昨日の湖畔のシカに、鳥がいっぱいたかっていた。冷凍シカ肉かぁ・・鹿刺しだね。

空港まで送って下さる車の中、飛行機の待合室(電源を使わせて下さいと頼んだのだけれど断られた・・・ケチだなあ)、飛行機の中(良い天候でした)、空港から札幌市内への列車移動中と、レポート書き。なんとか仕上がりそう。ベースはどうやって運ぶのかと思っていたら、こんな大きいケースに入れるんですね。なんだか棺桶でも入りそう・・・なんて。あら、不謹慎かしら。

TOMさんと二人、会場のジッピーホールへ向かう。道がつるつるに凍っていて怖い。セッティングのお手伝いには間に合わず、もうリハが始まっていた。もう二日間演奏をしているのでリハーサルは短くて済む、昼食後ホテルへ戻る。昨夜2時までレポート書きをしていたので眠たいが、昼寝はせずレポートの画像添付などをちまちま進める。そこへN瀬さんから電話、なんと私たちが車でメンバーを開演直前のホールまで車で送ることに・・・。大学が金沢だったので雪道は慣れているが、大きい車なのでちょっと運転が心配。TOMさんはいつも大きい車に乗っているので彼女に運転を頼み、私はナビ。メンバーに何かあっては大変、と慎重に行くが、なんと頼りないナビだことよ。無事ついた時はほっとした。

普段なら早くから会場入りして席を確保するのだが、今回は無理。ジッピーの高田さんに席を確保しておいていただいたのだが、開演ぎりぎりに着いたため、ほとんどいっぱいのお客さんが待つ中、一番前の席に行くのはちょっと肩身が狭い。シートにはなんと「スタッフ席」の貼り紙が。ううう、スタッフが一番後に来て一番前に座るのはヒンシュクものだなあ。「後から来てスタッフが一番前に・・・」と思われた方、すみません。でも私たちも同じ料金を払って聴いているので許してね。

もう本当にぎりぎりに着いたので、ビデオをセッティングする間もなく始まってしまいそう。あせるあせる。ああああ、MD録音用のマイク忘れた・・。せっかくTOMさんが忘れないようにそれ用の袋まで用意してくれていたのに。まぁ、ビデオを撮るからいいか・・って所ですか。

Impressionsから。最前列に座っているので、どアップしか撮れない。森山さんだけ、か音川さんだけ、かノブ君だけ。グズラさんは音川さんの陰になっているので写せないんですわ。う〜ん、スタート直後から森山さんの調子がすごくいいのがよくわかる。軽快だし、迫力も満点。大きくワシのように腕を広げるショット、リムショット、パカンパカンと大音響を立てるショット、すべてバシバシ決まる。とにかく炸裂状態。グループのメンバーが舞台上での距離も近いぶん、密度が濃い感じ。音川さんのバックで、森山さんが合図してノブ君ストップ。ドラムソロ、そう長くないが気迫がこもっている。観客の熱気、興奮もすごい。終わりのテーマ、音川さん音をだんだん小さくしていくがバカン!という森山さんの一撃で最後は大音量で終わる。

MCなくすぐにロールからワルツがスタート。アフロブルー、観客がどよめく。ソプラノソロ、ん〜、音川さんを撮影する時、ビデオを手で支えていないといけないので、メモがとれないよ〜。森山さんの額に汗が。森山さんが吠える。ノブ君ソロ。音川さんを見上げてテーマに戻る。音川さん黒のシャツ。ノブ君、ピアノも黒いし、服も真っ黒、バックも真っ黒で溶け込んでしまって白い顔だけが浮き出て見える。テーマ終了。観客の大拍手。みんな、反応がいいわ。

MCマイクを探したんだけれど見あたらないみたい。森山さんが音川さんを見て、「どうぞ」という感じで音川さんに手を差しだし、ソプラノでIn a sentimental moodがスタート。隣の男性が思わず拍手を。静かにノブソロ。グズラさんのベース出しゃばりすぎず控えめすぎず、存在感。おや今日はノブソロ長いみたい。森山さん歌っているわ。リズム感のあるソロ、どうしてこんなフレーズが作り出せ・・・・おわ、ブラシがばらけて望月さんの方へ飛んだ!何事もなかったように森山さんブラシを変えて叩き続ける。しまったなあ、今日はせっかく動画で撮っているのでそのシーンが撮れないかと思っていたのだけれど、ブラシが壊れる予感もしていたのだけれど、多分Gratitudeで暴れる時じゃあないかと思っていたので、ノブ君を写してたんだよね、残念。

メンバー紹介。「北海道はこのホールが一番やりやすくて、好きなんです。今日はやる気は満々です。さっき、出てくる前にホテルでテレビを見ていたら、朝青龍が全勝優勝だって言ってました。顔のまずさだけは私と同じくらいだと思いますが。ああいう力をみていると、力が圧倒的にあるっていうのはいいものですね。なんかこの頃、力が落ちてきたような気がして、力が圧倒的にある人をみると、何かあこがれるんです。ねえ田中さん」といきなり振られてまたノブ君慌てる。「え〜、このセットは頭からコルトレーンがよく演奏しているような曲ばっかり集めてみました。一曲目はインプレッションズ、二曲目がアフロブルー、そして三曲目のバラードが・・・・なんでしたっけ」と音川さんに助けを求める。「In a sentimental mood、よくご存知の曲です(笑)。私は本当にジャズミュージシャンっていうのがおかしいくらい曲を知らなくって、聴いたことはあるけれど曲名は知らない、っていうことが多いものですから、こういうことがしばしば起きるわけなんですよ。そしてあの、スタンダードの曲が覚えられない、っていうわけじゃないんですよ。オリジナルも覚えられない(笑)。で、次の曲はオリジナルをやるんです。この曲は音川英二の作った曲で、この曲はなぜか覚えられるんです。サウンド・リバー、音・川です(大爆笑)

ノブソロ、森山さん楽しそう、ノブ君も爆発状態。音川さんのソロ、どうやってバッキングしようかって、ただガシガシ弾けばいいのじゃなく、気持ちをセーブしてため込んで、音とタイミングを選んでバッキングしているのがよくわかる。よくメンバーがお互いの演奏を聴いているのがよくわかる。ベースの響きが、ああ、何と表現していいのか、爆走する3人をしっかり一つに束ねて、サウンドを作っている。一瞬、三人が引っぱっているそりの御者に望月さんが座っている図が頭をよぎった。ドラムソロ、う〜ん、もう何も書くことはないですよ。ソロ終わり、大歓声。終わりのテーマ。森山さんが椅子から立って一例。森山さんCDを宣伝して下さる。ありがたい。

2nd set。最初からMC。「今度の曲は音川の作りました曲で、何でしたっけ」音川さん「New and Old Wonder」森山さん「そら、わからないでしょ。意味は?」音川さん「今。N.O.W」森山さん「にゃ〜るほど〜・・・といっても何も意味は分からないんですけれど。そういう曲だそうです。今度のあなたのCD、『存在』にはいってるんですね。メンバーはどういうメンバーなんですか、ドラムがいいとか聞いたけれど(笑)音川さん「ドラムは世界の神風ドラマー、森山威男さんです」拍手。「で、ピアニストは田中信正。それから、アコーディオンに佐藤芳明。今売り出し中の才能あるミュージシャンです。それでベースは高瀬裕。そのCDの一曲目、三部作で、その最後の部分を取りだしてやってみようかな、って思ってます」森山さん「そんなことまで聞きたくなかったんですけれど(笑)・・・ドラマーを紹介して下さってありがとうございました。ついでといえば、田中さんもCDをお持ちなんでしょ?なんていうCDですか?」ノブ君「マミーズダンス」森山さん「訳すと?」ノブ君「ミイラの踊り・・・・ミイラの踊り」と繰り返す。森山さん「ミイラの踊り!・・・あまり買わない方が良いですよ(ひでぇ)爆笑。「あの、望月さんもそのうちCDに挑戦するっていうことで。期待したいと思います。一曲目はそのNew and Old Wonder、二曲目は昔一緒にやってたピアニストの板橋文夫が作りました曲で、渡良瀬・・・」と言いかけたところで観客どよめく。「あ、ご存知ですか?板橋がその曲を持ってきた時に、そのときのサックス奏者の井上淑彦が、『この曲のサビの所、この音でいいんですか』って譜面を持っていって板橋に聞いたら、『それねぇ〜(振りをつけて真似をしながら)、夕陽なんだよ、夕陽!』」爆笑。グズラさんも笑っている。「もう一同、目が点になってしまいましてね、芝居じゃないんですから、音楽の練習なんですから、ドですかレですかって聞いているのに夕陽だなんて答えられてもこまるんですが。そういう男が作りました曲ですから、それなりのものでございます。で〜、三曲目は井上淑彦がまさにやめる時に最後に作ってくれた曲で、Gratitude、感謝、って言う曲です。とてもきれいな曲で、私はこの曲が大好きです。この曲とか、板橋文夫の作りましたGoodbyeとか、きれい〜なメロディーの曲は、ドラムをやめてもやり続けようと思ってます(どういうことじゃ?)。そしてこのセットの最後の曲が、これも板橋文夫の作りましたサンライズ(拍手)。まとめてお聴き下さい」

ンタッタ、ンタッタ、とNew and Old Wonderが始まる。テーマからしてドライブ感満点。うはは、もう最高!ノブ君ソロ、森山さんが楽しそうな顔であおるあおる。ノブ君ピアノと格闘、ノブ君必死の顔で音川さんを見上げて音川ソロへ。大拍手、歓声。すごいスピード感。ああ、今、ここにいて、この演奏を聴けて本当にうれしい、幸せ。ドラムソロ、うわ、すごいよ。音川さんのマイクが落ちた、知らせようとするがドラムソロに音川さん聴き入っていて気がついてくれない、望月さんが後ろで笑っている。終わりのテーマ。歓声、大拍手。ノブ君の方ライティングが暗くてビデオにもあまり映らない、Night shotというモードで撮ってみる。白黒だが少しは明るくなった。

森山さんは〜、は〜、と肩で息をする。客席から「モリヤマ最高!」と掛け声、森山さん「ありがとね〜」と手を振る。「まだまだ!」と掛け声、森山さん「また勝つからネ!」と応える。

渡良瀬。薄暗い中で弾くノブ君、いかんいかん、ファインダーの中のノブ君、ライトの加減か、目が半眼で、手の角度も相まってカメレオンみたいに見えてしまった。自分でおかしくなってしまって吹き出すのをこらえる間に音川さんのソロへ。しかし、このバンドで聞くと、再度この渡良瀬という曲のよさを再認識するなあ。作曲者の板橋さんが今ほとんど弾いていらっしゃらないというのはとってももったいない気がする。ソプラノソロ、いいフレーズ満載。サックスを振り上げエンディング。

静かに、ノブ君のピアノからGratitudeが始まる。テーマ、マレットで。音川さんの音色、柔らかさが出ている。ノブ君のソロからテーマへ。あれ、やっぱりサックスソロがないか。森山さんためてためて振り上げた腕を振り下ろすまで待って、バシーっと最後のエンディング。小さく小さくなって終了。

サンライズ、スタート前、カウントをだすのに森山さん体を小刻みに左右に動かし、ツイストを踊る(若い人には分からないかもね)みたいな格好、思わず周りからも笑い声。テーマが始まると掛け声、歓声。ノブソロ。トップから音川さんがノブ君の方を向いてレ・ド・ラ・ソ・ファソとバックでつける。森山さん楽しそう。おや、サビになったら森山さん叩くのをやめてしまった。ベースとピアノのデュオ。そこにも音川さんがまた軽くつけている。森山さん腕をふりまわして準備体操のよう、ノブ君にちょっかいをかけるような感じでちょっと鳴らしてみたり、遊んでみたり。音川さんもちょっとつけて退いて。ノブ君の気迫のソロ、ほとんどグズラさんとのデュオ。森山さん、ずっと聴きながら、音をほとんど出さずに、体でバッキングしている。ノブ君、テーマと音は違うのだが、「ターンターンタッタッタッ」と弾く、その音に合わせて、というわけではないのにノブ君がそのフレーズを入れだしたと同時に森山さんが同じリズムをつけている、音川さんも吹いている、不思議。このバンドほど、グループで一体感のある演奏を聴いたことがない。しかし、終わると思ったらノブソロなかなか終わらない。終わった時にはノブ君「やった〜」って達成感のある満足そうな顔をした。ピアノストップ、デュオに。ノブ君しばらくほっとしたような顔をしていたけれど森山さんが合図を送り、驚いたような顔をしてコーラスの頭からサビまで、「ターンターンタッタッタッタ」をつける。音川さんと森山さんのデュオが続く、次のコーラスの頭で思わずノブ君もグズラさんも最初の音を出したのだけれど、そのままデュオを続けるというのが会話も合図もなくてもわかるのか、最初のレの音を出しただけで二人とも顔を見合わせて笑って、ストップ。ステージ上では森山音川デュオが続いている。そのままデュオが続いたのだが、森山さんがノブ君の方を見て、トップから同じくリフを入れる、もちろんグズラさんは森山さんからの合図が見えなくても、ノブ君の動きをみていればすぐ対応できるであろうよ。なんとまとまりのいいバンドでしょう。森山さんはこれからどんどん「シカケ」を入れていきそう。おひょ、ノブ君とグズラさんはずっとバッキングをほとんどせず、トップからサビの前までのリフを入れるだけ、後半はドラムとサックスのデュオになるのだがどこまで続くやら?音川さんヒートアップ、いつ全員のいつもの演奏に戻るのかと思っていたらそのまま音川さんのソロが終わってしまった、ベースもピアノも入っておらず、全くそのまま曲が消えてしまって止まるんじゃないかと不安になったがそのままドラムソロに突入。音階のように叩きわけるタム、借り物だというのによくチューニングなさいました。ソロ途中ですご〜くコミカルな動き、遊んでいるとしか思えないのだけれど。でもおかしい〜。隣の男性が笑っている。音を出す振りをして出さないとか、グズラさんも笑って見ている。ああ、すごい演奏。ソロの終わりに、ノブ君の方を見て両腕を振り上げ、テーマのトップに持っていく。歓声と大拍手。

森山さん、終わって何か喋ろうとマイクを持って立っている間に会場からアンコール要請拍手が来てしまった。「あれしかないよね〜、わかってるんだ」といいつつ即始まったのはハッシャバイ。大歓声。森山さん、ノブ君に目を向けて合図。音川さんソロ。森山さん楽しそうな顔で叩く。グズラさんのソロも今日は1コーラスでいつもと一緒で、でもドラムソロはなくテーマに戻る。

森山さん立って汗を拭き、「ありがとうございました」なかなか拍手が鳴りやまない。「子供が生まれて18年で、それを境に東京を離れて、まあドラムもやめても良いかと思っていたんですが、根が好きなもので、岐阜の山の中・・・ってわけではないんですが、移り住んで、そうっと出ていっては叩き、そうっと出ていっては叩き、そういう風で今年間24-5回、月に直せば2回くらいですけれど、演奏しているんですが、何もしない時は2ヶ月ぐらい何もしないんです。うちの娘なんて『お父さんは何をしてるんだろう』って思っているみたいですけれど。今住んでいる岐阜県の可児市、通称アーラっていう芸術文化創造センターっていう所があるんですが・・・自分一人でやっても1000人の大ホールが一杯になるわけがないので、いろんな人を呼んできてホールを一杯にしてしまおうと、山下洋輔とか坂田明とかケイコ・リーとか近藤房之助とか、関係ない人まで呼んできてにぎにぎしくやったら、案の定チケットは発売早々完売してしまって、それが良かったのか悪かったのか可児市の人は、森山さんがやると・・・・」おお、60分は超えないだろうとminiDVのテープをSPモードにしてあったが、あと6分しかない。グッドバイが切れてしまっては困るな、替えのテープはないし・・・とMC途中で録画を止める。ここからはメモ書きでいくしかないな。「こんなに人が入るんだって、そう思ってしまったみたいで、去年はニューヨークからジョージ・ガゾーンとかエイブラハム・バートンとか井上陽介を呼んできて、このメンバーとで2日間やったんです。一階席はほとんどうまって、ですから7-800人は二日とも入って。これでやめときゃいいのに、可児市の方は毎年9月の第3土曜日は森山デーにしようなんて話になっちゃって。でも困ってるんです。出し物がないんです。このメンバーでやっても20人か30人しか呼べないし、親兄弟合わせても大したことないですし。今年の企画を考えた時に、私がジャズをやり始めた時からの歴代のピアニストを呼んで、時代を追って山下洋輔、板橋文夫、田中信正をそろい踏みさせて、そういうメンバーでやろうと思います。サックスも、今までやった人をたくさん呼びたいと思ったのですが、何人もたくさん呼ぶとひとりひとりをじっくり聴くという時間がなくなってしまうので、井上淑彦一人を呼ぼうと思っています。そして何か、今までの曲をグレードアップ・・・リニューアルじゃなくて・・・ほら、なんて言うんでしょう、今風に言うと」???「あ、そうカヴァー(笑)。うゎー恥ずかしい。こんなこと言うつもりじゃなかったんですが。そんなような感じでやろうと思ってます。皆様、ちょっと遠いですが9月18日は可児市へおいで下さい。私も必ず行きます(爆)」

録画再開。テープ足りるか、冷や冷やしながら見ているが・・・6分あれば足りるかな。グッドバイが始まる。本当にいつ、何度聞いてもいい曲だわ。ノブソロが始まった時点であと3分半。エンディングの長さはどんなだろう。ちょっとドキドキものでした。なんとか収まりました、なんて聴いていると感激も半減だわね。メモ、MD、ビデオと機材が増えるたびに慌ただしくなっていくのでした。

CDの売り上げも上々。トリは完売。イヌは少々売れ残る。ドラムセットを片づけながら見たら、森山さんの周り中にワイヤーが落ちてた、やっぱり派手に散ったんだなあ、う〜ん画像がほしかった。下はホテルに帰ってCD売り上げ計算に悩むTOMさん。今回彼女が全部細かいことをやってくれたのでとっても助かった。ドラムの片づけもスネアとペダル、シンバルだけだったし〜。飛行機が飛ばないのじゃないか、なんて心配もしたけれど、大きなトラブルもなく、無事なんとか終了しました。北海道の皆様、お世話になりました、ありがとうございました。また呼んでくださいね〜。次のツアーはどこかな〜。

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