皆様お待たせしました、遅ればせながらレポートアップ。いろいろと執筆原稿が重なって遅れに遅れてしまいました。画像はちょっと待ってね。何故か音声がビデオに入っていなくて・・・淋しいなあ。

中央線で中津川へ向かう。MDやビデオテープを仕入れる時間がなくて、乗る電車を一本遅らせコンビニで調達。準備した三脚、デジタルカメラも持って出るのを忘れて、くやしいー。

みわちゃんと途中の駅で合流。タクシーにのって山の方へ。広い工場が点在するところで、こんな山の中にコースがあるのかな?と一瞬思ってしまった。冬のラウンドは寒いだろうな。ゴルフ場には縁のない人間なので、着いてからもきょろきょろしてしまう。この日はプロにレッスンしてもらってその後ディナーショーを見るという企画らしい、本当は入れなかったのですが藤井先生が席を確保してくださったのでした、ありがとうございます。会場はクラブハウスの二階、今はリハ中なのだろうか?クリスマスソングのジャズバージョンがかかっているが、テナーカルテットの演奏でややアップテンポ。森山バンドがやっている・・・のかな?ベースラインが全然グズラさんと違うが、森山バンドがすごーく手抜きをしてクリスマスソングをスタンダードにふつうーっぽくやるとこんな感じかも。普段ジャズを聴かない人にまで、こんな会場だから一曲ぐらいクリスマスソングを頼まれてやるのかな、いやそんなはずはないと自問自答しつつ、開場までまだ間があるので会議室で時間をつぶす。すでにビールなどフリードリンク。わーいといいながらつまみがないぞと差し入れに持ってきた自家製ささみの薫製をかじりながらホームページの更新作業。周りはでっかいサイズのテレビで、何かのゴルフトーナメントの中継を熱心にみていて、ショットやパットの具合でため息や歓声があがっている。そこへひょっこり森山さんが顔を出される。森山さん「藤井先生は?」私「いえまだお顔を拝見していませんが」「あ、そう」「どんな曲をされるんですか」「いつもといっしょ、全然変わらない」「さっきクリスマスソングが聞こえたんですけど」とお聞きしたら笑われてしまった、当然だな。まだまだ修行が足らない。

指定された席に向かう。なんと広い会場のステージど真ん前。やったー、みわちゃんの努力の賜。細長い平らな会場なので、後ろからは何にも見えないのではないだろうか。ビデオのセッティング、MDのセッティングなどをしていたらあっという間に開演となった。Marching of 7th。周りはまだざわざわしているが、田中ソロに入り森山さん全開、周囲の音は聞こえなくなった。田中ソロが終わり音川ソロへ。あれ、森山さんハイハットをビシッと入れる瞬間が一瞬早い。音川ソロ、いいぞいいぞ。スピードに乗ってだんだんヒートアップ。ソロの終わり、あれ、拍手がない。拍手したいんだけれど手がふさがってるんだよね、ビデオで。三脚を忘れてきたのがくやしい。初めて森山さん(ジャズ?)を聴く人が多いときは、どういうタイミングで拍手をしたらいいか判らない人が多いみたい。ありゃビールのグラスを倒してしまった、申し訳ない。周りの人の反応が気になるが、だんだん演奏に引き込まれていく人が増えてきたようだ。というよりこの音に打ち勝っておしゃべりを続けようというには相当努力が必要であろう。森山ソロ、決まったところで拍手!よしよし。テーマ終わり、拍手と歓声。

すぐにSun, be motionlessが始まる。音川ソロ、長めのフレーズラインがびしばしと決まって気持ちよい。バックで森山さん大暴れ、照明が点滅して緑黄赤青と忙しい。このドライブ感、わくわくする。かっこいいぞ、胸がバクバクいってる。わくわくどきどき、すごい〜〜。音川ソロから田中ソロへ。おおパワーショベル奏法爆裂!ソロの最中、二人のブレイク、決まったー!わーい!!森山ソロ短めだがぴりっとしまったソロ。最初はとまどっていた会場も、終わりのテーマが終わると感嘆のざわめき。隣のテーブルから「すばらしいなあ!」の声。

しかし後ろの方はおしゃべりでざわざわしている、もう、次のバラードの時うるさかったら怒るぞ!森山さんのMC、メンバー紹介。だけど、後ろの方は聞いていない。誰か注意しろよー。まあ、食事付きのラウンド、ぐらいにしか思ってない人はかえってうるさいBGMだなと感じているかもしれない。

森山さん「実は中津川に来させていただくのはこれで実際二度目でして(住んでたくせにネ )、一度目はずいぶん昔でした。何十年か前くらい。山下洋輔というピアニストとグループを作っていた時に、坂田明と三人で来ました。”中津川フォークジャンボリー”というイベントがありまして(後ろのテーブルの男性グループ、ええっ?とか、あったあったとなつかしがる、多分見に行かれたのであろう)、そこへ呼ばれてきたんです」それにしてもうるさいぞ。宴会場と化している。「当時は、山下洋輔といっしょにやっているグループは、ジャズグループだとは誰も思ってくれなくて、たいていロックフェスティバルか、あるいはフォークフェスティバルの方へ出演させていただいていました。そんなわけで、その時来たんですけれども、吉田拓郎か、泉谷しげるかがコンサートの演奏の時だったかどうか、聴衆の間でちょっと騒ぎが起きまして(男性グループああ、ああと思い出している様子)、僕らが最後に演奏することになっていたんですけれど(おい{山下グループを}聞いた覚えあるか?)その前に会場がお開きになってしまいました(あははとわらってなんだそうか)。何もしないでお金だけもらって帰った覚えがあります。今日もそうなるんじゃないかと思って待ってたんですけれど、今日はやることになりました。(拍手、大笑い)芸がないものですから、皆さんのよくご存じの曲を、せっかくのこういう場所ですからやろうと思ってさっき打ち合わせしたんですけれど、何もみんな皆さんのご存じのような共通の曲が(持ちネタに)なくて、しょうがなくて今やったような曲をもうこれで10年以上同じ曲ばかりやっています。次の曲もそんなわけで皆さんには初めての曲だと思いますけれど、でも知っていたから何だ、知らなかったから何だっていうわけではないので、今日からお知りになっていただければと思います。最初の曲はマーチオブセブンスという曲で二曲目はSun, be motionless(自分で命名しておいて、名前がでてくるかどうか怪しい口ぶり)。あまり意味はよく分からないんですけれど、そして今度の曲はスローバラードの曲でGratitude.感謝、という曲です。」

Gratitude。うるさいぞおー。やはり危惧していたとおりになってしまった。ああ、前の方のテーブルでよかった。でなければ、同じテーブルの人がうるさかったら怒鳴っていたかも。やはりステージから遠いところはどうしてもインパクトが弱いのだな。こういう時、ベースとかピアノは音量的に残念ながら非力だなあと感じてしまう。しかし、最初はおしゃべりしていた隣のテーブルの人も、後ろをみて舌打ちしながら「うるさいなー」と怒っている。だんだん観客を巻き込んできたな、という感じである。きっと最後のドラムは爆発するだろうなー。わーやったやったすごい!うしろの騒音もかき消され、すかっとした。しかし、音量が下がるとまた談笑の声が高らかに聞こえる。音量が大きい時にまけじと声をはりあげてしゃべっているので、夢中になっていると静かになってもそのままのトーンで続けてしまうのだろう。テーマの終わり頃、前の方のテーブルの人からひときわ大きい拍手。

Free people.アフロリズムが会場内にがんがん響く。うふふ、シンバルの音がカンカン響いて気持ちいい。おお、わあーっと後ろの方から拍手が!うれしいぞ。ありがとうございます。少し休憩します。

2nd set.Sound River.ますます快調に飛ばす4人。うーん、前の方の観客はもう真剣に身を乗り出して聞いている。後ろの方はアルコールも回ってきて完全に宴会状態。きっと賛否両論だろうなあ、このディナーショウ。へっへ、聞く方も少しこんなものかと思って余裕がでてきた。1stセットはいらいらしてしまった。まあ会場全体を観客にするのは、聴衆の質と会場の広さなどを考えると無理があるのかなー、と割り切って考えよう。私が招待客で、ステージが演歌歌手で、後ろの席だったら多分おしゃべりに夢中になると思うもの。すごくかっこいい、ドラムのロール。

森山さん「メンバーのことを少しだけ紹介したいと思います。テナーサックスの音川英二は僕と一緒に演りはじめてから4年?3年ですか。それ以前はニューヨークに長く、10年くらいいたんですかね、むこうの学校を出て、それから10年くらいプロ活動をして(会場からほおーの声)それで日本に帰ってきたら浦島太郎のように自分一人だったと、まわりに誰も友達がいなくなっちゃった、とそんな人です。ピアノの田中信正は一緒にやり始めてから4年、5年くらい経つんですけれど、彼は国立音楽大学出身で(卒業してないけど)、プロでありながらある音楽コンクールに出てピアノ部門で優勝したというずるい男です。今は将棋に凝ってんの?(笑い)一番長くいっしょにやってるのはベースの望月英明で(拍手)、山下洋輔のグループを離れて僕がグループを作った時から、彼と一緒にやってますのでもう20年以上一緒ですよね。彼はフツウなんです。早稲田出身であだ名がグズラって言うんですけど、まあ皆さんお考えの通りに愚図でございまして、これはタモリが命名した綽名でして、昔そういう綽名をつけられていらずーっと「グズラ」と呼ばれています。でもグループの中では一番きちんとしていまして朝も早起きで夜も遅くまで一人でのんでいるという義理堅い男です(拍手)。えー、グループのことを何か宣伝しようと思うんですけれど、自分で言うのも恥ずかしいので、私たちのグループのオーナーのような存在の、スタジオFという、Fレーベルのレコードをつくっている先生がいらっしゃるんですけれど、笠原町の藤井病院の院長先生です。ご紹介したいと思います。先生何か宣伝してください。

藤井先生「皆さん今晩は、ゴルフ&ジャズ2001大成功ですね、おめでとうございます。私もしんがりで回らせていただきました。実は田口プロが途中から一緒に回っていただきまして、そうしたら一遍に良くなりまして、10年に一度のスコアがでまして(拍手・・実は88というスコアで!その後も好調のようでいらっしゃいます)コンペでなくて残念でございましたけれど。実は今ご紹介いただきましたけれど、この森山ジャズグループを一生懸命応援している藤井でございます。
皆さんは山下洋輔というピアニストをご存じですか?
(拍手)ご存じですね。森山さんは山下洋輔トリオの最初のドラマーで、山下トリオを盛り上げた縁の下の力持ちを果たしてきたのであります。(後ろの方ウルサイー、少しは話を聞けよお)私はジャズが好きで、いろいろな人のジャズを研究しておりますが、ジャズの国アメリカ広しと言えど、アメリカのジャズドラマーを含めて世界で一番テクニックがあるのはこの森山威男さんです(拍手拍手)。今までお酒がおいしかったのであんまりよく聴いていない方もまだ間に合いますので、この世界一を是非、今から聴いてください。」
そうだー、聴けよお〜。人がしゃべってんだぞお〜。

「一昨年このグループから、[Take Zero] [信正見参]という二枚のCDを出しました。実はその最初の[Take Zero]が昨年のジャズ雑誌のディスク大賞にノミネートされました。残念ながら大賞には至りませんでしたけれども。まあそんなCDを作って話題になっていたんです。今日も多分皆様がお帰りになる時には下に届いていると思いますが、是非聴いてください。よろしくお願いします。このグループは難しい曲ばかりやっていますが、妥協せずに自分たちの思う音楽をやって世界に発信しようとしています。是非お聞き下さい。ありがとうございました。」

森山さん「ありがとうございます。もう私も56才になりますので、あと1年くらいはドラムを叩けるかなと思っています(まだまだよ!まだ引退してもらっちゃ困るよ!)来年はこのグループでやっぱり本場といわれているニューヨークへ行って思い切りでたらめをやってこようと思っています。応援してください。じゃあスローバラードを一曲演奏します。これは僕が好きな曲で、こういう曲を作ってくれって言って作曲者にお願いして作ってもらった曲です。ちょっと時間的に早いんですが、タイトルはグッドバイです。」

田中さんのソロのイントロ。ああきれい。それにしてもうるさいぞおー。ちゃんと聴けよおー。藤井先生も聞けっておっしゃってんだろうよおー。サックスが入ってテーマ。ピアノによるソロ、ちくしょううるさいぞ、うるさすぎる。ふっとした音の隙間から女性の声の高笑いが聞こえて耳障り。拍手と口笛。

そのままサンライズ。音川さんソロの途中からベースとのデュオに。森山さんは体をゆすりながら聞いている。途中からドラムピアノ入り、4人で疾走。よしよし、この音量なら後ろの騒音も気にならない。ピアノソロ、森山さんウォーと遠吠え。すごい気迫、よしよしいいぞいいぞ。行け行け!ここで森山さんブレイク、ベースとのデュオ。音川さん森山さんがデュオを真剣に聴き入っている。ドラムがズダン!と入り、サックスがリフをつける。拍手がわく。こんどはトリオで爆裂、いいぞおー。やれやれ。このスモークに赤のスポットが当たってまるでファイヤー!だあ。心霊写真のよう?ドラムソロ、スポットライトに飛び散るスティックが見える。おおすごいぞ、会場も「あっけ」にとられているようだ。気迫のソロ、かなり長く途中で拍手と歓声、口笛が。テーマに戻る。終わって、大拍手。歓声。

ありがとうございます。ピアノ、田中信正。ベース、望月英明。テナーサックス、音川英二。えー、皆さんのご存知ない曲ばかりを今日は集めて演奏したような身勝手なことで申し訳ありませんでしたけれど、最後の一曲ぐらい皆さんのご存じだろうと思われる曲をこのグループで演奏します。拍手。これで今日の演奏を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

ハッシャバイが始まる。色とりどりのスポットが目まぐるしく点灯する。おや、ステージからスモークが。ピアノの下、みわちゃん曰く「たこ壺」のような機械から。スピーカーじゃあなさそうだし、何だろうと思っていたらスモークマシンだったのか。音川さんの足許から間欠的にシュー、シューと煙が・・・。これって二酸化炭素だよね、サックス吹くのには呼吸は苦しくないのだろうか?しかし森山バンドには似合わんなあ、みわちゃんと思わずひゃはははと笑ってしまう。田中ソロから音川ソロ、望月ソロ、森山ソロと続く。おや、さっきあんなに長いソロをした割に、長めのソロだな。だんだん会場が静かになってきた。誰か注意して回ったのだろうか。

ありがとうございました、と挨拶をして引っ込むが、アンコールを求める拍手とともに、「アンコール!アンコール!」の掛け声が。

見上げてご覧夜の星を、が始まった。掛け声と拍手。まだスモークがたなびいている。森山さんのお姿がスモークで見えません。出口にCDが届いたことを確認してから、舞台の袖にいるアナウンサーのお姉さんに、「CDにサインするから下で帰りに買ってくださいとアナウンスしてちょうだい」と頼む。そのかいあったか、70枚ほど売れたそうだ。よかったよかった。