しかし、夢中でメモを取っているので、あとから読み返してもミミズがのたくっているみたいで何が書いてあるか読めないわ。少しでも感動が伝えられればとは思いますが。

8時5分、登場して始まるかと思ったら森山さんが「スティックが足らないから取ってくる」とドラムの前からいなくなってしまった。すでにBGMも止まっているので、「し〜ん」となってしまった。ヤジでも入れて「何か喋って〜」と言おうかと思ったが、坂井さんがマイクを持って「私は新入りでございます。森山さんとこちら(ノブ君)は古いですし、(自分)と(ノブ君)は井上さんのバンドでいっしょですし、」

と自己紹介しているところに森山さんが戻ってきて「何、もう始まってるの?・・・Okay!」

ノブ君ものすごく髪の毛が短くなって三島由紀夫みたい、といっても若い人は知らないかな〜。ノブ君のカデンツァから。ピアノの音が少し硬く聞こえる。浜辺の唄。4beatのピアノソロ。でも私あんまり好きじゃないんだよね・・・。ノブ君熱演。あ、熱演って演技のときに使う言葉かな、演奏の時はどうなんだろう。森山さんとうまく呼応したノブ君のソロ、紅介さんのソロに。森山さんがさびで歌う所で眼があった。ベースソロに美味く合わせてノブ君がバッキングを入れる。やはり申し訳ないが、この曲はあまりジャズっぽくないし魅力を感じない。コードの起伏がないのかな〜?紅介さんも歌ってる。このまま終わるわけじゃないよね・・倍テン(ポ)には・・・?と思ったら、あ、やっぱり、ノブソロと見せかけて倍テンに。森山さん調子良さそう。お、ドラムソロ、バスドラのの響きが直接床を伝わってくるわ。ノブ君の倍テンソロ。けっこうなバトルになった、あ〜楽しくなってきたわ!こうなると全てが魅力的に聞こえてくる。おや、ending? すご〜くゆったりしたバラードっぽい調子に戻る。サビから倍テンにまたなった、聞いたことのない人には意表をつくかもね?

ありがとうございます、田中信正、坂井紅介!私が一番緊張してます。こういうがさつなドラムを叩いているので、管楽器がいないと腹の底まで見透かされているようで。今日はサックスの代わりに自分が雄叫びをあげながら演奏したいと思います。最初の曲は小学校唱歌でしょうか、いまの学校では教えないそうですね。あとはジャズをやりますよ、Blue Bossa, 井上淑彦が作りましたGratitude、Impressions(えっ、ピアノトリオで?でも前にデュオでやったっけ?)です」

しかし、ピアノトリオでこれだけ叩きまくるドラムもいないだろうよ。ドラムのど真ん前なので、もろにドラムの音がダイレクトで聞こえてくる、ピアノがんばれ。アフロリズムのシンバルの音がガンガン聞こえてくる。ノブ君が森山さんの方を見る。アフロから4ビートへの乗り換え?でも森山さんニヤッと笑ってそのまま次のコーラスもアフロで通す、次のコーラスで4ビートに。ノブ君ところのベース(山田さん)は表情豊か、って思ったけど坂井さんもなかなか。森山ソロ、やはり借り物のタムとは鳴りが違うわ。ん、森山さんのドラミングがメロディアスに聞こえたと思ったらテーマに戻る。

紅介さんのベースカデンツァーから。森山さんマレットで。テンポを決めるのが難しそう。何かハイハットの音が気になるなあ。森山さん歌ってる〜。テーマから、紅介さんソロへ。さすが井上G(Fuse)のベース、よくこなれた、いいGratitudeのソロを弾くわ・・・って、ええっと、グズラさんと比較してってわけじゃなくて、グズラさんはこの曲ではソロをしないし、って、自分でつっこんで自分でフォローしてどうする・・・。ん〜、雄弁だな。井上さんを聴いた時もそう思ったけど、ということはグズラさんはよっぽど寡黙なのか。一杯はいると別人だが、って今度は自分でオチを作ってしまった。ノブソロ、もう少しあってもよかったかな、と、終わりになってお決まりのように森山さん暴れ出した。

森山さんトップシンバルの角度を直す。カウントを出してインプレッションズへ。ピアノトリオで、って・・・あったっけ。ノブ君の奏法はまさに目に見えない上下の動き、以前「ふなさん」が命名した「パワーショベル奏法」よりももっとスピーディー、キツツキのようである。パーカッシブなソロ、森山さんの腕の動きみたい〜。ノブ君がガンガンに弾いて、大丈夫?グリッサンド、手が切れるんじゃないかっていう演奏に、森山さんガンガンに応戦。うわ〜、縦横無尽。森山ソロ。大音響のガンガンバシバシ。パコン!!でテーマに。ま、Sunriseとか、なんでも同じ入り口だもんね、ノブ君ならいつでも入れる。Endingも森山さん一人で目立っちゃってまあ。

二部。オットが「また浜辺の唄?」って言ったけど、そういえば最初の3つの音の音階が一緒なのだ、ハッシャバイが始まった。びっくりだ、ここに持ってきたか。ノブ君は聴いたことがあるようなフレーズを入れても、次の展開がおもしろい。光の加減か、ノブ君の頭のてっぺんが少しだけ色が違うようにみえて、トサカ状態?いっそのことモヒカンにしたらおもしろいかも、なんて余計なことを考えてしまった(あとで聞いたら、実際ソフトモヒカンっていうヘアスタイルらしい。あまり短くて頭が寒くて風邪を引いたとか)。ノブソロのバックで歌う森井山さん、いつものように、このままステージが終わってしまうのではないかという気になってしまった。紅介さんソロ、よく歌っている。4bars。ああ、カウントが難しい。昔ピアノを弾いていた頃、カウントするな、感じろと言われたものだがちょっと変拍子とか変わったフレーズをドラムに入れられるとすぐだまされ、ベース頼みの4Barsだったなあ・・・、なんて思っている間にテーマへ。

ありがとうございます、このセットの最初は、ハッシャバイでした。なんだか、恥ずかしいっ!4Bars(ご存知ない方のために解説、4小節ずつプレイヤーが交代してアドリブをする事・・・ご存知でしたか、すみません)とか、何十年ぶりかでやったような気がします、ヒヒヒ。次、何やるんだ何やるんだって精一杯で、あ〜〜、苦しかった(笑)。トリオでやると一部始終を聴かれているような気がして、曖昧な部分が全部なくなっちゃったような気がして、非常に・・・・・お勉強になります。田中さんはいつもピアノトリオでやってるんですか?」ノブ君慌てながら「自分のバンドはトリオでやってます、でも月に一回くらいしかないんで」「今日はすごくはじけてますね、ドラマーがいいんでしょうか(爆笑、カルタさんごめんなさい、冗談ですよ)、なんだか林家三平みたいになっちゃった、客席見ながらいろんなこと言ったりして。この前、北海道へグループで行ってきたんです。いつになく私がやたら調子よくてね、何か若い時に戻ったような気がして。今日はちょっとブレーキがかかったような感じですが(そんなことないです)これから思い切ってやります。今日は4ステージくらいやってもいいんでしょう?」レパートリーがないくせに、と突っ込みそうになった。(大拍手、歓声)「今年も9月に・・・」とAlaの話とお母様の話。「それで、仕事は何をしてるの?なんて、娘にも言われています、月に一度か二度しかやらないので、私が仕事をしているとは思っていないみたいで、『今日はお前さん何処へ行くのだい』なんて、落語のおかみさんじゃないんだから。『いいねぇ、お前さんラクで!』仕事しているとは誰も思っていないみたいです。今日はお仕事、頑張ります。次の曲は、この頃やることにしたコルトレーンの曲をやろうと思っていますけれど、一番最初にコルトレーンを聴くようになったのは大学に入ってからです、大学の一年後輩に加古隆っていうピアニストがいたんですけれど、私はオーケストラ、日本フィルハーモニーかN響かに行こうと決めていたんですけれど、大学三年になってから彼が『森山、ジャズ聴きにいかへん?』って、彼大阪なんですけれど、で、渡辺貞夫がニューヨークから帰ってきて銀座で演るっていうので、それに誘われて行ったんですけれど、その帰りに彼のアパートに行って初めて聴いたのがコルトレーンだったんです。で、僕はそれまでジャズをあまり聴いたことがなかったので、『ジャズっていうのはなんてうるさい音楽だろう』と思ったんです。それから演るようになってもっとうるさいのをやるようになりました(ノブ君も紅介さんも笑ってる)、そんなわけでジャズを演るようになったはじめの頃に聴いたなつかしい曲です、Afro Blue」

Afro Blue。うーん、すごくいいよ、このノブ君のソロ。感激。今日、ここへ来る直前にヒドイひどい演奏のCDを聴いて耳が悪くなりそうだったのだけれど、取り返して充分おつりが来る。ふふふ。ノブ君が良いと思ったら、森山さんもすごい、ちょっと二つ打ちのタイミングが合わないと思ったらスティックが落ちた。しかし、トリオの演奏でやる曲かな〜、あ、そういえばTUCでは女性ヴォーカルとピアノのデュオでやってたわね。

森山さんMC。大学3年生の時、国立の田舎道を涙ながらに歩いた時の話を。「この曲を聴くと、胸がきゅんとします、ねえ田中さん」といきなりまたノブ君に話を振る、ノブ君椅子から飛び上がらんばかり、これが面白くて森山さんやっているんでしょう。

ああ、すごいすごい美しい。あれ?この道?じゃないよね、テーマ弾き間違えちゃった、って感じでダニーボーイ。クラシックっぽい展開も入れて、うわ、すごい不協和音も入れて。美しい。さて、ここで終わるかどうかと思うと終わらないのがこのコンビ。ノブ君ピアノの鍵盤を触っているかどうかと見えるようなタッチなのに、音は力強く聞こえてくる。店の外を救急車が通ったが、二人の大音響でサイレンははっきり聞こえず。ああ、ドシャメシャから一転きれいに終わるエンディング。

あ、もう分かった、サンライズだ。さすがにピアノでテーマはちょっと苦しいな、左手でレ・ド・ラソファソを入れないとテーマっぽくならないんだ・・・と思ったら、今日はデュオ(Opus oneでのライブなど)じゃなくてトリオじゃないのさ、紅介さんがそれは弾いてくれるわよ、と思ったら二回目のテーマからは左手が自然になった、ノブ君もベースが弾いてくれてるというのに気がついたのかな?(と後日聞いたら、その通りだった)ノブ君のすごいフレージングのソロ。森山さんがヘイ!と声をかけて、コーラスのトップからリズムリフを入れるのと同時に、ノブ君が笑いながら左手をレ・ド・ラソファソとつける。ノブ君右手だけで弾いているとは思えない音数の多さ。森山さんのロールに負けない速度でノブ君の手が動いている。グリッサンドとシンバルのタイミングばっちり。あ、二人のタイミングちょっと合わない。森山ソロ、ノブ君が弾いていないのに弾いているみたいに音色豊か。

はーはーと息をしながら、「ありがとうございました。田中信正。坂井紅介・・これで4回おわりました(笑)。明日やります、明日も是非来てください、私も必ず参ります(笑)。じゃあ、クロージング・テーマやりましょうか、ありがとうございました」とGoodbye。もう一オクターブ高い方が響きが良いかなあと思うが、調律の具合でどうだろうか。うっとりするなあ。誰か英語の詞をつけてくれないかなあ。うわ、このブラシのパワー!

「ありがとうございました!もう一回最初からやりましょうか?」拍手。「・・・・本当はもう一曲あるんですよね。チャップリンの曲で、スマイル。昔、レコーディングした覚えがあります。今は亡き国安良夫というサックス奏者がいて、レコーディングしたんです。その後、第三京浜かなにかで、トラックと正面衝突して一瞬のうちに亡くなってしまったんですけれど。最初のサックスの小田切一巳も一瞬の間に亡くなってしまって。次の国安良夫もいなくなってしまって。音川はまだいるんですけれど(何てことを・・・笑)。じゃあ、スマイルやりましょう」

アンコール、Smile。すごく、なつかしいなあ、ずっと以前、レパートリーだったよね。ノブ君のこのソロ、ゴージャスな感じなんだけれど、聴いていると楽しくてなんだか自然に笑みがこぼれる。ベースソロ、バックで森山さん歌ってる・・・サックスの代わりにゃなりませんよ。4バース、森山さんのドラミングに客席から拍手が。おそれいりました、終わるかと思ったらまだ続く、軽快に終わりのテーマ。

はぁ〜、堪能しました。

二日目のレポート