セラミックパーク美濃(2005.07.09) 音川英二(ts)佐藤芳明(acc)高瀬裕(b)

思ったより多治見駅より遠い所、山の中に入っていく、雨模様で暗いのでどこまでいくのか少し心配になってきた。建物に入って行くと、渡り廊下には風鈴がいっぱい、露天も出ていてこれが晴れていたらいろいろ催し物もあったし、もっとにぎやかだったろうに。なんとまあ立派な!凝った建物だこと!と驚きつつ地下の「カスケード広場」にたどり着く。人の入りを心配してきたら、まあたくさんの人がいることよ。いすをぎっしり並べているが足らなくなっている、立ち見もいっぱいだわ。なんとか運良く椅子を見つけて座ることができた。最前列にはみ〜こさんが。私は2列めの端。今日は森山威男スペシャルカルテットという名前で、ノブ君がいないという変則構成。ノブ君がいないとなんだかちょっと寂しい。後ろの方では「私はすごいって聞いて、初めて聴きに来ました」「わたしはこの前の可児であったコンサートをお友達に誘われて聴いて、すごかったから・・」「こんなに近くで見られるなんて、ないですよね」という会話・・・いやいや、ライブハウスに行ってみてください、奥様。今日も録音しないでデジカメとメモだけのレポート。スピーチ、ちょっと省略して(実は書き切れてないのだけど)あります。

8:00ちょうどのアナウンス。ライティングは逆光、PAの前なのでちょっと音が心配。アフロだ、Sound River。ベースの音が少し聞こえにくい。アンプを通したドラムの音がすこしいつもと違う、音は大きいのだけれどこもった感じ?前の席の小学生(と思われる)女の子は耳を塞いでいる。音響は屋外のものを用意していて、雨降りで会場を変えたので出力が大きいのかもしれない、ここは半分屋外でも普通のホールよりも天井が低く、コンクリート作りなのですごく響いてしまう。ドラムはマイクなしでもよく響くのじゃないかしら・・・。

音川さんalaの黒Tシャツ。森山さんと佐藤君は白シャツ。音川ソロから佐藤ソロに変わって森山さん4ビートに。ドラムはアンプいらないように思うのだけれどなあ。しかし、佐藤君の音はよく拾ってあって、細かい音までよく聞こえる、いいないいな。

森山ソロ、う〜ん、アンプに近い側の左耳が痛い。怒濤のソロで、会場の外のどこまで鳴り響いているのだろうか。
「どうもありがとうございます、こんばんは」 と森山さんのあいさつ。「やっとこの日が来ました。本当は外のすばらしい会場で、夕陽がだんだん沈んで行く所にライトが当たって、という演出の予定だったのですがこんな雨になってしまって。音響の点で、ワーンと鳴っているかもしれませんが、4曲くらい聞いていただくと耳が慣れていくのではないかと思います。メンバー紹介します、テナーサックス音川英二、アコーディオン佐藤芳明。・・・・・・ベース高瀬裕。
あの、テナーサックスの音川さんは私のバンドで一緒にやっていますので1ヶ月に1回くらい顔を合わせるんですけれど、佐藤さんは2ヶ月に1回くらいですかね、ベースの高瀬君は半年に1回くらいでしょうか、なかなかお名前が出てこなくてすみません。
さっきお話ししていたらちゃんと大学を出たのは私だけみたいで勢いづいてしまいました。音川さんは学習院でしたね、在学中にアメリカのバークレーという音楽学校に行って向こうでプロになって日本に帰ってきて私の所にやってきてくれたということですよね」
と音川さんに確認をして音川さんうなづく。「佐藤さんは国立音大の作曲科に進んだんですが。けれどどうしてもアコーディオンの勉強がしたくなってフランスのジャズ大学?へ行かれたんですよね」ピックアップマイクを取ってしゃべろうとする佐藤君に音川さんがマイクを取って渡す。「まあそんなもんです」「どうしてフランスなんですか、フランス語がしゃべれたとか」「いえ、フランスにはジャズのアコーディオンのひとがいっぱいいて、その中で好きな人がその学校で教えているというのがわかったのでそこへ」「ふ〜ん。で、アコーディオンっていうのは左手は何してるんだかって思いませんか」と客席の方にむかって。「右手は上から下へ低い音から高い音へ並んでいるんですけれど、左手の方は順番じゃなくてでたらめに並んでいるらしくて、よくそんなもの弾けるなって思うんですけれど、ねえ。私の父親がアコーディオンを昔弾いてまして、患者の来ない歯医者だったんで、しょっちゅう弾いていたんです。私がドラムを始めてからは、「アコーディオンにだけは気をつけろ」って言ってました。今日は気をつけて演奏します。この人はヴィジュアル系で、いつもはシャンソンのグループでやっていて、お化粧なんかして衣装を着てやっているんですよね」会場からおおお〜という声。「インチキなシャンソンをやっています。今日はCDを持ってきましたのでよろしくお願いします」森山さん「あとからなんかやってくれる?」拍手が沸いてしまった、佐藤君どうこたえていいか困ってしまった。「ありがとうございました」と頭を下げたが、ここで「僕はヴォーカルのバックをつけるのがメインなので森山さんがシャンソンを歌ってくださるのなら」とかわすべきであろう、なんて。
「そして高瀬さんは国学院大学なんですってね。僕さっき格闘技の強い所ですかと言ったら、それは国士舘ですって。・・・また紹介のねたを教えてください。さっきの曲はサウンドリバー、日本語に訳すと音・川」爆笑。「私は冗談音楽をやっているつもりはないんですけれど、でもドラムを叩く時は本気ですから」拍手。「次の曲は渡良瀬という曲で、私のグループで長くやってくれていた板橋文夫の書いた曲です」

えええ〜?なんと、このバンドで渡良瀬?おお〜、アコーディオンソロから渡良瀬が始まった、初めてだわ、でもそりゃそうだ。う〜ん、すごく不思議な感じ。音階はピアノだけれど、音の伸びが蛇腹をひいている間はずっと続くから。ピアノは同じ鍵盤楽器とはいえ打楽器(弦楽器?)だから減衰があるけれど、今回本当にアコーディオンの鍵盤楽器でありつつ管楽器みたいに音が長く続くというのを興味深く聴いた。高瀬さんと森山さんがつけていく、低音で音川さんが吹き始める、またこれはすごく渋い。音川ソロから。誰かが炊いたフラッシュが一回光ったらあちこちからフラッシュがわき起こる。まあ、いいか・・・・と思ってひたっていく。音川ソロ、いい音だ、しっかり染み渡ってくる感じ。うん、そうだ。いい広がりがある、ゆったりした気持ちになって心が洗われるみたいだし、嫌なことは水に流してしまおう。あ、どっちも水つながりだ、こんなことをふと思わせるのは曲の偉大さがよくわかりますね〜。
ほうら、endingちゃんと打ち合わせしないから・・・なんて。

後ろを振り向くと何百人いるのだろう、きょうは屋外の予定だったのを雨のためにあきらめて会場を作ったらしいので、人の入りを心配していたが、取り越し苦労だった、よかった。さすが地元。

Intro,和音と口笛で始まった。「日本海の朝焼け」が始まるんだな、と思ったら・・・えっ?Gratitude!?びっくり。思わずとなりに座っているymkさんと(井上さんの弟子である小学校5年生の)お嬢ちゃんの方を見ると、やっぱり目をまんまるにしている。テーマから音川さん入る。わあ〜、佐藤君のソロ、そして音川さんのソロ。思わず聞き入ってしまった。終わりのテーマ、森山さん絶叫しながら暴れまくっている。Ending佐藤君、森山さんの方を見ながらどうやって終わろうかと考えているみたい。

曲が終わって、客席からはどよめき、ためいき。風がひんやりしている、冷房かと最初思ったが、天然の風だ、やっぱり山の上だからかな、涼しいというより寒いくらい。

「この曲は井上淑彦という長年やっていたテナーサックス奏者がグループを去るときに書いてくれました。グループを去るときにはいい曲を書いてくれるということになっています。井上さんに私とどれくらい一緒にやっていたのか訊いてみたら、なんと17年ですって。これだけ長く続くのは珍しいことで、ミュージシャンっていうのは1年2年もやってみると(新しい演奏の)タネが尽きてしまって、相手が見えてしまった要なきになって周りを見渡し始めるんです。井上さんも板橋さんも長くやってくれました。皆さん我慢強いんでしょう、板橋文夫の結婚式に彼がいかに我慢強いか知りました。板橋文夫が下宿していたアパートの大家さんが、『板橋君はとても我慢強い、私のアパートに8年もすんでいる』なんてほめているのかけなしているのかわかりゃしない。音川さんはこのグループで何年になりましたか?」と音川さんに訊く。音川さん手で6、と出す。「もうそんなになるんですね・・・・佐藤さんは?」佐藤さん首を傾げながら「2?」「1年に何回かしかお会いしないのでいまだに人見知りしてしまって、叩きながら恥ずかしくて仕方ないんですけれど。今年の9月17日に可児市のalaでコンサートがあるんですけれど、私のグループに加えてトロンボーンの向井滋春、アルトサックスの本多俊之、テナーサックスの井上淑彦、それからこのアコーディオンの佐藤さんをゲストに呼んで演奏してもらうんです」おお〜の声。「昨年はピアノが山下洋輔、板橋文夫、それからいつも私のグループでやってくれている田中信正というピアノ3人を同時に弾かせてしまおうと、ステージにピアノを2台あげて交代で弾いてもらって大笑いしたんですけれど。今年も何か考えています。今日は後ろの方でそのコンサートのチケットを販売しています。ここ(今日のコンサート)は無料なんですけれど、出るときにはみなさんチケットを買ってお帰りください、なんて(笑)。次の曲はサンライズですね。板橋文夫が書いてくれた曲です」

う〜ん、おもしろい。ピアニスト一人いないとサウンドがこうも違うものか。音川ソロ。客席は年配の人が多くて、ライブハウスなんかにはあまり足を運ぶタイプの人達じゃなさそうだけれど、皆けっこう真剣にリズムを取って聴いている。こういった人達にジャズが広がるのはいいことだ、森山さんと、その音楽を広めたいという、alaの方たちをはじめ、地元の協力者の方たちのおかげですね。音川さんのブロウが心地いい。ただ吹きまくっている、というのではなくもきちんとフレーズを吹き上げている、いいなあ。思わずバタバタ手足をさせてしまう。バックのライトがオレンジに変わった、日の出をイメージしたかな?佐藤君も楽しそうな顔で聴いている。アコーディオンソロもとてもいい感じ。森山さんのリムショットが響き渡る。佐藤君、足蹴りを出しながらバランスを取って弾きまくる。森山さん一旦音量を下げて少し控え、佐藤君に暴れさせてそこに覆いかぶさるようにソロを盛り上げて行く。蛇腹をいっぱいに引き伸ばしてアコーディオンソロ終わり。ドラムソロへ。3人ともドラムソロに聴き入っているのがとてもいい感じ。森山さんがソロを終わる瞬間を逃さないようにきちんとタイミングをはかっている。この真剣さがうれしい。パカン!でテーマに戻る。ふ〜。

「テナーサックス音川英二!アコーディオン佐藤芳明!ベース高瀬裕!どうもありがとうございました!」

アンコールの拍手。ハッシャバイ。いいぞいいぞ、と思うがもうそろそろライブも終わり、1時間ってなんて短いの。もっと聴きたいなあ・・・。サビで歌いながら叩く森山さんを見て高瀬君が笑っている。ベースソロ、歌っている森山さんの声がよく響いている。終わってしまった・・・大きい拍手。みんな、alaにも来てね!