デジカメのコンパクトフラッシュカードの読み取りがどうもうまくいかないので、画像は後日・・・で、文章だけアップしました。(2002.8.31)さ〜て二日目のライブに向かおうっと。二日分完成!(2002.9.2)

みーこさんと待ち合わせしてピットインにたどり着くと、まだほとんど人がいない。小腹もすいたのでピットインのあるビルの2階にあるタイ料理の店に向かう、店の名前が変わっていたが中味はいっしょである。ハッピーアワーで、生ビール一杯200円!「ガンバッテクダサイ」と言われ、大いに呑む。エビのさつま揚げ(タイのでもさつま揚げというのかしらねえ)がとってもおいしくて、ついついまたビールが進む。開場10分前にピットイン前に戻るが、暑いんですわ、これが。イヤな予感がする。で、聞いてみたらやはりクーラーの故障。あれ?去年もクーラー故障で修理のため開場が遅くなった気がするが・・・森山さんのライブに合わせて壊れるとは、森山さんの発する何かが原因?去年はライブ前に直ったが今年はどうも無理みたい。ぎぇ〜。

Marching of 7thよりスタート、今日はノブ君ヘアがオールバック、手元は見えないけど顔がよく見える。ベースの音が少しこもって聞こえる。およ、ピアノのソロヒートアップ、ばかすか鍵盤を叩きまくるノブ君。足のキック、アクション、かっこいい〜。思わず口を開けてぽかんと見とれていた自分に気付く。今日は聴く方も暑くてたいへんだけどやる方はもっと大変だろうなあ。温度を少しでも上げないためにと、今日はいつもに増してライトが暗い。今日の写真はあきらめなきゃダメかな。音川さんの吹くポーズ、バックキックも決まってる。あ、音川さんのリストウォッチは京都で買ったやつだな。吹きまくる音川さんのバックで森山さん暴れまくり、そのリズムに合わせてノブ君がつけていく、盛り上がったところで森山ソロへ。マーチング風リズムも入れながら、このハイハットの遊ばせ方ったら・・・微妙な角度でのペダルの踏み方、はずし方なんだろうけど、普通の人がやったらそのつま先だけに全神経をつかわないとこんな違いは出てこないだろうなあ。それにしても叩きまくりバスドラ踏みまくりでこんなことができるのだから、全くの怪物であろうよ。何つうか・・・マーチングのダイナミズム・・・う〜ん、うなるしかないね。テーマに戻る、ドガンとおしまいの音。

「ありがとうございます、テナーサックス、音川・・・英二。今間違えそうになっちゃった、小田切一巳なんて言いそうになっちゃった(笑い、音川さんにオオウケ)。えらい古い昔の話をしてごめんなさい。ベース、望月英明。・・あんたは昔からむかしの人だね。・・・(グズラさん黙って森山さんを見返す)あ、何とも言わない。ピアノ、田中・・正信じゃなくて信正。拍手。今日は暑さのために頭がぼーっとしてます。多治見はこのごろニュースで賑わっておりますよね、今年の夏、多治見は最高気温なんていって。38.8度とか39.なん度とかいってえらい有名になってます。あ、私が以前住んでいたのが多治見市で、そこから車で10分くらい北の方へ行って今は可児市というところに住んでいます。可児市も有名になりました、えー、文化センターができまして、7月の末に、え〜、出初め式じゃなくって何ていうんだったっけ?・・出初め式なんて言うわけないじゃないね、・・・開館のセレモニーがあって、いずみもとやさんが来るの来ないのキャンセルがどうのヘリコプターがどうので大騒ぎしてました。そんなわけでこのごろ多治見と可児がだんだん知られてきています。もう一押しすれば、森山という名前がそのうちどこかに出てくるんじゃないかと思います。ニュースの時に後ろを何か手を振って走ろうかしらなんて。・・多治見市も暑いですが、ここの暑さには負ける。ここは格別ですな。ようこそいらしてくださいました、ありがとうございます。最初の曲は田中信正が作りました曲で、Marching of 7thという曲でした、次の曲は音川英二の作りました曲で、Hole in the world、世界の穴?山の穴ってのは昔あったんですけれど。世界の穴です。」

この曲、良い曲だわ。この進行の、グズラさんのベース音と田中さんのバッキングコードがすご〜く快い。しばし音に酔う。田中ソロ、森山さんがウォーと叫ぶ。音川さんグリーンのライトに照らされて、顔だけグリーンになり妖怪人間ベムのような顔色。森山さんもう意地になって叩いているみたい。音川ソロ、田中さんきちんとフレーズを聴いてバックをつけているのがよくわかる。音川さんの腕も汗で光っている。暑いわ〜、うしろからかすかに風が来るけどステージはどうなっていることやら。森山さんキェ〜と叫ぶ、音川さん汗だく。森山さん奇声ををあげる。

G**e。しかしこう暑いとミュージシャン大変だわ。昔エアコンの効かない手術室で(当然密室、風通しなし)で夏場の手術をしていたんだけれど、手術しているところに汗(雑菌がはいっている)が落ちないようにするだけで大変だった、どれだけ集中しようとしてもぼーっとしてくる。『氷柱を建てろ!』なんて助教授が騒いでいたな。ああ、しかし美しいソロだ。音川さんのソロもまた、味がある。だんだん音川さんの頭がシャワーを浴びたみたいになってきたぞー。テーマ、おとなしくしていたのにサビになって大爆発、ありゃ〜。以前クラシック愛好家の人がピットインで聴いた感想をご自分のホームページに『どうしてあの人は静かな曲でもあんなドラミングをするのかが理解できない』と書いてあったっけ。あれ?今日のシンバルは3枚ともシズルがついているな、今気がついた。しっかり配置を覚えねば、北海道ツアーへ行く前に。

踊りながらテンポをだす森山さん、Sound River。今日は本当にみんな大変だ。・・私の座っている席から見えるピアノには、森山さんの肩から下が映っていて、その真上にノブ君の顔があって、首のすげ替えみたいに見える。森山田中のバトルはまた磨きがかかってすごい〜。森山音川のもまたすごい〜〜〜。ありゃ、叩くのにちょいとおちゃらけも入れてまあ〜。ついに音川さんの髪の毛の先から汗が滴り落ちる。ドラムソロ、スネアの響き線をはずしてタム風に、音階様に叩きわける。ノブ君がいちばんすずしい顔をしているようにみえるが・・・熱い暑い演奏、一部終了。

恒例じゃんけん大会、になるかと思ったらドラムヘッドプレゼント大会になってしまった。「ほしいひといますかね?」で、ぱっと手を挙げた常連の女性にほいとプレゼント。いつものように遠くから来たヒトがもらえるかと、「岐阜」「北海道」「秋田」という声が出だした。「アフリカ」「月!」森山さん「もうこれはだめだな・・・じゃあ40代の人!」はい!はい!と手が上がる、「勇気ある女性の人にしましょう」とプレゼント。私もあげたがもらえるわきゃない。「後ろの方にCDの『森』と『山』を持ってきました、それから多治見に住んでおられる安藤光一先生という知山窯の方で、有名な方ですが、二人でなにか思い出になるものを作りましょうっていって、私が楽器をデフォルメしたものを描いた絵をもっと面白くしてくださって、小皿を、楽器ごとに、4人分4枚1組ワンセット3000円で持ってきました。手描きで、ご高齢ですので100セットが限度ですっていうことでこれ以上はつくらないそうです。もう半分はこのあいだ二回、山梨とどこか・・・(忘れちゃ困るよ)名古屋でコンサートがありましたのでだいたい半分はなくなってしまったんですけれど。今日で残り半分全部売り切るつもりです。(笑い)来年には10倍で売れるそうでございます。よろしくお願いします。え〜、さっきどなたかと話していたら、筒井康隆さんの話が出たんですね。昔はよく筒井さんが遊んでくれて、私とか山下さんがここで演奏しても、だいたい10人くらいしかお客さんがいませんでしたから、電車賃をもらって帰るくらいだったんですけれど。家を出るときはあのころは地下鉄が70円でしたので、荻窪から山下さんと二人で地下鉄で70円ずつ持って来るんですけれど、帰りはさんざんお酒を飲んで明け方にタクシーで帰るという、どなたかがお金を出してくださっていたんだろうと思うんですけれど。筒井康隆さんも最近はものを書くよりも、役者の仕事が多くなっているようで、そのころからよく言ってました。『森山君たちはいいよ、仕事しているのをみてもらって、その場でみんながわあっと喜んでくれたりするから。俺は寂しいよ、一人で書いていてああこれはおもしろい、と思っても誰もいない。一人でヒヒヒと笑ってるだけ。本になって出る頃は自分はちっとも面白くない』まあそうだろうなあ、じゃあ書いているところをみんなに見てもらったらいいなんて言ったんですが、まあ面白くなさそうです。(笑い)・・・まああの方はあの頃からそう言ってました、要するにパフォーマンスがお好きだったんですね、で、私も実はそうだったんですよ、あのー、こんな風ですけれどこどもの頃から演劇が好きで、演劇少年なんていうとかっこいいんですけれど、ただ物まねがうまかっただけで、小学生の頃からよく人の物まねをして笑わせていました。それが高じて中学ぐらいになると演劇をやり始めて、山梨のラジオ放送劇団とか、そんなのであちこちを回って芝居なんかして、将来はそっちの方に進みたいなあなんて思っていたんですけれど、何というかそういう環境が途中からなくなってしまいまして、それでしょうがないからドラムを叩いていました。・・・きょうはしょうがないから叩いているわけではないんですけれど。きっかけはそんなようなものでした。そのころまで、ジャズなんて知らなかったんですから。だいたい聴いているのはほとんどが演歌でしたから。演歌といってもその時代のはやり歌というよりは、もっと古い歌をおじいちゃんが昔の手回しのレコードを聴いていたのを聴かせてもらっていましたから、『名月赤城山』とか・・ご存じないでしょうねえ。あとはなんでしたっけねえ、後は少しラジオで聞くようになってからは『別れの一本杉』とかなかなかいい歌がいっぱいあったんです。で、大きくなったらこういう歌を歌う歌手になろう!と思ったんですけれど、声がこんな風なんで、それもできなくて、しょうがないのでドラムを叩いているんです。今日はしょうがないから叩いているわけじゃないんですけれど。しょうがないから田中信正を呼びます。」

拍手とともにノブ君小走りで登場、ダニーボーイが始まる。う〜、テーマのはじめからサビの前までは全くのソロ。美しい音だわ。音を使いすぎていない、単純な和音なんだろうけれど、複雑なハーモニーが出ていて、深みがある。ああどう押さえたらこんな音が使えるの。ふうっとため息が出る。サビからはシンバルが入り、最後のタラララ〜と盛り上がるところからマレットでドカ〜ンと大音響、そしてまたそっとテーマが終わる。さて始まるぞ、バトルが。ジャブの応酬、パンチ、キック、ピアノとドラムの異種格闘技!ブレイクちょっと決まらず。ドカンバシンカリコリギャリゴリから終わりのテーマになり、すうっとエンディング。拍手、ため息、感嘆の声が場内を埋め尽くす。ほ〜、っとしたところでさっき頼んだブラディ・マリーを一口飲んだらめまいがした、サービスでウォッカをいっぱい入れてくれたんだろうけれど、これじゃ赤い色したウォッカのロック。この私でもちょいとこれはきつい。うわ〜、暑いのも加わって目が回りそう。

音川さんと望月さん登場。次はこの曲順で行くとラブリーと一緒のDeparture from the mysterious flashであろう。が、森山さん何の曲をやるのか忘れておられる様子、音川さんが一言「コルゲン」。ああそうか、とカウントをだそうとしたところでまたどんな曲だったか忘れてしまったみたいでしばし間が。思い出してざあっとロールで入る、音川ソロ、おお低音から高音まで自在に吹きまくり、なかなかフレーズもよい。後ろ蹴りも入る、のけぞる音川さん、ブロウしまくりの迫力、ブルウのライトに照らされてかっこいい〜。ピアノ、何ちゅうソロだ。う〜ん、すごい掛け合い、なんてもう言葉がない。この気迫たるや、一歩間違えたら血が吹き出そう、あ、それは時々鍵盤を血染めにしているのとは違う話ね。何とも書きようがない、鋭利な刃物でお互いを斬り合いしているような・・・名演じゃっ!こんなにピアノのバックで叩きまくっておいて、それにも増してドラムソロ炸裂、ああなんていう人だ、この人は。

朝日」ああ、この望月田中デュオ、たまらないわ。しびれちゃう。デュオをじっと森山さん見つめる。音川森山デュオも・・・ドラムソロ、落としたスティック、目にもとまらぬ早さで持ち替える。合図とも思えない短いブレイクですっとテーマに戻る。スティックを放り投げてマレットに持ち替える。しかし、暑い〜。だんだんうだってきた。一部では涼しい顔をしていたノブ君もさすがに汗だく。去年の山形天童ジャズフェス以来だね、この暑さの中でライブを聴くのは・・・その日とノブ君のシャツは同じらしいが、汗でよれよれになりそうだよ。

パカン!と始まるサンライズ。音川さんのソロのバックで、森山さんが軽く右手を上げて合図し、ノブ君とリフを入れる。望月さんの低音がぐいぐいと押していく。ピットインのライトが一番似合うのはグズラさんかな〜。ブレイクして望月音川デュオ、うんうんいいぞ。デュオのバックにリフを入れるところ、こんどは森山さん大きくスティックを振って合図、森山さんの雄叫び。2回目のリフが終わったらサビからそのまま全速で4人で突っ走る。田中ソロのバックでズガンと森山さん合図し音川さんがリフを入れる。ノブ君唇を噛みしめて、まだやるの?キャ〜〜〜、まだやるの〜〜!?!?!?!? 森山さん、ソロの最中でリズムを出しリフをみんなに入れさせる。テーマに戻ると見せかけて、またドラムソロに戻る技を、いたずらっぽい顔をして仕掛ける。ああ、すごい、しかし何とも表現し難い、すばらしいわ、素晴らしいわ!

「音川英二!田中信正!望月英明!」拍手・・・・で、アンコール要請拍手に変わったところでハッシャバイが始まり、場内に歓声が。そうよ、ラブリーでもこういう風にすればよかったのよ。同じ曲数やっても、アンコールっぽくしないと、「アンコールをしてくれなかった」という気がして、少し物足りなく感じてしまう(らしい)から。田中ソロ、う〜ん、軽快な音使いだけれどよくスイングしててよいわ。音川ソロ、渋めに決めて望月ソロに突入、1コーラスでテーマに戻る。

「ありがとうございます。・・・ピットインを去って、東京を離れるときに、キャンディーズの真似をして『普通のおじさんになる』なんて言ったんですけれど、普通のおじさんになりきれなくて、こんど住んでいる可児市で、9月の21日にアーラというホールでコンサートをやることになりました。私の名前では何をする人か皆さんご存じないので、山下洋輔、坂田明に(ざわめく)来ていただいて、演奏することになりました。それでもまだおわかりにならないので(あっはっは)近藤房之助とケイコ・リーにも来ていただくことになりました(おおーっ、イエェー)。このあいだ近所のおばさんが、『森山さん、あそこの大きいところでこんどやるんですってね』っていうから、『ええ!やりますよっ!』『どういう方といっしょにやるんですか』自分のグループの名前を言っても、音川と田中とかご存じないだろうと思ったので『山下洋輔とかねえ、坂田明とかねえっ!』『はあ〜?』『ケイコ・リーとか』・・『あんな有名な方とお知り合いなんですか!』・・・・・やっぱり呼んで良かったと思いました。本当に私は生来バカでございまして、自分のやることしか見ていなくて、ケイコ・リーと初めてあったときも名古屋のラブリーという店で、私たちのグループが演奏するときはいつも来ていました。終わりまでいて、終わると『も〜りや〜まちゃ〜ん』なんて、握手してくるのでずいぶんなれなれしいファンだな、と思ったら『私歌をうたうのよ』・・・あとから聞いたら有名なヴォーカリストだっていうことがわかりました。そんなことがきっかけで出ていただくことになりました。近藤房之助もひょんなことで呑む席でいっしょになって、そうしたら『森山さん、送らさせていただきます、東京で呑んだときはオンブして帰りましたから』ってそんなことがあったのかしら、って。きっと酔っぱらってうちへ帰れなくなって彼がオンブして連れて帰ってくれたことがあったんでしょうね。そんなことのよしみで出ていただきました(そんなことを言ったらもっとたくさん呼ばなきゃいけなくなるのでは・・・)ずるいやり方ですが。お暇でしたらぜひ可児までいらしてください(チケット完売なのに)、私も必ず参ります。・・・ありがとうございました。」歓声、拍手・・・・

今日は音川さんの顔がノブ君から見えない位置なので、望月さんを見上げて(なんだかお母さんを見上げるこどもみたいにかわいい顔だった)イントロに入って良いか確認して弾き始める。グッドバイ。高音の調律が少し気になるが、それでも美しい和音だ。テンポの乱れも全くなく、4人でテーマに入る、ノブ君ソロ・・・・・・もうとろけてます、私。終わりのテーマ、ドラムは最後で爆発、よくこんな事ができますね。明日にも余力を残してくださいよ、といいたいところだが明日はまたパワーアップするのでは・・・。

しかし、毎回毎回感動させられますなあ・・・ああ、ありがとう!

二日目。すみません、本当に短いレポートになりそう。もう、すごくてどうにも手が動かなかったんです。
皆がスタンバイするかどうかという時にもう小さくロールで森山さんがマーチを始めている。ノブ君ライトでおでこが光っている。いきなりのノブ君のソロ、この迫力といったら!唖然、呆然、思わずよだれが出そう。ノブ君白目をむいて迫力のソロ。思わず、ペンとノートをテーブルにおいて座り直してしまった。音川さん、吹きまくる。おーお、森山さん・・なんてドラミングだ!もう、手が動かない私。

ああ、しばらく手が止まっていた。Hole in the world。ノブ君ソロ、ああ苦悩の表情で弾きまくる。顔を見ているともっとイジメてみたくなった・・なんて私はサディスト?音川さんソロも、うゎお、なんて迫力だ、森山さん目に汗が入って痛そう。音川さん膝蹴り、後ろ蹴り、回し蹴り。森山ソロには行ってしばらく望月田中がガーンガーンとつけているが、少しずつボリュームダウン。いきなり手を大きく振り上げシンバルをバシーン、これが入る合図でテーマに戻る。最近テーマに戻る合図が短くなったのではとお聞きしたら、「信正を困らせたくて、いじめたくて」だそうです。

メンバー紹介。もう、このグループになってから何年、二年以上になりましたね。え?5年?3年?(とメンバーに聞く)聞くんなら言わなきゃいいのに・・。二年以上って言っとけば間違いないんです。・・『森』と『山』が出ました。FM東京の方から、『これは良いタイトルですねえ』って言われましたが、何が良いんだかよくわからないんですが。まあ、森山を目立たせようという魂胆がありありのレコードでして。ジャケットにちゃんと写真が出たのも初めてじゃないでしょうか。前は、バスジャック事件の少年みたいに薄暗いところでスティック持って、危なそうに、しかも顔が映っていないって。あるいは影絵のようなものだとか、そういうものだったんです。走って痩せたので、男前になったのを認めてもらったんじゃないかと思うんですが。えー、『森』のほうに入っている曲が、今二曲目にやった音川英二の作りました、『Hole in the world』です。これは、とても深い意味があるんですか?(音川さんケラケラ笑う)大したことはない・・・世界の穴?(笑い)なんだかよくわかりません。・・・次の曲は音川英二の前にこのグループでサックスを吹いていてくれた井上淑彦が作りました曲で、『G**』です。

ノブ君がイントロを弾いている間に、森山さんが椅子から立ち上がって何かを拾うような・・・何をしているのかな?間に合うかしらと心配したけれど間に合いそう。森山さんと目があった、森山さんニヤッと笑う。イントロ→テーマの時の、マレット→ブラシの持ち替えの早さよ・・・田中、望月デュオになる。あれ、もうピアノ調律が狂ってる。美しいフレーズなのに今ひとつ、音が気になってしまうのが残念。でも、うっとりと引き込まれるわあ。

ぼ〜っとしていたら、いきなり「行くよ!」とすぐに始まるSound river。このアフロリズムがいいんだわ。ノブ君ソロ、森山さんを見て4ビートに変える。弾きまくるノブ君を見ながら叩きまくる森山さん。

もう、メモがとれてない、普段MD録音中に、曲と曲の間やMCの頭出しをするためのトラックマークをつけるのだがそれも忘れ、呆然としていた。「しばらく休憩します」とメンバーが控室に引き上げてからも、ぼ〜っとしていて話しかけられても返事ができなかった・・・。いったい何なんだ、何が起きたのか?昨日もすごかったけれど、それにも増して・・・どういうこと?もう信じられない〜。

ステージに森山さんだけ登場。「少し早いので5分ほど宣伝をさせていただきます。後ろの方にお皿を持ってきました。作ったっていっても私が作ったわけではないんですが、同じ町に住む安藤光一さんという陶芸家の方がNHKの焼き物探訪という番組に出たときに、どういうわけか私が聞き役に回って、『この壺はどういう風に作るんですか、ほっほう〜』(笑い)なんて言いながら焼き物の魅力を探り出そうという番組で、それが非常に好評だったと言うことで、安藤先生がお喜びになって、『せっかく二人でそういうことをやったんだから、記念になるものを残しましょうよ』っていうことでこのお皿を作ることになって私たちグループのカルテット、ベースと、ピアノ、サックスと、ドラムという4枚のお皿を作って(と一枚ずつ客席に見せる)これを3000円で売って大儲けしようという(笑い)悪い魂胆です(でも本当は安藤先生の作ったおちょこなんて5万円くらいするらしいから、これはお買い得だと思うけど)。先生が頑張って3月から作ったんですけれど、100セット作るのがやっとだって、100セット作っていただいたんですけれど、もう半分以上出てしまいました。今日もあと4つしか残っていないのであまり宣伝にもならないんですけれど。よろしかったらぜひお買い求め下さい。CDは一枚3000円ですけれどこれは4枚で3000円ですから。数で稼ごうという方はこちらの方を。えー・・・・・・」

と、かなり間が。何を喋るのか忘れてしまったという風情で、クスクス笑いが始まる。「ああ・・・今日昼間誰と話していたか忘れてしまったんですけれど。・・本当は私は役者になりたかったんです。んなことはどうでも良いんですけれど。で、中学校の時は本気でその道へ行こうと思って、放送劇団とか入ったりして、やってたんですけれど、高校になったら急に芸術ぶった劇になって、なんかわざとらしいんですね、『おお、君たち!』なんて(爆笑)今までの学芸会のイメージはなくなってしまってあれはいやだと思ったのが一つと、それからもう一つは、劇でも主役でそしていじめられて泣くような、優しい少年の役をやりたかったんです。そういう劇になるといつも、いじめて最後は殺されるような悪役ばっかりもらって、でいっぺんだけ、そんなに弱い役をやりたかったらいっぺんやってみたらどうだ、って中学生の時に最後三年生の時にやってみたんですが、あまりに似合わなくて自分でやっている最中に笑い出してしまって、それでその二つでその道をすっかりあきらめて、しょうがないからドラムを叩いています。しょうがないから(今から)叩きます。

拍手とともにノブ君登場。おお、今日もダニーボーイだ。いつものように始まり、二人での大爆発状態。ありゃ、まだやるの?大丈夫?ノブ君スピーカーに頭をぶつけるんじゃないかと心配したが、あとで聞いたらどうもピアノのふたに頭をぶつけていたらしい。

拍手とともに音川さん望月さん登場。「ありがとうございます。渋谷毅さんと『しーそー』というレコードを作って、『あ、ピアノとデュエットというのもできるんだ』、と長いこと山下洋輔とやっていたのに今更気づいたようなわけで。それまでレコードというのはライブのある部分を切り取って、まあ言ってみればミュージシャンにとっては記念のようにして残していくもんだ、っていうくらいに思っていたので、あまりレコーディングの時には意識しなかったんですけれど、あのレコードができあがってから『ああ、レコードっていうのはレコードだけで満足させる音楽を作らなきゃいけないし、レコードだからできることってのもあるのかな』って急にまじめに考えるようになりました。だからといってまた渋谷さんとやれるわけでもないので、こんどはターゲットを田中に絞って(爆笑)いじめるだけいじめぬこうと思っています(大受け)

次の曲は鈴木宏昌さんという方が、通称コルゲンさんというんですけれど、そのかたが僕らがレコーディングする日の朝に作って急遽FAXで送って下さった曲で、ミステリアスなんとか・・(笑い)・・長い名前は実はよくわからないんです(笑い)。デパーチャー・・なんか、言ってもしょうがないんですけれど。そう言う曲で、訳すと何でしょうねえ、何とかへの出発?なんかそういう曲なんですけれど。あの方、つい先頃出発されてしまいました。笑うところじゃないんですけれど。で、多治見のFスタジオで鈴木さんを偲んでコンサートがあったんですけれど、日野皓正さんと、佐藤允彦さんと来てくださって、それで演奏したんですけれど、演奏の合間にみんなで思い出を語ろうじゃないかって。私にはたいして思い出がなかったので順番が来ないといいなあとドラムの前で小さくなってたんですけれど、そうしたら日野さんから佐藤さんから話す方たちみんな、『鈴木コルゲンは立派なミュージシャンだった』とか、『彼のテクニックはすごい』とか、『音楽性がすばらしい』とかそんなことはどなたも仰らないんです。そうではなくて、『あいつは親切な奴だった』とか、『いい男だった』とか、『あんな太っ腹な奴はいなかった』とか『優しかった』とか、そんなことばっかり言うんです。それまで僕は『立派なミュージシャンになろう』と思っていたんですけれど、考えを変えました。これからはいい人になろうと思います。では鈴木宏昌さんの曲をやります。」

とドラムの前で、叩き始めるかと思ったら指サックをはめ始める。なかなかうまくはまらず時間がかかる。「こんなことをしないとスティックが落ちちゃうんです」と情けなさそうな顔。と思った瞬間、ものすごい音。いきなりの、この落差がまた何ともたまらない。音川ソロ、タパタパタパタパと音のアーティキュレーションが心地よい。太い音、ベルの響きが直接伝わってくる。今日はライトが黄色なのでよろしいわ・・昨日のグリーンのライトアップはちょっと怖かった。森山さんの、この腕の振りのしなやかさと言ったら・・・わー、すごい〜、すごいソロ。ボキャブラリの不足で書けないけれど本当に、何という・・・ベースもすごい。このラインの力強さ。テナー吹き終わって床にしゃがむ、音川さん息が荒い。ピアノソロ、森山さんから仕掛ける勝負、田中さんも負けていない。受けて立つだけでなく、こんどはノブ君の方から攻撃を仕掛けて森山さんが防戦するような場面も。おお〜、すごい・・・。どひ〜。ドラムソロからテーマの移行もスムーズで隙がない・・・

朝日。う〜ん、望月田中デュオ、調律が・・・。まあ、合わせても合わせてもノブ君が狂わせそうな気がしますが。こんどは音川森山デュオに。

森山さんがちょっとだけ体をゆすって、カウントも出さずサンライズのテーマ。ぷっと吹き出してしまった・・・しまった。だってどんどんイントロが短くなる!以前はドラムのソロがあって、ロールが高音から低音に回って、タカタドン!の合図で入ったものだったが・・・「タカタドン」だけになったと思ったら最近は「パカン!」だけで始まっていて、いつ始まるかとピアノもベースもまったく気が抜けない・・・もしやさっきのボクシングのジャブのような一瞬のポーズがカウント?これも「信正を困らせていじめたい」森山さんの意向であろう・・・もっといじめて〜、なんて。音川ソロ、今日の持っていき方はまたなかなか味がある、最初は押さえていて、サビのところからトーンをあげて、がーっと吹くところなどほれぼれ。森山さんノブ君をみて腕を回して合図、サビまでドラムとピアノがつけ、そこにグズラさんが合わせる、そしてまたサックスとベースのデュオに。きゃー、かっこいい。森山さんまだまだ余裕の表情。望月田中デュオに。

ハッシャバイ、短く短く、と念を押してスタート・・そんなに変わらなさそうだったけど。はらりと落ちてくる髪をかき上げながら弾くノブ君。

「ありがとうございました。」とメンバー紹介。拍手拍手。「『森』『山』のレコードの中に、『森について書いてくれ』『山について書いてくれ』っていう依頼があったので書きました。『森』は、私山梨県の出身で、武田信玄がスローガンにしていたのが『風林火山』という旗印で、あれにちょっと似ているんで『静かなること林じゃなくて森のごとく』で、『動かざる事山のごとし』というようなイメージで父親のことを書いたんです。実話なので、もじって面白くしているわけじゃないんですけれど。何回かピットインでも話をしました。『威男はまだドラムを叩いているのか』っていうので『ハイ叩いています』って言ったら、『そうか、二人でがんばればいつか立派な狸になれる』何のことだかよくわかりませんが。そんなことがあったり、一度出身地の勝沼でコンサートをしたときに年老いてから来てくれて、終わってから何て言うかと思ったら『あんなに叩かなきゃ飯がくえんのか』(爆笑)。親って言うのはこういうもんだなと思いました。なくなる前、だんだんもう意識がなくなってきたんですけれど、寝ているときに母親にしきりに『童謡を歌ってくれ』ってせがんでいたのを聞いていましたので、見舞いに行ったとき耳元で『あかとんぼ』を歌ってやりました。親父が80過ぎてから、『お父ちゃんはどうも歯医者にはむいていないらしい』って、80過ぎてから言われても私も困るんですけれど、そんなことを言っていたのを思い出して、私もだんだん年になってきましたから、ちょっと娘に試してみたんです(クスクス)。『お父ちゃんはどうもドラマーには向いていないみたいだ』って言ったら『そうかもね』って言われました(大爆笑、大ウケ。あんまりおかしくて私は前に置いてあるスピーカーに頭をぶつけてしまった、録音には音川さんの笑い声が大きく入っている)。ドラマーをやめても、立派な人にはなれます。ありがとうございました。」

ああ、グッドバイ。もう書けません。ペンが動きません。ごめんなさい皆さん。

拍手がいつまで経っても鳴りやまない。きっと演奏はないだろうなあ・と思っているが、じっと待つ。控室のドアが開いて森山さんがステージに。「ありがとうございます。みんな無責任で、『出ていきゃなんとかなるよ』(笑い)って押し出されたんですけれど、どうにもなりませんでした。こういうときはドラムソロをやっても仕方ないんで、きれい〜にピアノソロかなんかで、『亜麻色の髪の乙女』そういうのをやってくれればいいので、『田中頼むよ』って言ったら頼む『よ』を聞くか聞かないかのうちに首が取れるかと思うほどぶんぶん横に振って・・・(笑い、あまりにも状況が想像できておかしいのなんの)もうそれ以上何も言えませんでした。元気でいれば、また年の瀬にお会いしましょう」おっ?年内にピットインがあるの?まだ聞いてないけど・・・(12/11・12の水曜日、木曜日と決定)「ありがとうございました」で、おしまい。

演奏が終わってからも、しばらく立ち上がれず、頭がふらふら。足はよろめきけつまづいて転びそうに。ほー・・・・。