5時半に「入り」と森山さんに言われていたのだが、連休最終日の上り新幹線の切符を押さえておくということをしなかった(間抜け)ので、自由席の空きを待って2本ほど列車をやりすごし、ドルフィーについたのはほぼ6時。もうセッティングに間に合わないかな、と思ったらノブ君が「まだだれもいない、お店の人もいない」電話番をノブ君がしていたそうだ。山に積んであるドラムセットをばらして組み立て始める。そこへ森山さんから電話、どうも道に迷ったらしい。セッティングを終えて階段に並ぶ。いつまでたっても音川さんが来ない。音出しが始まったのが7時過ぎ、開場は7時半。おなかがすいてきたが食べに出るわけにも行かず、お好み焼きを注文。お客の入りが少ない!全部で30人くらいしかいない。みんなジャズプロムナードで2日間聴いて疲れたのかな、森山グループの演奏も1日目にあったし、名古屋組も今日帰ってしまっているように、遠方からのお客はみんな帰ってしまったんだろう。
8時前、森山さんが「早く演奏したいなあ」って顔をして楽屋からこっちを見ている。8時過ぎてもノブ君と音川さんがどこかへ行っていて、メンバーがそろわない。森山さんと望月さんがスタンバイして、音川さんもやってくる。あれ、ノブ君は?と思ったらトイレから走って出てきた。やっぱりトイレにいたか。

Impressionsから。最初の出だしからして、やはり強烈。ドカンと瞬間に爆風を受けたみたいになる。今日のセッティングはピアノが左でドラムが右、と普段のセッティングと左右が違う。今日はノブ君の顔がよく見える。高音を駆け巡るノブ君の指。ぐ〜っと盛り上げてノブ君が音川さんを見上げ、音川ソロへ。あら、音川さんのサックス新品?しまった、お好み焼きが出てきたが早く食べないと冷めてしまう、演奏中にこれは食べづらいなあ、それにかなり油っこくてカロリー高そう。音川さんのフレーズに望月さんの反応、今日はよくベースがきこえる。音川さんの膝蹴り、森山ソロへ。う〜ん、鬼も裸足で走って逃げそうなドラムだわ〜。曲のリズムが出てきて、ここで頭かな?ってところ、森山さんが音川さんを見上げるのが一瞬遅く、入ろうかどうか迷っていた音川さん、テーマの頭がちょっとだけ切れたが全体的にはうまくテーマに戻り、エンディングへ。

「ホウ」と一つ大きく息をついて、そのままAfro Blueへ。音川さん、ソプラノも新しい?ベルのところは前と同じだけれど、左手のところに余分にキーがついてるみたいに見える、前のと一緒だけど気がつかなかっただけかな?うん、快いリズム。グズラさんのベースがうねる。音川さんノンブレスで吹きまくる、う〜ん、すごい!ノブ君ソロ、ノブ君が顔を上げて森山さんを見るときと、森山さんが右を向いてノブ君を見るときのタイミングが合わない。おお、地鳴りのような音と振動、精密なドラムだなあ〜。おやソロ終わるかと思ったらまだ終わらない。スティックがころころと転がって落ちた、折れたので持ち替えたのかな?森山さんの表情が今日は少し硬いのが気になる、笑顔がみられないんだよね。ドラミングは申し分ないけれどちょっと体調が心配。汗が目に入って痛そうだし。

あれ、MCない。MCマイクが置いてない、ってことないはずだけど。そのままI want talk about youに突入。ああ、テーマに聞き入ってしまっていた。森山さん、ブラシがきれいだ。ノブソロ、ベースとのデュオを少し。思い出したように森山さんがスネアをブラシでかさかさっとこする。シンバルのシズルの残響がとてもきれい。ベースもよく聞こえてうれしい。思ったより長いソロ、堪能。ゴージャスな和音を使ってメロディーラインを組み立てている。いつも思うけれど、あんなに上手にピアノが弾けたら楽しいだろうなあ〜。いいなあ〜。いや、このグループを見ているともちろんベースでもサックスでもドラムでも、すごいなあと思うけれどピアノ以外の楽器は想像の範囲を超えているんだよね。あ〜、お好み焼きが胃もたれしてきた。サックスのソロへ。うん、いい響きだ。しっかり浸ってしまう、う〜ん、カデンツァー。なんか、この曲、「完成品」って感じがする。はあ〜、っとため息が出る。

MCマイクを探して持つ森山さん。「・・・メンバーでした。音川英二!望月秀明!田中信正!・・・横浜ジャズプロムナードもたいへんな人で、って台風なんか来てしまって、来るつもりで来られなかった人がたくさんいたんじゃないでしょうか、私も残念でした。

Sound River。このバスドラの一撃で飛び上がっちゃうんだよね、ホント、すごい。ノブソロ、アフロリズム。ノブ君が盛り上げていって森山さんとあわせて、森山さんがスパーンと空を横に切るみたいな動き、いやまるで本当に日本刀の真剣切りを思わせるような、そして4ビートに変わる。うわあ、森山さんの腕の動きの美しいことったら、今更ながら見とれてしまう。森山さんのドラムが響いて、もうノックアウトされそうだわ。レガートがきれいで心地よい。音川さんおもしろいフレージング、最高潮!ってところでリフが入りドラムソロへ。なんともまあ。タム二つだけでアフリカ風のソロ、うひょ、すごいわ。アフロに戻ってノブ君が入れて、望月さんがぐーんと伸ばして、フィニッシュ!拍手!音川英二!田中信正!望月英明!しばらく休憩します!

2ndセット、音川さん、望月さん、森山さんがスタンバイしているのにやっぱりノブ君だけいない。ドアの外にいたノブ君が走ってステージに向かう。
トイレに行っている間にN.O.Wが始まってしまった。トイレにいてもよく聞こえる。ノブソロ、のっけからもう高音域を動き回る指がはね回って見える、望月さんのトーンもぐいぐいと。音川ソロ、朗々と。キュキュキューと吹くところで森山さんあおるあおる。そこに望月さんがスピード感をプラス。森山ソロ、もう延々、びっくりするくらい。テーマばっちり決まる。席を離れて後ろの方から見ているのでメモが取れない。全体が見えて良かったのだが、ペンとノートが席に置いてあるので、曲と曲の間にステージを横切る形で席に戻る。

Gratitude。ノブ君がかわいらしく弾き出す。あ、テーマのノブ君の和音の響きがいつもと違う。マレットで連打するタムの響きがすばらしい。しかし、打楽器というのはすごく多彩な音が出せるのねえ。ノブソロ。だれか、この曲にいい歌詞をつけてくれないかなあ、う〜ん、胸に迫ってくる。すごく、切なくなって・・・テーマに戻る。わ〜お、森山さんの思った以上の暴れっぷり、すごいわ。終わりはコントラストをつけてそっと締める。

「ありがとうございます。最初の曲は音川英二の作りました曲で、N.O.W.。次の曲が井上淑彦のGratitudeです。井上さんは横浜ジャズプロムナードで大活躍でしたよね。3箇所ぐらいでやったんじゃなかったですか?飛び入りしようと思ったんですが、殆ど夜中でしたよね、あのジャムセッション。メールが入ったんですけれど、見たのが朝の8時でした(爆笑!早寝早起きの森山さんらしい)。まあ、楽しみに待っていればまたジャムセッションとかやる機会があるでしょう。今日の最後の曲です、サンライズ

おなじみの曲だわ。音川ソロ。サビから終わりにかけてのベースのぐいぐいと引っぱっていくラインがいいなあ。リズムリフを入れて森山さん合図。ノブ君が望月さんと退いて、音川森山デュオに・・・すごいぞ!リズムリフの合図でノブ君と望月さんが入ってまたカルテットでの演奏。ノブソロ、森山さんが仕掛けてきた。スタタタタタとノブ君が弾けば、森山さんがズダダダダダと機関銃のように応戦する。ノブ君をじっと見ながら叩く森山さん、おおリズムの入れ方がばっちり合って、きたきたきた、格闘だ!今日はどうタイミングを合わせるのかなノブ君。やっと笑顔が森山さんにみられる。ああ、なんだかうっとりと見とれていた、ドラムソロすごい、この森山さんの左手、どっひぇ〜、どう動いているの?奇声がとんで、テーマへ。

「ありがとうございました!音川英二!田中信正!望月英明!・・・・はあ・・・・。ここに来る前可児市で年に一回のコンサートがありました。山下洋輔、板橋文夫、井上淑彦とゲストに出ていただきまして、大盛り上がりに盛り上がりました。最後のアンコールで、ピアノが1台こう、横から出てきて、片一方のピアノで田中信正と板橋文夫が連弾をして、片一方のピアノで山下洋輔が弾くという、おもしろい趣向をやったんです。板橋文夫がああいうのをいやがるかと思ったら、到着して早々、『3人揃ったんだからさあ、やろうよみんなで!』(と板橋さんのまね)面食らってしまいました(会場バカ受け)。驚いたでしょ、田中?」とノブ君に振る。「ええそうですね」爆笑。「田中が弾いている横に殴り込みかけてるみたいに見えて(笑)。それぞれの特徴がすごくよく見えておもしろかったですね、もっと長くやれば良かったですね。ちょっと田中がやり足らなかったかもしれない。リターンマッチでまたやりますか(大拍手)!まあ、ほんとおもしろかったですよ。今度はピアノを3台出してきましょうかね。田中君さえよければ一つはちっちゃい子供が弾くヤツあるでしょう、あれやるとかわいくて同情票が集まるかもしれない。で、そのときにその日のコンサートを記念して(とTシャツを出してくる)作ったんです、メンバーにもアンコールの時に着てもらったんですけれど。これはアイスキャンディーじゃないんですよ(と絵柄を示して)。ピアノの黒鍵をいたずらしてみて、ピアノが3人でしょ、テナーサックスが2人、ベースが一人、ドラムが一人。この日行った人は、どこでの演奏かとかどこにも書いてないんですけれど、わかるというヤツで。この首の後ろのところにドラムのマークが一つ入ってるんです。だから黒いやつは紋付きみたいな感じになるんですね。え〜、そのとき100枚作るはずがなぜか130枚作ってしまって、みごとに30枚残りまして(げらげら)、いやホントに。この黒がMサイズで、モスグリーンとピンクがSサイズなんです。もし記念に、よろしければ2000円で買っていただければと。3枚ずつしか保ってこなかったんですけれど、控えめで。今年中に売れるといいなと思っています。よろしかったらお願いします・・・・・・・アンコールを(爆笑)・・・・アンコールでもナンでもないんです、計算の中に入ってるんです。あの、もっと本当はもっと長くやりたいんです、あと2時間くらい。でも望月が電車がなくなるって、頼むから、ってさっき言うもんですから、しょうがない、やります、2曲だけ。ハッシャバイとグッドバイです」

ハッシャバイ。あれノブソロ短すぎやしないか?2コーラスだけ?音川ソロ、もう、身をゆだねるしかないって感じ。ベースソロ。ドラムソロなくて音川さんがテーマに。

グッドバイ、わ〜、本当にステキなintro。なんか、濃い霧と深い緑の森の情景が目に浮かんできた、映画のシーンにでも使えそう。ああ、やっぱり、きれい・・・なぜか毎度毎度、目頭が熱くなる。ステキな曲だわね・・・。ティンパニのようにマレットでフロアタムを叩く森山さん。ノブソロから音川さんがサビに。う〜む、なんと、素敵な、としか書きようがない。もう終わっちゃうの・・?って、でももう50分以上は経過しているから、短いわけではないんだけれどね・・・。

ありがとうございました!と退場。アンコールの拍手、そりゃ無理だって。森山さんが出てきてぺこりと頭を下げ、今日はおしまい。