朝、家を出ようとしたら、平日ダイヤと土日ダイヤを間違えて、焦って飛び出たけどもう一本あとの電車でも間に合った。息切らして走って損した。列車の中で弁当を買おうとしたらおつりがないと言って断られる。長野駅についてから、CDにサインしていただくためのサインペンを調達しようと、コンビニを探すが駅前に見あたらず、駅ビル内の文具店で探すが、金や銀のペンはないようだ。見たことがないという店員、ホントかな〜。タクシーに乗ったらめちゃくちゃ感じが悪くて、行き先を告げたら舌打ちをして、返事もしないし到着しても金額も言わないしもちろんお礼も言わない。近いのは判っている、そういう時は「おつりは要りません」などと言うのだが、今日の運転手にはとことん腹が立ったのでタクシー会社に電話をしてしまった。なんだかさい先が悪い。

到着したら最初のバンドが演奏していた。大音響のエレクトリック8ビート、ちょいとついていけません。ごめんなさい。

先に着いていたTOMさん、「同居人」さんがCDの売り場を確保してくれている。今日はスケジュールのチラシを御大みずから観客に配布していたとのこと。御大、やる気満々。

だいぶ時間が押しているなと思ったら、開演もかなり遅れたらしい。2番目の出演者は、板橋文夫トリオ。すっ飛んで行って最前列に確保していただいてある座席に座る。板橋さんはピアノに向かってライオンのたて髪のような爆発頭を振り回し、ゲンコ、手のひらでのプレス、回し蹴り、ピアノとの格闘。うほー。もう大好き。いいかしら、スタ○ンウェイが必死に応戦している。彰太さんの叩き方も独特の節回しがあって、何ともいえないバンドのサウンドが紡ぎ出される。と、堪能しているところへ院長から何度も電話が入る。土曜日だがゴルフに出かけられないので、パソコンに向かっているらしいがプロバイダにうまく接続できないという。大体、メールの送受信に必要な知識が全くないので「モデムって何じゃ?」から始めなきゃいけないので手がかかる。おかげでステージ途中3回も席を立つはめになった。残念。

楽屋へ行ったら、森山さんと板橋さんが談笑している。しばらく前には想像もつかなかった光景。嬉しくて、ちょっとどきどきわくわく。今日は何曲演奏だろうか。アンコールに板橋さんが出てきて弾くのだろうか。

CD販売。音川さんの新しいCDが好調。販売テーブルにいると、「松岡さんのCDは」「向井さんのCDは」と聞かれるが、すみません持ってません。

演奏が始まりそうだ。MDで録音しようとしたら、新しいやつは(去年年末のピットインでなくして買いなおしたやつ)は、乾電池をつけても内蔵電池が放電してしまうとうんともすんとも言わないようで、結局断念。いくらパソコンとつなげてネットでどうたらできると言われても、基本的に動かなくちゃ意味がないよ。古い機種は充電しなくたってちゃんと電池さえ新しくすれば動いたのに。レポート書き用に持ってきたペンもインクが出ない。う〜ん、調子悪いなあ。今日の昼前のいろいろな出来事はやはり暗示的だったか。それでも演奏は良いものになるように期待しよう。

メンバー登場。今日はセッティングの関係だろう、ノブ君が向かって左、森山さんが右。森山さんが叩きにくいパターンだが大丈夫か。客席から見ると、森山さんのドラムのど真ん前に音川さんの立ち位置がある。見えるかな?

Sound Riverが始まった。ノブ君ソロ。ピアノの音が少し硬いか、アフロから4ビートに。いい音。わー、森山さんの大鷲のような両腕を振り上げたショット!のけぞりまくって吹く音川さん、グズラさんが左手で弦をネックで弾いて出す音まで良く聞こえる。音川ソロのエンディング、森山さんノブ君の方を見て両手を振り下ろしドラムソロへ。あ、もう少し長くドラムソロやってくれてもよかったのに・・・テーマへ。

一転、しーんとGratitude。ふわ〜んと体から力が抜けて、腕がだら〜ん、瞼の裏が熱くなってよだれまで出そう。副交感神経優位状態。ノブソロ。ホールが広いと、単音の美しいメロディーより、和音のゴージャス系がいいかもよ。あれ?音川ソロがない。そこを節約しなくても・・・前の横浜ジャズプロ○ナードの時も、時間の節約のためソロが短くなったよね、時間を守ろうとしているのか律儀なんだから。公共施設だとケツカッチンだから、といってもだいぶ時間も押しているからね・・・もうテーマか。森山さん大暴れしてます。

「どうもありがとうございます。テナーサックス音川英二!ピアノ田中信正!ベース望月英明!・・・今日は聞いてくださる皆さんより、私が一番楽しみにしているんです。ゲストをご紹介します。板橋文夫!向井滋春!」歓声の中を二人が登場。うわびっくり、もう板橋さんが登場か〜。何の曲をするのかな、わくわくわく。「私のジャズの師匠でもありますお二人です」

板橋さんがピアノにつく、ノブ君舞台の袖で正座してる。「私の大好きな2曲、板橋文夫の作りました渡良瀬とサンライズです」

うひゃ〜〜〜〜!本当に聴けるんだ!やっぱりビデオ持って来りゃ良かった〜〜〜。うわ〜、ワタラセだ〜、きゃ〜、いきなりガーンガーンガーンとはいる、ああ、本当になつかしいなつかしい曲、20年以上前に初めて森山バンドで板橋さんを聴いたときのことがよみがえる。ぼーっとメロディーにのぼせて、埋もれて、流されているうちに音川さんのソプラノソロ。かっこいいわ。板橋さんの方を見ながら叩く森山さん。で、出た〜、鍵盤コブシゴリゴリ奏法!ぎゃ、板橋さんグリッサンドするときに昔は持ってたタオルを使ってない!素手で黒鍵を下から上までギャロロロロンとかき鳴らす。あれ、軽くやる時ゃいいけれど、あの勢いだとめちゃくちゃ手が痛いだろうな〜。すごいすごい、足踏みならし相撲の四股とは言わないが右足を時に高くあげ、腰を浮かせて鍵盤上を暴れ回る板橋さん。どはー。もう脱帽。ペンを持つ手が動きません。

パカン!だけで始まるサンライズ。ほらほら森山さん、あのバンドだった頃はまず森山さんの短いドラムソロがあって、タムを高音から低音まで回してロールして、タカタドン!で入ってたじゃない、これじゃ短すぎるよ!でもさすが、森山さんが板橋さんを見つめて腕を振り上げ、一瞬にして了解した板橋さん即テーマに入る。クラスター和音のテーマ、鍵盤を弾くというより叩くというより、手のひらでプレスするような弾き方。テーマが終わり、板橋さんのギャロロン!という音が入った、そのまま板橋ソロに行くかと思いきや音川さんのテナーソロ。音川さんの後ろで雄叫びをあげる森山さん、板橋さんを見つめて楽しそうな顔をしている森山さん。ああ嬉しい。いいぞいいぞ。髪振り乱しライオンが吠えているような板橋さん。向井ソロのバッキングも立ち上がりコブシを振り上げる板さん。椅子要らないんじゃないの?あー、スタ○ンウェイがこらえきれずに板橋さんの一本勝ち!って雰囲気。スゴイソロ、もうピアノ壊れるんじゃないか・・・音川向井、テーマのリフを入れて。

んんんっ、板橋さんサンライズのソロ終わったら椅子から立ち上がって舞台の袖へいなくなっちゃった。(写真はピアノ不在のステージ)昔みたいに森山ソロはそう長くないよ、大丈夫かな、戻ってくるかな、板橋さんがピアノに座っていないの森山さん気がついてるかな、気がついてなくてソロ終わっちゃったらどうしよう、どうやってテーマやるんだろう、なんて要らぬ心配をしてやきもき。あ、戻ってきた。でも立って汗を拭きながらドラムを聞いてるけれど、昔よりもテーマに入る合図短くなってるよ、大丈夫かな、ハラハラドキドキ。森山さん雄叫び、森山さんがんばれー!うわー、すっげー!!パカン!テーマになだれ込んで全員で突っ走って、うゎうゎうぁ〜、心拍数が増加してるのがよくわかる、心臓の位置が普段より5cmくらい喉に近づいた(あり得ないが)ような! 終わって大拍手の大歓声。ピーピー、ヒューヒューと口笛、ウォーという声。

「さっき楽屋で準備していて「サンライズ」と言ったら向井が『どういう曲でしたっけ』なんて言うんですよ。いっしょにレコーディングもしていたのに・・・まあ昔のことですからね。」ちょっと待ってよ、向井さん去年のピットインでゲストに来てくださった時も、京都のマリア○ジュで演奏した時も、このバンドでサンライズやってらっしゃるんですよ〜。「昔からずっとやり続けている曲があるんです。 Hush-a-byeとGoodbyeです」嘘〜、そこまでやってくれるの?「田中さ〜〜〜ん」と舞台の袖に向かって名前を呼ぶ。「ハッシャバイのピアノソロは途中で交代してもらいましょう」えええっ連弾・・じゃないよね。ノブ君板橋さんに回し蹴り喰らいそうだもん、でも椅子は中腰の板橋さん要らないかも・・なんて冗談考えてる余裕なし。もう胸バクバク、指が震えてしまう。

音川ソロ、向井ソロ。なつかしいなあ。板橋ソロ。板橋さんをこんどはにらみつけるような真剣な表情で叩く森山さん。ノブ君はどこだ〜。ソロの終わりにテーマのフレーズを最後に入れて席を立つ板橋さん、ベースソロに。すすすすっというすり足の感じで舞台の袖からノブ君、浴衣に着替えて出てくればおもしろかったのに、なんて。椅子に座ってベースソロに続いてピアノソロ。おや、ノブ君がメロディーを弾くと調律が狂ったのがよくわかるわ。全く、タイプが違っておもしろい。同じバンドの歴代ピアニストといえど、比較にならないしできないし優劣もつけがたい。その二人が一曲をわけて弾く、こんなこと、滅多にないよね。ノブソロ終わり、音川さんに目で合図してテーマに。サビは向井さんが吹いて音川さんが絡む、テーマの終わりは音川さん。曲が終わったらノブ君はまたすっと立って席を外してしまった。あれ?

「板橋文夫をフィーチュアして、グッドバイです」
ひょえ〜。ここまで板橋さん?ノブ君聴きに来たファンの人が怒り出さないかな・・・私はいつも聞いているから(2週間前も聴いたし、、来週も聴けちゃう)まだいいけどさ。板橋さんとの往年のトリオが聴けて嬉しい反面、それでもノブ君のピアノも聴きたい気持ち、逆に板橋さんに今の森山組のサウンド・・・板橋さんの曲をどうノブ君が料理して消化しているかを聴いてもらいたい気持ちもある。二人のピアニストで1setというのが短すぎるのじゃ。

いきなり板橋さんがGoodbyeのテーマを弾き出す、もう涙目。ああ、板橋さんのサウンドだ。しーんと静まりかえった会場に板橋さんのソロが響く。この弾き方なのに、本当に出ている音は滑らか。ああ、終わっちゃう。幻じゃなかったよね。またいつか、またいつか必ず共演が実現することを信じて。バックドロップさん、コンサートスタッフの皆さん、本当にありがとう。

番外編