えー、信じられない!MDの音が全部消えちゃった!今まで録音しかしたことないのに、聴きながら曲のタイトルを付けたり不要な部分をカットしたりしてたら、いきなりディスクの内容が全部消えてBLANK DISKの表示になってしまった。おっかしいなあー、消去の動作はしていないのに。くやしいー。MDから起こそうと思ってたのであんまりメモが取ってないんだよね。もともと録音・撮影禁止の所だったから隠し撮りしたバチがあたったかしらん。詳細なライブレポートが書けないのが残念です。記憶と、メモに基づいて書きますので多少事実と異なる点があるかも知れません。どうぞお許しを。

大阪に当日の朝でかけて学会出席。のぞみに乗ってとんぼ返りで名古屋に戻り、特急「しなの」に乗って多治見駅でhoriさん(森山威男研究会関西支部会長)と待ち合わせるつもりが雪でなんとしなの運休。駅の係員に聞いて各駅停車に飛び乗ったら途中の駅で終点。地元の人間とは思えない失態、よっぽど慌てていたとみえる。次に来た列車に乗ったらそれもその次の駅で終点。やっと快速が来て乗り、ついたのは予定よりも40分も遅れてしまった。horiさんごめんなさい。今日は何たって400席完売、horiさんのおかげでライブが聴けるのだ。しかし翌々日の新聞によるとしなのに何十時間も閉じこめられていた人がいたらしい。冬の移動は予定通りに行かないものだと心せねば。二人で急いで会場に向かうが、すでに数十人が列を作っていた。「ふな」さんはほとんど先頭に立っている。horiさんと会場前で記念の写真を撮影。

まず森山さん一人で登場、ドラムソロからスタート。マーチのリズムにのってメンバー登場。Marching of seventhの始まり。田中さんソロから音川さんソロへ。バッキングで森山対田中の見交わす目と目、真剣勝負。今日のセッティングは向かって左に森山さん、右に田中さん。黒ずくめの皆の服装の中、森山さんだけ真っ白なシャツ。真っ青なバックのライティングによく映えている。最初のうちベースの音がぼよぼよと聞こえていたが、だんだんと改善された。森山さんのソロは音量のアップダウンのコントロールがすばらしい。まるでステレオのボリュームつまみをひねって音を大きくしたり小さくしたりしているみたいにスムーズ。小さい音量の時は皆息を殺して聴き入っている。椅子のきしむ音まで会場に響きそう。

えー、最初の曲はマーチング・オブ・セブンスという曲で、ピアノの田中信正が作曲した曲です。今回は、曲を珍しいことに全曲入れ替えています。7年に一度くらいしかないことなのですが。今回やる曲が入ったCDを入り口の所に持ってきていますので、あとでお買い求め下さい。今回はコンサートが近づくにつれて色々な方から電話がかかってきて、一週間くらい前から、「楽しみにしてます」、とか「体調はいかがですか」、って言うような具合で、昨日は「いよいよですね」、なんて。今日はもう朝からじゃんじゃん電話がかかってきて、北海道から「今から出ます」「千歳空港まで来ました」「雪で出発が遅れそうです」「欠航になりました」なんて実況中継みたいでした。残念ながら結局来られなかったみたいです。

アップテンポのSun, be motionless.バックが赤に変わる。音川さんの迫力ソロから田中さんのソロへ。音の展開が面白い。ピアノソロが終わっても拍手がない・・・というのは、いつもの事だがピアノやベースソロの終わりというのはどこで拍手をしたらよいのか、タイミングが難しいのだな。フロント陣はソロが終わってぺこりと頭を下げればソロの終わりだということがはっきり分かるのでしやすいのだが。ライブハウス程度の大きさとキャパシティだと私一人拍手をするとみんなつられて拍手してくれるのだが、コンサートホールだとそうもいかず、ちょっと淋しいことになってしまう。森山さんソロ、鳴り響くバスドラ。アフリカンドラムのようだ。拍手が続く。

私は山梨県の山の中で育って、海も見たことがないような人間が、何の間違いか東京芸大打楽器科なんていうところに受かってしまい、みんな周りがクラシックの難しいことを話していても全然分からない。どうしてみんな都はるみの話をしてくれないんだろうなんて思っていました。そんな風だからいじめられて、練習室にタバコの吸い殻が落ちているとすぐ私の仕業だと思われる。全館放送がかかって「打楽器科の森山威男さん、部屋にお戻り下さい」なんて。教授が「お前だろう」っていうから「僕じゃありません」というと「じゃあどうして拾わないんだ」。一から十までそんな風で、退学届けを出したこともありました。そんな風で暗ーい青春を送っていました。涙をこらえながら田舎道を歩いたそんな時、この曲が流れていたことを思い出します。

バック青にもどる。音川さんのみのソロでダニーボーイのテーマ。田中さんが入り、森山さんのマレットが響く。望月さん主導でテンポが決まる。森山、田中デュオ。音川さんがステージを降りたら望月さんまでベースをおいて袖に引っ込んでしまう。初めて見たような気がするが?すごいデュオが展開される。ばしっと決まるブレイク。テーマに入り、すうっと音が小さくなり、きれいに終了。(私の後ろの席で男性が鼻を鳴らすのが気になる・・・)同じ曲の中で広がる曲想のちがい。うーむ、他のバンドではちょっとまねできませんね。

アフロリズムが始まる。Free People。バック赤に。田中さんの和音が面白い。田中ソロから音川ソロに。派手なアクションでソロ終了。森山ソロに突入。行け行けー。客席興奮。盛り上がり、テーマは音川さんのハイノート(サックスじゃ言わないか?)で終了。拍手拍手。そのままステージを降りてしまったので客席ざわめく。「もう終わり?」「休憩じゃない?」アナウンス、ただいまから15分の休憩を・・

休憩時間。後ろの席の、高校生とその母親とおぼしき観客の会話。母「うーん、リズムが読めないよねえ。」息子「ロックのリズムなんてとろいねえ。」母「打ち上げ花火みたいにどーん、どどーんと来るねえ。ピアノはげんこつで弾いてたねえ」息子「そのうちピアノひっくりかえすんじゃないかな」

第二部。
Sound Riverからのスタート。森山さんは着替えて黒いシャツになっている。田中さんのパワフルなソロから、音川さんのソロへ。4人の音が一体となって押し寄せてくる。今日は森山さんのソロ長い。地元で張り切っているのかな。

ありがとうございます。このセットの最初の曲は音川英二が作りましたSound Riverという曲です。直訳すると音・川です(笑いと拍手)。 曲の題名なんていうものは記号みたいなものでいくらしゃれた名前を付けても始まってしまうと一緒なんです。ここでメンバー紹介をしたいと思います。サックスの音川は・・・・・ここで間、皆笑う・・・よく知らないんですが、ニューヨークで10年くらい色々な人と演奏して活躍をしていて、日本に帰ってきたら浦島太郎みたいなもので、私みたいなやさしい漁師に拾われた・・これでは亀になってしまうか。ピアノの田中は国立音大出身で、プロになってからヤマハのコンサートに出て賞金をもらったというずるい人です。彼のホームページの日記(これがまた楽しいページです・著者注)を読むと美しいピアニストに憧れているようです。・・私がしてあげましょう(拍手)。ベースの望月は山下洋輔トリオを辞めてからずっといる長いつきあいのベーシストです。良いからいるというわけじゃなくて単に辞めさせる理由がないんです。このまえ飲みながらなんでずっとやってるんだと聞いたら辞める理由がないから、と言ってました。でも一番ベースらしいベースで、基本のところをがっちりと押さえてくれています。

次の曲は井上淑彦がこのグループを辞める直前に書いた曲で、題名は感謝と言う意味です。まあ私に感謝してこんな曲名をつけてくれたわけではないと思いますが。この曲はきれいーな曲で、井上がいなくなってもずっとやっていきたい曲です。

Gratitude ああいい音だ。テンポもよい。ピアノの単独のテーマ8小節、ベースが入って8小節。ベースがとてもよく響いている。サビから音川さんが入る。田中さんの美しいソロへ。音川さんのソロ、メロディーラインも早いパッセージを吹いていても無理なく聞こえるし、今日は身体が鳴ってるかのように聞こえる。ホール全体の音響も良いからだろう。テーマに戻ったらいきなり森山さんがブラシで大暴れ、来た来た来たー。前の列に座っている6-7才くらいの男の子が森山さんのソロを身を乗り出すようにして見ていると思ったら、パンフレットを丸めてスティック状にして両手で振り回している。この子の人生、道を誤らねばよいが。

おっと、Sunriseだ。おなじみのテーマ。音川ソロ。田中ソロの後、初めて拍手が起きた。よしよし。ドラムソロ、ずしんずしんとバスドラがおなかに響く。大音響と小さな音を使い分けて緊張感が漂う。タカタドンとソロ終了の合図のフレーズに似たフレーズが入り終了かと思ったらまだ続く。ビシッと決めてテーマに。

ありがとうございました、とメンバーを紹介して舞台袖に引っ込む。アンコールの拍手で登場、お定まりのHush-a-byeが始まる。

花束贈呈。やっと肩がほぐれてきたような気がするんですがこれで終わってしまうのは残念です。今日はモダンアートの安藤光一先生がそちらにお見えになっているんですけれど、このまえNHKのBSで安藤先生が陶板に絵を描くところでドラムを叩くという企画をやりました。どうにもならんのじゃないかと思うんですが、やってみたらどうにかなるもので、大成功でした。みんなで終わってから面白かった、面白かったって言ってました。山下洋輔がよくやる、日本音楽のなかに飛び込むという企画は 私は今年は異種競技をやってみたいと思います。私はもう音楽じゃなくて、違う分野に入っていこうと思います。この次には友人に外科医がいるので手術をやっている横でドラムを叩くとどうなるか・・・・なんてバカなことを言ってますが、まあこれは実現しそうもないですが。
また来年もやりたいと思います。今日は向こう三軒両隣、可児市の議員さんまで来ていただいて。CDも持ってきていますので、これが終わったらすぐに行ってみんなでサインをしたいと思います。今日はありがとうございました。

Goodbye.ああ、美しい。胸の奥にずーんと広がっていく。来てよかった。コンサートホールでのライブはライブハウスに比べて臨場感が・・・と、それほど期待していなかったのですが(ごめんなさい)予想以上の出来でした。来年もぜひやって下さいね、多治見市さん!

終了後はサイン会。みんなモテモテでした。