでガシーっとシンバルを鳴らして。あれ?ソロ終わり方がちょっと唐突だった気も。ドラムソロ、サッカーの神様がペレなら、森山さんはドラムの神様ですね。

音川英二!望月英明!田中信正!と呼んで、マイクを持って何か言うのかと思ったらそのまま頭をペコリ。それで一部終了。

休憩中、ノブ君はあんまんを食べている。

9時25分スタート、Marching of seventh・ノブ君の曲。おやノブ君靴を脱いだね。あの靴音も結構いいのに。ソロだんだん音量アップして盛り上がり、すごい、いいわいいわ、もっとやってくれるかしらっていうところで音川さんのリフが入りピアノソロ終了。森山さんスティックを落として、ケースから取ったところが2本一度に持っちゃって、おや二刀流!かと思ったけどそんなはずなく、一本を放り投げる。一部よりライティングがもっと暗くて写真なんか撮れやしない。ドラムソロ中、ハイハットが少しずつ前へ。いつもの特製ハイハット移動防止ストラップがついていない・・・だんだんハイハットが動いて少しずつ前へ動き、森山さんの体がやや左に開いて、あーあー、膝が伸びてきちゃった、踏みにくくないかな・・・押さえに行ってあげたいくらい。いつものフレーズからテーマに戻るところで、腕だけのフレーズを叩きながらつま先でハイハットを引き寄せる、う〜ん、器用だ。

「どうもありがとうございます。音川英二、田中信正、望月英明。」と紹介。一瞬の間があって、「自分の時も拍手するの?」とノブ君に。笑い。「まあそういうものなんだよね、我々の若い時代にはそういうことはあまりなかったんですけれど。笑い、一番笑ったのは音川さん。「このごろテレビを見ているとなんでも拍手をするのが流行っているみたいね。えー、この前9月に・・この前って言ってもだいぶ前になります、9月に我が町の岐阜県可児市っていうところでコンサートをやりました。このグループの他に、ケイコ・リーとか、山下洋輔、坂田明、近藤房之助とか有名な人たちの名前を借りて人を集めようという魂胆がまざまざと現れてしまって、でもそういう人たちを招いてその人たちがいるところで私たちが演奏すると私たちのグループが目立つだろうというこういう考え方もあったりしてどちらもさもしい考えですね。今日は演奏するのが久しぶりで、頭がなかなか切り替わらないんです。今はピットインにいるんだよとか、一生懸命自分に言い聞かせようとするんですけれど、時間を見るとそろそろ寝る時間だったりして・・・(笑い)。モードがどうも新宿モードにならなくて、特に家を出るときには雪が降って、かなり積もってましたんで、ギャップが大きいんです、こちらへきたら。こっちはこの間降ってたんですよね?もう2ヶ月もドラムを触っていなかったんで、家を出るときには家の者が『あなた大丈夫なの?叩けるの?』なんて・・。『演奏する日ぐらいスティック一回握ったら?』なんて言われてまあちょっと握ってみたんですけど握っただけでこうやることはしなかったんです(とスティックを振る仕草)。まあそのうち駄目になるでしょう。練習したって駄目になるんだから、・・・無駄でしょう。練習したって駄目になるんだから最初から駄目になりゃいいんで・・もうこうなりゃやけっぱち。」あっはっは、と大受け、特にノブ君と音川さんに。

「マル・ウォルドロンが亡くなったんですよね、一週間ぐらい前になりますかね・・・いっしょに演らしてもらったことがありました、レコードにもなってます。日本に今年まだ来る予定だったんですけれど、残念でした。そんなことで、マル・ウォルドロンの作曲したきれい〜な曲を、演ろうよ、っていったら誰も知らない(とバックのミュージシャンをぐるっと指さす)んです・・・」会場爆笑。「あんたジャズミュージシャン?・・・明日にはなんかやろうね。ソウル・アイズとか、レフト・アローンとかね。マル・ウォルドロンのきれいな曲がありました。ちなみにレフト・アローンは僕が山下トリオ時代から、まあジャズはあまり聴かなかったんですけれど、それでも呑んでいるときにレコードがかかったら『ああいい曲だなあ』、って思って板橋文夫とグループを作った時に板橋文夫に『レフト・アローンのコード進行でそのままの曲を書いて』って頼んで書いてもらったのがグッドバイなんです。」会場大受け。「へえー」、とか「そうだったんだあ」なんて声も聞こえる。「だからグッドバイを弾くときにはレフト・アローンのコード進行を弾けばそのままグッドバイになります、種明かしですが。だからレフト・アローンやろうよ、って言ったんだけれどメロディー知らないんだから・・・そんなわけで2曲目はコルトレーンの曲をやってみましょうか。」拍手。

いきなりジャイアント・ステップス。しかし、おかしくておかしくて笑えてしまって一人でツボにはまって止まらない・・・・そうだ、この前小淵沢で音川田中デュオで聴いたときのGiant stepsすごく良かったんだ、楽しみ〜。音川さんソロ、さすがと思わせる盛り上がり、ノブ君どう表現したらいいのかな、とてもとても明るい広がりを感じさせるんだ。かっこいいなあ、もっと演ってよ・・・田中さんが音川さんを苦しそうに見上げたので、音川さんが一瞬とまどったような顔をして引き取って吹き始め、バースにはいるのかと思ったがるがドラムソロに入る。ありゃまた2本スティック。うー、森山さんの気持ちとスティックが合っていない。明日はもっと上手に叩けるでしょう・・・と今日はちょっと辛口の私。

Gratitude。デュオから、あら、わざとペダルを踏まない弾き方?で音を切って弾くノブ君。いい曲だわ〜。音川さんの吹く音も。ノブ君ソロ、望月さんとデュオ。マレットからブラシに持ち替えて、あ〜、ノブ君の1/100でも才能があったらナァ〜。これはやはり練習の賜? う〜ん、なんという至福の時でしょう。音川さんのソロを聴いて、とてもゆったりした気分になって、幸せ〜。ふう〜。おや、やはり森山さんが暴れ出して来た来た〜。

サンライズ。イントロで構える前の音川さんの姿が決まっててかっこいいっす。だんだんうっとりモードに入って、ペンが進まなくなる私。おお、ソロの終わり、決まった〜。ノブ君のフレーズ一つ一つがすごく胸に突き刺さってくる。うわ〜、すごい!!!と言いつつ、ノブ君のソロ中に靴の写真を撮る私。ドラムソロ、うー、もっと森山さんの出したい音は違うんじゃないかな・・・という気がする。パカン!とソロからテーマに戻る。拍手、歓声。

「音川英二!望月英明!田中信正!ありがとうございます。」はー、はーと荒い息。「今年・・じゃなかったんですけれど、去年から今年にかけていろいろな賞をいただいたんですよね、南里文雄賞とか、ディスクなんとかとか・・・、日本何とかとか。」笑い。「ああいうものはやっぱりもらってみるもので、もらってからレコーディングの話とか、何かいろいろいい話がやってきました、いろいろったって2つだけなんですけれど(笑い)、2つあればいろんな、なんです。で、一つは今までは可児市がバックアップしてくれたんですけれど、岐阜県がバックアップしてくれるようになりまして(拍手)、来年はニューヨークで織部博(おりべはく)という、古田織部という陶芸家が昔いたんですけれど、その人は『円は円、四角は四角』っていう決まったものではなくて、不均衡あるいは不調和、という調和がとれていないものが遊びなんだ、それがおもしろいんだ、っていうことで今までの陶器にはないぐにゃっとしたものですか、それで絵柄も柿右衛門のような写実的なものでない、現代的にアレンジしたもので、江戸時代でしょうかね、一世を風靡した、そういう方がおられたんですが、その方の生誕何周年か、良く知らないんですけれど、ニューヨークへ売り込もうって言うんで、それで間に入ってくれた方がいて、そういうことなら森山カルテットをニューヨークで演奏させようっていう・・・あれは不調和以外の何ものでもないと(笑い)ということで推薦してくださって、この間知事さん、副知事さん、お偉い方に県庁へ行ってお会いして、そしてグループのこととか少しお話ししたりして、何とかやる線で前向きに行こうじゃないかって。今決まっているのは絶対やる、っていうことと(爆笑)、来年の10月21日にニューヨークのメトロポリタン美術館でやるんだそうです。それから1月の10日ぐらいまで織部博をやるので、期日の中のどこでもいいというのでやってほしいということで。僕の頭の中ではこのグループのメンバーで殴り込みをかけてこてんぱんにやっつけようという、そういうことを想像していますけれど。ジョージ・ガゾーンとか、この前いらした方たちが入っていただけると面白いなと思っています。これからまだまだ話を煮詰めていくところです。その節はお知らせしますのでみんなでわっと束になって行くことにしましょう。拍手。どうもありがとうございました。」あれ、もう一つのいい話は何だ?

グッドバイ。ノブ君イントロ。きれいだな〜と思って聴いていたら突然キーが変わった?あれ?今日はピアノの調律も前回に比べて上々。はあ〜、うっとり、満足。

全員退場。アンコールの拍手が始まるが、多分ないだろうなあ〜。今日はハッシャバイがなかったけど。

森山さんだけ登場。「こうなりゃ一部二部通して最初からもう一度やらなきゃいけなくなるんでしょうけど(拍手)、ほんとうにもうちょっとドラムを叩かなきゃいけないとおもってるんですけれど、」思わず「そうだ〜」と合いの手を入れてしまった私。「根が本当に怠惰なんです。楽してもうけようって事ばっかりなんで、どうにも進歩がなくて、自分の駄目さ加減を何か理屈で正当化しようっていうような事ばかり考えているので頭ばかり大きくなって、サイズじゃないんですよ・・・で演奏の方がイマイチ・・・でも今年は本気になってやらなきゃいかんかな、っていう気に、あ、いや来年は、になってきました、ひしひしと。」今年まだラブリーがあるんですよ・・・

「それで、約半年、はっきり覚えているのは5月の連休の時からなんですけれど、朝一時間ちょっとくらい、速足歩きをやっています。いいトシをしたおじさんがみっともないんで深い黒い帽子をかぶって、誰も知りゃあしないんですけれど、自分の中で安心しようと思って、そんなわけで朝6時くらいから7時くらいまで歩いています。おかげでちょっと、4kgくらい体重が落ちたんですけれど見た目はそうでもないんです。ちょっとこれからまだまだ続けていって、そして来年の1月くらいには見違えるような体型になろうと、そのときはもう縦横無尽に暴れまくって、叩きながら田中の方にスティックをぶつけたり、いろんな事しようと思って構想だけは練っています。それから可児市が、小さい町ですので有名人の仲間入りをしてしまったようなもので、この間も可児市東中学校っていうところに呼ばれて、創立20周年記念で校長先生の20周年の挨拶の後森山さんのドラムソロを聴くっていう(爆笑)・・・・そういうのがあると行きたくてしょうがなくて。行って叩いたんですけれどそれからもう本当に歩いていると中学生が『あああーっ』って言って手を振るんです。そんなわけで田舎でだんだん有名人になってきまして、Ala(可児市芸術文化創造センター)でもドラムスクールらしきものをやってほしいっていうことで、あそこはすごくきれいなホールなので、じゃあ10人くらいだったら教えられるかも知れないって、定員を10人くらいに限って来年1月か2月あたりから一週間に1回教えることにしたんです。よろしかったら是非いらしてください」笑い。「明日もがんばるでね。どうもありがとうございました。」

右は私がドラムをばらしているところを岩手県からいらした吉田さんが撮影してくださったもの。上の森山さんの写真も・・いつもありがとうございます。