-森山威男3DAYS@新宿PITINN 3日目-


夕方、H條さんおすすめのベトナム料理店で、TOMちゃん、Kurikoちゃん、Kasumiちゃん、Mayumiちゃんの5人で夕食会、「森山組レディース班東京支部結成」だなんて言いながらぱくついて満腹。その足でピットインへ向かうが、私は途中でMDを購入する寄り道。7時半ぎりぎりにたどり着く。今日は地下に降りると日曜日だというのにすっごい人。3日間のうち1日を選ぼうと思うとやはりレギュラーバンド(+1)を選ぶのかな?入場が終わると店内一杯!立ち見もいっぱい出て。

20:05スタート、森山さんはいつもの白シャツ、音川さんが首の部分にひも飾りが付いた白いトレーナー、井上さんも白シャツにジャケットで白上着率高し。「ようし」と気合いを入れる森山さん。うん、Exchangeだね。あ、録音スイッチ入れるの忘れた。今日は結局新しいMDレコーダーを購入することに。ドラムのど真ん前の席なので、あとで再生してもきっとドラムの音しか入っていないだろうな。う〜ん、やっぱり2ホーンの迫力は凄い。森山さんがロールを回して低い方のフロアタムを叩いたら、スティックがマイクスタンドに当たって揺れる。ああ、うれしいな、2人で並んで立ってる姿、ほれぼれしちゃう。今日の私の席は森山さんが叩く音がダイレクトに坐っている椅子の背に伝わり、その振動が私の背をゆらす。森山さんの今日の白シャツは糊がきいているね、でもすぐにどうせ汗でよれよれになるんだろうけど。音川ソロ、シルバーのサックスがぴかぴか光る、硬質のシャープなサウンドでストレートに吹きまくる。振り上げて合図、トシちゃんが入ってきてリフを合わせる。井上ソロ。こちらはちょっと搦め手。ベースがバックでものすごい勢いの音。ノブ君の音が今日は聞こえにくい。井上さんヒートアップ、森山さんがあおるが、実は火付け役はグズラさん。井上さん高音で吹きまくる。合わせるところのサックスの振り上げ方が目立たなかったか、ちょっと音川さんタイミングを逸したように見えた。ノブソロ。森山さんじっとノブ君を見ながら叩く、ガンガンあっというまにサウンドが盛り上がっていく、唖然、なんだか心配になってしまうくらい。2人のやり合ってる姿がとてもよく見えておもしろい。ドラムソロに突入、森山さんのほんの少しの手関節の動きで、スティックが大きく動くのがよくわかる。すごい形相だ。バスドラの振動がドスドスと伝わってくる、スネアの響き!ッタントン、ッタントンのリズムパターンからアフロリズムになり、2人が揃ってテーマに入る。エンディングの二人の絡み、延々と続く、すごい迫力。森山さんも延々と叩きまくる、サックスを振り上げ、ロールで終了。

「ありがとうございます、音川英二!井上淑彦!田中信正!望月英明!」拍手。「ありがとうございます・・・・・・・・・」話題を探すかのような間が。「あ、(気がついたかのように)あの、似合ってますね」と音川さんの着ている白トレーナーを指す。「ありがとうございます」「今年の、去年の?」「去年」と音川さん。「私の住む町のalaでコンサートをやったんです。去年のalaで着て演ったんですよ。その後がまずかったんですよ。汗かいたのでそのまま洗っちゃったら、生地がウールだったんで縮んじゃったんです、それで着ていただいてるんです」笑い、拍手。「本当は違う方にあげる予定だったんです」音川さんがくすくす笑う。「実は望月さんに着てもらおうと思っていたんです」爆笑。「ほら、いつもこういう風な暗いイメージの服を着ているでしょ。思い切って明るくなってもらおうと思って持ってきたんですが、頑なに拒みまして(笑)、で、『いいよいいよ』っていう顔を見たら、もう真っ赤になってるんですよ(ライトのせいか、本当に真っ赤)。意識しすぎだ、って、そんなに見てないよ、っていうんですけど、自分では相当見られてるつもりになってるんで、あんまり見ないでやってください。最初はExchange。板橋文夫の作った曲です。今日は1st setは板橋の作ったOnlyでやろうと思います。従いまして、次の曲はワルツのあの曲、それが終わればターンターンタッタッタッタ、もう3部作ですから。田中さんよろしくお願いします。やりにくいですか人の曲は?」ノブ君「そんなことないです」と首を横に振る。「さっきいやだなあって言ってなかった?(笑)やる気でおります、どうぞ!」とノブ君を指す。

美しく流れるようなメロディーライン、川のせせらぎが聞こえてきそうで、イントロだけでも胸がいっぱいに。ノブ君が顔を上げて、グズラさんと森山さんに合図。3人でワルツを奏で、井上さんがソプラノ、音川さんがテナーを持ってフロントに立つ。う〜ん、いい曲だなあ。トシちゃんのソプラノソロ。こういう手慣れた曲だと森山さんも楽々叩けるだろうなあ。慣れた曲で、こちらも聞き慣れているのでゆったりしてしまって、今更何をレポートすることがあるのかなどと開き直ってしまって・・・はいけないわね。でも考えてみればノブ君の渡良瀬はそうそう聴けるものではないのだ。ノブソロのサビから井上さんがソプラノでつけ、音川さんもそろえる。おお何だ、この音階は。やれやれもっとやれ、って感じでノブ君をあおる森山さん、もう終わるかという雰囲気だったのに暴れろとけしかけてお尻を叩く。う、うわ〜。観客席は固唾を呑んで見守る、って感じ。拍手拍手。

汗を拭く森山さん、黙ってそのまま固まっている。MCマイクを持つ様子もなく。ステージ上のメンバーもみんな森山さんの方を見て待っている。アクションを森山さんが起こさないと何も始まらないんですけど・・・・・次の曲は。・・・・・という間があって、あ、そうかといきなり気がついたように合図もなくいきなり「パカン!」と入る森山さん。あまりのイントロの短さに慌てたノブ君、大きくタイミングをはずす。観客大受け。せめて「タカタドン」ぐらい入れてあげればいいのに、森山さん。Sunrise、テーマ、2管だと凄く厚みがある。このハモリがかっこいいんだよね。トシちゃん正攻法の力強いソロ、やっぱりこうでなくっちゃ!ストレートさ加減が気持ちいいわ。ダイレクトな直球勝負。森山さんが「ターンタッタッタ」とバスドラでリズムを入れてノブ君がつける。音川さんもつけ、トシちゃんが吹きまくる。おお、この分だとまだやってくれるな。音川さんがバックであおる。ノブ君、あばれていいよ。3拍フレーズ。アタマからターンタンタッタッタとまた森山さんがつける、ノブ君合わせる。テナーソロのバックでドラムソロ状態、3日間やってきてまだ暴れ足りないですか、組長。すごい盛り上げ方だ、「ヘイ」とノブ君に声をかけてもっと暴れろというような催促、音川ソロのバックでむちゃくちゃをはじめる。このパターン、PIT INNに来てからじゃないかな〜?ばりばりに盛り上がったまま音川ソロ終了。ノブソロ、望月さんとのデュオ。急にステージ上の音が小さくなったら耳がぼ〜んとしているのに気がついた、シズルの音が響いているのか耳鳴りだかわからなくなっちゃった。いや、すごいわ、このバンド。グズラさんもばんばん弾いてソロをしているかのよう。ノブソロ、本当はこの弾き方でも凄いはずなのに、「もっとやって」って思っちゃうところが、慣れってコワイ。やっぱり森山さんが盛り上げていって、音川さん井上さんがつける。ノブ君森山さんの方を見てサビからのフレーズを入れる。森山ソロ、うん、長めだ、すごい。さらっと終わっちゃわないところが!
「音川英二!井上淑彦!田中信正!望月英明!しばらく休憩します!」

休憩の間にじゃんけん大会。今日は負け抜き大会で、森山さんに負け続けた人がもらえるという趣向。おとなりのBlue in Greenさんの奥様、「負け抜き合戦なら自信がある」とのこと、本当に負け抜いてalaの記念ピンク色Tシャツゲット!「これで3色そろった」と喜んでいらっしゃる、なんでもalaで黒と緑はお買いになったそうで。う〜、ファンの鑑。

昨日はピアニストの高○アキさんがいらしてくださった話、今日は森山さんのジャズを取り上げた小節を書いたことが文藝春秋の賞をとり、その後どんどん本を書いていらっしゃる今○敏さんがいらしている話、お母様の話などをなさる。

2nd set、望月さんシャツがalaの黒シャツに着替えている。21:30。Non checkだ、わ〜い。思わず「わ〜い」と拍手しそうになって、手に持っていたペンを放り投げそうになった。そうね、ピアノのバックがつくのね、新鮮。この前のalaでもあったけど、この曲はピアノレスだった。うん、ピアノのバックがつくNon checkは以前トシちゃんと音川さんの競演があったスタジオF以来かな?列の端同士なので見えないけれど、たぶんTOMちゃんが大喜びしてるだろうな。う〜ん、これも名曲だ。音川さん吹くのは3回目でしょう。さすがプロ。合わせるのはとても大変そうな曲なのにばっちり。あ、考えてみたらノブ君こそ、これを弾くのは2回目、それも何年かぶりでしょうね。ソロ大丈夫だろうか。でもやっぱりこの曲はサックスが一番大変、森山さんがalaでスピーチしたとおり、「サックスはどれだけ大変でもいいけどそれ以外は簡単に」のリクエストで井上さんが作った曲。トシちゃんが目で合図してソロに入る。音川さんが座ってくれたのでノブ君の表情が見えるが、慎重にバッキングしているみたいだ。おや、ノブ君弾いてない?わけないか。う〜ん、トシちゃんのソロ、あああふれんばかりのフレーズとインパクト。バックで暴れる森山さん。ノブソロ。森山さんとの「フリーバトルデュオ」ソロになった。う〜ん、森山さんのしかけにどう反応しようか、一瞬迷うノブ君。2人でガンガンとやりあい、森山さんが出すリズムにノブ君が反応する、そのアクションに反応する森山さん。お互いが触媒となってどんどん反応が進む。森山さんがダンダンダン!といれ、二人のブレイクが決まった!2人とも無音になるが、森山さんが両腕をぱっとノブ君の方に差し出しソロを要求。ノブソロが始まる。途中でフロント2人を見上げるノブ君。サックス二人が吹き始める。スティック飛ぶ。すごいスピードのバスドラム。ドラムソロ、今回の3daysは長いなあ。ロールからグズラさんぱっと入る。う〜ん、カッコよすぎ〜。わ〜ん、くう〜っ!堪えられん!

「井上淑彦!音川英二!最初の曲は井上淑彦のオリジナルで、Non checkでした。これをメインで演奏していたのは何年ぐらい前でしょうね、20年くらい前になりますか」冗談だろうという雰囲気で観客席が沸く。「そんなにはならないか」「近いですね」と井上さん。そうです、ちょうど20年前ごろですよ。あ、いやこの曲ができたのは藤原さんがいらしたころだから、22年くらい前じゃないかな?じっと井上さんの方を見て、「年とらないね」爆笑。「お互いに」井上さん、うまいなあ。「そうです。昨日も、年の話をしないようにしようと思っていたんですが。ちょうど共通の悩みがありましてね、私はこっち来る1週間前から肺炎にかかって、ピットイン3日間はもうダメだろうと思っていたんですが、運がいいんでしょうか、最初に飲んだ薬が私の肺炎菌に大当たりで、急激に良くなって来ることができたんですが、ただ一つ、咳をすごくしたので、そのはずみで腰痛になってしまって。咳をやりすぎるとなるんでしょうかね。お医者さんに聞いたら『くしゃみでもなりますよ』なんて言ってたんですけど、くしゃみと腰は何か関係あるんでしょうかね?で、そういう話をしたら井上さんも腰を痛めたそうで。私のために持ってきてくれた痛み止めの薬が井上さんの方に回ってしまって(笑)。どうりで演奏しているときに前屈みにならないなと思ったら、一回前屈みになると二度と起きあがれないって。すましてハンサムそうにしてますけども(ハンサムです)一皮むけばなんのことはない、同じオヤジだっていうことです(爆笑)。その、さる司会者の方がね、田中さんとか音川さん、井上さんを捕まえて『こちらビジュアル系ですね』。俺と(すでに笑い)望月は何系だっていうんでしょうか、そんな決め方をしてほしくないよね」と望月さんの方を見る、望月さん頷く。「今日は素直ですねアナタ。このおそろいのシャツを着ていて」大拍手。「いいよあの、何を着ても似合わないから(井上さんが『ヒドイ』)、着るものに困らない」さすがウン十年のつきあいだけある、好きなこと言って受けをとっても望月さんが怒らないことはよくご存知。「あの、今日勝沼小学校の同級生が来てくれたんです。驚くでしょ、小学校の同級生。小学校以来会ったことがないんです。私は勝沼小学校を6年行って勝沼中学校にはいって1ヶ月くらいで甲府の方へ引っ越してしまって。それ以来勝沼小学校の方とお会いしていなかったんですけど。区切りがいいからって、石和っていう温泉のある町で同級会をやったんですよ。私控え室はこちらですって案内されて、なんか変な老人会みたいな所へ入って行っちゃったかと思ったら、何のことはないそこがそうだったって(大爆笑)。私偉そうにこんなこと言ってますけど、部屋の中にいた人から見れば変な老人が入ってきたと思ったんじゃないかなと思って。いえ、決して今日入らしてくださった方の悪口を言うつもりじゃありませんで。それくらい知らない間に年を取ったと言うことで、若作りをしてもダメだよ、って・・ねえ井上さん」井上さん反射的に「ハイ」と答える。「イヒヒヒヒ、今日はみんなすごい素直だね、あ〜あああ、うれしいな(笑)。最初はNon checkで、井上さんともいろいろなところを旅しましたが、ヨーロッパは圧巻でしたね。あの、井上さんがいかに肉が好きかというのに驚きました。イタリアで、こんな大きい厚いステーキ、一人前こんなの食べきれるかなと思ったのに、なになに、2枚食べて更に奥さんの方まで『ちょっと半分ちょうだい』なんて手を出すくらい肉好きで、あれにはびっくりしました。・・・・大した思い出じゃないんですが」爆笑。「・・・こういうことを言うと、自己嫌悪に陥るんです。言わなきゃ良かった、言わなきゃ良かったと思いながらそれをとりつくろうとしてまた変なことを言ってしまうんで、帰ってから布団をかぶって泣くんです。まあそこまで想像してやって許してやってください。ねえ田中さん」ノブ君頷く。「じゃあ2曲目はこれもまた井上さんのオリジナルです、Gratitude拍手、でここで始まるかと思ったら今日はまだMCが延々と。「きれいな曲ですね、あの一つお聞きしてよろしいでしょうか。あの、井上さんは曲をたくさん書いていますけれど、どういう風にして曲って言うのはできあがるんでしょうか」井上さん考えている。「難しい質問でしたか」「ピアノの前に坐って、ピアノの一つの音を出すと、それからぱあっと何かが出てくるんです」拍手。昨日の音川さんとぴったり符合するような答え、昨日も聞いていた人はびっくりしたんじゃないかな?森山さん「うわあすごい」「そういうこともあります」笑い。「俺なんて、ドラムの前に坐ってこんなことしてても何も出てこない」笑い、ノブ君の爆笑。「えー、音川さんもそうですか?何かひらめきみたいなものがあるんですか」「そうですね、昨日言ったみたいに最初に弾いたコードで」「ああ、それはコードを知ってるから、そういう広がりが出るんですね。俺なんてラドミばっかりだからみんな演歌になっちゃうんですよ」音川さん爆笑。「ラミラシラミラシドなんて。お二人ともどうやっても演歌みたいなフレーズは出てこないんですか、それとも出さないようにしているんですか」「フォークソングみたいのが出てくることが」と井上さん。「お品がよろしいんですね。わたしなんか悪い番組ばっかり見ていて、悪いって言うのはつまりジャズドラマーにとってですよ。変なものばっかり見ていて、子供の時は演歌しかなかったんですよ言ってみれば」「そんなことないでしょう」と井上さん。「いいやなかったんです。勝沼は演歌の町ですよ、ねえ***ちゃん」と同級生に同意を求める。「そうなんです、勝沼は演歌の他はあとは浪曲しかないんです。私はどちらかというと演歌の方で。だから今でも曲を叩いていても演歌で数えているんです。知りたい?どうやって叩いているか。聞きたくないか」「知りたい」と音川さん。「まあいいですね、こういったきれいな曲がインスピレーションでぱあっと出てくるっていうのはね。演歌の作曲かもなんかそうだって聞きましたよ。北島サブちゃんの曲を作ったっていうひとは、冬の北海道で雪がざ〜っと、ぴや〜っという音でもって北海なんとかいう曲ができたって。・・・んなことあるんでしょうかね(笑)。私なんてどこを歩いていてもなんの曲も出てこない。情けない話になりましたね、やめようかな。Gratitudeの曲名のゆえんなんてあるんですか」と井上さんに訊く。「・・・・長くなりますよ。」「そお?」「1時間くらい」・・・・・「脅かされちゃった。わかりました。じゃあ、終わってからみんなでひとしきり丸くなってそれを聞きましょうかね。じゃあ、まずは曲を聴いてからにします。Gratitude、井上淑彦」なんて長いMCだ、聞いていて楽しいけどあとのレポートが大変だなあ。

ノブ君が素直にイントロのメロディーを弾き出す。そして望月さんが。トシちゃんがメロディーを吹き、音川さんが合わせる。ううん、ため息が出る名曲。スタジオFでやったときには音川さんがメロディーを吹いたと思うんだけれどね(http://www.shionoya.net/2002JanstudioF.html)、やっぱりトシちゃんの曲だもんね。う〜ん、すてき。いつか、井上さんの奥様ののんちゃんが「トシちゃんが50才になったとき、どんな素敵な音楽をやっているかなあ、楽しみ」ってかわいい顔で夢見るように言っていたのをきいたけど、本当にステキだなあ。トシちゃんソロ終わり、ノブ君がどうするのかな?って顔で音川さんを見上げるが、音川さん目で合図してノブ君にソロを促す。サビから音川さんがつけ、井上さんも入る。テーマ、観客も息をひそめて聞いている、Pit innのなかを静寂が覆う。

いつもならここでサンライズなんだけどもうやっちゃったし・・・お、トシちゃんがめがねを出す、ということは音川さんの曲?うわ、N.O.W.だ。うれしいネエ。2管の厚み!迫力!!
音川ソロ、もう最初っから全開。シャバダバと吹きまくる、剛速球のストレート一直線、もう押して押して押しまくる。どんどんエスカレート、リズムに森山さんがバスドラで合わせてあおる。パワーあふれる硬質のソロ。井上さんは硬軟おりまぜフレーズに変化をつけ、柔らかい音色で。サックスの音色だけでなくて、本体の色も音川さんのぴかぴか新品メタリックシルバーに対し、井上さんのはいぶし金(?)の年季の入ったサックス、好対照でおもしろい。ノブ君ソロ。森山さんを見ながらどうやってしかけようか、しかしちょっと不発か。こんどはお互いを見ながらバトル、森山さんノブ君を叩きのめそうかとするかのよう。2人の間で黙々と弾くグズラさん。ンタッタ、ンタッタと入れて二人でぴったりブレイク。そこからノブソロ終わり、テーマの終わり4小節を音川さんが合わせ、音川森山デュオとなった。おや、音川さんのフリーソロだ、おおトシちゃんも。1コーラスバースかな、そういえばこの曲はブルースだった。だんだん二人が絡んでいって、2人でのデュオだ、すごい、こういうの聞きたかった〜!まったくのアドリブとは思えないほど二人のサウンドがうまく合って織りなす、何て音楽的に質の高いサウンド。おもむろにスティックを取り出す森山さん、テーマに入って森山ソロ、二つ打ちの正確さよ。テーマ、ぴったり全員が合って疾走している、すばらしい!

メンバー紹介。拍手、森山さん観客の拍手に合わせてスティックで拍手。「いつも言うんですけれど、私本当はうわ〜っと叩くのは好きじゃないんです」会場爆笑。「でも、枯れたドラムなんて聴きたくないでしょ?枯れてなんかなるもんか!曲だけは枯れたのをやります。Hush-a-byeイエー。

枯れた雰囲気で吹き出すトシちゃん。サビは音川さん、のこりの8小節は2人で絡む。トシちゃんソロ、音川さんソロの順。う〜ん、うー、ライブでも毎回、この曲の頃になると今日のステージの思いに浸ってしまって、胸いっぱいに迫ってきて、メモが取れなくなっちゃうんです。グズラさんソロ。サビからフロント2人が8小節つける。ノブ君がどうするの?って顔で見上げるが二人ともテーマに入らず、森山さんがソロを取る。ひさしぶりかも。曲が終わって、メンバー紹介、拍手の中引き上げていく。拍手が続く。

森山さんとノブ君が出てくる。ノブ君が弾き始めようかどうしようか迷い、音をちょっと出すが、森山さんがエヘヘと笑って、「ありがとうございます」としゃべり出す。「なんか、私の方が去りがたくて、いつまでも終わってしまいたくない、っていう気持ちと、ものすごく疲れたなあって気持ちと」笑い、「こうやってステージに立っているだけでもいいんですけれど。立っていても絵にはならないんですけれど・・・ああ・・・あの、可児市のalaで年に一回コンサートをやれるようになったんですけれど、いつまで続くことやらと思っています。この前は山下洋輔、板橋文夫、田中とピアノ3人でやって、まあ半分おふざけから出たような企画だったんですけれど、みごとピアニスト3人が本気でやりあってくれまして、それはおもしろうございました。来年はやっぱりホーンを何人か入れて、音を厚くしてホーン対決っていうのをやってみたいと思います。トランペット、アルトサックス、この人はどうかと推薦する人がいれば、今日終了後に私の所までお教えください。で、それが来年ですけれど、再来年はそれが最後打ち止めでドラム合戦にしましょうかね。勝てそうな人だけを呼ぼうと思います」大笑い、しかし森山さんに勝てる人って誰がいる?「こんなこと言うと、本当にやったとき来てくれた人が気を悪くするかもしれませんね。いつまで続くことやら。山下洋輔が40になったときに、すごい泣きそうな顔で電話かかってきまして、顔でっていうか声で。『俺40になっちゃったよ』って。なっちゃうよ、そりゃ誰でも。そういったのを非常に昨日のことのように覚えています。40どころじゃないよね。こんどいくつかになったとき、『俺こんなになっちゃった』って言うんでしょうかね。かくいう私も、外見を若くとりつくろおうと思っていますが、なるべく咳をしないようにして腰をかばいながら、咳とかくしゃみとか非常に圧力のかかるものは体のどこかをいためるもので、どうもこの舌ガンになったときも、ドラムを叩いているときに歯を食いしばるでしょう、それで舌をかんでいるらしいんですね。そういうのが原因で、舌ガンになったらしいんですけれど。今日もしげしげと鏡を見ましたら、ここ、なんかスジみたいに見えるんですよ、こんなものなかったんですけれどね(と首を指す)。こういうのあとからお医者さんに文句言ってもしょうがないんでしょうかね。こんな顔になっちゃった、って。あの、大きい病気をしないように、注意深くやっていきたいと思います。やります。田中さんはまだこれからだもんね。・・・まだ、40前?」「そうです」「40前だっつったって、40なんておじさんだよ?おじさん!」ノブ君頷く。「長年、ありがとうございます(とノブ君に)。ぜひまた、alaにもいらしてください。じゃあ、終わりにします、ありがとうございました」と頭を下げ、ノブ君がソロでイントロを弾きだす。
森山さんは頭を下げ、膝に手をついてじっとノブ君を聴いている。ノブ君の美しく悲しげ、しんみりしたメロディーをバックに、森山さん青いライトにてらされて身じろぎもしない。テーマが始まっても、息をしているのかどうかすらわからないような、サビになっても叩き出さないんじゃないかしら・・・お芝居の舞台やら映画なら、このまま動かなくなってしまうドラマってあり得るな、なんて一瞬思ってしまってドキッ!あ、サビの直前スティックを握って叩き出す、ホッ。ノブ君ソロ。もうこんどはこっちが身動きできない。胸に迫る。ペンを動かすことすらはばかられる。

ここでまだアンコールの拍手をする人がいるが、さすがにねえ。同調する人が少なく、あっという間に拍手は鳴りやんでしまった。会場はため息と余韻に包まれている。ドラムを片づけようとステージに立って会場を見ると、「森山組レディース班東京組」の3人はもう目がウルウルになって、立ち上がれない状態。そうそう、ホントによかったよね、胸がいっぱいだね。
3日間が3日とも優劣をつけるわけにいかない違った魅力で、やっぱりどれも聞きのがせなかったなあ。楽しかった。TOMちゃんは新宿発の夜行バスで名古屋まで帰るという。さあ、明日はまたも始発のこだまに乗って豊橋へ出勤だ!

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