4時15分まで名古屋で仕事をし、急いで名古屋駅に向かう、のぞみで品川で降りるか、東京駅まで行くか迷ったが、乗り換え回数が一番少ない東京駅から丸の内線で新宿三丁目に向かうことにした。JR新宿駅で降りてから、イナカモノなので迷いながら人混みをかきわけかきわけ荷物を引きずっていくより、新宿三丁目駅へ向かった方が得策だと判断したため。6時30分東京駅到着、6時35分の丸の内線新宿行きに乗れた、気温が今日は高めなので汗だくになって7時ジャストにピットインへ到着。はあ〜、まだ入場始まってなかった、よかった。今日は人が多い・・・そうか、今日は土曜日なんだ。明日はもうちょっと少ないかな?なかなか入場が始まらない、あせって走って損した。

H条さんのおかげで、最前列を確保。落ち着いたところでスケジュール表を配って回る。立ち見の人もいる。補助席出動。店の人と思われて、「灰皿下さい」「席有りませんか」と声をかけられる。灰皿は対応したが、椅子の方は「すみません、店の者じゃないので」と謝る。皆さん好意的に受け取ってくださる。「へぇ〜、ドルフィーに出るんだ」との声。今年の前半は忙しくなりそうです。

スタートは8時と踏んで、飲み物をもう一杯買いに行ったら、7時50分すぎ、メンバーが出てきた・・・慌てて席に戻る。会場が暗い・・・うまくMDが動かない、あせる、わ〜ん、インプレッションズが始まってしまった・・・。

ノブ君水玉模様のシャツがかわいい。おやおや、森山さん今日はとっても調子がいいみたい、めちゃくちゃかっこいいわ〜。音川ソロのバックでリムショットがカンカンと響き、ウォ〜と吠える。テナーソロのクライマックス、サビの所から一気に盛り上がる。一曲目からすごくとばしてる。メモを取る手が一曲目から止まりそうになってしまった。今日はベースの音がけっこう大きいがモゴモゴいってる感じ、ピアノの音も今ひとつこもってる。ノブ君と森山さんの間にちょうどグズラさんがいて、ノブ君森山さんが見えるのかな〜?ノブ君ソロ、鍵盤と格闘してる。珍しくノブ君靴履いたままだ。ガンガガン、ガンガガンと鍵盤を叩くリズム、森山さんがばっちりつけてる。ああ、髪の毛が逆立ってきた。どきどきしてきた。一日目だっていうのに、このスタートダッシュはすばらしい。森山ソロ、スティックが飛んだが落ちる前にもう手にはスティックが握られている。フルパワーだが余計な力みはなく、タイトで緊迫感のあるソロ。テーマに戻り、拍手と歓声、音川さんがサックスを振り上げて終了。

MCなく、ため息を一つついてすぐにロールからワルツのリズム。アフロブルーだね。ソプラノに持ち替える音川さん、ソロ。なんて緊張感のあるバンド。ピアノの蓋にノブ君の手が映って見える。あ、ノブ君が森山さんにしかけた。森山さんがそれに応えないようにみせかけて雌伏、ノブ君が一旦退いたところに逆に攻勢に転じる。二人でばしっとあわせて盛り上げるところにぴったりグズラさんがつけて盛り上げる。音川さんがすっと入ってきた、テーマに戻る。汗が目に入って痛そうな森山さん。とても緊迫感がある。名演では!?

「ありがとうございます。田中信正、音川英二、望月英明。拍手。ありがとうございます。・・・・え〜、」と笑って「たまにですが、喋ることを何も思いつかないことがあるんです。近況をおしらせしようにも、その近況がどこかへいってしまって。ええ・・・ああ、9月に岐阜の可児市で、アーラって言う素晴らしいホールがあるんですけれど。昨年はジョージガゾーンとか呼んで、二日間田舎にしてはまあまあ入りまして700人くらい。今年も虎の威をかりて、山下洋輔、板橋文夫のピアニストに来てもらうことにしました。えー、何をやろうかとこれから考えるんです、あちらも何か考えているらしくて、山下さんからは、明日の日曜日は行くぞ!なんて連絡がありましたから。何か手の内を見せないようにして裏をかいてやろうと思ってますから言わないように。板橋文夫はああいう人ですから(爆)、何か画策などなさらないだろうと思っていますので、ありのままでいけると思います。一番画策するのは田中信正だと思いますが、ねえ、そうでしょう、田中さん」ノブ君大きくうなずく。「もう着るものから画策しているんだから」ノブ君??の顔、客席と音川さんから「着物、着物」の声。「昔ありましたよね、本に挟むしおり、あれを思い出しますよね、頭があるのは分かるんだけれど長いだけって」客席爆笑、うろたえるノブ君。「そろそろこれくらい言わないとうっぷんがはれません。私など何を着ても似合わない、あの楽屋の出口の裏側は鏡になっているんですけれど、こう上だけ見ている時はいいんですよ、お、やるじゃないかって。でも出がけに足元を見ると、なんだか急にやる気がなくなってしまって(短いと言いたいのかO脚と言いたいのかよくわかりませんが)。でも、よくぞドラムを選んだ者だと思います。この前でトランペットでも吹いた日にゃ、誰も集まってくれないんじゃないかと(もう森山さんがトランペットを吹いている姿を想像したらおかしくておかしくて)。なんだかこんな事を喋っているのは、やる気を燃え立たせようと思っているんです。何かこう楽しいことを考えて、めらめらと・・・でも次はそうならなくてもいいんですよね」と音川さんに同意を求める。音川さん頷く、「音川さんの好きな曲です、どうぞ」

もう森山さんがトランペッターになった姿が脳裏に浮かんでツボにはまっておかしくておかしくて、せっかくの美しいバラードなのに頭がふらふらしている。スタートはドラムレスのトリオ。なんて曲だったっけ。もちろんコルトレーンだよね。テーマの終わり、ノブ君の方に振る音川さん、ノブ君頷いてソロに入る。ベースとのデュオに。グズラさん、ああ、いいデュオだ。美しい、ひたってしまう。ブラシで乱入する森山さん、そんなに力を入れて叩いているようには見えないのに大音響。もうちょっと静かなデュオを聴きたい気もした。音川ソロ、グズラさんがとてもいい雰囲気を作ってる。胸に響くサウンド、テーマ、カデンツァ。

おや、コルトレーン曲集で行くのかと思ったら、サウンドリバー。ノブソロから。今日はどうにもステージが暗くて写真が全然撮れません。だめだわ。ノブ君が高速で同じリズムパターンを出すと森山さんがしっかりつけて、グズラさんとのコンビネーションばっちり。ステージを見ながらメモを取るとあとから何が書いてあるか分からないし、ノートの手元を見ているとステージが見られない・・・音川ソロ、すばらしい。のけぞって森山ソロに渡す。目にもとまらぬ早さの腕の振り、すごい形相。アフロリズムも入れずにふっと振り上げた腕だけでノブ君もグズラさんもテーマに戻る。

「音川英二!田中信正!望月英明!しばらく休憩します」

森山さんが控室からスネアヘッドを持って出てくる。ここからの喋りは録音していないので簡略版。「あの、休憩を利用して変わりばえしないんですけれど、さっき張り替えたドラムのスネアとタムタムのヘッドにサインをしてきました。欲しい方いらっしゃいます?」は〜い、は〜いと会場騒然。「ああよかった、タモリの番組の「え〜」っていうのみたいに、誰も欲しいって言ってくれなかったらどうしようかと思った。 どうやって差し上げましょうかね・・・・ホームページの管理人の人が私のスケジュール表を作って配ってくれたんですが」と珍しく振ってくださった。ドラムヘッド争奪と何か関係があるかと思ったので「こんどは通し番号でも振りましょうか」と答える。どうもそれとは関係なかったようで「ひとつスケジュールが抜けていたんですが・・・」書き落としたかと一瞬ヒヤリとしたが「来年度のことなので、まだ予算の関係とかで公表していないんで、書き忘れているわけではないんですが。お役所は大変ですね。5月に岐阜県でもやりますので、皆さん来てください(公表可能になったらすぐにHPに書きますね)では」とそのままヘッドを持ったまま頭を下げて降りようとする。「本当にどうしましょうかね、やっぱりじゃんけんにしましょうかね」ステージを客席を二つにわけて二枚のドラムヘッド争奪じゃんけん大会始まる、けっこう熱戦が繰り広げられる。ゲットした二人に向かって「そのお二人は必ず9月の可児市のアーラに来てください。ありがとうございました。九州の方の方は、今年のAlaの予定が決まったと連絡を入れたら、早速家族みんなで行けるように貯金を始めますって」客席から「貯金」「始めなきゃ」の声。「私もギャラをもらえるのでそろそろ使い始めようかと(シンバルなどに投資なさる)思ってます。」

二部スタート。「ようし!」と気合いを入れる森山さん。Mr.P.C.。う〜ん、この選曲はわからないなあ。もちろん悪い曲ではないけれど、流れとしては一部の終わりのサウンドリバーと入れ替えた方が良いのではないかしら。ノブソロから。あれ、PAグズラさんの音1st setの後半の方がよかったなぁ。おや、ノブソロ終わると思ったがまだ続く、音川さん楽しそうに聴いている。音川ソロ、音域も広くなめらか、森山さん楽しそうに叩いている。絶好調森山さん。ビョーと吹きまくる音川さん。スティックとんだ、森山ソロ、う〜ん、書きようがない。テーマのリズムを入れぱっとテーマに戻る。

「あの、Alaの時は・・・アーラの話ばかりですが、もう一人ゲストを呼ぼうと思っています。井上淑彦っていうテナーサックスですが。数の少ない私の共演者で歴史を振り返ることができると思っています。そういえば坂田さんがいないですね。あのかたはまだおやりになっているんでしょうか(爆笑)。むこうでも言ってるでしょうね、まだやってるのかって。めったにお会いしないんで・・・。そういえば!・・・まあいいや、(何を言おうとなさったんでしょうか)昔私の方がまだ有名だった頃、人が周りにいてサインをしているところに、タモリがいいなあってうらやましそうに覗き込んでいる写真をもらったんですが。・・・・坂田さんはいろいろ出てらっしゃるんでしょ?ね、テレビとか。・・・井上さんはガンガンやってらっしゃるんですよね、ねえ田中さん」ノブ君頷く。「で、井上さんは作曲もすごい優秀で心に残る曲を書く方なんですよ、アレンジもすごく上手いし。みんな、上手くなるとやめてっちゃうって・・・ずっと辞めない方もいらっしゃるんですけれど」と望月さんをふりかえる、大拍手。望月さん大きく頷く。「うまくても辞めないんですよね、ね、田中さん」「で、その井上さんと音川さんの共演の場面も作りたいと思っています。つまり、僕のグループでは変わった時代があってね、あの〜、ピアノレスの時代があったんですよ、ベースとツーサックスという。で、井上さんに『ピアノがいないからこそできる曲ってのを作ってくれ』って頼んだら、次から次へとどんどん作ってくるんですよ。そんなことができるのかと思ったんですけれど、できちゃうんですねぇ。そんな曲をやりたいと思ってます・・・・で、ここで次にやる曲が井上さんの曲だったら、なぜここまでひっぱったのかも答えが出るんですけれど、そう〜はいかないんです(爆笑)。え〜、音川さんの曲、これは私は言いにくい」音川さん「えっ?」とびっくりした顔。「言いにくい、だって英語でしょう、紹介してください曲名を」音川さん「え〜、曲名はNew and Old Wonder、という曲で、頭文字を取るとN,O,Wでナウという曲です」森山さん「ナウだったら何だっつ〜の」爆笑。「くやしいもんだから、そんなことを言うんです。日本語の頭文字だけ取ったら何かになるって曲はないの?」音川さん「考えます」森山さん「私も曲を作ったことがあるんですよ、電話もかかってきたことがあるんですよ、『作曲家の森山先生のお宅ですか』って(笑)。でも私のは覚えやすい曲でした、『さて』とか『どれ』とか(さて、やろう、どれやろうという演奏前の言葉からとったタイトル)、『クレイ』なんて曲もありましたね。よく思い出せないんですが。ああ、そういえば最近昔の70年代の(ご自分の)音がCDになって出たんですよね。見本版をいただきました。音がうんと悪いんですけれど。でも、何かやろうとしているエネルギーがものすごい勢いで。あんなドラマーがいたら私はもうやめちゃおうかと思いました(爆笑)。一生お目にかからないようにしてます。・・・・・何やるんだっけ?」この、間(ま)のとりかた、本当に落語以外の何ものでもない。

ンタッタン、ンタッタンと、リズムがちょっと複雑なテーマ。そういえば室蘭ではドラムヘッドに短い短い短い長い、長い短い・・・・をカンニングしてリズムを書いてましたね、森山さん。きちんと今日は覚えられたのでしょうか。少しごまかしたところもあったように思えましたが?ノブソロから。思いもかけないところに手が行って、楽しいフレーズ。ノブ君ピアノに全力投球、長い脚がピアノの椅子の脚にからまってますね。ありゃ、このフレーズなんだっけ、ジャッジャッジャーン、ジャッジャッジャジャーンとディープパープルの有名な曲(あとで音川さんに訊いたら、Smoke on the waterだって)、思わずとなりのブルさんと大笑いしてしまった、そうこうしているうちに音川ソロ、さすがいいフレージング。この曲のソロはもしかしてブルース構成?やっと気がついた。すごくタイトで緊迫したソロ。バックで森山さんとノブ君が顔を見合わせながらうける。スティック落ちる、また落ちるが、落ちたような音のとぎれは感じさせない、スティックを持ち直す動作で分かるだけでドラミング全く途切れない。これだけ叩きまくると、森山さん終わりのテーマを忘れてしまうのではないかと心配になる・・・・ッタッタン、ッタッタンのリズムをソロのエンディングに森山さん入れる、ノブ君つけるかどうか迷っているうちに終わりのテーマ、何とかうまく行ったが、エンディング、ありゃりゃりゃりゃ。まあ、なんとかまとまりました。

「こんどこそ、井上さんが作った曲です。Gratitude、感謝という曲です。」ノブ君のイントロ、崩さずストレートに。静かな曲。あれ、音川さんやっぱしソロないの〜?なんで〜?静かな曲の間に写真を撮ろうと思ったがやはり今日はだめですね、となりのブルさんの写真をいただいて貼り付けることにします。

よおし!と気合いを入れる森山さん。サンライズが始まる。ベースが大きくて音が割れている。音川ソロ、ああ、このスピード感いいわ〜。ワクワクワク。1/2テンポ(というのかな)のリズムリフを音川さんのバックで森山さんとノブ君で。音川ソロ、クライマックスで森山さんバシバシにつける。ノブソロのバック、森山さんと音川さんでリズムリフを入れる。しゃわ〜〜〜んというシズルの音を残して、森山さんも音川さんも退いて、グズラさんとノブ君のデュオに。タッチがものすごくいい、鍵盤を弾く粒が立ってる。グズラさんのベースもすごい。森山さんハイハットだけで表情豊かにつけて、なんとも書きようがないけれど。ああ音川さんも一緒にリズムリフをつけている。うひ〜、すごい。いやはや、なんという演奏だろう。ドキドキ心臓が脈打って、心臓の位置を再確認する。あ、タムの間のマイクを森山さんたら叩き落としてしまった。森山さんソロ、ドラムしか叩いていないはずなのに、音階まで聞こえてきそう。もう、惚れ直しちゃう何度でも!うわうわうわ。最初からすごかったけれどどんどんヒートアップしてくる。うひょお。終わった瞬間森山さんキェー!と雄叫び。

「え〜、」拍手、拍手、拍手、アンコールの拍手へ。アーラへお連れしたお母様の話。「『いいねえ、お前はいい仲間に囲まれて。それで、お前は仕事は何をやっているの?』(大爆笑)そんなふうで、もう少し身を入れてやろうと思っています。ありがとうございました」

拍手が鳴りやまない、森山さんがノブ君の方に手を差しだし、Goodbyeが始まる。ああ、ノブ君のイントロ、とてもきれい。さっきまであんな激しいピアノを弾いていた人とは思えないよ〜。不協和音のはずなのに、とても澄んでいる、とても静かな音。自分がメモを取るノートをめくる音、ペンを走らせる音が気になってしまうくらい。とても説得力のある、きれいなサウンド。誰かが鼻をすする音が聞こえる。う〜ん、深く心にしみわたる曲だわね。

「ありがとうございました!」拍手の中全員退場、アンコールの拍手。もしかして、Hush-a-byeをやるのかな?森山さんだけ出てきてステージのの中央で頭を下げ、終了。ん、これでおしまいです。(写真は森山研究会「ぶる」さん提供)

二日目のレポート