〈3月2日(土)〉
第1部:「DUO」…トレーンの名曲の数々をデュオで
大澤香織(p)&宮園ゆかり(vo)、エイブラハム・バートン(as)&井上陽介(b)、ジョージ・ガゾーン(ts,ss)&アキコ・グレース(p)
第2部:「LOVE SUPREME(至上の愛)」…前期コルトレーン・グループ不朽の名作・全編を4管バトルで
ジョージ・ガゾーン(ts,ss)、エイブラハム・バートン(ts,as)、竹内直(ts)、川嶋哲郎(ts,as)、田中信正(p)、アキコ・グレース(p)、井上陽介(b)、森山威男(ds)
第3部:「MY FAVORITE THINGS」:後期コルトレーン・グループのライブ・バージョンを再現
ジョージ・ガゾーン(ss)、アキコ・グレース(p)、田中信正(p)、井上陽介(b)、森山威男(ds)

3時20分頃TUCの入り口に着くと、いつもピットインでご一緒するH条さんがちょうど3人目の順番で座っていらした、私は4番目、並んで階段に座る。これなら良い席がとれそうだ。階段に座って待っているとだんだんお尻が冷えてくる、今日はまだ暖かいので良かった。4時過ぎに開場。昨年の9月に販売されたチケットを持っている人から先に入場。

ステージに向かって最前列だけ教壇に向かう寺子屋机のように横一列8人がけ、あとはそれに直角に、縦に向かい合って座る形になっている。ちょうどドラムのど真ん前の席をh条さんといっしょに確保、やったあ。注文したビールがなかなか出てこない。

ちらほらと知った顔が見られるが、身動きできないので手を振るしかない。今日は録音ができないのがつらいなあ。開演5分前に気がつくと、BGMはクラシックの弦楽何重奏のような音楽、ただでさえ風邪で熱があり花粉症でぼーっとしているのにもっとぼーっとしてしまうじゃないの。

開演に先立って、録音厳禁のアナウンス。5時5分から井上陽介(b)とエイブラハム・バートン(as)のデュオ。目の前にいるのだがすごい体格、胸板の厚いこと。首から下げるのではなく抱っこ紐のようなストラップ。カデンツァからベースが入る。スキンヘッドからだんだん汗が噴き出してきた。まるでシャワーをかぶったようだわ。明るくて透明感のある音色。ベースソロに移行、あ、拍手をしそびれた。バンダナを出して汗を拭いている。ああ咳が出そう、必死でこらえていたら息まで苦しくなってきた。

大学時代ジャズ研で同じバンドでテナーを吹いていて、森山グループをいっしょに追っかけしていた後輩(今や大病院の院長先生だ)がノリノリで聴いているのが目の端に見える。

さっき拭いたはずの頭からも、もう滝のような汗目をつぶって吹いている。これでは吹いている間、譜面は見られませんね。井上さんが曲名紹介、After the rainとIndia。

次は大澤香織(p)と宮園ゆかり(vo)デュオ。女性ボーカルにしては珍しいスキャットによるアフロブルー。ジャズのスタンダードの歌詞をメロディーに乗せてうたえばジャズボーカル、と見る向きもあるが、そんなのはただのポップスである。こういうスキャットは楽しい。チムチムチェリーから始まるメドレー曲。手を叩きながらヴォーカリストが歌うと、それに合わせてピアニストも手を叩き、当然ピアノはストップ。竹筒のような長い筒の中に小さな粒が入っている楽器を倒すとさらさら音がする。ハトロン紙のような紙をマイクの前でくしゅくしゅする音を擬音に使って歌う、アイディアではあるけれど紙がマイクに当たるとちょっとうるさい。Zu-i、Zu-iと歌う、そこからずいずいずっころばしが始まった。おもしろいけれどコルトレーントリビュートとは関係なさそう?ダメな人は全く受け付けなさそう。ピアノ、ボーカルともなかなかパワフル。

デュオの第3弾はジョージ・ガゾーンとアキコ・グレース。おやガゾーンのストラップも抱っこ紐風、こちらの方が頸に負担が少なそうではある。曲はI want talk about you, Soul eyes。心地よいのだ。ガゾーンの服はブルーグリーンの派手な色で舞台映えがする。靴にも気を遣っていそうだ、さすがイタリア人。音の伸び良く、リズムも良い。何と表現して書いたら良いものかニュアンスが伝えられるのかよくわからない・・・。一バンド約20分ずつで終了、6時。

休憩が長い。6時半くらいから始まるのかと思った。ピアノの調律をしている。調律が終わらないとステージ始まらないのだよね、と思っていたが終わってもまだ始まらない。ライトが明るくなったり暗くなったりするのでさあ始まるかと思って待っていても始まらない。ま〜だ〜か〜〜〜い。体調が悪いのでよけいイライラする、手拍子でもして呼び出ししようかしら?森山さん後ろの方で所在なげに体操をしている。

7:00.英語でメンバーの呼び出し。森山さんがアナウンス「ようこそ。長い間お待たせしました。日本語で紹介されなかったので私の事じゃないんじゃないかと思いました。」メンバー紹介。それぞれ名前と楽器を読み上げた後、コンダクター、アキコ・グレースって言おうと思ったら「私指揮なんてしない」って言うんで、「じゃあ指図か?って。」 「ピアノと指図、アキコ・グレース。」と紹介。「ここから英語でしゃべらなくちゃいけないんで、書いてきて良かったんです」とメモを出す。「俳優のような大統領のような名前だなと思って・・・エイブラハム・バートン!」「谷啓の弟のような名前だなと思って・・・・」会場???「ジョージ・ガゾーン!」会場笑い。一番左が川嶋さん、その右にバートン、少し間をおいて右にガゾーン、一番右が竹内さん。右端にピアノ、ステージのど真ん中にドラム、その右にベース。Love Supremeが始まる。(ご許可を得てここから写真を少し撮りました)

竹内さんのソロ、彼にしては今ひとつ押しが少ないソロに聞こえた。川嶋さんは体をくねらせて派手なアクションで吹きまくる。おお森山さんもあおっているぞ、ソプラノをまるでトランペットのような角度で吹きまくる。ガゾーンのソロかと思ったら田中さんだ。ピアノの音が少しこもって聞こえる。ベースアンプの音が少しハウっているのかしら、ぼよぼよという音がする。田中さんになってリズムキープをやめて叩きまくる森山さん。やっと調子が出てきた感じ。ガゾーンのソロ、ウニョニョニョニョニョニョー。akikoさんが田中さんの後ろに立ってカウントを出し、指を差してアンサンブルの指示。やっぱり「指図」だ。テーマに戻ってベースがタターンタタン・タターンタタンとLove supremeのメロディーを。切れ目なくそのまま次の曲に突入。竹内さんのソロ、おお太い音でばりばりと。バートンのソロも歯切れのいい音。森山さんのトップシンバルはやはり鳴らなくなってきている。真ん中のところを叩いて高音を出す、バシーッと叩いて大きな音を出す時は良いのだけれどレガートの音がイマイチ。お、スティックが落ちた。バートンのソロ、良いわぁ。森山さんのドラム炸裂!田中さんのソロ、超高速パワーショベル奏法(by@ふなさん)どこまでやるのか?っていう感じのところで田中さんが森山さんの方を見る。しかし今日の<指図>は後ろのアキコさんだ。それに気がついたか田中さんアキコさんを振り返る、川嶋さんソロ。うーん、この人一瞬たりともじっとしていない。ロングトーンの時でも動きまくり。ガゾーンソロ。フレージングが凄い。アキコさんの指示で森山さんとガゾーンのデュオに。ガゾーンが手を出して他のメンバーに入るように合図。エンディングから森山さんがまだ叩き続ける。森山さん、ずっと休みなしで叩き続けているけれど大丈夫かしら?川嶋さんソロ。おーお、竹内さんのけぞり、吹く吹く!パワー全開。森山さん、田中さんと交代したアキコさんをちょいと挑発するようなおちょくるような叩き方をして笑いを誘う。すーっとひいてソロ終わる。がぞーん、バートンの8バース(?)からデュオバトルへ。森山さん、井上さんが退いて管のみのガゾーン・バートンのデュオで対決となった。ガゾーンが退いて、こんどはバートンの吹きまくり、そこに竹内・川嶋が加わってめいめいブロウ。どこから入ろうかな、って機をうかがう森山さん。森山さん叩く、まだ叩く、井上さん森山さんを見ながら「スゴーイ」っていう口の動き。ガゾーンが指揮して4管でもう一度テーマ。ベースだけ続いて弾く。曲が変わってピアノのカデンツァからガゾーンソロ、バートン入って二人で吹き、曲が終わったらしいのだが、し〜〜〜〜んとなって会場だれも身動き一つしない状態。いや、2部が始まって、1時間以上延々演奏が続いていたのでここでストップしたところでまだ仕掛けがあるのかとなんとなく思ってしまった。

森山さんマイクを取って「ありがとうございました」でやっとみんな拍手。「皆さんがしーんとしているのでまだあるのかなと思ってしまいました」メンバー紹介、ここで再度休憩。

9:05。ガゾーンが今度はソプラノを持って出てきた。森山さんは着替えてTシャツになっている。なんだか若返ったみたいに見えるよ。しかし、譜面台がじゃまだなあ。管が4人から2人になって使っていない譜面台なのだからどけてくれてもいいのに。このはみ出した譜面がよけいじゃま。思わず手を伸ばして寄せてしまおうかと思ったのだけれどさすがにそれは遠慮した。ベースの井上さんの熱演。曲名が???ああ本当にジャズの曲名を知らない私。ベースが3拍子に変わり、ついでドラムも3拍子に。切れ目なく続いて曲が変わる、My Favorite things。アキコさんのソロ、ガゾーンのソロ。すごいわあ、ガゾーンの吹きまくり。井上さんも必死で弾いている。森山さん勝負に入っているなあ。ありゃ?別の曲?メドレー?いやテーマに戻った。Fade outしつつまた続けて別の曲だ、きれいなバラード。また例によって曲名がわからない。コルトレーンのCDを聴いて予習してくるべきだった。森山さん、マレットからブラシに持ち替える、アキコソロ、ガゾーンテーマに戻る。ソプラノの音がとてもきれい。

ありがとうございました。George Garzone、アキコ・グレース、井上陽介。あこがれて名古屋から出てきたようなものですから、今日の日をとっても楽しみにしていました。本当なら昨年の9月にやる予定だったのですが、延期になってしまってこの日を待っていたのですが、延期になってよかったんです。なぜかというと、去年の9月、ちょうど予定していた頃私は肺炎でたおれて一週間入院していたんですから。(・・・後略、メモがとってないの・・・)

Impressions(この曲は知っている・昔さんざん演った・・・考えてみたら私の知っている曲名は森山バンドの曲か昔大学のジャズ研で演った曲ぐらいだな・それでも忘れるぐらいだ)。ガゾーンソロ、もう圧倒されそう、竹内さんが出てきた。森山さんの手からスティックが吹っ飛んで竹内さんの足下へ。竹内さんが拾ってくれてバスドラムの上へ。あ、竹内さんソロに替わった。太い音でゴリゴリ吹く、アキコさんソロ、音の粒がきれい。森山さん凄いドラミングだがちょいとおちゃらけてみせる、これはその場で見ないと説明してもわかってもらえなさそうなのだけれど、音はすごいままちょっと表情とか手足の動きをコミカルタッチに見せる、という森山さん独特のテクニック。会場どっと沸く。アキコさんのソロが終わり、アキコさんの後ろに座ってずっと拍手をしている田中さん。アキコさんに「交代」と促されてピアノに座る。川嶋さんのソプラノソロ。こんな風にソプラノを吹く人は初めて見たなあ〜。田中さんソロ。うぉー、何という迫力でしょう。いろいろなフレージングが出てきて楽しい、しかしアドリブの流れからいってそろそろソロの交代、っていうかんじになっても次の人が出てこない。つい後ろを振り返ってみるとバートンが奥で立って待っている、次のコーラスになってもまだ出てこない、思わず手を振って呼び出そうかと思ってしまったくらいだ、しかしバートンはアキコさんの指示待ち状態。ドラムソロにはいるような感じで田中さんのソロが終わった。森山さんと井上さんのデュオ状態になってやっとバートンが出てきてソロが始まった。

バートンソロ、こんどは帽子をかぶって出てきた、これは汗よけにいいかもね。バートンのソロを竹内さんはステージの右端、ピアノの横でしゃがみ込んで身動きもせず真剣な表情で、川嶋さんは左端の椅子に座ってとても楽しそうにノリノリで聴いている、この対比がまた面白い。森山さん延々叩きまくり、井上さんもいろいろな音色とテクニックで弾きまくり。

もうなんといっていいのかフロント奏者の数がこれだけいるとリズムセクションはきついよね。今日初めて森山さんを聴いた人もいっぱいいるのだろうけれど「あっけ」でしょう、私でも驚いているくらい。よくやるわ。もうスネアは爆音だし、音だけ聴いたら一人で叩いているとは信じられないくらいだろう、手足何本ずつあるのか千手観音状態だわ。ドラムソロ、マーチングも入り、ソロ長い。まだやるの?うーん、まだ明日もあるのになどと余計な心配をする。ガゾーンも森山さんのドラミングを見ながら「ワーオ」と言っている。ドラムソロが終わって全員でテーマ。

終わって、拍手!メンバー紹介。「エイブラハム・バートン」。森山さんが紹介しつつ「ブラザー」といい会場受ける。「ジョージ・ガゾーン、ゴッドファーザー」これも会場受ける。「ピアノと指図、アキコ・グレース」「ピアノ・・・田中信正」まさか忘れてないよね名前。「ベース、井上陽・・・介」「テナーサックス竹内直、テナーサックスソプラノサックス・・・・・・・・」川嶋さんの名前がなかなか出てこなくて会場くすくす。竹内さんが耳打ちして「川嶋哲郎」ここで皆退場。森山さん「終電がなくなるまで演ります」とアンコールを受ける。おお、デュオだ。ガゾーンと森山さんのジャイアント・ステップスだ。うー、もうなんと書いていいものか。いいものを見させてもらった。森山さんの魅力が爆発していて、いつものグループでの演奏とはまた別の緊張感があった。また一つ伝説の夜が生まれた、っていう感じかな。明日も楽しみだ。