さあて二日目だー。と出掛けていくとラブリーの前に人だかりができていた。ここのシステムは、前売り券のナンバリング順に入場、というのだが今日はみんなの意気込みが違うぞ。入場し終わったところで既に立ち見が出現。入場してからライブが始まるまでに2時間を要し、慣れた人は座席を確保したら交代でお隣の串カツ・どて・味噌おでんの「久富」で腹ごしらえ、または一杯というパターン。まあ、同じ経営の店だからこんな事も許されるのでしょうね(え、許されてない?)ここのスジ煮込みが私は大好き。ラブリー30周年記念ライブの時は綾戸智絵さんが「久富の味噌おでんの里芋サイコー」と叫んでいたっけな。画像はまだ始まる前のラブリーの内部。

ぎゅうづめの中を通ってメンバーが入場。Marching 7thから。田中さんソロ、森山さんと目と目を見交わしマーチのリズムから4ビートへ。田中さんのソロの終わりに音川さんテーマを吹いてばしっと決める。音川さんのバリバリのソロ(拍手と歓声)から森山さんのソロへ。小さい音から大きい音へのメリハリがきっちりきいている。ダンダンダンとテーマに戻り音川さんのけぞって終了。大拍手。

森山さん「軽くやろうね」と一言。そう言いつつグワシャとスピーディーなSun, Be Motionlessが始まる。カデンツァ(これ、もうちょっと長くやるというのはどうだろう)から音川さんソロ。森山さんのスティックが美しい曲線を描く。田中さんソロ、がしがしピアノを連打。それに応えて森山さんのバスドラ連打が響く。なんだかよだれが出てきそう・・・(私の)。終わりのテーマも後半にかけてだんだん音量を上げていく。軽くやろうねって言ったのに、とんでもない。

メンバー紹介。音川さん、田中さんを紹介した後一瞬の間。望月さんを忘れている?かのようにで客席笑い(これは北海道でもときどきあった)。今日は、一曲め二曲目とも新しく作った信正見参というCDに入っています。もちろん皆さんもう一枚目は買われたでしょうから多くは申しあげませんが、二枚目三枚目という方は入り口のところに用意しました。タイトルは最初のマーチが 太陽よ止まれ、 という・・・・・(何を喋るかという期待の静寂があったところに)・・あまり意味はないんですが。(爆笑)今日はそういう訳で田中信正の曲を演奏したいと思っています。  ある人からドラム叩いているときと途中でやるMC(喋りのこと)の落差が激しすぎると文句を言われたんですが、一生懸命叩いていたっていつも楽しいことばかり頭の中は考えているんです。でもいつもそういう楽しい時ばかりじゃなかったんです、実は。勝沼の田舎から出てきてひょんなことから芸大の打楽器科なんていうところに受かってしまったので、モーツァルトもベートーベンも何にも知らない者が毎日毎日オーケストラの授業を受けたり学生仲間の話に入っていくわけですから、チャイコの何番だとか、そんなことを言われたって意味不明のことばっかりで、どうして都はるみや美空ひばりとか皆さんは言わないんだろう、という。それぐらい思いが違っていましたから苦労した時期がありました。その苦労した時期に涙を流しながら田舎道を歩いたことを思い出します。その曲がこの曲です。Danny Boy

音川さんの丁寧なテーマに田中さんが美しいバックをつける。森山田中デュオ。また全く曲想と離れてフリー。現代音楽のようだ・・・爆発しておいてひゅうっと今度は田中さんと森山さんの二人でそっとテーマに戻る。この対比に、終わって一瞬の静寂の後、昨日と同様に客席は密かにざわめく。

ここである方をご紹介します。ニューヨークからキャンペーン旅行でいらして、昨日は東京のTUCでライブがありました。Mr.George Garzoneです。とガゾーン登場。今はこう、にこやかに笑っていますが心の中は何を考えているか分かったものじゃありません。用心してかかりたいと思います。(笑)「行くぞっ!」おおサンライズ。会場から拍手。モードの曲なので進行さえ分かれば、やりやすいかも知れないが意表をつかれた感じ。テーマ少し合わないところもあるが、二回目めではクリア。ガゾーンからソロ、いきなりこう来るか!という感じのラッシュのソロ。ガゾーンのソロのフェイドアウトのフレーズを受けて音川さんソロ迫力!森山さんバシバシ盛り上げる。次いで田中さんソロ。ああトップシンバルのレガート、スネアの三連の音が美しい。これだけ大音量なのに音がクリアだから美しく聴こえるんだよね。フロントが増えた分ソロが長くなってドラムもベースも大変・・・森山さんソロ。そろそろ終わるかと思わせるフレーズを連発しつつ、結構引きのばす。おなじみタカタドンでテーマへ。ここで一部終了。

さて休憩中もあまりの混雑ぶりにトイレへたどり着けない。そのうえみんな一気にタバコを吸うので煙たい。ちょっと脱出・・・久富さんでトイレを借りました。店の隅にオーちゃん発見。彼は山下洋輔の本の中にも登場する大阪「ハチ」の有名人。森山ラブリーライブには必ず大阪から登場される。財布も持ってないのにオーちゃんに借りようと図々しく座り込んで熱燗とスジ煮込みを注文。カウンターでは、やはり冒頭記述の「久富に脱出」組らしい男性が陣取っている。「ピアノがいいよなあー」「俺は30周年(記念ライブ)であのピアノに惚れたね」「魅せるよなあー」などと田中さん絶賛。「サックスも若いのに(年をばらすのはやめよう)よく吹くよな」「森山と互角によくやるなあ」横で聞いていてにこにこしてしまう私。

さて9:30、ではこのセットの頭はMr.George Garzoneと、Garzoneのグループでピアノを弾いてらっしゃる岩瀬晶子さん。さっきお会いしたときに「顔が坂本龍一に似てるね」と言ったら喜んでました。我ながらうまいこと言ったもんだなと思います。じゃあ、やりましょうか。

がーんとピアノの低音から乱舞するソロ。バックで森山さんがブラシでつける。ここにGarzoneのソロがからみウニョウニョニョニョニョー。吹きまくり。もう少し起伏が欲しい。三人でガシャガシャとフリーソロ。次いで岩瀬さんのソロ(森山さんとのデュオ)。ここで写真を!とねばったのだが、岩瀬さんの長い髪の後ろ姿を写したいのにあまりに至近距離に座っているので写真が撮りにくい・・・なんて言ったら立ってみている人に怒られますね。フェードアウト、森山ブラシソロ。叩きまくっているのを見てGarzone笑っている!森山さんがボリュームを落としていきしーんと静かになり、二人が入ってなんとなく終わった。George Garzone, Akiko Iwase, Takeo Moriyama.と紹介。

Mr.Hideaki Motiduki.といった所でもともとのメンバーが登場。えー、控え室の喫茶店で少し話をしたんですが、森山のドラムはバディ・リッチのようだと褒めていただきましたんで、あんたのサックスは音川のようだって褒めておきました。(爆笑)ここでの笑い声は田中さんのが一番大きかったように思います・・・。

Free People アフロリズムの曲。田中さんが曲名を決められなくて、森山さんにつけてもらったっていうのじゃなかったかな。田中さんソロのバックがアフロから4ビートへと変わる。森山さんの手からすっ飛んだスティックを見た(ぽろっと落ちるのは時々見るが、勢いよく飛んだのは久しぶりのような気がする)音川さんソロ、おお出だしから勢いがいいぞー。行け行けー。キュキュキュキューとすごい!大拍手ー。森山さん本当にほんとうに楽しそうに叩いている。ああこういう森山さんを見ると私も本当にウレシイー。またスティックの動きが美しく、ほれぼれとしてしまう。

Gratitude 一変、美しい静寂の世界。テーマに入る寸前、落っこちていたブラシをあわてて森山さん床から拾う。ああ、間に合って良かった。と森山さんの顔を見てニヤついたら森山さんと目が合ってしまった。森山さんもにやっと笑った。音川さんと望月さんのコンビネーションが良い。田中さん望月さんとのデュオ、テンポの取り方が難しいのでは。ああベースの音が美しい、光ってるって感じ。じーんと身に響くなあ。音川さん入り、ぼーっとしてしまう。テーマに入って森山さん暴れ出す。徐々に音が大きくなり爆発!マレットのダイナミズム!田中さんソロでシメる。みんな集中してライブを聴いているせいか、タバコをすっているヒトがほとんどいない。わー空気がきれい。ラブリーのマスター・河合さんが大枚はたいて空調を新しくして下さったおかげもある。歓迎歓迎。

Departure from the Mysterious Flash、これはスタジオFの藤井修照(みちてる)先生の頭文字(Dr.M.F)をとったタイトルです。フィルインの田中さんの右手がイイ。ああ音川さん、すごいソロ。黙々と弾き続ける望月さん。しかし、男は黙って・・・ではないけれどするどく客席を見渡しているんですね・・・これが。みんなの出す音が一体になって。このグループは比類なきバンドだと思う。今この場所にいることが、この音を聴いていられることが、ここに存在していられることが、幸せだと思う。田中さんソロ、うわあ、行け行け行け行け行けー!きゃー。森山さんドラムソロに突入。短くコンパクトにまとめて、テーマに戻る。フィルインの田中さんの手・・・よく動くな・・・。

メンバー紹介。この後はジャムセッションでもやりましょうか。Mr.george Garzone,そしてあきこ・いわせ、それからベースは・・・・岡田勉。そしてドラムは・・・・・(笑い・・)誰かにやるっていわれたらどうしようかと思った。ピアノは交代?とか言ってて入れ替わるスペースがないので二人で連弾。「やりましょうー」とハッシャバイが始まる。高音域の方に座った田中さんからソロ。私が書くと偉そうで申し訳ないが、こういう曲でのソロがメロディアスでストーリー性が出てきたように思う。岩瀬さんのソロに替わり、田中さんは隅っこのスピーカーに座り岩瀬さんの方を見ている。「わーすごーい」と手を叩いてみているんじゃないかと覗いてみると思った通りであった。がくっ。きっとホームページにも「すごい、勉強になったー」と書くんであろう。音川さんのソロに突入。いつもより高音域を使っているような気がする。Garzoneソロ、次いで岡田さんのソロ。あとで誰だったかがあれだけ弾きたいのならベースよりもギタリストになればいいのに、と言っていたが、この方はもともとギタリストからベーシストに転向されたらしい、納得。

どうもありがとうございました。とメンバー紹介、ではこのあともごゆっくり。と退場するもアンコールの拍手始まる。そうだ、これで終わられたらファンとしてはもの足らない。拍手が続く、おやステージに登場したのは森山さんとガゾーンだけ。森山さん一言、勝負!ひゃー、Giant Stepsのデュオだあ!こう来るかい?なかなか普段聴けないよなあ。え、考えてみたらこの20年でこんな演目はあったっけ?記憶力が悪いので何とも言えないがめったにないものということだけはたしかであろう。ガゾーン水を得た魚のよう。うおー、森山さんのソロもまたすごい迫力である。前のめりというと言葉は悪いが、音が前に出てくるようなソロ!うーん、すばらしいなあ。会場拍手。ありがとうございました。まだ契約金のはなしをしていないのですが、来年はアメリカへ行くかもしれません。と森山さん。ニューヨーク乱入を志しているらしい、うーむ休みを取らねば。さてどうやって?学会発表を一つひっこめるか。え、どっちが大事かって?学会発表は来年でもできるが、森山バンド海外公演は実に7年ぶりではないか?天秤に掛けるまでもない・・ボス、ごめんなさい。

拍手拍手。私は十分働いたと思うのですが、望月がこのままではギャラをもらうわけには行かないっていうので・・とオリジナルメンバー登場。望月さんステキ!の声が会場から飛ぶ。自分のレギュラーバンドのトリをほかのベーシストに弾かせて引っ込むわけにはいかないという意地が見えましたね。あとで森山さんにお聞きしたのですが、望月さんが「やろう」とおっしゃって、やることになって全員出てこられたそうです。ほんとに望月さんステキ!田中さんのGoodbyeソロのイントロから始まる。高音域から低音まで使って、美しくかつ幅広いイントロ。うーむ、ラブリー30周年のときもこれをやって欲しかったなあ・・・なんて。誰もが息をのんで聴き入っている。テーマのサビから音川さん入る。ソロは田中さん、たった16小節ではあるが、うー、身体の芯を抜かれたみたいにくにゃっとなってしまう。終わりのテーマのサビから再び音川さんテーマに戻って、森山さんブラシで大暴れを!お決まりのパターンではあるが、あー、やっとみんな堪能して納得、って感じ?一年の計は最終的にここにあり。かっこいー、よかったねー、気合い入ってたねー、すごいーの言葉があっちゃこっちゃで飛び交っている。

ハッシャバイをセッションでなく、バンドのまま演っていただければよかったなあと残念に思う。そうすれば、シメというか、バンドとしての音に片がついたのになあ。ま、ひとりごとひとりごと。

お疲れ様ーと打ち上げ。前から約束していた田中さんの血液型判定(誰かにデジカメとってもらえばよかった)。もともとO型かB型といっていたのだが、本当の事は今まで知らなかったらしい。注射器持ち出して採血なんて、なんだか危ない事してるみたいなので店のすみっこへ・・・でもみんなついてきた。結果はB型。だろうと思った。実は、私もB型。このちょっとした変人ぶりは(田中さんホームページ参照)私に共通したものがある・・・。昨日は靴店に勤めているオットが望月さんに靴をプレゼントしたいと、店の真ん中で靴のフィッティング。変わった事する夫婦と言われそう。オットは最初に森山バンドを聴いた5年前から望月さんのファン。一昨年望月さんのお家が火事にあったときから火事見舞いに靴を・・・と言ってたのがようやく実現したのでした。

今夜はずっとラブリーにいたポールが店を辞めるという日。ポール、いままでどうもありがとう。残念ですが、今後は東京でお店を出されるとか、東京に行ったときに安心して行けるお店ができるかも。楽しみ。お疲れさまでした。河合さんが半分涙目で挨拶。写真はキスシーンではありませんよお。打ち上げもエンドレス。気がつくと朝の4時であった。