今回は大変申し訳ありませんが、演奏の内容に関してはあまり触れておりません。そんな余裕はありませんでした。

京都ブルーノートが(ブルーノート東京や大阪、福岡の系列店ではありません、それより古い!)40周年を迎えるということで、先代ママが大好きだった森山威男グループを呼んで記念コンサート。森山グループを離れて渡良瀬一人旅に出た板橋さんが、藤原井上のフロントでピアノレスになっていた森山グループと京都ブルーノートで共演!をスイングジャーナルのスケジュール表で見抜いた(それぞれのスケジュールで日程が重なっていたのだけれど、ブルーノートのライブ予定には共演するとは書いていなかったのです)。ちょうど板橋さんが脱退前後、私たちは森山バンドの虜になっていたのに、森山バンドのコピーバンドを目指していたのに、そのバンドのピアニストだった私はどうしてももう一度森山板橋の共演を聞きたい!と共演の確証はなかったのだけれど祈るような気持ちでバンドのメンバーと金沢から京都まで車を走らせた。お金もないのに何とか森山グループの演奏を聴きたいとうろうろしていたことをまるでほんのちょっと前だったように思い出す。その時、森山さんに話しかけたくてもなかなかできなくて(そんな頃もあったのよお、ホント)、通路の端っこで立って待っていたら、ブルーノートの奥のバーから出てきた男に胸を触られ、反射的にひっぱたいてしまった!男はそのまま意表をつかれたように外へ出ていったが、一部始終をみていた森山さんは唖然としてビールケースの蔭でズボンを履き替える手が止まっていた・・気が強くてひっぱたいた・というだけではなく、そんな痴漢行為に会ったのが生まれて初めてでどうしていいのかわからなかったのであった。「あんなことをしちゃいけない」と後で森山さんに怒られたが、「どうして助けてくれなかったの」と言ったか言わなかったか。ああ、なんとなつかしい初のブルーノートとの出会い。そのころの思い出話になると、森山さんは必ず「あのころはかおりちゃんもかわいかったねえ、スタイルも良かったし、ミニスカートでさあ」とおっしゃる・・・そう、今でも思い出せるよ、あの時はボタンダウンのブルーのストライプの半袖のシャツに膝上のチノスカート、ローファーというバリバリのトラッドスタイルだったなあ(ニュートラとかハマトラでなく、IVY系のトラッド)。体重も今より10kgは少なかったね・・・

そんな話はどうでもいいや。今度のパーティー会場は京都八条口出てすぐのアバンティビル、マリアージュという結婚式場。ドラムのセッティングのお手伝いをしようと、会場に早めに着いたが今日はブルーノートのハウスドラムをお使いになるのだ。そうかー、お手伝いはいらなかったのね。ドラムヘッドがささくれ立っていて、ヘッドをたたき割らないか心配。「大丈夫ですか、ヘッド買ってきましょうか」「いやそーっと叩くから大丈夫」そんなわけないでしょうが。

会場外に受け付けテーブルをお借りして、「しーそー」CDの販売を開始。フロントでマジックとセロテープをお借りし、B4の紙をいただいて(ありがとうございました)CD販売のため{日本ジャズ賞受賞、芸術祭レコード部門優秀賞作品}などと書く。今日も2セットあるためMDを6階のオーディオショップに買いに出かけ、戻るエレベーターの中で藤井先生にばったり。FレーベルのCDをお持ち下さった。あーよかった、これでグループのCDも売れるわ。再びフロントへ行ってマジックと紙とセロテープを調達。(何度も済みません)ポップに{Take zero と 森山組信正見参、一枚3000円、二枚で5000円}と書くが才能ないなあ。うちの病院にはとっても上手な看護婦さんがいて、いつも感心するのだがわたしはま・っ・た・く・ダメ。

森山さんの入りが遅れ、リハーサルが押してしまって(あ、ばらしてしまった)開演予定の5時を過ぎてもまだ入場できない。だいたい、4時集合でセッティングしてリハして5時開演は無理。ほんのちょっとのリハ、前回のピットインで向井さんが共演していたことが大変役に立っているだろう。でもねえ、向井さんが「この曲やりたい」と持ってきていらしたらどうするの?絶対やれないよね、でも時間があってもやる気はないかも・・・また余計なことを書いてしまったじゃないの。いつものライブでお見かけする顔は、藤井先生を除くと一人もいない。昔なじみ同士の集まりらしく、思い出話に花が咲いているようだ。横をウェディングドレスの花嫁さんが通る。

入場が始まり、市川修(p)トリオの演奏。よく音が聞こえる。有名なジャズの曲のフレーズをふんだんに使って、「あ、この曲知ってる」「あ、このフレーズ聞いたことがある」と思わせる。パワフルでけっこう「濃〜い〜」感じのサウンド。そういえば彼のホームページにThis is kotekote?と書いてある・・・コテコテジャズ、新しいジャンルだなあ、なるほど。

森山グループ+向井滋春の演奏が始まる。いそいで席に着く。結婚式場なので指定席の丸テーブル、ビュッフェスタイルで飲み物は自分で取りに行く。生ビール、バーボン、ワインなどあり。食欲をそそる品はなし。おいおいこれで12,000.-も取るの?これだけ払うんだからもっとまともなコース料理か何かがでてくるかと思ったよ・・・残念。中津川のゴルフコースでも10,000.-でコース料理が出てきたよ。小さな音でマーチングが始まり、だんだん音量がアップ。それでもおしゃべりは止まらない。ワイワイ、がやがや、あーっはっは・・・非常に耳障り。テーマの最後、ダダダダバダバダバダバダバダバッ!これはトロンボーンでは難しいだろうな。田中ソロ。この観衆の中、森山威男グループを聞いたことがあって、田中・音川の若い二人を知っている人が何人いるのだろうか。イヤな予感がしてきた。ピアノの音は余りよく聞こえないが、音川さんの音はよく聞こえるなあ。おお田中森山デュオになった!

このシンプルなドラムセットを見て!こんな少ないシンプルな、バスドラムとスネア、タムとフロアタム、つまり三点セットという最低限のセット。これにシンバルとハイハット。さっきのデュオも、ハイハットとスネア、バスドラムだけで思い切りのよいすばらしいドラミングだった。ああ山ほどドラムのセットを持ちながら「ドンッパッンドンドンパーン、チキチキタカタカトコトコドコドコ」しか叩けないドラマー、一度森山さんのドラミングを見てみなさい!

叩くドラムが、バスドラムとスネア、ハイハットとシンバルだけで、タムとフロアタムを全然使っていない・・・タムのヘッドが破れたのかと心配になって舞台の袖に見に行ってしまった、大丈夫そうだ!でも舞台の袖から見る田中さんが真剣に森山さんと視線を交わすところは、いつも見る姿と違い、視線の延長上に自分が立っている。うわあnobu君の表情は、きゃあかっこいいこんな真剣なのかぁ〜、いやそれは普段からも真剣な視線を交わしているというのはわかっているのだけれど、自分が見つめられているようでちょっとドキドキ!こんな真剣な視線で男性に見つめられたことなんてないので・・・なんだかすごく脱線してしまったなあ。元に話を戻そう。んーん、ドラムソロ、大音量。あのセットでよくやるなあ、いつものようにだんだんソロの音量を低く低くしていって・・・ああバックのギャハハハハという笑い声、話し声などが際だってくる。もおう〜!なんてこった!まず最初から聞く気がないんだからこういう連中には、静と動というテクニックは効かないんだわ!やはりパーティー会場だなあ・・市川さん夫妻を聞くのが目的の人も多いんだろう。そういう人にとっては、この森山グループは間の休憩時間。はあ。

森山さん挨拶。ブルーノート40周年おめでとうございます。最初ブルーノートに飛び込んだ時はまだ20台だったんじゃないかと思うんですが、大変昔の感じがします。ママさんが大変かわいがってくださってハッシャバイを大好きでよく店でもかけてくれました、なつかしく思い出します。きっと(生きて)いらしたら前の方で大騒ぎして迎えてくださるんじゃないかと思っていました。メンバー紹介します。ベース望月英明、ピアノ田中信正、テナーサックス音川英二、トロンボーン向井滋春。ジャズ界ではレパートリーが最少のグループとしてこれまでもやってきましたが、これからもそのつもりでいます。向井さんには申し訳ないんですけれど私たちグループのオリジナルばかりを譜面ばっかりたくさん持ってきて吹いてもらっています。最初の曲は田中信正が作りました曲でMarching of seventh, こんどは向井さんも喜ばせてあげないといけないので、昔のハッシャバイのレコードにも入っています、彼がきれいーにソロを吹いてくれていますバラードです、Lover man。

ああ、森山さんがスピーチしている間も全く聞く気がない。ちくしょう、うるさいぞ、ああいらいらしてきた。向井さんがテーマを吹き始めると、うるさくしゃべって笑い声を立てている人たちのテーブルのオッサンがピュウーッっとばかでかい口笛(指笛)を!!やたらでかい音で全然タイミングも合っていない。全く今まで聞いてもいなかったくせに、何だ!いままでしゃべっていたので、取って付けたような・・イヤ聞いていたとしてもどこで拍手や掛け声をかけていいのかわからないのだろうな。はやし立てればいいと思ってるのか!ただうるさいだけだわ。ああうるさい。ちくしょう来るんじゃなかった・・・あー、望月さんのベースライン良いわ、となんとか良いところを見つけて舞台に集中しようと思うのだけれど。あれ、外においてあったカウンターテーブルを中に運び込んでいるわ・・ということはCDを隠してあるこちらの受付台も対象ね!慌てて外にすっ飛んでいく。中に持ち込み可能なテーブルは一つだけということで、申し訳ないがブルーノートの受付テーブルの一角をお借りして森山さんのCDを置かせていただく。ああ、出入りしていて分かった、外の方がピアノの音がよく聞こえる。やっと落ち着いたところ、曲が終わってしまいそう。こら、そこ黙れ!向井さんのカデンツァを聴けえ〜!!

すかさずSun, be motionless。サックスの音の時はまだよい。音量が大きいので周りの雑音があまり聞こえないからね。音川さんの、伸びのある勢いのある音。しかし、演奏中はフラッシュを焚かないで、とお願いに走り回るだけで大変。フラッシュが光るとどこで撮っているか、目を凝らしてその人物を特定するのが困難、まだ純粋にバンドの演奏中の姿を撮ろうとしている人なら許せるが、森山バンドをバックに記念写真、「ピース」なんてやっている。「申し訳ないのですが演奏中は・・」とお願いに回るが、「そんなん焚かんかったら撮れへんやんか」と逆ギレする人もいる。ああステージは熱演。もったいないなあ〜。走り回るついでに食事を少し採ろうかと思ったが、ぱさぱさのサンドイッチ、干からびたハム。この会場は結婚式でもこんな食事を出すのだろうか?それとも経費節減するとこうなるのか?ああ、いらいらしているうちに休憩。一生懸命でCDを売る。嬉しいなあ、けっっこう買ってくださる方がいるのよ。「本当に欲しかったのにどうしたら手にはいるか分からなかった」なんて言われると、おまけまでつけてあげたくなる〜。

Free people.あれえ?すっごくテンポが遅い。タムとバスドラムの音に響きが全くないので、このゆっくりのテンポだときついなあ。ぎゃあー、座席で聴いているミュージシャンが、1拍3拍で手拍子を打っている・・・死にそう(ジャズの大・大・大基本は2拍4拍だ)。ベースの音がいまいちよく聞こえてこない、バスドラムの音がこもっていて、ああこのセットだとこのテンポはきびしい。森山さんの音のほとんどはスネアとハイハット、トップシンバルだけ。それでもこれだけのドラミング、はあー大したもんだ。田中ソロ、会場は酔眼者・子供走り回り・記念撮影。音川さん周囲に知らせるようにサックスを振って合図するが・・?(後で聞いたらドラムとデュオにしようとしたが通じなかったらしい)あー、これだけフラッシュが光るともうどうでもよくなってきた。いつもデジカメで写真を撮るのにフラッシュレスで四苦八苦しているのがばからしくなってきた。あ、テンポがいつものようにどこかでもどってきている。

ありがとうございます(なにがありがたいんだか)。最初の曲はこれも田中信正の曲で、Free peopleという曲でした。こんどは、グループの音川英二の前のテナーサックスがグループを去る時に作ってくれた曲です、感謝という意味です。Gratitude。ああ、心配だ。テーマ、マレットでシンバルをシャワワワーンと叩く、しかし一枚のシンバルでよくこれだけ違う音が出せるものだ。田中さんのイントロ、静かな、しずかーなところでパンパンパンパンと拍手。タイミングが悪いわ!こんな、まわりが沈黙している時でもおしゃべりのトーンは下がらない。アハハハア、「妹がねえ」ギャハハハ、「それであの時なぁ」黙って聴け!これが一つのテーブルだけだったら静かになるかも、しかしあっちでもこっちでもバカ騒ぎ状態。全然頓着ない鈍感なテーブルがすぐ真後ろに。向井ソロ、拍手!音川ソロ。ああー、もう。このイライラ感はどうやったら収まるのだ。なんとかグズラさんのベースラインに耳を傾け、森山さんのドラミングに精神を集中しようとするが・・・・だめだあ。

サンライズ。あ、聞いたことがある曲だ、っていうことかしら、前よりも聞いている人が多くなったようだ。フロント二人が引いて、誰がソロをするの?って感じだったけど田中さんのソロからスタート。すでにAABCのBのサビの部に入っている。ソロの途中、森山さんが手拍子でサビをサポート、音川さんも。私も手拍子したい!音川望月デュオ、こんどはスティックを打ち合わせてサポート、面白〜い!向井森山デュオ一瞬、望月さんすぐはいる。はあ〜、周囲は酔ってきているなあ。向井さんドンドン行ってよ!ドラムソロ、あれあれ、テーマにどうやって戻るのかなあ、リフを吹いて、あら一瞬にしてみんな入ってサビ、サンライズのタカタドンで終わりかと思ったらまたドラムソロに戻る、ターンターンタッタッタッタとみんなでつけては引く、というパターン・・・また初めての試みだわ。うふ。これは面白い。

メンバー紹介。ああ、ハッシャバイ・・もうだめだあ、とうとうダンスが始まってしまった。はあー、脱力。この写真は全部別のカップルだよ。子どもは走り回る、大声で会話はする、馬鹿笑いが聞こえる。どう頑張って演奏には集中できない、イライラがつのる。大声でしゃべりまくっているテーブルを睨み付けても、全く効果なし。ママさんは生ビールのジョッキを持ってあちこちのテーブルにサービスをするのに忙しい。やはり、ここはママさんがやんわりと、にっこり注意して回るべきであろう。この前のゴルフ場でのライブも最後には静かになったが、ここはだんだんヒートアップしてきている。

グッドバイが始まる前、何か男性が出てきて音川さんに話しかけている。最初は「お兄さん、良かったよ〜」とでも言いに来たのかのかと思ったが、どうも雰囲気が違う。???あとで聞いたら、「もっと踊りたいからもう一曲やってくれ」と頼みに来ていたらしい・・・ダンスバンドじゃないんだからぁ!聴いている人はどれくらいいるのだろう。グループはもう今日は何ともねえ〜。お約束のグッドバイももういらないや。静かな美しいサウンドなのに、とてもいいイントロなのに、でももうダメですっ!もうやらなくていいよ、やめていい。関西方面ではライブが少ないので(誰か呼んで!)京都に今回大枚はたいていらした方も数人はいらっしゃることでしょうが、もうちょっと奮発して名古屋ラブリーにお越し下さいよ。名古屋までなら新幹線で片道40分、往復1万円もしないんだし、安いホテルもあるよ。今日のコンサート、本当の森山組と思わないでよ。

最後にメンバー紹介、アンコールの声に手を振って応える森山さん。
CDを販売。買ってくださった方が、「もしかして管理人さんですか、いつもホームページ見てます、ライブレポートの更新の早さすごいですねえ」などと声をかけてくださった。ウレシイ。少し怒りが矛先を納めました。打ちあげでキレなかったのはあなたのおかげかも知れません。

この後、短い休憩後に市川芳枝さんと市川修トリオ、これはまた別の意味で聴きものであった。コテコテジャズピアノにどう対抗するのかと思ったら、すごくパンチのあるボーカル。もう濃い濃い。細くてきれいな顔とスタイルからは想像できない歌声。ホントに二児の母?酔っぱらった年配の女性が舞台まで出てきて、歌ってる最中に「よしえ〜」と話しかけるは、踊るは。森山さんが舞台に引っ張り上げられて3曲歌伴。フロアは大ダンスパーティー状態。みんなこれがやりたかったんでしょう、最初から。いい気分で呑んで、歌って、踊って、ヴォーカリストに掛け声をして拍手をして・・・それはそれで楽しい過ごし方だわ。森山バンドを巻き込まなければ。

この企画は失敗だったと思う。先代ママの遺影(写真右端)が見守る舞台で歌う市川夫人は美しい。踊りたい歌いたい人には罪はない。多分最初の段階から、ジャズを聴かない楽しく過ごせればよいという人が多いのは分かっていたはず、森山ミュージックを聴きに来たわけではない人も多数いただろう。森山グループを前座にしてでもまずコンサートにしておいて、席を立って歩き回らないとエサにも飲み物にもありつけないという落ち着かない状態を回避して、その後食事入りのダンスもおしゃべりもありという楽しい(!)状況を作るべきだった。もしくはコンサートとパーティーをまったく別にするか。初めて聴いた人でもパンチを受けて森山グループのファンになった人は多い。でも、最初から全く聴く気がない人間にはそれは通用しない。こんな状況で演奏しなければならないプロミュージシャンは大変だと思うが・・・。今まで森山グループを聴いた中で最高の金額を払い、最低のライブだったと断言する。

全然頓着していない田中さんだが、右隣にきれいなスリットとおみ足のママさん(!)私の方がスリットを見て”おっ”オヤジかもしれない。