ATMに寄ろうと道を横断したら、室蘭のN瀬さんにばったり。お店がわからなかったみたい。そうよね、ちょっとわかりにくいかな?最近あの辺、様子が変わって私でも分からなくなっちゃう。

今日は客の入りがいい!土曜日というのもあるだろうが、森山さんの調子が後になるほどいいと皆さん思っておられるのだな。でも昨日もいい演奏だったけどね。

7時58分スタート。浜辺の唄。ノブソロ、鍵盤連打、森山さんから掛け声が飛ぶ。おおお、しかしピアノトリオ一曲目からこんなソロをやるピアニストっているんだろうか、あ、ここにいた。紅介さんのソロのバック、寄せ〜る〜波〜と〜の所で歌う森山さん。メロディアスなソロ。Now's the timeのフレーズ。テーマ、終了。大拍手。と、そこへ、いきなり倍テンのタムの連打、森山さんノブ君をあおる。森山さん、うわ、すごい。この二人の呼応。ドラムソロ爆発状態からすごく静かに静かになった、と思ったらノブ君が美しくそっとテーマを弾き出す。サビでいきなり倍テンへ、すごい気迫のドラミングだ。拍手、口笛、歓声。

メンバー紹介、「今日は二日目で、ちょっと疲れて調子が悪いかと思ったんですけれど、やっぱり昨日練習しておいてよかった。昨日いらした方はごめんなさい。それでも昨日は昨日で良かったんですよね、大丈夫です。良くないことが一つあって、今日はすることがないのでホテルでゆっくり休んで風呂にでも入って、と思って、田中さんから『森山さん、たまには顔を洗わなきゃいけませんよ』っていわれたことを思い出して(以前、森山さんが風呂に入った時についでに顔をこするだけ、ってなことを言ったらしい)、石けんがないもので、頭を洗ってついでにシャンプーでいいだろうってタオルにシャンプーをつけてこすったらひりひりして・・・自分の感触としてはぬるぬるしているから痛くなることはないだろうって、けっこうタオルってのはこすると傷が付くんでしょうかね、ひりひりして、せっかくの今日のやる気が半減してしまって、こんな顔で皆さんの前に出られるだろうかって思ったら、田中さんが『いつも通りですよ』って(爆)、助かりました。本当は田中さんのように洗顔しないといけないんですよね。なんかいろいろなことやるんでしょ、あなた。男の七つ道具みたいに並べて(笑)と、瓶か何かを並べるような手つき。慌てて手を振るノブ君、「え〜、そんなようなわけで、たまにやる気を出すとろくなことはないっていうお知らせでして。この曲は、昔やった曲なんです。私が山下トリオをやめてすぐだったでしょうかね、山梨でリサイタルをやりましょうよ、って、そういえばリサイタルというものをやったことがなかったんで、もう言ってみれば、第一線を退いて、現場には出てこない野球選手みたいになっているのでリサイタルも何もないものだと思ったんですが、まあ山梨でいっぺんやれば、母親父親に対する親孝行にもなるだろうってやった時に、本多俊之っていうアルトサックスの人がアレンジしてくれて、そしてやったんです。この曲は個人的に好きでして、きょうもやる気になりました。このセットは(皆さんの?森山さんの?)知っている曲をやろうと思っています。次の曲はBlue Bossaです」

ドラムソロから、アフロリズム、あ〜、ピアノが遠くて聞きづらい。森山さんのすぐそばに座っていてゼイタクですわね。4ビートアップテンポになって、・・・・しまった、すごく辛いパスタ頼んじゃった、もうビール3杯目。寝不足もあって少しまわってしまいそう、そのうえ赤唐辛子の輪切りが歯にはさまってしまって、舌が痛いわ。森山さんのロール、炸裂している。ノブ君の右手、ガンガンのソロ、左手はしっかりコードを押さえている。森山さん叫ぶ。あれ、ノブソロ終わったのに拍手がない、さっきの曲もだけれど、何でかしら・・・。ありゃ森山さんソロの最中にテーマのリズムを入れたので終わるかと思ったけれどまだ続く。曲が終わって森山さん、「ホウ」とため息を一つ、拍手。

タオルで汗を押さえる。拭く、という感じじゃなくて女性がお肌をパッティングするかのような動作で客席から笑いが。「気取っているわけじゃなく、お化粧が落ちるわけじゃなくて、痛くて。。。はあ。子供の頃は年をとるのを楽しみにしていた頃があるんですよ。小さい時は『タケオちゃんはほんとうにかわいい』なんて言われて(笑い)、中学生くらいになってかわいくなくなって、私のように四角い顔をしていて大きい顔だとだいたいかわいくなくなるんですよね。今の時代は顔が小さくて細長い顔をしていれば大体誰でもかわいいと言われる時代なので、まあひがんでいるわけじゃないんですけれど(とノブ君の方を見る)。ええ、そんなわけでかわいくなくても年をとれば男らしくなるだろうし、顔が四角いのはがっちりしていていいんだ、と思って年をとったら見ていろ、と思ったんですけれど。そして、年をとるとこのへんに白髪が混じったりして、それもいいもんだと思ったんですけれど、あまりいいものじゃないですね。年をとるというのはただ寂しいだけです。・・・親父が亡くなったんですけれど、久しぶりに家に帰ったら食事をしているんですけれど、こうすると(と首を前に出す)そのまま下までいっちゃうんですね、力がなくなってしまうんでしょうか、最近自分もそうなってきたんじゃないかな、と思って、淋しくなってしまって、前より年をとるのを楽しめなくなってきてしまいました。・・・曲とは何の関係もないんですよ。次の曲はGratitude、感謝という曲です。名プレイヤーの、テナーサキソフォーンの井上淑彦が作った曲です。別に私に作ってくれたってわけじゃないんですけれど、彼も自分のグループで演奏してますし。・・でもまあ、このトリオの演奏の方がいいんじゃないかと(笑、でもサックスがいた方が良いと思う)、あ、(こっちを見て)書いちゃダメだよ(爆笑)、これは私の意気込みを言っただけで、そっちが悪いって言ってるわけじゃなくて、曲にかける気持ちをメラメラと燃え立たそうとしているんですから、ねえ田中さん」爆笑。「ベース、坂井紅介です」拍手。

ベースのイントロ、Everybody love somebody sometime・・・のようなメロディーが入る、ノブ君テーマを弾く。かわいい音列。森山さんやっぱり歌ってるけど、サックスにはかないません。考えてみれば、いつものバンドの演奏と同じ曲数でほぼ同じかそれ以上の時間を演奏してるんだから、特にノブ君の演奏は大変だろうな〜。お、テーマが終わったら紅介さんのソロ。しかし、ノブ君の演奏は本当にジャズっぽくなった(偉そうなことを言ってごめんなさい)。グループに入りたてのころ、考えたらもう7年前?のころの演奏、八ヶ岳のパーティーパーティーのころからずっとこのバンドでの彼の演奏を聴いてきたつもりだけれど、ノリもフレーズもジャズプレイヤーっぽくなった。かといって、彼の持ち味の現代音楽っぽさとか、斬新なフレーズとかは失われず、いろいろな局面で実に多彩な音色、フレーズ、パッション、テクニックを聴かせてくれ、どれをとっても意表をつかれるような演奏を聴かせてくれ、じつに楽しい。そして演奏の間も、いつも真剣に相手の演奏を聴いて、どうやって反応しようかというアンテナを張っていて、それにキャッチしたことに実に見事に反応する、それが今、数多くのリーダープレイヤーから引っぱりだこの理由だろう。円熟味、などという過去の演奏と同じものを聴かせるマンネリプレイヤーにならず、いつまでも進歩していってくれるものだろうと期待する。あ、なんか批評家っぽくなっちゃった。

このあと、実はMCをMDから起こして全部書いたんだけれど、いきなりフリーズで全部飛んじゃった、もう脱力して書き直せません。会場にいらしてくださった、日本舞踊の竹内菊先生のお話、森山さんが共演なさった時のことは以前のレポートを参照してくださいませ。今中日ビルのドルフィンという喫茶店でやっている、黒田さんのジャズポートレート展の話も。すみません。

インプレッションズ。ノブソロ、森山さんノブ君の方を見つめて、いや、この曲こそピアノトリオっていうのはすごいわ。ああ、ピアノとドラムの格闘、森山さん楽しそう。お、グリッサンド、見交わす目と目、ドラムの地響き、ソロが終わって、ノブ君ヨガのポーズ?きゃー、森山さんのソロ、何てこった。短いけれど迫力満点。終わって、タオルで顔を押さえる森山さん。

2nd setが始まる前に竹内先生にご挨拶したら「あなたがホームページを書いた人!」とおっしゃった。ご覧下さっていたのだろうか、恐縮。

スタートは、今日もやはりハッシャバイから。森山さんのご承諾を得たので、テーブルでパソコンを打ちながら聴くことに。だって、書いたものをあとから起こすよりずっと早いんだもん。紅介さんのタッチ、すごく軽く弾いているみたいなのだけれどしっかりとした音が出ている。ノブ君、オーソドックスな感じのソロから徐々にパーカッシブな感じに。森山さん、奇声をあげる。ピアノの音の配列、弾き方、メロディーライン、全部がバラエティに富んでいてとてもおもしろい。鍵盤を小さい音で叩きまくるのに合わせて森山さんも小さな音で、盛り上げるところもばっちり一緒で、タイミングがすごい、考えてみればもう7年くらいになるのだろうね。歴代のピアニストの中で、一番共演歴の長いピアニスト、となりました。紅介さんソロ、しかしこんな大きな弦楽器で、よくこんな正確な音が出せるなあと感心、ソロのエンディング、すごい拍手。4Bars。ドラミングが、本当に王道という感じで、すばらしい。隣のO栗先生がうっとりした眼で眺めている。今日のレポートの写真は、彼女の提供。終わりのテーマ、サビで歌う森山さん。ああ、タイトなスピードでエンディングへ。拍手、歓声。

「田中信正です。坂井紅介です」とメンバー紹介。森山さんが、初演メンバーの名前を一度で覚えてつっかえないのは珍しい。いつも大抵、顔を見て一生懸命考えてから名前が出るかどうか、音川さんなんか最初の頃間違えて呼ばれたこともあるし、ガゾーンと一緒に来日したエイブラハム・バートンなんて、いつまでたっても覚えてもらえない。ひどいときは、共演者の顔を見ながら「・・・・・・・です」だけの時もある。「あの、この曲は山下洋輔と一緒にやってる頃から、というかもっと前から好きな曲だったんです。なぜ好きになったか良く覚えていないんですけれど。いつかジャズをやることがあったらやってみたいと思いながら、あんなグループに入ってしまったんでしまったんですが(笑)。あのグループにいる頃から、いつかここをやめることがあったらこの曲をやろうと思っていて、やっと念願が叶いました(笑)。一人の人が思い出深く好きになる曲って、そう多くないと思うんですけれど、その何曲かのうちの一つなんですが、叩いていると思わというか、意図的にというか(笑)、うたってしまうんです。

今度、9月の18日に、日にちも決まっているんです。可児市の芸術創造センター、通称Alaというきれいなホールで、毎年第三土曜日にやりましょうって、・・・」と可児の森山ジャズナイトの話に。以前にもなんども書いたから省略。「もう、タネがないから、三年目100人だったらどうしよう、って、ドキドキしているんですけれど。こんどは山下洋輔と、板橋文夫と、歴代のピアニストを出てもらうことになって。相変わらず、虎の威を借りてコンサートをやるんですけれど、私らしい企画なんですけれど、ねえ田中さん」とまたいきなり振る。ノブ君笑ってる。「田中が勝つんでしょうか」え〜っと声を出してノブ君ぶんぶん首を左右に振りながら足をばたばた、「ピアノ三台並べてやるんでしょうかね。いろんな案が出てましたね。ドラムを真ん中に入ってぐるぐる回るって、回転寿司屋じゃないんだから(爆笑)。一人一人相手に戦うんですって、そんなばかな、ね。でも楽しい企画ですね、ただ一人一人相手にするっていうんじゃなくて、何か楽しい企画ができればと思ってます。そんなことですから、今日聞き終えた後は9月18日にまたお会いするということで」拍手、でも「え〜っ?」「まだまだあるよ(byふなさん)」と外野の声、そう、今年はライブ目白押しなんです、皆様。「竹内菊さんもあるんですよね、よろしくお願いします」

「次の曲は・・・・あ、そうですよね。この道」40年!と合いの手。「この道40年もたつか?私ゃ。まだたたないよ!え〜、この道に来てから、30年は経ちましたよね。いつかドラマーになろうと、ドラムをみんなの前で叩くことを夢見たのは小学校の2-3年だったですかね。思い続ければ、本当にそうなってしまうものなんですね。首尾良くなることができましたが、いろいろなことがありました。まあ、田舎育ちなものだから、東京芸術大学とか、国立でものすごい大学だから、親にもそそのかされて、本当に入っちゃったんですよね。田舎者が何も知らない芸大なんて入っちゃったものだから、本当に苦労しました。周りの人たちがショスタコの何番なんて言っている時に、何のタコだろうか、なんて全然知らないんです。ベートーベンも、モーツァルトも知らないものが、ショスタコが、ブリテンがなんて言われたって(ノブ君大笑い)何にも分からない。・・・・すごいんですよ、あの芸大の競争ってのは、大学に入ってからも。だって、卒業したって、オーケストラの募集がなければどこにも入れないわけで、プレイヤーになれないんです。たまたま求めていたって、N響で一人、とかでしょ。で、同級生は2人か3人なんですよね。もうみんな高校生の頃から顔見知りで受験生で入って二人か三人、同級生でしのぎを削るわけですから。今回は山田カズオさん指揮でこういう曲をやります、ってみんなわかってますから、スコアなんか見なくたって、『おっ、あの曲はタンブリンが活躍する曲だ』って分かると、学校中がタンブリンを家に持って帰っちゃうんですよ。僕なんか何も知らないものだから、タンブリンがなくなっちゃうわけなんです。そこですっかり挫折してしまったわけです。オーケストラの授業を受けて、『よ〜し、今日はタンブリンをやってやる』なんて思っても、楽器がないわけなんです。すると同級生が大きな袋に一杯タンブリンを持ってどうも〜なんていいながら自分一人で持ってるんですよ。これくらい競争が激しいんです。そんなこんなですっかり挫折してしまったんです」

「話が長くなりますが、退学届けを出した3年生の時に、吉田まさお(昨年お亡くなりになったのですね)先生が、唯一私の味方になって下さいましてね。『せっかく入った大学なんだから、出てもいいじゃないか、僕が一生懸命応援するから』、って、僕が見ている前で出席簿の欠席を出席出席って直してくださって・・・・」え〜っと、客席から驚きの声。「あ、先生の悪口を言っているわけじゃないですよ、書かないでくださいね」とまたいきなりこっちに振ってくる。でも書いちゃった。「そんなわけで、芸大を卒業できたわけなんです。恨みに思う人もいれば、人の情けにすがらないといけないところもあったりしていろんなものを見てきました。

そうして大学三年になった時、そうか、俺は元々この大学に入ったのはクラシックをやるために入ったんじゃないんだ、ジャズをやるんだ、って思って、それで『今日から私はジャズミュージシャンになります』って言って、その頃は大学より日本フィルハーモニーに入っていることの方が多かったんですが、そんなわけで『日本フィルハーモニーのお仕事はお断りします、卒業してもオーケストラには入りません』って今日は早稲田、明日は慶応、次の日は東大、ってジャズ研究会がありそうなところにいって、『森山です、一曲叩かせてください』って頭を下げてやっていたんです。ひょんなことから山下洋輔と一緒にめちゃくちゃジャズをやることになったんですが、そこから更正をして(笑)きちんとしたジャズもやるようになったんです。その挫折した大学三年生の時に、『もう俺もだめかもしれない、きっとキャバレーの仕事をして、お尻のポケットにスティックを刺して終電に乗るようになるんだ』と思って涙を流しながら歩いた時に聞こえてきた曲です。ダニーボーイです、田中さんお願いします。」

ノブ君のソロ。「この道は、いつかきた道」どうしてノブ君、このメロディーを、涙が出そうなくらいきれいに弾けるの?みんな、日本人でよかったって思ってるんじゃないかしら。あら、いつの間にか、ダニーボーイに。マレットで森山さんすごい盛り上げ方、オーケストラのティンパニの叩き方かしら?いきなりノブ君、すごい不協和音。今までのほっとした感じから、みんな不安な感じに突き落とされる。ノブ君と森山さんのデュオ。森山さん簡単にブラシで叩いているみたいに見えるけれど、敵の動きを見ながら警戒して、いつ相手の寝首を掻いてやろうかって感じの応酬。ノブ君がんばる、森山さんつっこむ、ノブ君負けずに応戦する、わーおわーお、決まったー!って爆音から、超美しいエンディングに。この落差がたまらない。終わった瞬間、森山さんため息を一つ、観客も。

紅介さんのフリーソロのイントロ、森山さんバックで、拍手というのかな、両手をタイミングよく打ち合わせて、合いの手を入れる。初めて見た、かっこいい!。紅介さん歌いながら、縦横無尽のソロ。森山さんスティックを持って、小さくトップシンバルを鳴らす。こんどは小さなリムショットを多用、あ、アフロブルーだよね、このワルツ。スネアの響き線を戻して、ロールから、ノブ君テーマを弾き出す。ノブ君ソロへ。ああ、すごいすごい、本当の真っ当な、正攻法で真剣で、迫力のある音。ノブ君顔が鍵盤人くっつきそう。ああ、森山さんこの動きの無駄のなさ。ばりばりの迫力、重戦車にたとえた人もいるくらい、この破壊力はすごい!あ、今や戦車を破壊するのは劣化ウラン弾か、でもそんな汚染されてるわけじゃないからこのたとえはなし。すごい演奏だ、はあ、終わった瞬間、みんなため息。

そのままサンライズに突入。うんうん、怪しい音階でノブ君のソロ始まる。紅介さんのベースワーク、音階が面白い。森山さんのクラッシュシンバル、炸裂。おなじみの欠けシンバル、レガートがよく鳴っているよ。森山さん吠える、わ〜、どうしたらこんな地響きが?ドカン!と曲のトップから入れたら、ちょっと音を控えめに演奏、サビ前でノブ君とまたどかんと合わせる。ノブ君、叩きまくり、森山さんも負けじとあおる。うわー、二人の間に入った紅介さんも苦しそう。ああ、すごいわ。すごい、掛け合い、応酬の間にちょっとオーバーアクションを入れたりして、森山さんの演技力も!役者やの〜。ああ、楽しい!ドラムソロ、もうぼ〜っとしてしまった、はあ、拍手するのも、思わず顔の前で、思わず手を合わせて拝みたくなるくらい。森山大明神!

「毎年、アーラには田舎の母親を呼ぶんですが、一番最初に呼んだ時は、3年前。おかしいなと思ったら、物わかりが悪くなったみたいで、物わかりのいい母親だったんですが、車の中で「どこへいくの?」って何度もいうんです」とお母さんのお話。「なくなった父親が、亡くなる前に病院に見舞いに行ったら、威男は今何をやってるんだ?相変わらずドラムを叩いていますよ、って答えたら、じっと考えて、『お父ちゃんも、今からでも遅くない、頑張って二人で立派なタヌキになろう!(笑)』って。どんな顔をして答えていいのか分からなくて困りました」なんど聞いても森山さんの話は楽しい。ご両親への愛情が伝わってきます。

グッドバイ。あら、今日はすごく高い音程。昨日はもうちょっと高い音で弾いて欲しいと思ったけど。ん〜、すてきなテーマ。じーんとするわね、皆様。はぁ、この曲、本当に名曲、しみじみ〜。ああ、ノブソロ、すばらしい。じわ〜っと目頭が熱くなる。誰かが鼻をすする音、感激したのか早めの花粉症か?わ、最後の盛り上がり、森山さんブラシのお尻で、シンバルスタンドがひっくりかえるんじゃないかっていうくらいの、ものすごいシンバルの叩き方を!

アンコールは今日はなし。ありがとうございました!と森山さんが手を挙げて。そう、これでよろしいの。もっと聴きたい気持ちはあるけれど。

二日間通して聴いて考えた。ここからはちょっと辛口批評。この選曲では「サックス抜きの森山バンド」と思わせるような物足りなさが残ってしまう。思い切りピアノらしい有名な曲を選んで、森山田中の組み合わせでどう料理するか、あの名曲がこんな風になっちゃうんだ、って思わせた方が楽しいのではないだろうか?どうせ普通のピアノトリオにはなりゃしないんだから・・・

一日目のレポート