森山威男公認HPライブレポートNo.110

2005年11月12日(土)井上淑彦(ts)佐藤芳明(acc)田中信正(p)高瀬裕(b)森山威男セッション@横浜ドルフィー

午前中、一旦名古屋の自宅に戻り、息子とオットの夕食の準備、それから息子が昨日煮てあったリンゴは意外においしくできていたのでそれを使ってアップルパイを焼く。なんとか形になったので、家庭教師との勉強の時におやつに出すようメッセージを置いて家を出る。午後2時から靴店で患者さんの相談会、何人かの足のチェックと靴のフィッティング。4時すぎに失礼して再度横浜を目指す。ある程度余裕のある時間に着けて、よかった〜。昨日は拍子抜けするくらい人が少なかったけれど今日はいっぱい、通路がなくなってしまっている。

19:30井上さんから登場、高瀬君、佐藤君森山さんはステージに上がってスタンバイ。客席からはメンバーを見て「すご〜い」の声。あれノブ君は?さてはトイレ、と思ったらやっぱりそうだった、満員の客席で通路がなくなってしまい、どこを通ってステージに行ったらいいか後ろから伸び上がって見ている。一旦ピアノのところに行ったが「譜面譜面」と走って楽屋に戻る。「譜面要るの?」と森山さんに訊かれ、行ったり来たりするノブ君に客席大受け。井上さん「おいしいとこ持ってくなあ」といわれるノブ君。「ン、ン、ンン」と言いながら足でカウントを出す森山さん、インプレッションズから始まる。うん、淑ちゃんの力強いテナーソロから。佐藤君髪の毛切ったね。淑ちゃんのソロのバックで、佐藤君が目をつぶってつけている。森山さんとノブ君が3拍フレーズでつける。森山さんのドラミング、すごいなぁ・・・佐藤君ソロ、ペイズリー柄のシャツがかわいらしい。スピーディーなドラミングが佐藤君を追い立てるようだ、歯を食いしばって弾く佐藤君、熱気溢れる!ノブソロ、細かい音の粒をちりばめたよう。佐藤君大きな目を見開いて、カウンターの中を見てるのかな?何を見ているんだろう。ノブ君炸裂!ベースの音が大きく響く、今のフレーズなんだろう。う〜んすごい、何てドラムソロ!高瀬君飛び上がるようにして弾いている、がんばれ!エンディング、淑ちゃんが引っぱり、みんながついていく。ドカタドカタドカタ、バカ〜ン、で終わる。

「ありがとうございます、井上淑彦。佐藤芳明。田中信正。高瀬裕。昨日ある方にいわれまして、今日なぜこういうことをやっているかというと、店の25周年記念だということを。そういう意味でインプレッションをやったんですけれど(笑)。あの、25年くらい前というと私たちも血気盛んな、私たちっていうと悪いな(笑)、私と井上さんくらいでしょうか、血気盛んな時代でしたから、何でもやれば終わるまでとにかく全力疾走でフルマラソンを走るような、そういうつもりで演奏していた時代だったかも知れないですけれど。幸いだんだん年を重ねてきましたので、今日は感情的な部分をお見せしないように、理性的なミュージシャンであることをお見せしようじゃないか、そういうところで井上さんと意見が一致しまして(くすくす)、今のような演奏になったわけです(ミュージシャンを含めて大爆笑)。田中さんは理性的でしたね」「あ、はい」と振られて反射的に答えるノブ君。「譜面をみていらっしゃるから」見てないと思うけどな・・・「25年前にこの店ができたっていうわけですよね、オーナーの奥村さんです。この店が作られたときは縁もゆかりもなかったんですが、出させていただいて感謝してます。え〜、次の曲も25周年ということで特に選んだ曲です、Gratitude

笑い声。井上さんが笑いをかみ殺しているみたい、どうやって吹くの?佐藤君の口笛とアコーディオンで始まるデュオ。途中でノブ君がはいる、氷の音が響く。井上さんが一呼吸置いた感じでテーマを吹き始める。サックスの優しい音色にノブ君が彩りを添えて。次のソロは誰が?って顔で佐藤君がまん丸目でノブ君を見ている。ノブ君腕を真っ直ぐに鍵盤に伸ばして不思議な恰好でソロを弾いている。佐藤君が「僕の番!」って感じで勢いよくソロを始める。井上さん座ってウーロン茶を一口、佐藤君がそ〜っとソロを終わる。高瀬君のソロ、森山さんブラシでそっとトップシンバルを鳴らす。ピアノとドラムのバッキングに、佐藤君が小さくバッキングをつけ始める。淑ちゃんがそ〜っとテーマを吹き始めると森山さんがブラシでタムとスネアを行ったり来たり、カサカサカサカサ・・・・ネズミが屋根裏を走り回っている様子を想像してしまった。佐藤君がエンディングを口笛でそっと締める、拍手に淑ちゃんが頭を下げる。

佐藤君が森山さんの方を振り向く、全員で大音響のロングトーンでスタート、何の曲かな?おっ、スピーディーなリズム、ノンチェックだね!ああかっこいい曲、この曲昔から大好き!20年以上前にできた曲だよね?またこの曲が聴けるようになってうれしいなー。テーマを弾く佐藤君の指が鍵盤上を駆け回るのがよく見える、そのままアコーディオンソロに突入。サンライズのようなフレーズが入る。おお、なんとかっこいいんでしょ。ぱっとアコーディオンの位置を直し、目をつぶって歌いながら弾く佐藤君、前腕で抱え込んで蛇腹を引きまくる。どんどん位置がずれていく、背中をシンバルにぶつけるんじゃないかしら?佐藤君ソロ終わりみんなでリフを合わせる。ベースとピアノが休み、淑ちゃんと森山さんのデュオ。二人の真剣勝負、森山さんが後ろから斬りつけるかのような表情で叩きまくる。佐藤君が座ったまま「リフどうすんの?」って顔をしながら隅っこですわったままリフをつける。ノブソロに。森山さん叩きまくっている振りをして音を出さないおちゃらけドラミング、佐藤君も高瀬君も大笑い、ノブ君と高瀬君のデュオから高瀬君も少しずつ音を小さくしていってノブ君のフリーソロ。これ何?クラシックの名曲みたいなの、細かい音の羅列から、いきなりドシャ!ガシャ!なんて音を出したり、森山さんがそこにドカン!とつけて入ったり、佐藤君が蛇腹をふるわせて乱入、高瀬君がトレモロっぽく弓のベースでつけたり、もうなんと百花繚乱の音の渦。森山ソロダンダンダン!ドンドンドン!と単純な音を大きくわざと繰り返し、どんどん細かい音符に分けて叩いていく。さあ全員で緊張感溢れるテーマを疾走する。佐藤君大きく四股を踏むように脚を開いてエンディング。

「井上淑彦!田中信正!佐藤芳彦!」爆笑、「芳明でございます」と佐藤君頭を下げる。高瀬君をみて「望月」あっはっはと大爆笑「・・・高瀬裕」、「ジョージ川口です」と頭を下げる森山さん。もう大受け・・・!
みんなひくひく笑っているところに森山さん、
「これが」とスネアをひっくりかえすと裏側の皮が破れてしまっている。交換を始める。「珍しいね」という森山さんに「ウラってどういうことですか」とつっこむ佐藤君。「誰か下からこうやって破ったのかも」なんてスティックを当てていう森山さん。さすがに破れたドラムヘッドじゃ、じゃんけん大会にはならずゴミ箱行き?」と思ったら欲しいってKasumiさんがいち早く名乗り!彼女のものになりました・・・。

全面禁煙は本当に助かるなあ・・・森山さんの喉には本当にありがたい(私もだけど)。

9時過ぎに全員再登場。森山さんのスピーチから始まる。「お待たせいたしました。先ほどは私のいたらぬところを井上からいたく叱られました」「叱ってないよ!」と淑ちゃん。「25年前はこの店は他の所にあったそうです。ここのオーナーは奥村さんって言ったなんて、どうして奥村さんになっちゃったんだろう、どう考えてもその名前は奥村会計事務所しか出てこないんです。私の義理の父親が名古屋で昔から喫茶店をやっていて、それも営業を続けていたら60年くらいになるような建物だったんですが、そこにあったのが奥村会計事務所だったんです。私が東京から引っ込んで名古屋に行ってその喫茶店をやっていたんですが、案の定なんだか訳が分からなくて辞めちゃったんです」確かに、ウェイター姿の森山さんに紅茶のオレンジ・ペコを頼んだらメニューにあるにもかかわらず「オレンジペコって何?」って訊かれたものなあ。「本当にうまくしたもので、栄の大通りに面して80年くらい前の建物で、再開発の立ち退き交渉があって、がんばれないものですから閉めようか、って時期になって半地下と半二階みたいな建物の真ん中から水道管が破裂して水浸しになったり、空調が夏の時期に壊れたりして、お客さんに団扇を渡しに行ったりしても夏の暑い名古屋でお茶なんか飲みに来てくれる人がいるわけなくて、これがもう最後という日に、最後の最後に店のシャッターを閉めたら店の入り口がどた〜っと落ちまして、すべてこれで終わりってことになりました。いやこの店が終わりってわけじゃなくて」と慌てて立ち上がる森山さん。「奥村会計事務所の話からこうなったんです。小室恒彦さんですから大丈夫です。25周年おめでとうございます。25周年と言えばこの曲しかないという曲です」

井上さんが首をかしげるがアリゲーターダンスが始まる。確かにちょうど25年くらい前にできた曲では?井上さんがテナーでテーマ、佐藤君がアコーディオンでハモる。テナーのソロ、井上さんのバックでノブ君と高瀬君が合わせてリズムをつける。佐藤君が首でリズムを刻んでいる。森山さんを振り返ってニヤリと笑う佐藤君、ソロが終わって頭を下げる井上さん、佐藤君のソロに挑戦的なバックをつけるノブ君。佐藤君のソロのバックで森山さんが振り上げたスティックがみえる。ノブソロ、高瀬君が休んでデュオ。化と思ったら不規則なバッキングを高瀬君がつける。お、倍テン?この曲でまあ・・・淑ちゃんはじっと目を伏せてノブ君のソロを聴いて頷きながら、どうやってもっていこうかと考えているのかな?リフを入れずに森山ソロへ。下を向いたまま叩き続ける森山さん。一人で叩いているとは思えない音数の多さ、リズムパターンを出し最後のテーマに突入。

森山さんの「へー、へー、へー」までは大丈夫だったけれどもう一回「へー」がでたらみんな半分心配そうな笑い声。「疲れてないよ、大丈夫!は〜。何を言おうか考えているんです」ノブ君目線で振られて「・・・あ、はい」でピアノを弾き始める。イントロ、渡良瀬。なぜにこの選曲?もっと淑ちゃんの曲があってもいいのにな、と思う。でも今日リハーサルやってないらしいし、alaのと同じ曲でも仕方ないかな?佐藤君ソロ、片脚をあげてスウィングさせながら弾く。異国の地の川が脳裏に浮かんだ。淑ちゃんのソロ、テナーの優しい音に包み込まれるみたいでとても気持ちよい。ノブソロ、トレモロに森山さんが小さな音をつけるがどんどん大きくなって大河になっていく。ノブソロからテーマへ、う〜ん、森山さんの最後の音の大きさ、盛り上げようったら!

手をついて「は〜、は〜」と大きく息をついてからマイクを持って「今日は・・・これはやったこともない人がいるんですよね?East plantsという曲で、知ってる方も少ないんじゃないでしょうか。懐メロです」笑い、佐藤君爆笑。「それを言ったらみんな懐メロ」と淑ちゃん、バカ受け。「井上、板橋、望月でヨーロッパ何カ所か行ったんですよね、2週間くらいかけてあっちやこっちや車で移動して楽しかったんですけれど。その時を思い出します。East Plantはヨーロッパの、Enjaのレコードから出てるんですよね」「あれは日本のです」(Enjaはグリーン・リバーの方ね)「日本なんです」大爆笑。「もう持ってないでしょ」「ないですね」頷く井上さん。「どういうわけかねぇ、大事にしておきゃよかった。イーストプランツ、井上淑彦の曲です」そう、こうでなくっちゃ!井上さんがカウントを出す。佐藤君が本当にオリエンタルな雰囲気を出す。少しレコードよりテンポが速いかな?ソプラノソロ、佐藤君がノブ君のバッキングを聴いてにやっと笑う。アコーディオンソロ、う〜ん面白い。リハーサルもやっていない初見のはずなのに・・・大きく蛇腹を引き伸ばして、最後に後ろを振り返ってテーマに持っていく。ソプラノがソロに絡み、フレーズを縫ってテーマのメロディーラインになり、テーマに戻る。

淑ちゃんの首に汗が伝う、メガネを外してテナーに持ち替える。サンライズだ。テーマからソロをノブ君に振る。今のフレーズ、ロリンズの曲じゃん、セントトーマス?高瀬君が笑っている、トップシンバルのレガートが鳴り響く。森山さん楽しそう、おちゃらけドラミング、佐藤君大笑いしている。ノブ君との大バトルに高瀬君が弦をギターみたいにかき鳴らす。佐藤ソロ、腰から下は直立不動のポーズで目をつぶって弾きまくる。あれ?今のサウンドリバーのフレーズ?森山さんクラッシュシンバルが大きく動く、わ、もう1時間だよ!おお〜、まだやるの、肘弾きが出た!これでもかというほどに繰り出される音の列、至上の愛のフレーズも入る。のけぞり、膝から下がスイング。サックスソロ、ノブ君と高瀬君が一旦止まってドラムとのデュオになるかと思ったが違った。この疾走感はすごいなぁ、佐藤君脇に退いてステージがみえやすいようにしている。吹きまくりだけれど単なる音の羅列ではなく、「うた」が流れている。みんなでリズムリフをアタマから。サビで普通のリズムに戻る。森山さん大きく腕を振り上げ楽しそう、うう、めちゃくちゃかっこいい、ぞくぞくぞくっ!!ドラムソロアクション大きい!リムショットが響きわたる、教則本のお手本のような規則正しい左右のルーディメント、最後は大きく腕を振り回しパン!とテーマに戻る。テーマのメロディーラインフロント二人のからみが見事。大きくアコーディオンをゆらす佐藤君。

「井上淑彦!佐藤芳明!田中信正!高瀬裕!ありがとうございました!」拍手拍手。「ありがとうございました。私ももうすぐ25周年くらいになるんじゃないかなと。その節はよろしく。来年は26周年ですからぜひまたやりましょう」笑い、拍手。
ハッシャバイが始まる。テーマを井上さんが吹き始める。サビは佐藤君。少しテンポ速め。サックスソロから、いいフレーズ連発!佐藤君ソロ、フレーズ展開がおもしろい、森山さんが後ろで歌う。ノブソロに佐藤君大笑い。ベースソロ、すごくよく弾くなぁ・・・。サビで佐藤君がメロディーを弾く。ベースラインをつけたままのドラムソロ。森山さん、ドラムが仇みたいに叩きまくる、あれ、「テーマに戻ってちょうだい!」のドラミングなんだけど、だれも助け船を出さない・・・。フェイクっぽいテーマらしくないテーマで終わってしまいました。
「ありがとうございました!井上淑彦!田中信正!佐藤芳明!高瀬裕!」井上さんが「森山威男!」拍手が鳴りやまず。もう1時間20分もやってるよ・・・「曲が作れるっていいねぇ・・・私も作曲でもできればよかった。ナンか曲を作ろうとしてラリラリラリラリロ〜って演歌調になっちゃうんですよ。井上淑彦でした、またよろしくお願いします」
次はどんなメンバーで聴けるかな?また次も楽しみ!

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