森山威男公認HPライブレポートNo.111

2005年12月11日(日)音川英二(ss,ts)佐藤芳明(acc)田中信正(p)望月英明(b)@京都RAG

夕食の支度、翌日の息子の弁当の支度などをして急いで京都へ。自宅を出て1時間でもう京都駅、近いもんだ。ドラムセットのセッティングをするつもりで行ったのだが、RAGについたら森山さんを除くメンバーでリハ中・・・どうしよう。森山さんはまだいらっしゃってないようだけれど、ドラムセットはおおかた組んで下さってあるし。お、スリリングなアップテンポの曲、初めて聴くコード進行、どうも音川さんの新曲のようだわ。リハの切れ目をうかがってシンバルのセッティング。K枝先生と待ち合わせ、「失礼しました」と店を後にする。知り合いのドイツ靴店を訪ね、焼き鳥を思い切り食べて再度RAGへ。例によってさっき手に持っていたはずのチケットが見つからず大騒ぎ、K枝先生のアドバイスで発見できた、ひとまずほっ。座った席は舞台に向かって左側、ピアノのすぐ後ろ。森山さんは右の端の方、あんまり見えないかも。トイレに立つが行列、ノブ君も列に並んでいる。
19:40、みんなが舞台に揃うかどうか、というタイミングでさっさと森山さんがアフロリズムを叩き出す、
Sound Riverから。お、グズラさんなかなかおしゃれなベージュの柄入りシャツ(ヤマモトカンサイらしい)。ノブ君はチェック、音川さんは胸当て付き黒長袖Tシャツ、佐藤君はカラフルな縦縞シャツ、森山さんはジャケットに黒Tシャツらしいけど私の席からはほとんど見えない。佐藤君ソロから、わーペンが細すぎてメモが書きにくいよう。けっこう観客席はいっぱい、森山バンドではこの店佐藤君は初登場だね。弾きまくり、ちょっと走り気味?ってことはないかな?おお、前腕弾きが出た、少しソロのバトンタッチが佐藤君の思っていた展開ではなかったような。音川ソロ、森山さん全開。う〜ん、少し全体のリズムが微妙にかみ合っていないように感じる。それぞれの音はよく聞こえるんだけれど、バラバラに聞こえてくる感じ。わ、リムショット連発。ノブソロに、佐藤君と音川さんが覗き込んでみている。両足とも靴を脱いでいるノブ君、アタマが鍵盤にぶつかるんじゃないかしら、っていうかっこうで弾いている。叩きまくり弾きまくりの森山vs.田中のバトルに音川さん佐藤君大笑い。タイミングを計ってグズラさんがサポートを入れる。森山ソロ、ちょうど佐藤君の陰で見えないや。勢いだけでなく丁寧に構成されたドラムソロ、そろそろ終わりかなってところで音川さんがテナーを構える。トン、タタッタでぱっとノブ君とグズラさんが入るとすぐにテーマ、終わって拍手と歓声!
「ありがとうございます、メンバー紹介します、アコーディオン佐藤芳明。テナーサックス、ソプラノサックスは音川英二です。ピアノ、田中信正。ベース、望月英明です。ありがとうございます。え〜、これはグループになって何回目の演奏でしょうか?最初はゲストといっていたのがどこかのライブで森山威男クインテットと書かれたのをきっかけに、レギュラーメンバーになりました(いえいえこれは本当は冗談で、みんな相談合意の上です)、アコーディオンの佐藤芳明です。僕は何回か聴いたんですけれど、彼が他の形のバンドでやっているのを聴いたことがある人もいらっしゃるでしょう?」前列のテーブルから女性の手が上がる。そのバンドと勝負! (笑)そんな気はないんです、毛頭(笑)。次に渡良瀬という曲をやるんですが板橋文夫の作った、彼の故郷を流れる渡良瀬川という川の、美しいイメージで作った曲です。彼のグループやソロで何回も演奏しているんだと思いますが、私の中でも懐かしい美しい曲なのでこのグループでもやっていこうと思っています。故郷といえば私も先週故郷の山梨へ帰ってきました。私の母親は87才になって、病弱で物忘れが激しくなってきて、顔を忘れないうちに会いに来てくれって妹から電話があって出かけていきました。生活を介護して下さる施設に入っていて、居心地が良いのでずっといたいと言ってるみたいなんですが、『あんただれ』って言われたらどうしようとドキドキして行ったら、『あれ〜よく来たね』って言ってくれたんでほっとしました。「最近どう?」って訊かれたので『そう変わったことはないよ、仕事もそんなにたくさんじゃないけれど、なくなりもしないし』と言ったら、『あらそう、それで仕事は何をやってるの?』って言われちゃいました。『去年も岐阜のalaでコンサートを聴いてもらったじゃない、そのとき『あんたいい人に囲まれてよかったね』って言ってくれたでしょう』『あらそんなこと訊いたの?それで仕事は何をやってるの?』いつでも同じなんです。私の曲もいつも一緒ですから、似たようなものでしょうか」

マレットでシンバルを叩き始める、ノブ君のイントロから。あ、音川さんかわいいシルバーのカーブドソプラノ。音川さんと佐藤君がユニゾンでテーマ。ノブ君がバッキングする。テーマの主旋律はアコーディオンだね。音川さんからソロ。佐藤君は左手だけでバッキング、ノンブレスで吹きまくる音川さん。佐藤君は音川さんのフレーズを引き継いでソロに入る。少しアウトな感じでていねいにフレーズをつなげる佐藤君。大きなうねりが押し寄せてくる感じ、佐藤君のフレーズにノブ君が反応してサポートをする。ソロの終わりに向けてすっと音川さんがテーマのメロディーをつける。拍手とともにノブソロへ。グレーのボアが入ったブーツを両足とも脱ぎ捨ててある。思いっきりアウトなフレーズをいれつつ、ペダルを多用して輝くフレーズのソロ。田園風景が見えるような・・・。フロント二人がバッキングに変わる、うっとりと聞き惚れているうちにフロントがテーマに入り、ノブ君がバッキングをつけ、そのままテーマに戻る。グズラさんのベースがとても良い味を出している。う〜ん、パーフェクトなサウンドだ、大拍手だわ。


あら、
N.O.W.だ〜。グズラさんのベースがよく響く。森山さんのスティック捌きは全く見えないが・佐藤君少し変わったバッキング。あ、やはり少し走ってるみたいに聞こえるなぁ、本当に微妙なんだけれどタイムが少し前。音響のせいかな?今まであまり感じたことなかったんだけれど何でだろう。音川さんがノブ君に振って、ノブソロはドラムとデュオ。佐藤君と音川さんが座って客席から見やすいようにしてくれた。ノブ君が弾きまくっているのを森山さんが見守りつつどう仕掛けようか、と伺う。ノブ君、一方的に飛ばす飛ばす。ああ、フラッシュ撮影をしている人がいるな・・。音川さんはノブ君を、佐藤君は森山さんを見つめている。タイミングを合わせてフリーソロからテンポのあるソロに代わり、グズラさんがつける。また黒鍵飛ばしちゃうんじゃないかと心配。ノブ君、逃げ切りって感じの飛ばし方。音川さんソロ、バッキングは佐藤君、ノブ君少々休憩。しかしスピーディーな〜〜。今まで聴いた中で一番アップテンポのN.O.W.じゃないかしら?めちゃくちゃテンポ早い。グズラさん何事もないように表情を変えずにバシバシ弦をはじく。森山さん叩きまくり、音川さんキュキュキュキュキュー。倍音のウキョーという音に佐藤君が蛇腹を小刻みに揺らしてつける。おおおー、ここでまだドラムソロになるんだからすごいわ。抑えめのソロ、から一転叩きまくり。グズラさんは客席を冷静な目で観察中。佐藤君は真剣に森山ソロに見入っている。ノブ君が構える。ダンダン!でソロ終わってテーマに。あら、予想していなかった入り方。テーマ、ウキュー〜〜〜で終わる。
「音川英二!佐藤芳明!田中信正!望月英明!少し休憩します!」

21:00。アリゲーターダンスから。佐藤君ソロ。蛇腹を大きく伸ばして。客席もみんなノリノリだ〜。顔をしかめて弾きまくる。ソプラノのソロ、Softlyのフレーズ、3拍フレーズに森山さんが合わせる。今度は森山さんがしかけてたたみかける。そのバックでグズラさんが高音域でギュンギュンとつける。ノブソロ、トレモロの連続フレーズ、佐藤君がにや〜っと笑う。森山さんノブ君を見ながら少しトーンを抑えてつける(フロント二人が座ってくれて見えるの)、グズラさんも「アウト」な雰囲気でつけ、なんかそのまま不思議なムードのソロ。ノブ君ブーツを両足とも脱いだ。こんどは森山さんのソロはいきなりとても「イン」な感じの叩き方。バスドラの二つ打ち、ハイハットのリズムキープで腕だけ遊びまくる、延々叩いているぞ!ありゃ、テーマに戻るかと思ったらまだソロが続く。ロールを回したところでノブ君がバッキングを入れ、テーマに戻る。拍手!


森山さんが
「は〜」とため息をつくだけで客席から笑い。「アコーディオンの佐藤芳明さんはこのライブハウスでは初めてですか?」「二回目です、パーカッションの方と」「お、そうでしたか。皆さんにご紹介しましょう、といったって結局はよく知らないんですけど。皆さんがご存知のことしかよく知らないんで。アコーディオンです」笑い。「国立音大へ行ってからアコーディオンに目覚めて、フランスで師匠について習って帰ってきて森山バンドでデビュー、というわけではなくてガレージシャンソンショー、ってグループでも活躍してます。私も聴きに行きました、あの相方の人おもしろいですね、エンターテイメントで。・・・・私、何も言うことないので・・・しゃべると淋しくなっちゃって・・・」と、気弱に話す。「僕、淋しいっ!」笑い。「家でも寂しさついでにどなたかから借りたDVD(デー・ブイ・デー)をみていたりして。娘に『お父さんやめなよ、ディー・ブイ・ディーって言って』おおそうかって言っても『ディー・ブイ・デー』って、最後の方はやっぱりデーになっちゃう」爆笑。「やっと昨日携帯を手にした人がいまして」と望月さんの方を見る。「写メールだとか言ってて、凝ってるらしいんです?やっと連絡がつくようになりました(笑)。今までは彼の家に電話をしてお母さんを通じて『息子がお世話になってます、本当にすみませんねぇ』なんて言われてたんですけど。次の曲は・・・譜面もらったんですけど、目を細めてもどうせ見えやしないんです、記念にサインしてどなたかに差し上げましょうか」欲しい!「あ、じゃんけん大会のプレゼントを忘れてました。これ、alaのコンサートのスタッフTシャツなんですけど、ちょっとひかえめに顔が横の方にずれてまして。あとでプレゼントしましょうか。
・ ・・・やらんわけにはいかんのです。新しい曲を作って来いとハッパだけはかけるんですけれど、曲が違うだけでドラムは叩くだけで同じなんです。名前は
911、って曲で。この曲の名前はどうしてついたんですか?」と音川さんに向かって。「コードがFmの9thと11thで911。話が重くなるので・・・911という曲です」
なんのスタートに似てるのかな〜?今日ドラムのセッティングに来たときにリハをしてた新曲だね。テーマ、どう表現したらいいのかな、音川さん得意のマイナーのすごくアップテンポな曲。音川さんが吹く音に佐藤さんが絡んで、グズラさんがガシガシと弦をはじく。こんなアップテンポでよくソロできるな・・・佐藤君のソロ緊迫。や〜、ドラムすごい叩きまくり。少しためているようなフレーズが続いたがその後前回。フレーズ弾きまくりの上にアコーディオンをゆらしてアクセントをつける、佐藤君のフレーズを縫って森山さんがタムを叩きまくる。ノブソロはベースとデュオ。ノブ君のソロもすごいけれどグズラさんがまたすごい。まあなんとすごいデュオバトルだこと、唖然!グズラさんはポーカーフェイスで弾きまくる、デュオからそのままベースのフリーソロ。うひゃ〜、かっこいい〜。森山さんはいい休みだわね。シンバルを小さく鳴らしてノブ君がつけ、少し不穏な雰囲気に佐藤君、次いで音川さんがつけて全員で吹き、弾き、叩き始める。ゆったりした流れで。何かに似てるな、「日本海の朝焼け」の入り口?カデンツァーっぽい。森山さんがつけていってアップテンポに、すごくかっこいい曲だなぁ、ドラマのテーマ曲に使えそう。
Gratitude。アコーディオンと口笛で始まるテーマ、サックスとても美しい。ノブソロの調律がいまいち、演奏はばっちり。う〜む美しい。佐藤君ソロ、なつかしい気持ちにさせてくれる。音川ソロも聴きたかったが・・・最後に森山さんひとあばれ、口笛と、う〜〜〜ん、みごとにマッチしたアコーディオンの音色。
このままSunrise-Hush-a-bye-Goodbyeに突入?もう50分経ってるんだけれど?

Sunrise、拍手がわき起こる。音川ソロはもう十八番。簡単、というのではないのだけれど吹きまくっていても軽快な感じ。リフを入れようかどうか迷っていたけれど一旦止めたノブ君。サビで大きくのけぞる音川さん。後ろから叩きまくってあおる森山さん。佐藤君かノブ君かで牽制し合い、ノブ君がソロにはいる。トリオでの演奏に少しずつ小さく佐藤君がつけていく。ノブソロ疾走、佐藤君楽しそうな顔。森山さん地響き、ノブ君弾きまくり、なんという音の洪水。頭からリフ、サビからフロントがつけてノブソロが終わる。佐藤君と森山さんのデュオ。頭からベースとピアノがサビまでつける。佐藤君今日は森山さんの方を見ないのね、弾きまくりの佐藤君、森山さんドーン・パーン・ドンドン・パーンの8ビートはやめて欲しい・・。ベースとピアノが入ってカルテットに。ぱっと振り返ってピアノ、ベース、サックスがリフをつけ、大拍手でドラムソロに突入。そしてエンディングに!歓声、指笛、ヒュー!音川英二、佐藤芳明、田中信正、望月英明!ありがとうございました!
アンコールの拍手が続く。ノブ君立ってブーツを履いたけれどまた座って脱ぐ。あらあら、もう午後10時過ぎてるよ・・・テーマは音川さん、サビは佐藤君。佐藤君からソロ、テンポはややアップテンポなのに、スイングしてゆったりした感じでいいわあ。音川ソロのバックで森山さんが歌う。グズラさんの指が弦を押さえる音までよく聞こえる。音川さんのフレーズを引き継いでノブ君がソロに入る。フロント二人楽しそう。ベースソロ。リズムを刻みながら汗を拭く森山さん、テナーの方を見る、音川さんがテーマを吹き始め、サビを弾く佐藤君。エンディングとともにため息をつく森山さん。


「ありがとうございます。ハッシャバイが終わるとこれで終わりか、とさみしくなります。こんどはいつお目にかかれるでしょうか。ホントはすぐあるんですけれどね・・・。私もいい年になりまして、(と同窓会に行った話になる)いつまで叩けるんでしょうか、周りが若いといいですね。・・・私を除いてみんな独身なんです、理由はいろいろあるんですけれど。言うことがなくなってくるとだんだん危なっかしくなってくるんです。来年お目にかかれるかどうかわかりません、また淋しくなってしまう、すいません、ありがとうございました・・・」
ノブ君からはいる、美しい
Goodbyeのイントロ。音川さんが吹く、いい音だなぁ〜。佐藤君ソロ、う〜ん、せつないというよりちょっと危険な、切れ味が鋭い妖しい雰囲気。なんて完成されたステージなんでしょうね。テーマに戻って、わ〜っと盛り上がるかと思えばまたしんみりと、くるくる曲想が変わり、森山さんの叩きまくりもあり。音川さんが朗々と吹き上げる、アコーディオンがすき間を埋めて。
拍手の中を退場。みんなため息・・・。 

この前のレポートへ  この次のレポートへ