午後6時半にピットインの入り口に辿り着くと、H条さんがぽつんとお一人で座っておられた。あれ、なんだかさみしいぞ・と思ったら、入場が6時半？と電話でお聞きした私を思って、お待ち下さっていたようだ。どうもすみません。7時前になるとさすがに人が増えてくる。今日はあまり寒くはないと思ったのだが、じっと座っているとだんだん底冷えがしてくる。うー寒い。開場は午後7時半。彼のおかげで最前列を確保して、MD購入にコンビニまで。開演は午後八時、いまかいまかと待っている私たちの横から、森山さんたちが笑いながら登場。あれ、nobu君また髪の毛切ったのかな。
Marchinf of seventhのマーチングが始まると
、客席から拍手が。田中ソロ。高音で繰り返しパターンを入れ、森山さんが応じリズムパターンで付ける、パターンの終わりはばっちりリズムが合う。田中ソロの終わり、マーチのリズムのまま大音量で盛りあがって一気になだれ込む。うーん、こなれてきたなあ。気合いが入っているなあ。ドラム、後ろの高い位置のマイクを叩いてしまったか？マイクが揺れているのを気にする森山さん。サックスソロに入って4ビートに変わる。のけぞる音川ソロ。ベースの音が今ひとつ良く聞こえない・・・。スネアだけ両手で叩くパターンでも、こんなに腕の使い方があるのだナァーと、ほれぼれして見つめてしまう。おや、森山ソロ今日は長い。客席から掛け声。テーマに戻り、拍手。
拍手が鳴りやまないうちにざあああああっとロール。ありゃテーマのところシンバルとバスドラムの踏み方、
いつもとパターンが違うぞ。Sun, be motionless.２曲目にして森山さんの汗がしたたり落ち、目に入って痛そう。音川ソロ、低音から高音まで使いこなし、伸びと広がり。森山さんのバッキングも柔らかくつけるのからどんどんあおるあおる！グズラさんの腕もしなやかに動く。おや、音川ソロ終わった瞬間にベースとピアノのデュオ。途中ブレイクでなくいきなりデュオからピアノソロが始まるのかぁ、また意表をついたパターン。田中さんの頭は深く沈んで、せっかく音川さんがしゃがんでくれているのにほとんど見えない。森山さんがロールをいれてドラミングに入る、おやちょいとピアノ走り気味ではないか。おおお、やってきたやってきたぞー、ああ楽しそうな森山さん、雄叫びをあげた！テーマ終わり、場内から大拍手と歓声。
テナーサックス音川英二！ベース望月英明！ピアノ田中信正！とメンバー紹介。「まるで何かの賞をもらったような気持ちです。感謝します。Gratitude.」
田中さんがそっと入る。ため息が出る。グズラさんが柔らかく、優しく弦をはじく。音川さんの音が優しく広がる。んー、デジタルカメラを買い換えたのはいいが（実は前のをなくした）、多機能すぎてつかいこなせない。ステージの光量が少ないので、どうしてもシャッタースピードが遅くなり、ぶれてしまうのよね。今日はビデオを撮影していないので、何とかつかいこなしてもっといい写真が撮れないか、苦心しているうちにソロが終わってしまった。おや、こんな画像も一つのファイルで撮れるのね、16分割で。連続写真みたいで面白い。ちょっと拡大してご覧になりたい方は画像をクリックしてください。森山さんスティックを床に投げ捨てブラシに持ち替える。テーマの終わり、こんどはブラシを床に投げ捨て、マレットに持ち替える。
Free people.ライトに照らされ、森山さんのシブイ横顔。ノブ君モニターの向きをあれこれ変えながら弾いている、返しが聞こえないのか？お、望月さん休憩中？なんて思ったらドラムとサックスのデュオになっている。音川さん苦しそう、森山さんも目に汗が入って痛そう、おーおー、バトルロイヤルの観。2バースではないか？音川さんのけぞって吹き終わり、ドラムのソロへ。タムを連打して音をパン！と切る繰り返し、アフロリズムに戻ってテーマ。メンバー紹介、しばらく休憩します。
「飛ばしてますねえー」とお隣のT橋さん。ホントにそうだ、三日もつのだろうか？
Sound River.田中ソロ、この見交わす目と目の緊迫感。CDをどれだけ聴いても絶対わからない。音だってスタジオで収録した何度でもテイクが採れるものとは違うし、この場内の空気は居合わせたものにしか味わえない至福の贅沢。音川ソロ、わあわあかっこいい音川さん。スティックが手から落ちる。
メンバー紹介。えー、2002年の、初めての演奏になります。一昨日、スイングジャーナルの表彰式に行って来ました。南里文雄賞、栄えある賞をいただきまして（拍手）ありがとうございます。南里文雄賞は第一回目は秋吉敏子さんで、第二回目が渡辺貞夫さん。私が第三回目、じゃないんですけれど、私が27回目で、そろそろ回ってくるんじゃないかなって思ってたんですけれど（爆笑）あの、ホントの事いうと、この賞の意味をよく理解していなかったんです。この前がトコちゃん(日野元彦)だったっていうし、その前は宮沢（昭）さんにしようと思ってたんだけれどお亡くなりになってちょっと無理だったっていうんで、その次はあんたですよっていうんで何か意味があるんじゃないだろうかって。私も注意しないといけないな、って思ってます（笑い）。名古屋でやってますんで、賞をいただきに行くのに、交通費は出るんですか、とかさもないことをお聞きしたんですけれど、いやそういうものは何も出ません、ってことだったんですけれど、各賞ある中で現金をいただいたのは私だけで、南里文雄賞金一封：これが重たかったです。だんだんだんだんその賞の重みっていうのが、後になって解ってきたんですけれど、いろんなかたからお祝いの電話とかいただいて、南里文雄賞をいただいた夜は山下さんもかけつけて下さって、「今夜は二人で飲み明かそう！」
なんて言って、ホントにかなり遅くまで二人きりで呑んでしまったんですけれど。まあ最初は徳間ジャパンという会社のこぢんまりしたパーティーを開いていただいて、アットホームな感じでイタリアワインなんかいただいていたんですけれど、それが終わったら山下さんが「二人だけでどこか行こうじゃないか」って。私も大丈夫かな、って思ったんですけれど一緒についていきまして、・・・不況なんでしょうか、いつもはお客さんがたくさんいるような店なんですけれど、どういう訳か山下さんと二人きりで、しばらく呑んでいてもずうっと二人きりで、いたたまれなくなってしまって（爆）、山下さんがピアノを弾くって言うんで、私はドラムがなかったので、唄をうたいまして、菅原都津子の"月がとっても青いから"を歌って、お客さんが誰もいないので誰にも受けなかったんですけれど（大受け）。受けようかと思って"潮来傘"を歌ったんですけれど、二人っきりだとどうにも盛りあがらなくて。変なお祝いパーティーだったんですけれど。でも、なつかしかったです、昔話がいろいろ出て。あの、若い時に本当に命懸けで演奏していた、そういう時期を一緒に演奏していた人っていうのは、しばらく会っていなくても、親子兄弟みたいな、血がつながった人に会ったみたいな、近しい感じで、つい昔にもどってしまいます。今は山下さんはいろいろお国から賞をいただいたりなどして、立派になっておられるんですけれど、私もそんなわけで立派なジャズミュージシャンの1人に加えていただけそうになりました。今後ともひとつ、よろしくお願いします。拍手。心配してくれていた親父も、もう亡くなってしまったので報告ができないんですけれど、昔賞をもらったことがあったんです。親父がずいぶん喜んでくれてねえ・・・。小学校の2年の時だったんですけれど（笑）、健康優良児で（爆笑）表彰されて、あれ以来、賞にはずいぶんお目にかかってなかったので今回本当に嬉しかったです。来年は世界的な賞をもらうようにちょっと頑張ってみようかと思います。ありがとうございます。拍手。
Danny boy.テーマから森山田中二人のバトルに入る。睨み合いが続く。小さなブレイク決まらず
、流れが続く。おっと、田中さんから仕掛けていくぞ、今度はブレイク大きく決まった！テーマに戻るところ、nobu君一瞬気がゆるんだか、メロディーがうまく決まらないがそのままなだれこむ。最後ハイハットシンバルを叩くのも、踏み具合、開き具合、叩く場所でこんなに音の違いが出るかというほど叩き分けている。うーん、すごい。
静寂の後、何の曲かなーと思ったら森山さんんーんーと歌う、よく音程とテンポが分からなかったが、バラードっぽいスローな入り方でGiant stepsが始まる。テーマに入るまで曲が解らなかった人が多いみたいで、タータッと音を切ってテーマが鳴り響くと周りから驚きの声が挙がる。あー、うわー、ウレシイ気持ち、わくわく。音川さんソロばりばりと、グズラさんもすごく良い。うーん、すごいアップテンポなのに、音がよく響いて伝わってくる。お、田中さんのソロのフレーズにベースが呼応している（ように聞こえた）。ああ、ステージ左端の森山さんと、右端の田中さん両方を一度に見つめられる目が欲しい。何てすばらしい！森山ソロから一気にテーマになだれ込む、見ているこちらも呼吸が荒くなって
しまうほど。
・・・・・・・・・・。間が。30秒経過。何が始まるのかと客席は固唾をのんで見守る。ぼそっと森山さんが音川さんにテーマ名を告げる、聞こえなかったが。あり？In a sentimental mood !? ん？このメンバーでやったことあったっけなあ？ちょいと記憶にないが。あ、でもこの前のラブリー二日目にやっているな。スタンダード回帰路線か？なんて思いつつ聴くがやはり次第に引き込まれていく。グズラさんのベースの音が本当に良く伸びて、優しく包み込んでくれるみたい、田中さんのメロディーといっしょになって広がっていく。田中さんのフレーズを拾ってからんで音川さんが入ってくる。なぜこれほどこのグループに心を奪われるのだろうか。何度も、何度も聴いているのだがちっとも飽きるということがない。毎回感動して心から喜びを感じさせてくれる、わくわくドキドキを与え続けてくれる、本当に幸せだわ。
次はサンライズかなーとぼーっと思っていたところ、拍手するヒマも与えずスタタスタタスタタスタタと3連符が始まり、テーマに突入。
音川さんの入り口、新鮮。おや音川望月デュオだ、いままでサンライズでデュオってあったかなあ？森山さんがじっと聴いている横顔がかっこいい。テーマのメロディーに合わせたハイハットのリズムリフを入れ、田中さんも望月さんもつける。わあー、森山さん楽しそう、ニコニコしながら叩いている。音川ソロ、わあーわあーわあーと叫び出したくなるほどの迫力、客席から歓声と拍手。暴れる田中、あおる森山！森山ソロ、爆音、叩きまくりからちいっさな小さな音、客席を静寂が包む・・・ズダン！という爆音、びっくりしたあ！すかさずテーマに戻る。森山さんの雄叫びが響く。拍手と歓声。
ありがとうございました！メンバー紹介。森山さんが田中さんの方を見てうなづく。Goodbyeのイントロが始まる、一番低い音のタムが響いて（Eの音に調律してあるのかな）ベースやピアノの音とぴったり。うん？終わりのテーマの音川さんの吹き方がちょいと変わった、このメロディーは初めての吹き方だね。
ああー、かっこいいー、ぼーっとしちゃう。余韻にひたっているとまわりからアンコールの拍手が。きっとやらないだろうなあー。
森山さん一人で登場。「どうもありがとうございます。今私がすっかりやる気になって、何かやろうよって言ったら、やめようよ、って。何ともつれないもので（笑い）。（うーん、やめようとは誰も言わないだろう、これは冗談だな）滅多に演奏しないものですから、こうやってたまに東京に出てくると、自分の中ではお祭りに行くような、何日か前から心待ちにして、靴なんか急に磨き始めたりして（笑い）。今日も2回も歯を磨いたりして、いろんな事をして楽しんでいます。明日も、あさってもあります。アンコールは明日やります。あさってはもっと遅くまでやります。（えーっ、来れなーいと不満の声が後ろから聞こえる）是非いらしてください、応援してください。ありがとうございました。」
トップの、全体が写っている写真（私の席からでは撮れないアングル）と音川さんの赤いライトで照らされている写真は盛岡から聴きにいらした吉田瑞彦さんからいただきました。