10/7(月)三日目、室蘭へ

あいにくの雨模様。チェックアウトタイムに集合し、分乗して宿泊先の洞爺湖温泉へむかう。1号車はノブ君HPでおなじみ「さりゅ」さん運転、TOMさんにノブ君、望月さん。2号車は音川さん運転、森山さんとオットに私。定山渓から中山峠を通り、すっかり色づいた山の木々を見る。寄るつもりだったジンギスカンはお休みでアウト。途中でアイスクリーム屋さんに寄るが、真っ先に買ったのはグズラさんだった。ガラス越しに花畑をしょってアイスをなめるグズラさんの姿はなんともいえない味がある。メニューは塩アイスとか、キャラメルアーモンドとか、ミルフィーユとか。さりゅさんおすすめはダブルクリーム。私は注文しないでみんなのを一口ずつもらってあるくという手段に出た。隣のチーズ屋さんで発酵バターをおみやげに買った。洞爺湖のホテルに着いたのは午後1時すぎ。ロビーにピンク色のグランドピアノがある。ノブ君「初めて見た〜」と座ってみる。洞爺湖を見ながら昼食。森山さんと私は生ビール2杯ずつ。おごりでやった〜!と喜ぶ。食事が終わって午後2時。ホテルから会場までは約40分という距離とのこと、午後7時に開演なので午後6時にサウンドチェックが終わればよいという状況。それなら入りは5時でよいから出発は4時でいいなと考えると、集合3時はちょっと早いか・・・今から出発まで一時間しかないと仮眠もできないと、眠たそうな顔の森山さんを前にN瀬さんに集合時間を遅らせるお願いの電話をする。しかし新しいホールで、楽器とミュージシャンの位置を決めないと照明さんも困るから早く来てほしいとのこと。それがだめなら、ドラムセットだけでも早く組み立ててほしいとのことで、メンバーより先に出かけることに。ちょっと時間があったので、さりゅさんの案内で洞爺湖をモーターボートクルージング、すっごく気持ちよかった・・・みんな髪の毛ボーボー。さりゅさんの車で、ノブ君、TOMさんとホテルを出発。

室蘭の市民会館「わにホール」。ショッピングモールもついて、とっても便利が良さそう。「おはようございま〜す」と入っていく、まるで関係者のよう・・・いまさらそれはないか。木目を生かした感じの響きのよいホール。舞台上はまだ白木という感じで、土足で歩くのも少々遠慮したほうがいいのではというくらいきれい。ノブ君と一緒にピアノとドラムの位置決め、全権委任大使で緊張する。なるべく前の方、全員寄ってコンパクトに、と要望を伝えるが、それではライトが当たらないという。ぎりぎりピアノとドラムの位置を前にセッティングさせてもらう。名古屋に帰るTOMさんをさりゅさんが駅に送って下さる、ノブ君はピアノを弾き込んでいる。すごい運指、さすがプロ〜。そのあいだにドラムを組み立てる。まずバスドラムの位置決め、脚を出してペダルをつける。左に高音、右に低音のタムをセット。フロアタムの脚を差し、順に並べ、スティックケースを掛ける。ついでシンバルの準備。ハイハット、クラッシュ、トップ、チャイナ。今日のトップはやはり新品の方だろうな・・・シンバルスタンドもシンバルによって違うし。この二日間組み立て、バラシにかかわっていたのでなんとか覚えている。なんてったって私が一人でドラムを組み立てるのは去年の九州大分以来、二回目なのよ〜。それに、自分でドラムを叩くわけじゃないので、微妙な高さとか、位置とかが全然判らない。以前の、自分で書いたレポートを見ても、正面から見た写真しかなく、上から見たり叩く側から見たりの画像がないのよ〜。スタンドの脚の位置、スネアの位置が全然判らない。あ!しまった、今レポートを書いていて思い出した!森山さんが叩いた後のドラムセットを各方向からデジカメで撮っておこうと思ったのに忘れてた!椅子をセットしてドラムセットの前に座ってみる、ノブ君がいきなりサンライズを弾き出すが、悲しいかな叩けません。スティックケースからスティックを出してシンバルやタムの音を確かめてみるけれど、森山さんの出す音とはほど遠い。どうしてあんな音が出せるのかしら・・・いろいろ迷って動かしてみるけれど、大筋は間違っていないだろうと開き直ってこんどはCDとお皿販売のブース作成にかかる。今回はCDは地元のレコード屋さんが来てくださるそうで、お皿だけ売ればよろしい。オットしか販売員がいないので、お皿だけというのはありがたいわ〜。

5時過ぎにノブ君以外のメンバー到着。ライティング係の人に、曲順を書いて渡し、サウンドチェックの間にライティングの相談。ちょっと時間があればレポート書きにかかろうかと思ったが、全然ない。控室に置く飲み物を買いに走ったり、根室札幌とTOMさんがしてくれていたお金の管理、あ〜始まってしまう!

N瀬さんの挨拶(写真がピンボケで掲載不能・・・デジカメ買い換えようかな)、メンバー紹介とともに一人ずつステージに登場。スタート曲はMarching of seventh。ノブ君ソロ鍵盤連打、それと一緒にリズムを踏みながらの左足、けっこうよく動いている。この踏み方ならハイハットシンバルも踏めるのじゃないかな?ソロ終了は目で音川さんに合図して。音川さんソロ長く、のけぞり、足蹴りも加わり、紅潮した顔。森山さんのスネアショットがよく響いている。目にもとまらぬ早さでスティックが動く。スティックが落ちたがすばやく持ち直す。

森山さんMC。メンバー紹介、「メンバー一人一人のことを紹介しようと思っても、たまにしか顔を合わさないのでよく知らないんです。田中は・・・プロになってから何か賞を獲ったんだっけ?」「なる前です」「あ、そうか・・・望月は何か賞を獲った?・・」望月さん無言。「・・・罰もないのでプラマイゼロということで。あ、そういえば私賞を獲ったんです。」拍手。「南里文雄賞という賞をいただいて、そんなすごい賞だって事を知らなかったんですがみんなからお祝いの電話なんかいただいて、山下洋輔なんかもすごく喜んでくれて授賞式の前の晩は二人で宴会をしました。・・・・・中略・・・・・・思い出話になってしまうんですが、その昔いずみたく音楽事務所に所属していた頃、忘れもしない、松本の市民会館で佐良直美のバックバンドの仕事があって行ったんですが、フィルインといって曲と曲の間の数小節をドラムでつなぐというところで、なんでもないところなんですが『ドンツカ・タカツカ・タカタンドン、チンチキチンチキ・・・』って入れれば良いだけのことなんです。でも山下洋輔と仕事を始めていてめちゃくちゃやることにしか慣れていなかったんで、決まったことができなかったんですね。自分の番になって始めたら終われなくなっちゃって、延々ドラムソロになって歌に入れなくなって、佐良さんがあきれて「ドラム・森山威男」っていってステージから降りて行っちゃった、それ以来『森山さんはもういいです』ってクビになってしまいました。いずみたくさんの作った名曲、『みあげてごらん夜の星を』です。

サックスがテーマを吹き、全員で美しく始まる。サビの部分はノブ君が弾く、テーマの終わり部分はドラムレスで。美しくテーマが終わりかけたと思ったら、いきなり田中さん不協和音をガシャ〜ン。音川さんと望月さんはステージの右手の方に引っ込んでしまう。森山田中デュオの始まり、バトルでござんす。ブレイク!してまた睨みあい、ジャブの応酬。ノブ君森山さんを見据えて、ネコパンチを繰り出す。森山さんブラシが壊れ始め、分解しつつパラパラキラキラとワイヤーが宙を舞う。この前のピットインでは頭に刺さってたみたいだけど大丈夫かな?

アフロリズムで「Sound River」が始まる。この新品のトップシンバル、ベルの部分がカンカンとよく響く。ベースのうねりが流れを作り、それに乗って音川ソロが快走。ノブ君ソロ。しかし、このトップシンバル連打すると音がシャワーンとなって全体に響きすぎ、ピアノの音が死んでしまうような感じでもったいない・・・バランスが難しいね。スネアの響き線をはずしてタムのような音にし、音階を叩きわけるような感じのドラムソロ。和太鼓風に聞こえる。森山さんにスポットが当たって、白いシャツが浮き上がって見える。

一部の終わりで森山さんがお皿の宣伝をなさる。さて忙しくなるぞ。地元のレコード屋さんは「森」「山」だけでなくもちろん「しーそー」に加え、マル・ウォルドロンとの「デュアル」それと「マナ」「Over the Rainbow」もご持参、すごい!我が家になかった「Over the Rainbow」をオットが買ってくれた。お皿どんどん売れる、本当に完売しちゃうかも。開演のブザーが鳴ったので、お皿の管理をレコード屋さんにお願いして急いで席に戻る。

メンバー登場。ざあああっというロールで「何の曲が始まるのかな」と考える。パカン!とDeparture from the Mysterious Flashが始まる。もう、何の曲をやるか森山さん知らなくても「パカン!」と一つ打つだけでみんなが曲を始めてくれるんじゃない?今年のツアー、森山さん全般的に調子上々って感じ。お疲れだな〜とか、大丈夫かな〜とか全然思わせないもん。最近「腕が痛い」「腱鞘炎で」って全然おっしゃらなくなったし・・以前はライブの回数が少なすぎたのですね(それ以外はドラムに触ることもない)。やっぱりライブ、どんどんやってください。右端のチャイナシンバルから、左端のクラッシュシンバルまで身をよじるようにして叩く、動きが美しい。ちょっといたずらっぽい顔をして、それがまたなんとも楽しげ。ベースが少しランニング風に、ピアノとドラムも少しずつ音量を落として、ベースとサックスのデュオに。アラビアっぽい音階を吹いている。森山さんがパカン!!でノブ君が一緒にぱっと入ってノブ君ソロへ移行。森山さんとノブ君の掛け合いというか勝負がすごい、ピアノを見てドラムを見て、ピアノを見てドラムを見てと首を左右に振って見る、両方一度に見られる魚眼レンズみたいな目がほしい!森山さんの繰り出すショットとノブ君の連打のリズムがよく合っている、タムのリムにライトが当たってぴかぴかときれい。

Gra**tude。ああ、この曲・・・・きれいだわー。田中ソロ、音川ソロ。もうなんていい音色で歌い上げるんだろう。終わりのテーマで森山さんが暴れるのももう聴き慣れてしまって違和感なし、かえって快いくらい。

何やるんだっけ?ってまたまた音川さんに訊く森山さん、パカン!!で始まるサンライズ。なんと時間の経つのが早い事よ!音川ソロ高低自在に吹き分け吠えまくる、田中望月デュオには修飾的にシンバルワークを少し付加。リズムをハイハットで少しつけるところから、多彩なフレーズをシンバルワークで、次いでドカーンと爆発、この地響きのようなドラミングはどうやったら出るの?お、ノブ君頑張るね、まだやる?おお、すごいもう1コーラス粘るの?もっとやれ〜〜〜〜〜!森山ソロ長い。わくわくしながら聴いちゃう、でももうこのツアーのライブもそろそろ終わりなんだ・・・テーマに戻る合図ますます短く。以前はロールを回してタカタドン!というのがお約束だった。ロールなしのタカタドン!がタタン(2音)!になり、最近はパン(1音)!で戻ってしまう、フロントは大変だ。この一瞬の間で入るタイミングとテンポを決め、そろってテーマを始めないといけないのだから、寝首を掻かれないように(何のこっちゃ)油断禁物。

森山さん「ありがとううございました!」「音川英二!望月英明!田中信正!」と叫ぶが、声が裏返っている。全員退場、アンコールの拍手が始まる。退場しちゃって本当のアンコールみたいに演出するのは久しぶりである。暗いステージにまた戻ってきて、ハッシャバイが始まる。拍手。・・・・・・・・・・ありゃ、メモを取る手が止まっていたわ、ああかっこいい、いいわいいわ音川さんのソロ。お、ノブ君今日はいい姿勢で通してますね。

森山さん挨拶。「親父が82で亡くなる前に、俺は歯医者に向いていないかも知れないって、まじめに相談されました。私も、娘にお父ちゃんはドラマーには向いていないかも知れないって、言わなきゃいけない年になってきたようです。今度お会いするときまで元気で叩いていたいと思います。どうもありがとうございました。」

イントロが今日は少し長いか、Goodbye。すごく、きれいで心が透明になっていくような・・・封印してあった何かが弾き出されるような、本当に心の底を揺さぶられるような音楽。気がつけばコンタクトが浮いて、マスカラがにじんでいる、みっともない。・・・・ああ、終わっちゃった・・・・・

余韻に浸る間もなく、またお皿販売。オットに任せてサイン会場の設営、メンバーを呼びに走る。そしてドラムの撤収。ドラムのバラシはだいぶ慣れた。みんなに運んでもらってロビーに戻ると、やったあ〜、お皿完売!もう手に入りません!森山さんの分ももうありません!買った人、おめでとう!ほしかった人ごめんなさい!

打ち上げ会場へさりゅさんの車で移動、今日は定休日の店を開けてくださった。生ビールで乾杯!ワインもおいしい。おすし、焼き鳥。N瀬さんの音頭で自己紹介一周。みなさん気持ちの良い方ばかり。森山さんが私のことを持ち上げてくださる、「ドラムは組み立てる、CDは売る、ホームページは作る、ギャラは取らない(これが一番)その上金を払ってライブを聴く、マネージャーの鑑!」前までファンの鑑と仰ってくださっていたのが、ついにマネージャーになってしまった。しかしN瀬さんも、この何日か走り回っておられた、会計士のお仕事を全部横に置いて・・・本当に頭が下がります。ありがとうございました、しかし来年も企画してくださいね!楽しみにしています。

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