ノブ君と、みーこさん、元素記号の高校生と4人で名古屋駅高島屋前で待ち合わせ、名鉄で苧ヶ瀬(おがせ)駅へ向かう。前来た時と違って4人で乗っていくと着くまでが短く感じられることよ。

到着したらドラムのセッティングは終わっていた。森山さんはまだ到着なさっていない。PAさんとノブ君がピアノのバランス合わせ。コーヒーをいただきながらのんびりする。ノブ君何の曲をやろうかと思案中。「サンライズは?」と私。「えー、できるかなあ」とノブ君。「ほら、右手でタッタラータッタラータッタラーって弾いて、左手でレ・ド・ラ・ソ・ファソって」ノブ君ピアノに向かって弾いてみる、なんとかなりそう。森山さんご到着、スーツ姿。森山さん田中さんに「今日はラストライブだからこういう格好でやるんだよ」田中さん「え"っ!」なんでも結婚式の帰りだとか。もちろん冗談で本番では着替えられるのである。森山さん「何の曲やろうか・・・田中も俺もスタンダード知らないし・・・テイク・ファイブかな」ご冗談を。リハーサルが始まる。隣の本・CD・ビデオなどの複合ショップに行って、ジャズヴォーカルのCDがないか探してみようと思ったが、とんっでもなかった、中古歌謡曲のCDが1枚50円とか、あとはアダルトビデオ、ゲームCDナド。息子が明日誕生日なのでガンダムのプラモデルを買った。

前回来たときは、名古屋の地元ミュージシャンの納谷嘉彦(p)さん加藤雅史(b)さんと森山さんのライブ。すごく寒かった。それからこの4月にもう一度同じトリオの演奏企画があったのを私は知らなかった・・・当日始まる直前八王子にいた私に電話があったが間に合うわけない。今日は3回目の森山さん登場ライブで、Opus one閉店記念ラストライブになるのだそうだ。「森山田中デュオなんてよく企画してくださいましたね」と申し上げると、「ええ前回塩之谷さんがご提案下さったので」と原田さん。そーか、前回おじゃましたとき「森山組のライブもやりたいのだけれどスペースもないし」などという話になったのだ。「それならノブ君だけ呼んでデュオという手がありますよ」と申し上げたのを実現させてくださったのですね。感謝感激。正確に言えば、この二人のデュオは全く初めてではなく今年のTUCでのコルトレーントリビュートで二曲あったのですが、コンサートそのものがデュオというのは初めてですね。ノブ君は井上さんや峰さんとサックスのデュオをしていますが、ドラムデュオは初めてでしょう。

図々しく最前列に陣取る。森山さんのど真ん前。今日はビュッフェスタイルの食事付き、一人1000円で食べ放題。スモークサーモンのマリネがおいしかった。ビールと手製アラビアパンなどをいただきつつ開演を待つ。ふなさん同居人さんも到着し、最前列に同じく陣取る。

午後7時過ぎ、森山さん、田中さんの順に名前を呼ばれて登場。ピアノの前を通るときに森山さんピアノの椅子に座ってでたらめを弾く。またおちゃらけを!さて、何から?おお、一曲目はブルース、{Now's the time}だ。これも珍しいものを聴かせていただけますね。ピアノの音が小さいなあ、アップライトピアノだから仕方がないか。ドラムの音が大きいとも言える。リハの時は大丈夫と思ったが観客が多いと吸収されてしまうのかも。ハコ(建物)がもともとライブハウスでなく、温室を改造してあるので音響的にベストとはいえないですからねえ。ハウリング寸前までのピアノのPA調整で大変だったらしいです。

私のポジションはドラムのど真ん前、森山さんとちょうど向かい合う形で左にノブ君。今日は二人なのでピアノソロからすぐにドラムソロになる(当たり前か)。テーマ終了、一曲目から拍手がちゃんと響く。スゴイーって声、感嘆のため息が聞こえる。

二曲目、お、ハッシャバイ。めずらしい展開だと思う、始まったとたん拍手。手拍子も始まった。すでに一拍三拍に手拍子が裏返っている人もいる。次第に手拍子やむ。ノブ君ソロ、うーむなかなかいいなあ。あ、そういえば今度ジャズヴォーカルスクールの発表会で息子がこれを歌うのだ、ノブ君伴奏してくれないかな。ノブ君上着を投げ捨てる、ドラムソロに突入。テーマに戻り、森山さん歌う。しかし、一曲5-6分で終わってしまうのだなあ。

「エルビス・プレスリーみたい」と笑う森山さん。拍手。「こんばんは、いらしていただいてありがとうございます。むかし、山下トリオでやっていたころから、最初は皆さんきていただけるんですけれど、3回目になるとたいてい皆さんいらっしゃらなくなる。今日は3回目だからさぞやさぞやと思っていたんですが。まあ皆さんありがとうございます。同情してくださる方がこんなにいらっしゃるとは。今日はピアニストが田中信正です。(拍手)ちょっと横を向いて顔を見せてあげてください・・・(拍手、ノブ君立ち上がっておじぎをする)。ねえ・・こんな気の優しい方といっしょにやらさせていただいています。」

「ああ・・・あれは先週でしたかね(先々週です)、土岐で日野皓正さんと、佐藤允彦さんと言うピアニストの方と、演奏したんです。なぜそこでやることになったかというと、僕らのグループにも曲を書いてくださった鈴木宏昌さん、通称コルゲンさんという方が癌でお亡くなりになってしまって、みんなお世話になったからコンサートでもやろうじゃないかってことで私も呼ばれまして、4曲ぐらい叩いたでしょうか。演奏したらその後一人一人が少し思い出を語ろうじゃないかってことを日野さんが言い始めて、何を語るのかと思ってドキドキしていたんですけど。私はそれまで東京を離れて、生まれ故郷のこちらの方へ来たら、一から練習し直してしっかりした技術を身につけて、立派なドラマーになろうと思っていたんです。そう決意していましたから、日野皓正さんとか、佐藤允彦さんとかジャズの世界で立派に成功された方と演奏するならば、きっと腕を認めてもらえるんじゃないか。そうやって楽しみにしていたんです。その方がお亡くなりになったときに、立派なミュージシャンでしたので、さぞや『立派な、スイングしたいいミュージシャンだった』とかそういう話になるのかと思ったら、日野さんも佐藤さんもそうでしたけれど、『本当に気持ちのいいやつだった』とかね、『俺がお見舞いに行ったときに、わざわざ俺が来るっていうことがわかったので、近くの店へ行って俺のためにイチゴを買ってきてくれて、洗って皿に盛って出してくれた』・・・なんてことを言うんですよ。まあそれが日野皓正さんだったんですけれど。その後佐藤允彦さんがお話になったときも、本当に人格的な方で、自分たちが習うことの方が多かった、どういうことを学んだかというと、人に優しく、後輩に本当にためになることを話してくれた、そういうことを話したんです。私はそれまで技術を磨いてですね、立派なドラマーになろうと。そう思っていたのに。何だ、それなら技術なんてやる必要ないじゃないか、死ぬときにみんなに『立派な技術の持ち主だった』と言われなくてもいいのか。そんならまあ生き方を変えようか、ってたった2-3時間でもってころっと生き方を変えまして、これからは人格ドラマーとして、立派な人格を身につけたいと思います。拍手。そんなようなわけで、昔を思い出して、この前にいるマイクを片手にした方が(といって私の方を指さす)、『あれはやるな』という曲をわざわざやってやろうと思います。(ノブ君笑う)浜辺の歌です。

そんなあ、この曲はやるなって言ったのはカルテットの時だよ、編成が違うじゃないのー。今日みたいな時はイイのよ。なんたって曲数も増やさなきゃいけないんだし。しかし、初めてMCで取り上げていただいたのがこんな話題とは。ううむ、考えてしまうな。
うわあー、すごいイントロ、美しい。いつものように背中だけで首より先が見えない四角の背中になっている。ソロでテーマ、サビから森山さんがどかんと入るのかと思ったのだけれどテーマは全部バラード。しかしノブ君は多才多彩なピアニストだなあ。こういう曲がこんな風にジャズになるのかっていうのを聴いたら、初めて聴いた人でも面白いと思うだろうなあ。田中さんソロ終わって森山さんが短く叩き、テーマに戻って拍手。テーマ倍テン(倍のテンポ)になり、1コーラスやって倍テンの田中ソロに入る。よく手が動きますね、二人とも。サビのところノブ君爆発状態、森山さん嬉しそうに歌っている。私と森山さんの距離、バスドラは50cmくらい。いくらステージに近いところに座っていても真正面でこんなに近いのは初めてカナ?おおすごい、この人やっぱり怪物。ドラムソロ音を下げてノブ君に合図。静かな音量のテーマに戻るが、予想通りサビは一気に倍テンの爆発状態、そのままエンディングになだれ込む、森山さん最後に一暴れ。拍手拍手、歓声!「最高!」の掛け声。立ち見の人も含め、(特に女性陣の)感嘆の声。ノブ君またファンを増やしましたね。

「今、歌ったんですけれど聞こえました?」あっはっはっはっはと会場から笑い声。「ヴォーカル志望ですので、うたうドラマーになろうと思ってます」笑い。「いやあ、田中さんすばらしいですね!」大拍手。「何か、あなたって人のことでも自分のことでも手を叩くのねえ」そう、ノブ君はいつもメンバー紹介のとき、全員の分(自分も含めて)手を叩くのでした。ほら、中国の高官って、自分で手を叩きながら登場したり、自分の紹介の時も手を叩いてるでしょ、あんな感じ。会場くすくす笑い。「面白いんですよ、この方。一緒に演奏していてもうけっこう長くやってるんですけど、この間、『スティック一本いただけないでしょうか』って。」爆笑。『すいません、サインしていただけますか』って。」大爆笑、拍手。うん、冗談じゃなくて本当かも。そういうところがノブ君のいいところ。山下洋輔にサイン下さいって頼んで、{おまえ同業者だろうが!}って言われてたもんね。「からかわれてるのかと思ったらそうじゃなかったもんねえ。あのスティックどこへ行っちゃったのかなあ。イヒヒヒヒヒヒ、こんどピアノ一台下さい。」大受け。「じゃあ、今度は田中さんが心を込めて、何を演奏してくれますか?」田中さん「見上げてごらん」森山さん「あっ、見上げてごらん夜の星をです」

拍手。「昨日まで田舎から母親が来ていまして、84歳になるって本人は言ってるんですけれど、私の計算によると83歳なんですけれど、ここへ来ての一歳は大きいと思うんですけれどね。つい、昔のことを思い出しました。あのー、終戦直後でしょうね、東京で歯医者をやっていたのが焼け出されて、母親の生まれ故郷の勝沼に越してきて、そこで、また歯医者を開業したんですけれど、田舎の歯医者で小さな勝沼の町に7軒も歯医者がありましたもんで、元々の土地の人は昔からの歯医者のところへ行きますから、森山歯科医院にはを治しにくるなんていうひとはめったにいなくて、たまにくると鶏なんか抱えてきて「これで頼むよ」なんて、なんか医者にくるような感じじゃなくて。父親もずいぶんがっかりしたみたいで、近くに川があったんですけれど、そこに日がな一日朝から釣りに行くんですよ。それに学校が終わると連れて行ってもらって、よく一緒に釣りをしたものです。なんでも暇があるってことはいいことです。で、釣りをしていると、まあ滅多にないことなんですけれど、たまに患者さんが来られると、母親が土手のむこうから「あなたあ、お客さんよお!」母親は商売屋に生まれましたものですから。ふつうは「患者さんよお」って言うのが当たり前だと思うんですが。父親は黙って怒ってました。懐かしいことを思い出しました。

(突然)「田中さんの今年の目標は何ですか。」拍手、爆笑。「・・・自分には何も災いが来ないと思ってるんでしょう。」ノブ君うなずく。「ある日突然に行くんです。あなたこの前何か言ってたんじゃない?ほら、『僕は姿勢を正しくするんだ』って。これは正しい姿勢かしら?」と森山さんがピアノを弾いている格好をまねる。ノブ君「挫折したんです」と笑う。「みんな、演奏スタイルはいろいろですね。この人はクラシック出身で、クラシックしか知らない人がいきなりジャズ専門家になっちゃったものだから、それはまた僕とよく似ているんですよ。だから、それが共通点かなあって思うんですけれど。後はあまり共通点なさそうなんだけれど。
NHKのセッション505っていう番組を出させていただいたときも、アナウンサーの女の人が『あっ。田中さんはヴィジュアル系ですねえ』って。『森山さんは』って言ってその後黙ってましたからねえ。私は辞書で調べないとヴィジュアル系ってどういう言葉か・・・何か悪口を言われているような気がするんですが。・・・・・それで、共通点がそこだって言うことだけで
(と独り言風に)。さっきもリハーサルの時に」・・・・ああごめんなさいこのところの録音が消えてます・・・・・「オリジナルやりましょうか、サンライズです」

おお始まった、やれるもんだね。ちょっとミストーンはあるが、許容範囲内(サビのところは難しいんですよね)。

「ピアノ田中信正!」自分で手を叩いているので皆が笑う。
しばらく休憩します、で休憩に突入。曲名だけ、パソコンをカードでネットに接続して掲示板に書き込む。うん、これなら本当に実況中継もできるかも知れない。

休憩中にはらださんにステージに引っ張り上げられ、CDの宣伝をさせられる。森山威男ホームページの作成者であるという以外にもえらく持ち上げた紹介をしてくださり、「足の権威なので足に悩んでいる方はどうぞ。」ぴー、恥ずかしい、もう穴があったら入りたい。でもしゃべり出すと乗ってしまって、「このCDはこのグループで出した1枚目のCDで、以前のレパートリーも含まれています、二枚目は森山さんが田中さんを売り出そうと考えて作ったCDで、田中さんのオリジナル曲中心の構成になっています・・・・」などなど喋る。宣伝のかいあってか、売り上げも上々だったようだ。

休憩が終わりの時間に原田さんが登場、「お呼びするのにちょっと趣向をこらして、ディズニーランドで『ドナルドー、ミッキー』って呼ぶように森山ー、田中ー、ってみんなで呼びましょう」!!「森山ー、田中ー」の掛け声で森山さんに続いて田中さん手を叩きながら登場。「恥ずかしい〜」と席に着く。「そんな風に呼ばれなくったって来ることは来るんですけどね」と森山さん。

アフロリズムに田中さんが高音でカンカーンと入れる、ん?最初だけ聴いたら、ブルーボッサでも始まるのかと思った、ああ、この曲よく聴くやつ、名前が出てこない、ひっかかって気持ち悪い。うーんうーん。でもこの曲も初めてやるわね。ノブ君ソロ、ああ素晴らしい。ここに森山さんのショットがよく効いている。観客の質も良く、きちんといいタイミングで拍手が入ります。二部の曲名は実況中継で掲示板にアップしようと思ったのに曲名がわからないよお。森山さんソロ、暴れすぎず寂しすぎずインテンポのすっきりしたソロ。

「Smile」森山さんちょっとおどけながら歌って叩く、しかし曲名知ってるくらいで、ノブ君やったことあるのかなあ?リハもちゃんとはやってないはず。後で聞いたらやっぱりぶっつけだった。譜面もないのによくやるわ。なんか本当に映画っぽくて、メロディアスなソロ。左手でベースラインを入れながらラグタイム風にも弾ける、器用な。森山さん楽しそう。よくスイングしているわ。あ、気がついたらノブ君に初めてスイングって言う言葉を使った気がする・・なんて偉そうだが。2人のやりとりが、すごく楽しい。森山さんソロうおー、すごい延々!ちょっとおちゃらけも入り、思わず笑ってしまった。いや、音はふざけてないんだけれど、叩き方の身振りとか顔がね、余裕で遊んでるんですよ。まじめモードに戻り、にんまり笑ってブレイク。田中さんの方を見てテーマに戻る。会場も大受け大拍手。しめるところはきちんと締める、たいしたものだ。この曲はリハもちゃんとしていない、ぶっつけ本番、それなのにこんなに楽しい余裕のある演奏ができるってところは素晴らしい。

「ありがとうございました。ジャズミュージシャンと称してはいるんですけど、本当に田中と同じでジャズのスタンダードの曲をほとんど知らないので弱り果てています。今のは知ってらっしゃるんじゃないでしょうか、チャップリンの映画の主題曲、『スマイル』です。そういえば、あまり曲目を紹介していなかったですね・・・・。笑い。・・・紹介したところでどうなるってものでもないんですけど(大爆笑・・この間(ま)がまるで落語・拍手まで)。・・・田中信正です。」ノブ君立って後ろを振り向いてお辞儀、大拍手。「何、やりましょうかね。」これは、次の曲名を覚えていないのでノブ君に言わせようとしていると見た。ノブ君小声で「グラチチュード」。「ああ、『グラティチュード』。発音がちょっとね。」グラティ、グラチと二人で発音練習。「感謝というタイトルが付いてますけれど。これはあの、今一緒に演奏している音川の前にいたテナーサックスの井上淑彦が作ってくれた曲です。一生に一曲は、泣かせるような曲を書いてみたいと、そう彼も言っていたんですがとうとうできました。この曲ができたとたんにグループを去りましたが(笑い)、何かいいことが待ち受けているんじゃないでしょうか。うちをやめてから、田中と一緒のグループを作ったらしくて、今日は後からそのことをじっくり聴かせてもらいたいと思います(会場もノブ君も笑い)。ここで私が告げ口、昨夜横浜で井上田中デュオがあったことを。「昨日もデュオやってた!ちょっと裏切りじゃない?(これはその場の冗談なので、読者の方は真に受けないように!)そういえばあんた(とノブ君に)、インターネットに『今日は井上さんと一緒だった、イヒヒヒ・・・』なんて書いてるでしょ(田中さん、読まれてる・・・・とビビル)。不謹慎なことは書きなさんなよ。(いきなり)タバコやめなさい!」会場笑い、大拍手。「さっき聞いたら『タバコの吸いすぎで吹き出物出ちゃった』なんて言いながらタバコ吸ってるんだから。・・・よし、じゃあ、これは田中もバラードの中では好きな曲ですよね。これをやめようかって言ったら悲しそうな顔をしたので、すぐに『今からやろう』。期待しております、Gratitude。これはさっきかかったレコードの中の二曲目に入っています。覚えて帰ってご家族で歌ってください、なんてカラオケじゃないんだって。」

裏の道を通っていくダンプがうるさい。美しいノブ君のソロのバックで森山さんがメロディーを歌っている。どうせなら口ベース(くちべーす、口でベースラインを歌う)でもどうでしょうか。ドラムソロへ。ブラシで叩きまくるバックでノブ君がメロディーを低音で弾く。うわあ、すごい。みんなにも見せたいこの渾身のソロ。そのまま終わりのテーマへ、すばやくマレットに持ち替える、エンディングに。静かに終わり、拍手。

次の曲は何かな、あ、My favorite thingsだ。イントロかっこいい〜。ッカーンッカーンという三拍子のイントロ、もうちょっと長くやって引っ張ってもいいかも。この曲はPAのF巻さんの提案で、「最初はジュリー・アンドリュースが出てきそうな雰囲気で、だんだんコルトレーン風へと」いい選曲だと思います。うーん、考えてみたらデュオならどんな曲がいいか考えてもみない私も私だ、まだ修行が足らん。
すごいわこれ。おお、ジュリーアンドリュースは出てこなかったが、テンションまみれのピアノの左手、かっこいいい〜。こんな風にピアノが弾けたらさぞや楽しいだろうな。
めったに聴けないデュオだもの、いいものを聴かせてもらいました。この二人は本当にこなれてきたわ。森山ソロ、真剣。何て素晴らしいんでしょう、ほへー。絶品。きれいにまとめてテーマへ。うーん、緊張感があって、非常によくまとまっている(イイ意味で、ですよ)。

「どうもありがとうございます。初めてやったねえ〜(とノブ君に向かって)、終わりまで行くかと思った。」会場驚き、「ええ〜!」「本当〜?」の声、そう、本当なのだけれど森山さんがおっしゃると冗談に聞こえるのかも。「これで終わりですか?」「終わりです」会場から拍手、アンコールを要請するような。しばらくして森山さん、「終わるわけな〜いじゃ〜ん」会場、ノブ君とも大笑い。

Danny boy。きれいなイントロ。テーマの終わりに、このまま終わっちゃうかのような静かな雰囲気。ブラシに持ち替え、叩きまくる森山さん。おっと、フリーに行くか〜。ソロの途中、田中さんとのバトル、小ブレイク決まらず。またしばらく二人でにらみ合いのジャブ応酬、だんだん火花が散り一触即発状態、大ブレイク決まったあ〜!拍手〜!森山さん叩きながらフウ〜とため息をつく、お〜、わあ〜、すごいデュオだわ、ドカバカドカンバカンドスドスバシーン、カリカリキャリキャリギャリギャリドガガガガガ、の応酬から、美し〜いエンディングへ。終わって、周囲から感嘆と驚きとのため息。

「ありがとうございました。もう何年も前になるんですけれど、東京を離れるときに、田舎に帰って普通のおじさんになります(クスクス)、ドラムはもう叩きません(エーッ)、って言ってからもう何年になるんでしょうか(あっはっはっは)。娘からは『詐欺師』と呼ばれております。爆笑。でもやっぱり、好きなものはやっぱりやめられないものです。この店もそうじゃないかと思います。やめるやめるといいながら、これから何年続いていくんでしょうか(これはこのOpus Oneだけでなくて森山さんのことも含んでいるんでしょうね)。これから遠からずきっと、この場所でこのような楽しい時間を共有できることを楽しみにしております。それまでまた、体を鍛えてがんばるぞ、エイ・エイ・オー(思わず皆唱和)!たまきさん、こんなもんでいいでしょうか(とオーナーに向かって)「はーい」「たまきさんも何か一言」「がんばりま〜す」場内拍手。「じゃあ、これでお別れというわけではないんですけれど、田中がやりたいやりたいって言うもんだから、グッドバイ。」笑いと拍手。

Good bye。きれいでかわいらしい音のイントロ。テーマにはいると、うーん、やっぱり鼻の奥がつーんと、じわーっとしてくる。もうこの曲には言葉はいらないね。

「私のために弾いてください」、と亜麻色の髪の乙女がソロで始まる。おほお〜。しっかりしたタッチのイントロから遊びも入れて、でも幅広い音域の美しい一曲。みんな息を呑んで聞き入っている。左の写真はじっと田中さんのソロを聴く森山さん。

「皆様ありがとうございました」、とはらださんが登場。「ラストにならないように、と励ましの言葉をいただいております。高木オーナーどうぞ」、とオーナー登場。いろいろ考えておられたようだが、「今日の田中さんと森山さんのデュオを聞いて、これは終われないなと、う〜ん、やっぱりいいわあ。ラストというよりこれはスタートだなあと」今のご時勢、経営も大変だろう。無責任に「終わらせるな、もったいない、応援する」などとは言えないが、これからも森山さんライブがあるようならホームページでは宣伝するし、ぜひ駆けつけたいと思うし、お店があるなら近くを通ったときには食事に寄りたいと思う。本当に気持ちのいい人が揃っているし、サポートしたいという人たちも温かい人ばかり。先回来たときも、ホントに気持ちよく帰ることができたもの。はらださんも毎回山梨からいらして、ライブのサポートをなさっているんです。それから7月の山梨でのライブも企画してくださっているんです。そう、7月14日、山梨県でだよ。みんな来てね。

最終の名鉄でみんなで帰宅。ノブ君は名古屋でお泊まり。あ〜、あしたは六本木で森山組が聴けるのでした、うっふっふ。

左がhello君、右がリョウくん。