今回はメモもMDも撮ってありません。あとでMDを聴きながら詳細ライブレポートを打つ時間がとれなさそうなので、その場で打ってあとから記憶で少々追加しただけのレポートですから短いですよ。すみません。

小淵沢別荘地の中にある大豪邸、なにしろホールでグランドピアノとドラムセット、PAをいれてホームパーティー兼ライブができるのだから。トイレもお客用がきちんとある。離れはゲストルーム。ホールのオープンキッチンも本格的、そこでごちそう!豪華ちらし寿司、おそば、タラの芽とふきのとうの天ぷら、小エビと貝柱みつばにタマネギのかき揚げ、サラダ、お刺身、などなど。ビールとワインのみ放題。1stと2ndの間には手作りのケーキ、コーヒー。なんとすばらしい。言葉だけですごいので、写真を載せるとみんながあまり悔しがりそうだから、あえて写真は撮りませんでした。私はステージ横の階段に上ってやや上の方からパソコンを打ちながら鑑賞することにした。

7時になって司会のH田さんが森山さんとノブ君の紹介。ノブ君がいない。さてはトイレだな、さっき「トイレ大丈夫?」って訊いたのに・・・。森山さんが「田中さんは名前を呼ばれてからトイレに行く習慣なんです、多分小さい時にそうしつけられたんでしょうね」ノブ君戻ってくる、ピアノに座って森山さんの方を見ると森山さん「そんな怖い顔で見ないで」会場笑い、ノブ君ずっこける。

ワルツのリズム。アフロブルー。テーマ、しかし、ソロを聴いていると、森山さん相手に良くデュオなんてやれるなあと感心してしまうわ。ノブソロ終わったけど拍手なし。・・・しそびれてしまったわ。かなりミュートしてあるが森山さんのドラムだが、おおすごい音響。今日は新品のスネア、バスドラムが16インチというかわいいサイズ。左は今日のドラムセット。向かって左のシンバルが、森山さんが最近入手されてとてもウレシイ、オールドKジルジャン。

ワンダフル!と掛け声。何か喋るかという間があって、期待のくすくす笑い。そのまま二曲目に。

サンバのリズム、ブルーボッサ。森山さんが4ビートに。誰かがフラッシュを焚いた、また後ろでも。H田さんが注意しにいってくださった。ドラムソロ。スティックが飛ぶ。ペダルに当たって邪魔になりそう、横に座っていたさんがT島さんが拾ってくださる。

「ありがとうございます、スティックを飛ばしましたがお怪我はなかったですか、拾った方のものです」といったら、T島さんの息子さん(小学二年生なのにちゃんとライブを聴いている、大したもんだ。ラブリーにも毎回来ていて、じゃんけん競争で勝ったこともある)がスティックを渡しに行き、「ああ君が拾ってくれたの、・・返してね。・・前回来た時はゲストだったんですよ。ピアノソロコンサートのはずだったんだけれど、聴きに行くよ〜なんて言っておいて、ドラムを積んでいくんですから。そのおかげで次には森山さんにやらせてやろうと、何でも売り込んでみるものですね。田中さんはあまり売り込みをなさらないんですね。・・・田中さんは最近努力をしているのか、このところピアノを弾く姿勢が良くなりましたね」ノブ君「本当〜?」とうれしそう。「キセルのせいだな」と会場オーナーの掛け声。「このシンバルが新しいんです。このスネアも実はお披露目なんです。変哲もない、大したものに見えないんですけれど、単板メイプルシェルといって、一枚の板を選んで、じわ〜っと曲げて丸くしていくので、時間も人手もかかるんです、それに失敗も多いらしくて大変なものなのです。かなり値段がしました。・・・・5000円以上します(笑)。他は日本製なんですが、これはギリシャ製なんです。ことしはオリンピックもありますし。このシンバルがいわくがありまして、先月老舗のジャズクラブ、ピットインで演奏した時に、私が20年以上前に最初に教えた人が現れて、奥さんと一緒に来てくださって、良く覚えていました。なぜかというと、このシンバルはもう40年以上前に作られなくなってしまって、ヴィンテージものになっていて、そのころ2万円くらいだったんですけれど、買おうと思った時7-8万円だったんです。一日考えて買おうと思ったら、もう他の人に買われてしまっていて。それを買ったのが自分の弟子その人だったんで良く覚えていたんです。その後いろいろ手を尽くしてシンバルを探したんですがなかなか手に入らなくて。一枚一枚手作りですから、同じ音のものがないんです。その人がピットインの1日目に現れたので、『あのシンバル良かったよね』なんて言ってたら、『森山さんよかったら使ってみてください』なんて、二日目に持ってきてくださったんです。今買っても20万円以上するんですけど。なんとかお分けいただけないかと思って、これが20万円が40万円でも買わなければと思ったら、『森山さんが思う存分叩いていただいて、こわれたらお戻しください』感激しまして、お礼の方をどうしようかと思ったら、奥さんが『20年も自分の手元に置いておいて申し訳ありません』だなんて、申し訳ないことないのに、オットができていれば妻もできているという非常に美しいおはなしでした。・・・今日はピアノもいいピアノなんでしょ?」ノブ君が頷いて「ボストンピアノ」音質が柔らかく、このような会場で弾くにはぴったりということ。

「何か田中さんにほろっとする曲を弾いていただきたいな・・」

エデンの東、のワルツ、バラード風にゆったり。森山さんマレットでお気に入りのシンバルを静かに鳴らす。いつものような大暴れの展開になるのかと思ったら、本当にバラードで終わった、めずらしい・・でも初めての曲だよね。今日の選曲は、森山バンドを初めて聴く人や、ジャズをあまり知らない人にも配慮している。

「今日は示し合わせたわけじゃないんですが、(服が田中さんといっしょの)黒なんです。でも田中さんは下が違うんだよね。私なんかコーディネートっていうと同じ色のものを着てしまうんですが、おしゃれですね。私が黒の上下を着ると、娘が『危な系みたいだ』って。宣伝カーで何か言いそうだって、そんなわけないんですが。私くらいの年齢になりますと、頑張ってきた人たちがそれぞれ結果を出している年代なんです。岐阜県の可児市で今年も9/18にアーラというコンサートホールで演奏するんですが、それぞれが1000人呼べるような人を並べて満員になったものだから、ホールの方は森山さんがやれば1000人満員になるなんて思ってしまって、毎年やりましょうなんていうこと言うんですが、今年も虎の威を借りて演る予定なんです。年が変わると1月からどうしようかなんて考えちゃうんですが、今年は山下洋輔さんとか板橋文夫さんと、ここにいる田中さんと一緒にやるつもりです。演奏をするのに何かキャッチコピーを作りませんかなんていって、最初の年は魂を打ち抜くドラマー、なんてかっこいいのを作ってもらったんですけれど。かっこいいでしょ?今年できたのは『三人まとめてかかってこい!』ですって」オオウケしてしまった。「笑ってる場合じゃないんですよ、あなたのことですよ、田中さん!・・・次の曲とは何の関係もないんです。そんなわけで(どんなわけだ)次の曲は浜辺の唄です。山梨の生まれで海を見たものがなかったものですから、勝沼小学校で修学旅行に江ノ島へ行くというときに、先生が黒板に絵を描いてね、これは江ノ島で、周りは海で、波がざあ〜っと来てね、なんて話をしてどんなものかと思い浮かべていたんですけれど」

ノブ君の左手、本当にさざ波が寄せているみたいだわ。ノブソロのバックで、森山さん唄っている。ノブソロから森山さんが叩き、倍テンに。ノブソロ、ヒートアップ、やれやれ〜。ドラムソロ、スティック飛ぶ、派手なロールから静かなロールに。ノブ君テーマに入る、森山さんブラシに持ち替える。あ、サビで倍テンになるのに・・と思ったがサビの前に一瞬のうちに森山さんスティックに持ち替える、さすが!(当たり前か)爆裂ドラム、ノブ君疾走。すごい、行け行けっ!

「少し休憩をしますのでお飲物など。これからは私のおごりです(冗談)

CDの宣伝、便乗してイラクチルドレンの宣伝。カンパが集まり、大感激。CDの販売、いつも「同居人」さんやらOkadatoに任せているので、おつりの事やら価格表やら全く頭から抜けていた、申し訳ない。

あまりに天ぷら、かき揚げがおいしかったので調子に乗って食べ過ぎて、胃が苦しい、ビールがのめない。いろいろ勧めてくださるが満腹でもう食べられない。もったいない・・・

8時前から2ndスタート。Smile。ノブソロ、軽快に。4バース。森山さんすごい勢いで叩いているふりをして、演技たっぷり。ノブ君まで大笑い。

「ありがとうございました。ふざけているわけじゃないんです。思い切り打ち込むとこうなってしまうんです。自分でも楽しもうという感じがあるんですね。きっと」・・・はあ〜とため息を森山さんつく。「つらそうですね」の掛け声。
「いえ!・・・安部譲二さんとか、この辺にお住まいなんでしょうか。遊び仲間だった人、安部さんなんかは年が上なので仲間っていうのでもないのですが。昔の仲間がトントン拍子に有名になっていくんです。山下洋輔さんとか、タモリさんとか。あの人はそんなに有名になるとは思っていませんでした、お座敷芸でしたから。この話しましたよね?あ、してない。昔、山下トリオで演奏旅行で九州に行った時に、変な男がついてくるんです。山下洋輔は森山の知り合いだろうと、私の方は山下の知り合いだろうと思っていたので大事にして、お酒なんか飲んだりしていたんです。すると朝になるとホテルのロビーで待っているんです。彼は車も運転するんで、私と山下が後ろの座席に乗って、やまなみハイウェイを通る道は列車よりいいですよ、なんていって運転していってくれたんですが、料金所につく前に『私中国人の真似しますから、ばらさないでください』料金所についたら係員のおじさんが『いくらです』って言いますよね、それに向かってウソの中国語を延々まくしたてるんです。けっこう長くて、後ろに車がけっこう並んでしまって、それでもやめないんですよ。やれやれって言った手前、今更ばらすわけにいかなくて、私と山下は後ろの席で小さくなっていたんです。料金所のおじさんも『もう行って良いよ』って。それで東京に帰って面白い男にあったよなんて、今新宿で呑んでるんだけれど出てこない?なんて言ったら、次の日に本当に奥さんと一緒に出てきたんです。それからトントン拍子にうまくいって今のタモリがいるんです。なんでそんなことを言ったかというと、私がトントン拍子に無名になってしまって・・・。娘がうんとがんばって100才までドラムを叩いていれば有名になれるよって。これから長生きして有名になるつもりです・・ねえ田中さん!次の曲は・・・ああ、ダニーボーイ

掛け合いがおもしろい。ブラシで好きなように叩いているように思えるのだがノブ君の方を全く見なくても音だけで合わせて起伏を作り出す。ノブ君五月雨状に鍵盤を叩く、森山さんも間を埋めるかのようにノブ君とサウンドをつくり、ブレイク、決まった、ここからドシャメシャのやりあい、ブラシが弧を描く、おおバシ〜ッ!ブレイク、テーマに。「ブラボー!」拍手拍手。終わって森山さんも珍しく自分で拍手。

スティックを取り出す。ズダン!でサンライズが始まる。なかなか大変だよ、これ。最初にデュオでやったとき、提案したのだけれど、実際やってるのを聴くととても大変そう。テーマが終わってソロになると、おおノブ君すごい、森山さん相手に良くやるなあ。けっこうソロ、長いぞ。森山さんもけっこう本気の音量を出して叩いてる。ノブ君終わるか思ってもまだまだ続く、会場から拍手が起きる。あれ、ソロが終わったのに拍手がない。キーボード叩いてたら手を叩き損ねた。まずいな。森山さんの横に立ってるマイクが大きく揺れる、おお、森山ソロ。目にもとまらぬ早さでスティックが行き交う、ノブ君の機をうかがう視線、ドカン!でテーマに戻る。

「田中信正!ありがとうございます」拍手。拍手、拍手、「これだけウケると有名人になったような気がします。また呼んでいただければ田中さんと参ります」ノブ君拍手。「岐阜県の可児市に戻ったら、おとなしくしています。時々東の空を眺めて今日の楽しかった出来事を思い出します。皆さんがいらしてくださるなら、私も必ず参ります。ありがとうございました」

ハッシャバイ。ちょっと短めのソロ。森山さん歌っている。

森山さんがノブ君の方を見て、アンコールの拍手の中、指示を出す。グッドバイ。静かで美しい、ひたってしまう。キーボードを打つ音もそっとしないと。和風の音階が入る。森山さんもじっとノブ君の音を聴いている。あ、ミストーン(ジャズにはミストーンがないと言えば言えるな)。森山さんのブラシワーク、最後のところでまたこわれるんじゃないかって言うほどの動き、でも新しいブラシだから大丈夫でしょう。観客も大満足、拍手が鳴りやまない。

CD販売好調。ノブ君のは10枚全部売り切れ。森山さんのも20枚くらい売れたかな。おつりが用意してなかったので、ノブ君のCDのおつり、イラクチルドレンにカンパしてもらった・・・でもあとで気がついたら、価格を間違えて高く売りつけてしまっていた。ごめんなさ〜い。でもその分、ノブ君がカンパしてくれたよ。彼もずっと、活動に賛同してくれています。ありがたいありがたい。私の分も加えて2万円は寄付できそう〜〜〜!

終わった後はジャムセッション、唄あり、連弾あり、H田さんのフルート、ギター、入り乱れての楽しい宴会。カメチンさんもドラムを叩く。ノブ君の弾く5拍子の津軽海峡○景色、クラシック、もう大変。外は見事な星空、楽しい夜は更ける。