森山威男公認HPライブレポートNo.127

2006年6月11日(日)新宿ピットイン 林栄一(as)板橋文夫(p)望月英明(b)

前日のレポートを書き上げて待ち合わせ場所にでかける。夏のラブリーの電話予約受付が今日の5時から、クリちゃんやカスミちゃん、H条さんにH岡くんと電話かけまくりで無事ゲット。みんなでインドネシア・レバノン・イタリア・インド料理をたらふく食べ、カオルちゃんの結婚祝いを購入してピットインへ乗り込む。今日は昨日に増してすごい人だ。喫煙率も高く空気がかすんでいるわ。
8時ちょっと前にメンバー登場。
「こんばんは、お待たせしました。二日目もお越しくださってありがとうございます。とりあえずメンバー紹介します。ベース、望月英明!アルトサックス林栄一!ドラムス森山威男!ピアノ板橋文夫!早速とばしてアリゲーターダンス


ん、ん、と森山さんがカウントを出す。ガーン、とベースが入る。タンギングを効かせてテーマを吹く林さん。林さんは今日は白のワイシャツ、グズラさんはヤマモトカンサイのベージュの花柄のシャツ、よくお似合いです。板橋さん、もしかして昨日と同じTシャツ・・洗った?ジャージも一緒だよね。林さんがマイクの角度を調整して吹き続ける。バスドラの振動が直撃してくる。板さん立ち上がって真っ赤な顔でバッキング。林さんソロ終わって大きな歓声が上がる。あらスティックが飛んで落ちた、と思って目を上げるともう何事もなかったかのように右手にはすでにスティックがある。板さんを見据えて叩く森山さん。両腕を広げるショットが決まる、板さんにかけ声。立ち上がって弾きまくるグリッサンド、板さんソロを終わって肩で大きく息をする。森山ソロ、うひー、シンバル、スネア、タム、バスドラムすべてのショットから直に振動が伝わってくる感覚を久しぶりに感じた。そういえば清瀬、パールと続いたけれど舞台が遠かったからなあ。ダーンダーンダーン×4でグズラさん、板さんが入り、林さんがメロディーを吹き始めテーマに戻る。タムの回し打ちからバシーっと決まる。エンディングしつこい。板さんがグリッサンドをしたら、森山さんは最後に体をがくっと折って音を立てる。


「ダンダン!」ぱっとテーマに入らずちょっとイントロをつける。テーマのモチーフからアドリブに入る林さん。軽快に叩き続ける森山さん。板橋さん腕をクロスしてバッキング。グズラさん黙々と。オーソドックスな、ビバップっぽい感じのフレーズからだんだんとフリーっぽくなってくる。にっこり笑ってソロを終わる林さん。板さんソロ三拍フレーズ。腕橈骨筋が浮き上がって見える。森山さんが「ダンダン!」と大きくつけ、ピアノソロが終わる。ドラムスティックがライトに映えて美しい弧を描く。途中でタムとバスドラだけの押さえた感じのソロ、そしてテーマに戻る。Endingが合うか?なんとかまとまった。
「ナイロビの夜、それから遠くの空、僕の新曲を続けてお送りします」げほげほ。


ピアノのイントロ、うっとりするようなフレーズから少し不安げな感じのテーマを林さんが吹く。マレットでシンバルを叩く森山さん。板さんソロ、思っても見ないような和音展開で元気をもらったり、ちょっと悲しくなったり、優しくなったりと心が忙しい。メガネをはめてリードの調整をする林さん。そしてアルトのソロに。倍音のキーキーした音のソロから、フレージングを聴かせるソロまで取り混ぜて。ベースソロが合いそうな曲だけどなあ。テーマに戻る、キーが変わりリズムがボサノヴァ調に変わる。ここからがまた長いんだ、Endingかと思ってからが。板さんが声を上げて合図、終わるかと思ったら今日はベースソロが!渋いぞ。板さんがピアノのフレーズをつなぎ、林さんが吹く。テーマ、またキーが変わる。もう少しこの曲はコンパクトなほうがいいかも。カリカリカリカリ、と小さくピアノを鳴らし続ける。サックス、ベースの音が響いてくる。
「林栄一!」


板橋さんがテンポを森山さんに伝えるが、森山さん怪訝そうな顔。多分「新曲」のテーマを覚えていないんだろう。板さんにカウントを出すように伝え、板さんがカウントを出す。始まってしまえばすぐにばっちり合うのだ。林さんソロ、吹きまくり。4人の音が渾然一体となって会場に満ちる。板さんがリズムをテーマと同じにして、ベースもつける。板さんソロに。リードを付け替える林さん。ピアノの椅子は舞台の端まであと5cmくらい・・・。板さんソロ短め、声を上げリズムを1/2にする、何ていうのかな?倍テンじゃなくてゆっくりに。スウィングした感じになる。林さんがテーマのフレーズを入れるが、ドラムソロとなる。シンバル叩きまくり、ホントに一人がたてている音じゃないよ〜。スネアのリムショットも、バスドラの踏み込む音も「ズバーン」「ズドーン」って感じに強烈に襲いかかってくる。カン!と切ってテーマに。最後板さんが立ち上がってending、ぱっと終わるキメのフレーズの指揮をするが合わない〜!しまったという顔をしたと思ったら、そのまま最後テレ隠しにしばらく叩きまくり、そしてドカンと終了。1stセットが終わり、舞台の中央で深くお辞儀をして去る森山さん。「森山さ〜ん」とかけ声が客席の後ろから。

休憩中にいろいろな方のお顔を拝見する。久しぶりにお会いする方も。おやおや、じゃんけん大会が始まる、あわてて席に戻る。ドラムヘッド、新品だわ。「新品じゃないですか」と言うと、「そう、自分で買ったけど使わなかったのでみんなにサインをしてもらいました」欲しいなあ〜、でもやっぱり1回戦負け。後の方にいた男性がゲット。「とても楽しいのでもう一回行きましょう、これはね、パールから出ているんですが、非売品なんです」パールさん、是非市販してください。「じゃ〜んけ〜ん」また一回戦で負けてしまった。おお、クリコちゃんが決勝戦まで残った!2人で決戦じゃんけん、「クリちゃんがんばれ!」の声援が飛ぶが残念ながら決勝戦負け。


ワタラセ。森山さんが板橋さんのイントロに、冒頭から細かくシンバルをつけている。何か考えているような顔つき、スネアの響き線をはずす。ベースがリズムをつけ、林さんがテーマを吹き始める。板さん赤いシャツに着替えている。テーマのサウンドにビブラートをかけて。森山さんの手首の動きが柔らかい。板さんソロ。心地よい響きに思わず目をつぶって浸ってしまうが、目をつぶっていてはもったいない。
大拍手に大歓声。終わりのテーマも2回たっぷり聴かせてくれて◎。エンディング、サウンドがお決まりの行き方ではなくどうなるか不安だったが。板さんのグリッサンドに合わせて体を傾けて倒れそうになる演技、体を戻しつつバスドラをドス!と踏み込む。


リーパーズ、林さんと森山さんのフリーデュオ、かっこいいぞ。今日は昨日よりテンポが速い。林さんが目をつぶって吹きまくる、ありゃ〜すごいぞ!水を得た魚のようだ。板さん拳固、手のひら、立ち上がってピアノをプレス。ピアノドラムデュオになる。二人の対決を皆固唾をのんで見守る。ドラムソロ、圧倒的な音量!!音圧でうしろにひっくりかえりそうになる。客席から歓声が沸き起こる。バシ!と音を切って舞台の上は無音に。そこでサックスがぱっと入るかと思ったらすこし間があく、さてどうなる?サックスが吹き始めて森山さんもアフロを叩き始めてテーマに戻る。エンディングびしっと決まる!森山さんカンカンとスティックで拍手。

「林栄一!望月英明!森山威男!」拍手。「林栄一のリーパーズでした。望月英明!森山威男!次は私がジャズを始めた頃よくやってた曲です。なぜか思い出すわけですが。ええ、その頃ですねえ、森山さん覚えてないかもしれないけど、TAROって店があってね、そこでねえ、多分僕のバンドでやってたときだと思うんですけど、そこにいきなりねえ、ベロベロに酔っぱらって、ブルースやろうって、それがまあとてつもなく拍子もないめちゃくちゃなブルースで、おおこれがブルースなんだって思って。すごかったです、ええ、ホントに。それから苦節何十年、今までやってますが。皆さん、人間国宝ですよね」と森山さんのことを指す。「こういう人を大事にしないと、日本はダメですよね」「100才現役ドラマーを目指します」きゃあ〜っ!しかと聞きましたぞ、そのお言葉、組長!「つぅわけで、マーシーマーシーって曲を」


Mercy,Mercyが始まる。今日は森山さんかけ声はないのね。楽しそうな顔の森山さんと目が合った。板さんノリノリ。踊ってる人がいるんじゃないかな、と思ったら聖子先生いまにも立って踊り出さんばかりに体を動かしている。今日はかけ声がすごいな〜。森山さんすごい勢いでシンバルを鳴らす。林さんもノリノリで吹いている。ピュウピュウと大きな音で指笛を鳴らし続けている人がいる、沖縄民謡じゃないんだからさあ・・・。森山さんのスーツ、汗が飛び散った跡がいっぱい。板さんソロ、今のフレーズ、昔のCDの「Impact」の中にあった曲を思い出した、でも曲名忘れちゃった。森山さんがこんなに8beatをかっこよく叩けるとは知らなんだ。板さん立ち上がる、森山さんスティックを落とす、また落とす、目にもとまらぬスティック捌き。黙々と8beatを弾き続けるグズラさん。楽しい曲だ、笑みがこぼれる。

板さんは満を持して森山さんの方を見つめている、「キエッ」と奇声を上げる森山さんだが、そこで入らずフェイントをかけたようになる。思わず笑ってしまった。もう一度「ヒェッ!」と声をかけ、パカン!でサンライズのテーマに入る。間奏が8小節、その間に床に置いたウーロン茶を飲む林さん。熱の入った林さんのソロ、Wow!あら、今のショットは何だったんだ、左手でスネアを叩き損なってバランスを崩した?舌を出した森山さんと目が合う。ピアノ、キャリキャリキャリキャリと高音のフレーズからソロに入る。おお、いい感じだぞ、板さん立って鍵盤を叩きまくる、高音から低音にむけたグリッサンドを入れる。板さんソロ。林さん舞台を降りてサックスのケースの方に。リードの調子がイマイチ?板さんのほうを見ながら叩きまくる森山さん、板さん立ち上がって平手で両手打ち、乱れ打ち。森山さん容赦ない、板さんがんばれ!思わず力が入ってしまう、板さんとの対決が終わったら思わずヘナヘナとなってしまいそう。ドラムソロ、向かって右側のタムが少し揺れる、留めが甘いかな・・?ハイハットも大きく揺れている。ドラムソロ、本当にこの人はどこまで叩き続けられるんだろう!?バシ!と切って板さんの方を見る、この緊張感!ぱっと手を挙げてテーマに戻る。


「どうも有り難うございました、望月英明!林栄一!森山威男!板橋でしたあ、ありがとうございました。森山さん一言」「一言お祝いを申し上げます。本当に長く叩いていると、悪いことばかりではなくていいこともあります。ねえ林さん」いつも田中さんに振るしゃべりかたで林さんに振る。林さん「ん?」って顔でゆっくり振り向く。「さっき控え室で話していたんですけれど、板橋と最初にやったときはそんなだったかなあ、って。僕はあまりお酒が飲めないんで、でもあのころはかなり飲んでいたんですね。何でもいいから、とにかくプロになりたかったんです。もうクラシックの世界からさようならをして、無理矢理、もう自分はジャズミュージシャンだって学校の先生にもいいましたし、クラシックの仕事は一切辞めました。で、板橋とかがやっているところへ行って、まあいわば殴り込みみたいなもんですね。「クソッ」とか言って、出てきて、ドラム替わってくれって言って、なんてやったことが何度かありました。その練習の成果が今出ているわけです」拍手、笑い、歓声。「もしお客さんの中で同じように、この野郎、どけ、みろ、俺が叩いてやるっていう人がいたら勝負してもいいんですけど」「いやホント、ねえ、丸くなったよねえ」爆笑。「年と共にねえ、人格形成って。とりあえずは、私もよくしゃべるようになって」大爆笑。「あの、望月君なんかねえ、ホント始めた頃、よく米軍キャンプとか行ってたんだけど、帰り中央線で帰るんだけど、俺もぜんっぜんしゃべらないし、望月君も全・然・しゃべらないし、ホントよく二人むっつりして。ほんと変な男だったよねえ、今はよくしゃべるけど」もうおかしくておかしくて。森山さん「あのころミュージシャンってね、あまりしゃべる人は嫌われたんだよ、だから私もしゃべらなかったけど、武田和命さんってねえ、亡くなった」「ああ」「あの人ねえ、東京へ出てきて田舎のお父さんのところへ電話したんですよ。リーン、ってかかって、こうガチャって取るじゃないですか、で出たのがわかって、お父さんも無口なんですって、二人でずうっとだまってるんです。それなら電話かけなくてもいいのに。私も無口でしたけど、このごろはちょっとしゃべるようになりました、板橋さんのおかげだと思っています」と森山さんが頭を下げる。なんか漫才みたいだ、いつもは落語だけど。「ええありがとうございました、またいつかやることがあると思っています。じゃあアンコールですかねえ」歓声、拍手、口笛!


シーンとなったところで林さんが
Hush-a-byeのメロディーを吹き始める。歓声というより、怒号、罵声みたいな声がわき起こる。林さんソロ。高音のフリーっぽいフレーズ、グズラさんがぐいぐいと。板さんの三連符、森山さんの左手の二拍三連がばっちり合う。今日は林さんリードを何度も調整し直している。森山さん歌っている。味のあるソロだ。ベースソロ、グズラさんかっこいい〜。ベースソロが終わってどうなるか、ああ、やっぱり今日もバースだ。森山さん「あちゃ!」という顔をする。もう、スティックで頭を指すしかないんじゃない?8barsから2コーラスめは4bars、終わりはテーマに戻らずドラムソロを続けるんじゃないかというくらいの勢いで叩きまくり、そしてテーマに。林さんは高音で小さくキキキキキ、板さんはカリカリカリ、森山さんドラムを叩かずにフロアタムをスティックで揺らしている。最後にピアノをポン。


大歓声、拍手、口笛!のなか、すうっと空気が変わる板さんのピアノのイントロ。し〜んとした中にテーマが美しく響き渡る。心が洗われるような
Goodbye。本当にこの落差というか、雰囲気の違い、ぱっと切り替わっちゃうところがすごい。林さんがテーマの後半を吹く。板さんのソロ、切ない。この曲を聴くとどうしても、この世にいない大切だった人のことを思い出してしまう。もうずいぶん経つけれど・・・。エンディング、林さんが吹き、最後に板さんがピアノで彩りを添える。


森山さんが立って頭を下げる。拍手が鳴りやまない、ミディアムテンポのフレーズを弾き出す、森山さんは立ったまま壁の方によろけて貼り付く。板さんがガン!と音を切っておしまい!
さあ、スタジオF、清瀬のデュオ、パール60周年、ピットインと毎週続いてきた怒濤の1ヶ月。でもこれからしばらくないのよ〜、他のファンの人もこれから2ヶ月どう過ごしたらいいの?って感じ。でも贅沢は申しますまい、盆暮れバンドと言っていた頃のことを思えば。それよりも、何年も森山サウンドが聴けなかった頃のことを思えば・・・。夏のラブリーを楽しみに待ちます。

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