さて2日目だ。
やたら寒いが、今は6時に行けばいいので助かるなあ。以前はカイロと椅子持参でもっと早くから行って、行列の先頭に立たなきゃと頑張ってた(以前、horiさんにそれは並んでいたのではなく、待っていただけと書かれたけど)もん。今日は2日目とあって、6時前にはラブリーの前は黒山の人だかり、っていう感じ。中に入って席を確保し、6時10分にはほぼ満席。立ち見の場所を確保しなければいけないヒトは、開演までずっと立っていないといけないわけで(もちろん終演まで)、こりゃ大変だ。周りは入れ替わり立ち替わりで久富へ、OちゃんはOkadatoにちゃんと6時にはラブリーの前にいるようにと言われていたにもかかわらず、ずっと久富の中にいたようだ。人口密度が高いせいか、ラブリーの中は暑いくらい。それにしても喫煙率が低くなった、ウレシイなあ。毎回「演奏中の喫煙はご遠慮ください」と書いたチラシを配っているおかげか、全体的な風潮か。しかし来年のライブがほとんど決まっていないので、今回はチラシは作らず。

8時10分、メンバーが登場。森山さん(2階の)控え室からここへはいるまで、露天風呂みたいね。一旦寒いところを通らなくちゃいけなくて・・・んなこと言ってないでやろうか!」とスタート。

Equinox。意味を調べてみると「昼夜平分時、分点」とある。よくわからないけど、autumnal equinoxというと秋分の日、のことだそうで、天文に関係する用語なんだね。ああ、音川ソロ、気持ちいい。膝蹴り、のけぞり、吹きまくるメロディーの後ろで森山さんがあおる。ノブソロ。しかし、ノブ君そのヘアスタイル、やっぱりいつも着ているおしゃれ系の服とは合わないよ、昨日誰かが「高校球児みたい」って言ってた、その通りだわ。ノブ君がペダルを踏む音がガンガンと響く。

ちょっとMDに目を落としていたうちに、舞台上では何か笑いが起きていた、何だったのかな?アフロブルー。ノブソロ、不思議なフレーズを弾いている。ノブ君必死の形相で森山さんに挑む、森山さん受けて立つ。最初は余裕で応戦していたが、だんだん顔が険しくなる、森山さん雄叫びをあげる。ソプラノのベルに書いてある綴りが見えそうな至近距離、倍音が耳を直撃する。ソプラノを振り上げて降ろして、ドラムソロへ。う〜ん、なんと表現しよう。過去100回近いレポートを書いてきたが、毎回新しい表現を探すのは難しく、陳腐な表現しか思い浮かばないなあ・・・。クライマックス、森山さんがぱっとノブ君を見ただけで瞬間にテーマに戻る。なんというタイミング!テーマの終わりにソプラノを振り上げて降ろす、森山さんがウォーとため息か雄叫びかを上げる。

「音川英二。田中信正。望月英明。今日は寒かったですね。・・・・・ニュースを見ていると凄いですね、犠牲者が6万人を超えるって。田中さん、おじさんがプーケット島に行っていたけど、助かったんですって。良かったですね。ずいぶん身近にいるもんですね、日本人観光客が多いところらしいですね、プーケットとかモルジブとか。僕行ってなくて良かったなあと思って(ライブがあるから年末は無理ですね)・・・。近場にしたんですよ、山梨に一泊で行ってきて。母親を見舞いついでに行ったんですけど。なにか、私より元気そうで安心しました。『おまえはいつまで経ってもだめだねえ』なんて言われちゃって、もう帰ってなんかやるもんかと思ったんですけれど。知り合いの隣の方が『森山さん良いもの見せてあげましょうか』って、普通のうちなんですけれど、外から窓ガラス越しに見えるのがなんか檻っぽいんですよ。鉄格子になっていて。なんとこんなにでかい虎がいるんですよ。びっくりしちゃった、それで名前がポチっていうんですよ(爆笑)。冗談じゃないんですよ。私だって驚いたんですから。虎になんでポチなんて名前を付けるんでしょう。ぬいぐるみみたいなんですけれどね、ばかでかくてじ〜っとこっちを見ているんですよ。なんでこんなでかいものを家の中で飼っているんだろう、家の人が住むスペースなんてないんですよ、檻ですから。2階をどうも住まいにしているらしいんですけど。聞いたら一ヶ月の食費が40万ですって。凄いもんですね。気持ち悪いんですよ、煮えた後の鶏の頭みたいのがごろごろ転がっていて。頭だけ残すんでしょうか、それとも鶏の頭だけ安く買ってくるんでしょうか」笑い、たぶん後者でしょう。「そのあたりを虎に聞くのを忘れたんですけれど。とにかく恐ろしかったですよ。柵があっても、普通の家の中に虎がいて、こっちを見てるんですから。飼ってどうしようっていうんでしょうか、大きくなったからって売れるもんではないし、家の中にいるから人に見せるものでもないし、皮を楽しみに育てているとしたらもう十分大きいと思うし。そのあたりはわかりません、動物が好きな人はその辺は問題じゃないんでしょうね。私もついぞ猫しか飼ったことがないんですが。動物は飼えばかわいいもんですね。私だって時々は、朝自分の顔を鏡で見ると、かわいいなあって思いますもん。・・・まあ大した話題じゃないですね」爆笑。「プーケット、モルジブから話が長くなりました、田中さん(おじさんが無事で)おめでとうございました、おじさんによろしく。このセット最初の曲は、音川さんの提案で、コルトレーンの」「Equinox」と音川さんがすぐに答える。どうせ覚えていないということが判ってるもんね。「そして、2曲目がアフロブルーでした。ということは3曲目はなんですか」音川さんが笑って「I want to talk about you」オウム返しに「I want to talk about you。どうぞ!」

テナーに持ち替えた音川さん、美しいテーマが朗々と響く。ノブソロ、ブラシでつける森山さん、本当にブラシワーク、多様なこと。あ〜、かっこいいなあ。音川ソロ、ベースラインが心地よくスイングする。サビからテーマに入り、カデンツァーは一人舞台。

ン、ン、ン、とカウントを出し、アップテンポのImpressionsが始まる。音川ソロ、徐々にヒートアップ。望月さんのベースのサウンド、うねりを作って。森山さんの腕の使い方が大きくなってきた、か〜っこいい〜。シンバルを叩くときに一瞬立ち上がらんばかりにして。音川ソロが終わったらドラムが叩きまくりドラムソロになってしまった、ノブソロ忘れてるよ〜。グズラさんストップして、ピアノとドラムのデュオになるのかと思ったら、ノブ君一瞬迷う、グズラさんとノブ君が目を見交わして笑う。ノブ君参入、連打。ヒートアップしたまま森山さんが音川さんに目で合図、テーマに入る。
「音川英二!田中信正!望月英明!しばらく休憩します!」

胃の調子が回復していないので、ホットココアを頼む。今日はおとなしくしていよう・・・。

休憩時間が短く、2部は9時18分ころスタート。え〜?もう始まっちゃうの?って感じで皆あわててバタバタと席に着く。間に久富で一杯、ってたくらんだ人は2部の頭を聞き損なってるはずだわ。スピーディーなN.O.Wが始まる。休憩の最短時間じゃないかしら。ノブソロ、森山さんノブ君の方をじっと見ながら叩く。おもしろいフレーズ、音川さんが笑いながら聞いている。ノブ君叩く叩く、おもしろい!もっとやれ〜、やれやれ〜!って感じ!音川さんのベルから直接振動が伝わってくるわ、わあ〜、すごい!考えてみたらすごい状況だわ、手を伸ばしたらそのままベルにさわれる距離だもの。スネアのショットが耳に痛い。

ウォーと客席から歓声が上がる。「ありがとうございます」と言ってはあ〜と息をつく。「なんだか音楽やってるとは思えませんね、K-1 JAZZと名前を変えましょう」は〜、は〜と息を吐く。拍手、音川さん大笑い。「やりようがないよね、これ以上」拍手。「はあ。うん。あの、このごろ名古屋に出てくることが少なくなってしまったんですけど、今日もいらしているカメラマンの黒田さんが、ジャズシーンを撮っておられて、今月の末まで、30日までですかね、中日ビルの中のドルフィンっていう喫茶店で個展をされているんです。久しぶりで家族で出た折りに、見に行ってきたんですけれど。もっと早く行くつもりが、なんとか21の中庭みたいなところでお笑い番組の収録があって、そこにスピードワゴンとか、僕も一、二度はみたことがありそうな人達が出ていたんですけれど。そこへちょっとひっかかったりしてから行ったんですけれど、ちょうど入ったらお客さんがいなくて、『自由に見られますよ』なんて言われて。じっくりと堪能したんですけれど、すばらしい写真でした。皆さんもよろしかったら是非、あと1日のことですけれど、行ってみてください。そこにこう、いらした方に書いてもらっていますというノートがあったので、なんと書こうかなと思ったんですけど」今日の昼間見に行って、ノートも読んだ仲間からはくすくす笑いが広がる。「黒田さんの写真はすばらしい。こんな芸術写真はめったに撮れない、なんて言うじゃな〜い、でも残念!被写体がワタシですから〜」大受け。「って書いてきました、読まれましたか?」と黒田さんに訊く、「まだ読んでないの?ぜひご覧になってください。写真は良いんです、残念ながら被写体がイマイチ。田中さん、撮られたかった?」ノブ君「ありました」「あ、あった?・・・・田中さんが髪の毛を短くした理由をお聞きしたい」拍手「何となく」「ふ〜ん。いいネェ、何となくでも人の話題になって」爆笑。「ワタシも若い頃はやったんですよ、長くしたり短くしたり、ヒゲはやしたり、でもだれも聞きませんでした」怖かったんじゃないでしょうか。「何の関係もないんですけれど、井上淑彦が作りました曲です、Gratitudeしかし、毎回こんなに笑わされた後にバラードだもんね、音川さん吹きにくくないんだろうか、ピアノやベースだったら笑ってても弾けるけど、サックスは笑ったら吹けないもんね。

美しいテーマ。ノブソロ、ベースとピアノのデュオ。森山さんはじっと聴いている。しばらくして戻り、流れるように美しいソロ。音川ソロでマレットをスティックに持ち替える森山さん、テーマに戻りスティックを投げ捨て、ブラシに持ち替える。うう、聞き惚れてしまう。・・なんだかセンスないヤジを飛ばしている人がいるなあ。

森山さん、ノブ君に向かってタイミングを計って、フェイントをかける。このまえピットインではしっかり引っかけられたもんね。サンライズ。あれ、三島は?今日はやらないのね。音川ソロ。バックでスタン!と合図を、ノブ君と森山さんがリズムパターンを入れる。森山さんがノブ君の方を見ながら一気に仕掛ける、ドラムとピアノデュオになるのかと思ったら、今度は森山さんが退いてベースとピアノデュオに。昨日も思ったけれどピアノの弾き方っていっぱいあるんだなあ。森山さんが変則的なリズムにしてノブ君にフェイントをかける。ドラムソロ、渾身だわ〜。もう表現する言葉がない。興奮のうちにテーマが終わる。「音川英二!田中信正!望月英明!」拍手拍手、歓声。


「ありがとうございました!ふう。今日はいろいろなものが壊れて、バスドラムのペダルが壊れたみたいです、もう(演奏を)止めろと言っています。お詫びの印によろしければ皆様にこういうものを差し上げようかと思います」イエ〜と歓声。「これは森山モデルではないんですけれど、実はこういうスティックを何組か取り寄せまして、太いものを削って小さくしたり、先の大きさを工夫したりして。これが一番似ているスティックなんですけれど。これが森山威男モデルと名前が入っているスティックで、やっとできあがったんですよ」と使っているスティックを見せる。おお〜、と歓声、「今からオークションしましょう」という声があがる。「これ(森山威男モデル)はちょっと差し上げられないのでこれを、(名前が入っていない方のスティックを持って)でも1組ばかりじゃ皆さんもがっかりなさるでしょうから」とたくさん取り出す、「5セットあります。また勝ち抜きでいきましょうか」「行きましょう、ワタシに勝った人だけ残るんですよ、負けた人とあいこのひとはだめね、じゃ〜んけ〜んぽん!」と始まる、うちの手の外科の後輩ドクターもゲットした。何組かが済んだとき「なんだか叩き売りみたいね・・・よし、これにこれをつけようか、特別サービス」とTシャツとスティックをセットに。「じゃ〜んけんぽん!」最後「香苑」さんのところのご主人と、T島さんところの小学校3年生の息子さん2人になって、「2人で分ける?そういうのもありよ」と森山さんが言って、「分けようか?」と「香苑」さんのところのご主人が提案。森山さん「ボクちゃんどうする?」、ボクは「両方(欲しい)!」と拒否。決戦じゃんけんは結局「両方欲しい」との気迫勝ちでボクがゲット。何年か前にもスティックをゲットしているはず、強いなあ・・・。「今日はドラム道場の生徒も何人か来てますね・・・・5人いますね、では今使っているスティックを(森山威男モデル)・・じゃんけんぽん」結局藤井先生が勝ち残ってゲット。行くべき所に行ったようです。「来年はサックスどちらかを・・・」「音川さんソプラノちょうだい」「来年と言わず今年に」「望月さんのベースも欲しいなあ」などとヤジが飛ぶ。

Hush-a-byeが始まる。ノブソロに聴き入っていて、ソロが終わっても拍手しそびれそうだったわ、サックスソロ、いいフレージング。ベースソロ、ああ終わっちゃうのね・・

「ありがとうございました!」と楽しそうな顔で森山さん挨拶。「なんとかまだやれそうな気がしてきました。元気でいて、また来年お目にかかります。ありがとうございました」音川さんが目で合図してノブ君にGood byeを弾くように促す。

なんて澄んだサウンドなんだろう。もう、胸がいっぱい。
隣のS石君は、この曲を聴くと「完」という字のタイトルが上から降りてくると言っていた、なるほどねぇ。

「ありがとうございました!」で今年の森山組の幕が下りました。

来年は3月のピットインで幕開けですね。

聖職者のよう、といったガウンに、Atsuyaくんからプレゼントのおそろいクルスをかけたノブ君。