おっ、森山さんのドラム、新品だ。オレンジ色でちょっと派手目。TUCと可児で続けてあるから2セットドラムがないとだめならしい。今日はラブリーでのセッティングが違ってドラムが左、ピアノが右。

メンバー拍手と共に入場。入ってきたと思ったら音川さんが出ていってしまう。森山さんもうマーチのリズムを叩き始めている。今日はトリオから始めるのかと思ったが、不安そうに田中さんが入り口を見ている。何か忘れ物を取りに行ったらしい。大丈夫かな?しばらくして音川さんが戻ってきた。あ、この至近距離で聴くとすごいスネアの音。いいなあ、やっぱりラブリーは。このグループを聴くのにベストプレイスです(タバコの煙さえなければ)。森山さんは上体が微動だにせず、手先だけ動いていて爆音。上半身だけみていたら、こんな音を出しているとはとっても思えないのでは。ああいいなあ、ベースもよく聞こえる。田中ソロ、いきなり猫手奏法。ふなさんの位置から、一番よく田中さんの手が見えそう。私の席は、手を伸ばせば音川さんのベルに届きそう! 1mのところで吹いてるんだもん。マーチから4ビートに変わって熱い音川ソロ、暑そう。いきなり汗だく。田中さんも。帽子取れば?なんて。けっこう長い森山ソロ。三日間叩かなければならないのを忘れてない?テーマに戻るかと思ったがまだ続く!

すかさずSun,be motionless。この入り口の音川さんの音がとても好き。ソロ始まり、音川さんの左足が後ろを蹴る。ああ、かっこいいソロ。あー、来た来た。どんどんヒートアップ。田中ソロ、いきなりもうこんなに早くからゲンコツで叩きまくって大丈夫か!?このすごい掛け合い、森山さんすごく嬉しそうな顔、田中さんを見る目が優しい。かっこいいなあ、素敵すてき、もう胸がバクバクいってる。森山ソロ、あー、よだれが出てきた。

Gratitude。こんどはまた、なんとも静か、美しい。うしろの製氷器から氷を取り出す音すらうるさい。この音量の差!グズラさんのベースがとても良い。少しいつもと田中ソロ、イメージが違う。しかし、ジャズを知らない人にとっては今出している音が本当にその場その場のインスピレーションで出している、即興演奏であるということが信じがたいことではないかしら。甘くもの悲しい雰囲気から音川ソロになり、やや明るいけど切ない感じになり、胸がいっぱいになってきた。あ、どうしよう涙腺がゆるんできた。よだれに涙じゃみっともない。どうしてこんな音が出せるかなあ。何でこんな胸に迫る音が出せるかなあ。終わって、観客のため息。

メンバー紹介。三曲続けて演奏しましたが、今のスローがGratitudeという、テナーの井上淑彦が作曲した曲です。その前二曲は題があるんですけど、めったに紹介したことがないので・・・最初のは・・・あ・・・と音川さんの方を見る。「March」と音川さんが言いかけると、Marching of seventhという曲で、二曲目が・・・とこっちを見る。小さな声で曲名を言うと、あ、The sun, be motionless。田中さん思わず苦笑い。ピアノが、と仰るのでピアノの田中さんが作った曲だと紹介するのかと思ったら、あ、ピアノじゃなくてドラムが赤いんです、これ。と新品のドラムをみんなに紹介。前の白いのが地味だっていう評判で、そんな何人もが仰ったわけではないんですけれど、一人でも気になるものは気になるっていう。それで思い切って派手なのにしようっていうんで、赤いのを取り寄せてみました。内容は全く同じなですけれど、何か若くなったような気がします。「赤い(若い)時ゃ二度ない」なんちゃって・・・えー、頑張ります。

もうしばらくツボにはまってしまって、あー、笑えてわらえてアフロリズムのFree Peopleのテーマの途中まで思わず脱力してました。田中ソロ。ベースの音、チョッパー風にばんばん入る。森山さんのシャツが汗で濡れて、だんだん黒い色が濃くなっていく。お、ピアノとドラムのデュオ対決。ああすごい。もうここにいない皆に見せてあげたいよ!バシッとドラム決まり、ベースが戻る。今度は音川ソロヒートアップ。バッキングの森山田中が目と目を見交わし、ダン!・ダン!・ダン!とそろえて入れる。森山ソロ、左手のスティックを一瞬のうちに上下持ち替えて太い方を先にし、スネアドラムの響き線をはずして全部タムのような音に変えて叩きまくる。ほお。本当に今日は一日目なんだろうか?凄いよ、ホントに。踊り出したいくらいだよ! しばらく休憩します。

二部。Sound Riverから。あ、ノブ君帽子を取ってきた。ピアノソロ、鍵盤を左右の手が交互に上下してまるでドラムを叩いているみたい。森山さんのスパーン、スパーンとはいる左手のショットが場の空気を引き締める。音はとても大きいが、もちろんめちゃくちゃに叩いているわけではない。森山さん真剣に、実に優しく田中さんを見つめている。音川さんソロ。見交わす目と目で森山田中がバッキングしながら対決している。思わずソロイストでなくてバッキングに拍手が出てしまった。快調なドラミングが自由に続く。音川さん、キューッキュキュキュと叫んでいるような。ほぉーっと、ため息が出てしまう。グズラさんのバッキングも実にヨイ。少々アンプの調子が良くないのか、周りの音量が大きくなると聞こえづらくなるのが残念。森山ソロに突入。もうなんだかメモを取る手が止まってしまう。スタタスタタスタタスタタという三連符からアフロリズムに戻り、テーマに。

「ありがとうございます、とメンバー紹介。・・・・明日があるから、今日はそっとやろうね、って言ったのに(爆)、もう明日なんてどうでも良くなっちゃいました。・・・さっき休憩時間に、華麗なピアノと不気味なドラムのレコードがかかっていましたが、あれは今月27日に徳間ジャパンから発売になる"しーそー"というタイトルのレコードです(注:レコードは出ません。森山さんはCDのことをしょっちゅうレコードと仰います。年がわかりますね。)ピアノは渋谷毅でドラムが私です。どうやってやろうかなと思っていたのですが、「お金くれるから、やらない?」って言われたんで(笑い)、「くれるんならやる」って。でもホントのことは、自分でほっとしたときに自分のドラムでも聴けるようなものがなんかあるといいな、って。いつも自分のレコードをかけると、他のことが手につかないんです。のめりこんでしまって、叩いているようなつもりになっちゃう。それで、何か叩いてないかのような、そういうレコードをほしいなあって思って、それにぴったりだっていう気がします。半ば遊びのつもりだったんですけれども、いざレコーディングの時になったら、やっぱり、黙っている人っていうのは何か強いですね。「次、どういう曲をやりましょうか」て話しかけても黙ーってるんです。何か考えてるのかな、って思って「渋谷さん」「え?」「次に何やりましょうか」「あ、何か、いった?」そんな風な人ですから、何か最初から最後まで不気味な感じで、ただドラムだけが四苦八苦しているようなレコードに多分仕上がったと思います。制作者側はえらく張りきっていて、何とかかんとかっていうスーパー-CDとかマルチサラウンド?スピーカー6個で聴けるような、そういう三つくらいのシステムに置き換えて三種類のレコードを出すそうなんです。・・・売れるわきゃあないんですけどね・・・(笑い)。ぜひ、まあ、どっかで聞くか、誰か犠牲になって買ってみんなで回して聞くか、発売になったらよろしくお願いします。というわけでそのレコードの中にももちろん入れたんです。聴きやすい曲だけをやりたいと思ったので、"遠くへ行きたい"とか、"浜辺の歌"とか、"ハッシャバイ"とか全部で11曲、そういう曲ばっかり入れたんですけれど。その中の一曲です。"ダニーボーイ"。」拍手。

音川さんの息づかいまできこえてきそうなテーマ。望月さんが弓でつけているが、けっこうこれ、私は好きです。テーマから田中森山デュオ。森山さんが田中さんの様子をうかがっている。いつもはバシッと決まるブレイクのタイミングがほんのちょっとずつずれる。音川さんが入って望月さんがつける。ベースアンプの音量が少し低いのか、弓があまり聞こえなくて残念。ブレイクしたあとから音川さんが入り、爆走。あれ?今まではサックスソロあったっけか?最後でサックス、テーマを吹いたようだがあまり聞こえず、最後田中さんがそっとテーマを弾くところとの対比があまりうまくついていないように感じられた。

森山さん無言のまま、スティックでカン・カン・カッカッカッカッとテンポを出し、Departure from the mysterious flash.吹いているときの音川さんの首が太くなったような気がする。畳みかけるような、タパタパダバダバ・・という正確な音のラッシュ。タイムがしっかりしていて気持ちいい。4人のサウンドがしっかり一体化している。ずーんとお腹にはいってくる感じ。ほおおーっ!!望月田中デュオ、スピード感、森山入り、ドライブ感。音川入り盛り上げる、疾走する!!いつもの一日目と違うわー。ドラムソロ、おやいきなりロックのリズム?あれだけピットインでポンタさんにからかわれたのに?爆発する。聴いている方もエネルギー使うわ。

「これは、アンコール。」と言ってタタン!とサンライズが始まる。もう何回ライブで聴いたかわからないが、本当にいいわー。ウレシイ・ワクワク・ドキドキ・切ない・なんて、言葉をどれだけ羅列しても足らないし、自分の表現力のなさを思い知らされる。(・・・ここは浸っておりましたので、メモがとってありません。悪しからず・・・)

メンバー紹介。「こうやってドラムを叩いていると、いつまでも若いつもりでいるんですけれど、娘が日増しに大きくなってきて、見おろされるようになってしまいました。たまに「抱っこしてあげようか」なんて言ってみるんですけれど、(お嬢さんの)肩のあたりに(森山さんの)顔が来るようになってしまってぶら下がるような感じになってしまって。この間、テレビを見ながら、娘が「お父さん、世の中甘いね」変なことを言うんです。何かと思ったら、新穂高のロープウェーに油を差す仕事をしている人がいて、命綱をつけて篭から天井へあがって、ロープに油を差す仕事をしているんです。それを見ていてそう言うことを言ったんじゃないかとおもうんですが、「やっぱり男はああでなくちゃ」とか「あの人はすごい」なんて言って。今日は命綱をつけてこようかと思ったんですが。いったいどこにつけたらいいんでしょうか。(笑い)今日も頑張ったから、明日も頑張ります。今日だけといわず、明日もよろしくお願いします。」

ここで一瞬田中さんがピアノを弾くかどうか迷った。いつもは美しいピアノソロだけだが、ピアノと一緒にドラムが少し叩いて何が始まるやらのデュオ、そのあとピアノのソロのイントロ。Goodbye.ゆったりとした広がりのある音色。この演奏はジャズ?現代音楽?何に分類されるんだろう?テーマ、グズラさんの音がよく聞こえる。あー、ソロもいい。(涙)いい演奏だった。一日目とは思えない、なんて言ったら怒られるかしら。充実のステージでした・・・。

と、拍手が鳴りやまない。でも十分堪能しました、ああ感動!しかし価値のある\5,000.-だわー、と思っていたらまだ数人が拍手を続けている。あれ、森山さんが戻ってきた。CDの紹介?あれれ、メンバーが戻ってきた!望月さんがベースアンプのスイッチを入れる。口をぽかんとあけて唖然としていると、私の顔を見て「やる曲はなんぼでもあるでね」と森山さん。いつもアンコールをせがまれると「もうやる曲がないんです」と仰るくせに。ハッシャバイスタート。TOMさん大喜び。田中ソロ、三拍フレーズなんて使っちゃってえ!森山さん歌っている。ちょっとアップテンポのハッシャバイ、音川ソロ。・・・・たくさん曲が聴けるのは嬉しいが、無理にアンコールをさせるのはあんまり好きじゃない。さっきのGoodbyeで十分完成したステージだったと思うので。望月さんソロ・・1コーラス?終わり方がちょっと中途半端だったので皆テーマに入れず、森山さんソロに行ったが爆発しそこない、少し尻つぼみのようになってしまった。ちょっと残念だったが、ま、減点にはなりません。本当にいいライブでした。明日も期待できそうです。

森山さんご自慢の新しいドラムです。

二日目のレポート