今回のレポートは難しいわあ。ドラムを叩く場面の表現がこれほど難しいとは思わなかった。録音していないので、今回のレポートはメモだけです。しゃべりの内容の方がずっと分量が多くなってしまいましたが、ところどころお話になった内容が抜けているかもしれません。ごめんなさいね。

名古屋の官庁街と古くからの高級住宅街のちょうど中間、という立地。来る途中の公園では桜が見事に咲いている、ああお花見にも行く暇がないなぁ・・・。今年は少々桜の開花が遅れたので今が名古屋では見頃。1階のギャラリーで開場まで待っている間に桜茶をいただく。ビルの7階の1フロア、椅子席と床に座布団で座る席が準備されている。このビルの1階でギャラリーをなさっている方が企画されたソロコンサート。この空間で思い切りドラムを叩かれたら耳が割れるかも。前の方の座布団席はおなじみの顔がたくさん。ああ、今日は初めて森山さんのライブを聴く人がたくさんいそう、芸術関係の人が多いかも。いつものチラシを作ってくるべきだった、しまった、しかしどう捻出しても時間は取れなかった気がする。会場にはドリンクと手作り風のお菓子、パンなどが準備されている。赤ワインとブルーチーズ入りのパンをいただく、お腹が空いているのでありがたい。ドラムの横にはみごとな枝振りの桜、ここでお花見ができるとは思わなかった、それも演奏付きというラッキー。

19時ぴったりに登場。少し照れくさそうな森山さん。マレットでのソロが始まる・・・そういえば今日はソロコンサートだ、当たり前だ。しかし、ソロコンサート、ってのは初めて見るなあ。後で訊いたら、20年前以上前にNAMOさんの店でやったきりだそうで。松風さんと北海道ツアーの途中で、森山さんだけお店で叩いてもらったとのこと。地べたに坐ってライブ、は屋外の他あるとは思わなかった・・・今日は目線が低いのでバスドラとハイハットシンバルのペダルワークがよく見える。タップダンスをさせてみたら上手だったりして。シンバルに隠れて顔がよく見えない。桜の花びらがシンバルの上に乗って・・これがはらはらと散ってきたら「この桜吹雪が目に入らぬか!」ってせりふが似合いそう。シンバルを鳴らす、のではなくマレットを使ってシズルを鳴らす、という叩き方もあるみたい。まあなんと細かいテクニック。ああ足がしびれる、床に座るのは苦手。
19:15。しばし考えてブラシソロ、わざとアクションを大きくして小さな音を出している、シズルの余韻がよくわかる。同じように叩いているようにみえても、音の強弱、響き方が全然違うのだね。今日はきちんと録画して、ドラムの教則本として出してもいいくらいではないでしょうか。

19:25「桜の花がかわいそうですね。あまり深刻にならないようにと思ったんですけれど、性格が暗いんでしょうか・・・。ドラマーが1人で叩くとき何を考えているか、興味あるでしょう?・・・『早く終わらないかな』(爆)一回目はこれで終わりにするんです、ちょっと飲みましょうかね。また来週もあることですし(ラブリーのことね)。しばらく休憩します。」

20:00。アフロがどか〜んと始まる、いきなりサウンドリバーが始まるのかと思った。桜の花びらにシンバルが当たってきれいだ、スティックが桜の枝にあたって花びらが散る。良く映えるライティング。もう少し後ろの椅子席で目線が高い人は、森山さんの後ろの窓越しにライトアップされたテレビ塔がみえてまたきれいだとか。耳が割れるかとおもったが、心地よい響き。リズムが変わってまたアフロに戻ったら、いつものサウンドリバーのドラムソロの終わりみたいで、思わず拍手しそうになってしまった。タカタドン、バーン!!はあはあと息をつく森山さん。
スピーチなしで2曲目へ突入。ブラシ、ミディアムテンポの2拍3連を多用したリズムのソロ。桜の花がぽとりと落ちた。

20:20。「リクエストありますか(笑)?」どうやってリクエストするんじゃ・・・。「あの、演奏を長くやっていますと、思ってもみないことをやるはめになることがあります。今みたいにして、リクエストありますか、楽器をやる人がいればなんて調子よく言いましたら、そこにピアノがありまして、何をやるのかと思ったら『エリーゼのために』。私はどうしようかと思いまして、何とかやりましたけど、今日はまさか楽器をお持ちの方はいないでしょうね?1人でやっているとうまくのめり込めればいいんですけれど、想いが千々に乱れまして、どんなことをやろうか、桜の枝を叩いてみようかと、こんなになりながら考えているんです(とスティックを大きく振り回す)。1人でいつもやっている人は何を考えているんでしょうかね。私はいつもサックス、ピアノ、ベースとやっているので、その人達がどう思っているかをいつも考えてやっているんです、サックスがこう来るとピアノがこう入る、おおやった、バシ!なんて相手の反応を見て楽しんでいるんですが、それがないので不思議な感覚です。今日は陶器、クラフト、お花の方などいろいろな方がいらしていまして、このお花、みごとですね、こんど徳川美術館で個展をなさるんですって。こんどドラムで申し込んでみましょうか。何年か前に能楽堂で叩いたことがありますけれど、桜の花が似合うような気がするんですけれどね。ずいぶん昔、『さようなら藤純子』という番組に出たことがありまして、ドラムで何やるのかと思っていたら紅白の幔幕の前にドラムがいて、着流しを着た人が唐傘を持ってドラムの周りをまわるんです、なんでそんなことをやるんでしょうか?一人だとどうにも格好がつかないので、何か楽器をやる人を呼んでこようとしたら、まだ時間があるのでいいよと言われて、ピットインに聞いてみたら坂田明って人がいる、どういう人か知らなかったんですけれど。フリーをやる人だっていうから、それなら一緒にできそうだっていうんでちょっとだけと引っ張り出して演奏してもらったのが山下トリオに入ってもらったきっかけです(そうだったんだ・・・)。ドラムを叩くのもいろんな場面がありますね。こんどのステージでは桜をめった切りにしてやろうと思っています。」

20:55。床に座るのが苦手で、ステージの端の方に椅子を置いてポジションを変える私。
「皆さん辛抱強いですね・・・私ならもうとっくの昔にいなくなっていますよ。私が最初にジャズを聴いたのは、テイクファイブっていう今考えるとポピュラーな曲なんですけれど、これをジャズっていうのか、と思ったんです。これぞジャズっていうのを聞いたのがコルトレーンだったんですよ。今聞くとああいいな、って思うんですけれど、最初聞いたときはうるさくてこういううるさいのを聞く人がいるのかなあ、って思ったんです。加古隆っていうピアニストが今して、彼のアパートへ行って、中川昌三っていうフルートの人と、その二人がジャズへの道に引きずり込まれたわけなんですけれど。一番最初銀座のライブハウスへ行って、渡辺貞夫さんと山下洋輔がやっているのを聞いたのが始まりでした。その帰りに加古隆の部屋でコルトレーンを聞かされて、早く終わってくれないかなって思いました、長いんですよね一曲が。今日はうるさいのが長くやっていて、帰りそびれている人がいるんじゃないでしょうか。少し宣伝をしちゃおうかな。来週はこの近くのラブリーというところで、板橋文夫というピアニストと、林栄一、竹内直というサックスの荒くれ男たちをばったばったと切り捨ててやろうと思っています。今年も9月の第3週に私の住んでいる岐阜県の可児市というところでコンサートをやることに決まっています。自分のグループの他には、本多俊之っていうサックスですが、マルサの女で音楽をやったとき、伊丹十三と親しくなって、最近は芝居にも才能を発揮して時代劇にも出ているらしいです。報道ステーションとか、CMソングも皆さんが聴けば「ああ」とすぐわかるような曲をいっぱい書いているらしいです。それから向井滋春っていうトロンボーンですが、彼はハンサムですね。見ているだけでもいいんじゃないでしょうか。あとはアコーディオンの佐藤芳明っていう、彼はメイクしてシャンソンやオペラなんかをやる人なんですけれど、そんな人も入ってどうアレンジしていくのか楽しみにしています」

21:00。
「本当にもうやることがないんですよ・・・」と、本当にもう叩かずに引っ込みそうなそぶりをする森山さん。さすがに3stageと最初に宣伝してあるのでやらざるを得ないでしょう。おおスピーディーな叩き回しから、マーチングへ。いや、ドラミング堪能ですよ、本当。のめり込んで叩いているようにみえますけど、森山さん。にっこり笑って、ポーズを決めて、桜の花を一叩き!

企画してくださったガレリア・ラ・エスセーナのオーナーさん、ありがとうございました。
私たち常連は、いつものグループでの演奏との違いをバリエーションを楽しめるけれど、今日初めて聴いた人達はどう思ったのだろう?ぜひまた、他のライブにも足を運んで頂けると嬉しいな。