2005年9月2日 新宿ピットイン (ts井上淑彦、音川英二 p田中信正 b望月英明 ゲスト:acc佐藤芳明)


このライブを聴き逃してはなるまいと、代診のドクターを必死で探し回り、なんとか上京できた。7時開場だと思ったので10分ほど前に行ったら誰もいない!あれ?と思ったら7時半だった。書店にウェブ作成ソフトの解説本を買いに行く。戻ったらけっこう人が多く並んでいて暑い!聖子先生はこの前の森山さんのライブの翌日、網膜剥離をおこして入院なさったと聞いて心配していたがお元気そうな顔がみえてよかった。大阪からhoriさん、宮崎からS田さんが親子連れで。入場して最前列を確保、まわりは森山組レディース班(!?)の連中が勢揃い、座った側に井上さんの楽器が置いてある!もうみんな顔がにやけて、「うふふ」と笑いあう。客席の後ろの方に佐藤君が!「いっしょにやればいいのに」と言ったら、「やることになりました」だって、嬉しい!


20:05にメンバー登場。うれしい〜。自分の顔もにやけてるのがわかる。曲の出だし、
「どういうんだったっけ」と森山さんが音川さんに訊く、さっきリハしてたはずなのに・・・音川さんが笑いながらメロディーを教える。淑ちゃんも望月さんも笑っている。ああ、これから始まるんだ!アフロリズムが始まり、サウンドリバー。ああうれしい。この2ホーン、本当にいいわあ、しみじみ。トップシンバルのベルの真ん中を叩く音が炸裂してキンキンと響きわたる。音川ソロから。淑ちゃんがメガネを外してソプラノに持ち替える。森山さん、初日の一曲目からすごく飛ばしている。のけぞる音川さんのバックでノブ君が森山さんを見ながら盛り上げる。音川さんが淑ちゃんを横目で見てリフへ。井上さん全く違ったアプローチでフレーズを吹き始める。だんだん盛り上げていく不思議な世界だ。森山さん、本当に凄いドラミング!ノブ君もバックでがんがん弾きまくる。淑ちゃん吹き上げてそのままフェードアウト。ノブソロへ、淑ちゃんの雰囲気をそのまま保って入っていく。う〜ん、こんな凄いジャズが、音楽があるのを世の中のみんなに知らせたい!望月さん間に入ってガシガシと弾きまくる。おお!聖子先生、網膜剥離が再発するんじゃないかと心配してしまうくらいのドラミングだわ、大丈夫?ノブ君いつもバッキングの時とソロの時はスピーカーを回して調節しているのだけれど、今日はみたいにスピーカーが回せないのかしら?ああ、すごいサウンドだ。思わずペンを置いて両手を握りしめてしまう。ドラムソロ、すごい、もう、何とも言いようがない迫力、髪の毛が逆立ってしまう。


20:20。
「ありがとうございます、ベース望月英明。ピアノ田中信正。テナーサックス音川英二。テナーサックス井上淑彦。・・・・はぁ、懐かしいですね」と淑ちゃんを見て。「この間誰かと話してて・・・ラブリーでもやったんだった?この前一緒にやったのはいつでしたっけ・・・」ドルフィー、と客席から声がかかる。「あ、そうそう、横浜のドルフィーですかね。終わった後お客さんが『よかったよかった』っていうんで何がよかったのかと思ったら『井上さんがハンサムでよかった』って」爆笑。「いいですね・・・こんな白いシャツを着てきたって、なんていじけてますけど。グズラみたいにいい加減に覚悟を決めればいいものを」といっても今日のグズラさんはちょっとおしゃれなTシャツですよ。「最初の曲は音川の作りましたサウンドリバー。次の曲は、板橋文夫の作りました曲で懐かしい曲です、『アリゲーター・ダンス』」さりげなくグズラさんがテンポを出す。音川さんがソプラノ、井上さんがテナーでハモる。う〜ん、なかなか渋いぞ。やはりふと、板橋さんがピアノの前でワニ状態になっている姿が脳裏に浮かんでくる。アレンジは井上さんがしたのかな?井上さんのテナーソロ、あれ、これ何のフレーズだっけ。淑ちゃんがテーマを吹き音川さんが合わせる。ソプラノでのソロ、音川さん、バックでドラムソロかと思うほど叩きまくる森山さん。ノブ君も凄い勢いでバッキングしている。ノブソロになって急に静かになり、フリーっぽくなりグズラさんもつける。あまりのすごさに笑えてきてしまった。いったい何のフレーズを弾いているんだろう?と思ったら音川さんも振り返ってノブ君を見て笑っている。ドラムソロ、ま〜ったく、この長いソロ、こんなに初日から飛ばして大丈夫かしら?スネアのショットが耳に痛いわ。そろそろエンディング、いつものソロみたいに「タタン!」で終わってしまっては、曲に入れないぞと心配するが、ちゃんと曲のリズムを叩き出す森山さん、目に汗が入って痛そう!

20:37は〜、は〜、と息をする森山さん。「この曲は久しぶりにやりました、アリゲーターダンス。山下トリオを辞めて、板橋とグループを組んだときに板橋が作ってくれた曲で、大ヒットしたんです」笑い。「懐かしい曲でした。あのころは、いや今も板橋はピアノと格闘しているみたいですね。メロディーを弾くのをドレミファってなんて考えていないんでしょうね、歌を歌ってるんでしょう。だからこの音とこの音の間の音まで出そうって感じになってるんじゃないでしょうか・・・ドレミファって考えません?」とメンバーに向かって。「ドレミファなんて考えるの私だけかしら。その当時から板橋はのたうち回ってましたけれど。久しぶりにやりましたね。井上さんがこのグループに入ってからはこの曲はやってないんですね」「やってないです」「板橋はうねうねしてましたけど、井上さんは全然違って、ヘビでもまっすぐぴんと直立してしまうような感じで、好対照でしたね」爆笑、淑ちゃん「ウマイナ〜」。「次の曲はもっとも井上らしい曲、Gratitudeです」
吹き出しそうになるのを必死でこらえて息を落ち着ける。この前ピットインで吹き出してしまったのを思い出した・・・この曲が始まってしまったら吹き出すわけにはいかない!(http://www.shionoya.net/2004NovPitinn2.html)

ライトがブルーに変わる。シンバルの音が少し変だと思ったら、曲が始まっているのにもかかわらず前に出てきてシンバルの脚を治している。ああ、淑ちゃんのテナーで聴くGratitude。森山さんは本当に最低限の音で。ノブ君は赤のライトよりブルーのライトの方が似合うな。淑ちゃんのソロ、私の周りの「レディース」軍団もみんな「うっとり」状態であろうよ・・・。音川さんが目で合図してノブソロへ。予測もつかないようなフレーズ、多彩なサウンド、テーマに戻る。淑ちゃんがすごくそっと吹いているので森山さんの暴れまくりが目立つ!エンディングはそっと・・・。はぁ〜、と終わった余韻を楽しもうと思ったら「イヤッ!」とかけ声、拍手!ううう、残念。


わ〜い、
ノンチェックだ!思わず手を叩いて喜ぶ。なんてかっこいい曲なんでしょう、わ〜い、しびれる〜、ドキドキしてきた。音川さんいいぞ!あまりのかっこよさにほっぺたがゆるんでよだれが出てきた。音川さんのバックにつける井上さん、だんだん井上さんもヒートアップしてきた!5人全員それぞれがソロをしているような爆発状態、かっこいい〜。森山さんが合図を出してテーマのリフ、「パララララ、タータータッ」に入る、井上さんソロに交代。バックのスピーディーさとは別の次元のソロで始める。だんだんとヒートアップしてくる、音川さんがバックでつける。ああ・・・サックスを振り上げて淑ちゃんが合図、ノブ君とベースのデュオになった、こんな曲でよくソロが弾けるなと思ってしまう、すっげ〜。森山さんが小さくつけ始め、どんどん緊迫感が増す。凄い緊張感だ。ノブ君の出す合図にぱっと音川さんが反応して立ち上がり、テーマのリフへ。ひゃ〜、森山さんハイハット倒れるんじゃないかしらん、この、テーマの入り方も、小さい小さい音からスカッと音を切ってブレイク、意表を突いた戻り方、ああ!終わって大拍手。「井上淑彦!音川英二!田仲信正!望月英明!」メモを取るより拍手をしていたい!しばらく休憩します!」
はああ〜、と周りのみんな。「本当に1日目?」「大丈夫かしら?」と私と同じ事を思っている。顔がみんな「えへらぁ〜」状態だ。

佐藤君が出てきて、淑ちゃんと音川さんと3人でフロントの立ち位置の調整。佐藤君は「演奏するつもりで来たわけじゃない」と言っていたが、ちゃんと楽器持参ですもんね。ふふふ、嬉しいなぁ。
じゃんけん大会が始まった。私は2回戦で負けてしまった。けっこう盛り上がり、最後は大阪のHoriさんと宮崎のS田さんの息子さん、ピットインの従業員の勝負になった。結局S田さんの息子さんがゲット!horiさん残念でしたね。森山さんがhoriさんのことを
「大阪のSF作家です」と紹介、horiさんはS田さんの息子さんと森山さんの記念2ショットを撮影。ああ、その写真を撮るhoriさんの写真を撮ればよかったのだが、座席を離れていたので取れず、しまった。「あの、今月17日土曜日に私の住んでいる可児市の芸術文化創造センター、通称alaと言うところで今年で6回目なんですけれどコンサートをやります」え?6回もやってないよ・・・と思ったら隣の列のN藤さんと目があった、やっぱりそうだよね。「いつもの曲なんですけれど、アレンジは井上さんがかっこよくして下さるので私はいつも通りに叩けばいいことになっています。チラシだけ持ってきました、記念にお持ち帰り下さい。箱にでも入れて持ってくればいいのに、20枚くらいしかないんです、先着20名様に」


メンバー登場、わ〜〜〜い。
「今日はノーメイクで」と森山さんに言われて佐藤君頭を下げる。おお、フロントが並んで3人に増える、豪華だ。思わず「えへらぁ〜」とクリコちゃんと顔を見合わせる。N.O.W.だ。佐藤君ソロ、いいぞいいぞ、うんうん。あ、ハウリングしている。凄い演奏、カメラを構えたがうまく撮れず断念、やや暗いのと、逆光になるのと、赤いライトで画面が真っ赤になってしまう。みんなに見せたいんだけどなあ、このアクション。音川ソロ。このスピード感あふれるサウンドはホントにかっこいい〜。森山さん笑顔。お、淑ちゃんこの曲ではのっけから飛ばしてます、よだれが出そう。全員で爆走、佐藤君楽しそう、なんというバッキングだ。ノブ君暴れまくり、凄い盛り上げ方。ノブ君と森山さんのフリーデュオになった、二人の間に立ってグズラさん、どういう顔をしていればいいのかなと迷うような表情。おおお、すごいぞ!お互いタイミングを計ってブレイク、決まった!さてどうやって戻る?グズラさんがぱっと入って曲に戻る、佐藤君が和音をいれて徐々に雰囲気作り、森山ソロ、スネアの音が凄く鳴り響く、わぉ。パカン!でテーマに戻る、タムを高音から低音に回し打つサウンドが響きわたる。あまりに格好良すぎてのけぞってしまう。


「ありがとうございました。アコーディオン佐藤芳明」と紹介、佐藤君頭を下げる。「は〜、は〜。彼の舞台を見てきました、ガレージシャンソンショー、って男性二人のユニットなんですが、知ってます?ヴォーカルの山田さんって人が上手!あ、アコーディオンが下手、ってわけじゃなくてアコーディオンも上手!今日のスタイルと全然違うんですよね。何だか存在すらあらわにしない、っていう感じで、メイクをして、髪の毛を逆立てて目線も変えないっていうような人形のような・・・」あ、ごめんなさいメモが読めなくてMCが中途半端だわ。ノブ君に振るかな、と思ったんだけど「この前野口さんが宇宙へ行って帰ってきましたね、テレビの前でインタビューを見ていたんですけれど、地球へ帰ってきて何がしたいですかって訊かれて、温泉へ入って一杯やりたいって、それなら私と一緒だ、それならそんなに遠回りしなくたってできるんじゃないか、って。まあ、そういうもんでもないんでしょうか。え〜、楽しゅうございます。次の曲も皆さんご存知の曲です、佐藤さんから、ワタラセうほぉ〜。


佐藤さんのイントロ、森山さんがマレットでつける。今日の渡良瀬川は少し流れが速いかな。アコーディオンって、すごく不思議な音階が出せるのね、いつもの弾きまくりと違って、微妙な音がよく聞こえる、どうやってこんな音がでるのだろう、このボタンだらけの蛇腹。思わず鍵盤とボタンを押す左手を見つめてしまう。テーマ、音川さんがテナーで、井上さんがソプラノで。う〜っとり。音川さんのソロ、うっとりとしてこのまま川の流れに身をゆだねて眠ってしまいたいくらい。がだんだん流れが激しくなって、乗っている笹舟では流れに呑まれてしまいそう。サックスを振り上げて佐藤君に渡す。アコーディオンのソロ、うねりが激しい。佐藤君大きな目を見開いて井上さんにソロを渡す。井上さんソプラノで・・・あれ、ちょっと短かったな、雷でも鳴り響いているようだ、淑ちゃんがさっと立ち上がってテーマに戻る。アレンジ、ハーモニーがかっこいいわ。佐藤君が音川さんの少し斜め後ろからビクターの犬みたいな首の傾け方で譜面を覗いている、エンディングも決まった〜。
タタン!とサンライズが始まる。今日の私はのぼせモードではなくうっとりモードに入ってるみたい。ちょっと不思議なメロディー、森山さんが叩くのとぴったりのリズム、すごい6tetだわ〜。もううっとり、とろけそう、こんな激しい曲なのに・・・わあすごい、淑ちゃんまだ吹いてくれるの?音川ソロ、堂に入っている、森山さん叩きまくってあおる、うひ〜。サビまでの叩きまくりでノブ君とリズムを合わせて。佐藤君が蛇腹をちぎれんばかりに思い切り引っぱってサウンドを創る。地響きのようなペダルサウンド、音川さんが一瞬音を切ったところで「タータータッタッタッタ」と入る。ドラムブレイク、佐藤君と望月さんのデュオ、一瞬この前のラブリーの時みたいに一人で弾かせるのかと思っちゃった。森山さんがつけたり退いたりして緊張感をあおる、ああ、かっこよすぎ、このトリオの演奏。お、ベースが止まった、ドラムとアコーディオンのデュオ、すごい、歓声が飛ぶ!わ・・・・・・!ドラムソロに。いつパカン!と来るの?いつ?緊張感が走る、今日は「パカン!」もなく、音をすぱっと止めたブレイクの瞬間が合図。ううう、なんて研ぎ澄まされた演奏なんだろう。キャ〜、と叫びたくなる。


「ありがとうございました、井上淑彦!佐藤芳明!田中信正!望月英明!ありがとうございました!」佐藤君がステージから降りる、ん?ゲストだからかな。アンコール、さて何が始まるか、淑ちゃんのベルからどんな音が出てくるのかわかっているけれど、わくわくわく・・・。淑ちゃんが吹き始めるあまりにも渋いハッシャバイのテーマ。あら、いないのに佐藤君がつけているように聞こえた。ああ、あまりにも心打たれてしみじみ。音川ソロ、ノブソロ、もう手も止まるわ。森山さんの3連符が気持ちいいわ。ノブ君米つきバッタのように頭を上下させてソロを弾く。グズラさんソロ、独特の味があるよね。音川さんが「どうするの?」って顔をして立ち上がるが井上さん反応せず、ドラムソロに突入。最近この曲ではドラムソロあまりしていなかったはずだけど・・。ありゃ、わかりやすいフレーズを入れて終わるのかと思ったらまたひときわ大きくドラムを叩きまくる森山さん。テーマに戻って、うっとりしている間に終わってしまった・・・。「ありがとうございました、明日は向井滋春とやります、どうぞお越しください」でおしまい。ああ、いきなり全然違う雰囲気のデキシージャズが大音量でかかる、いきなり鳴らさないでよ・・・Mayumiちゃんが耳を塞いでいる、そうよ、まだ余韻に浸りたいのに。
しかし、なんとも、本当に凄い演奏だった。
数えてみたら、年末までこのライブを含めて13回も演奏がある!さてそのうちいくつ聴けるかな?

写真は、宮崎のS田さんがゲットしたドラムヘッドです。

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