森山威男公認HPライブレポートNo.118

2006年4月15日(土)井上淑彦(ts)板橋文夫(p)望月英明(b)吉良インテルサットライブ200回記念

「こんばんは、いやすごい大きいね」板さんの声が大きく響く。「エコーかかってる」と客席から、井上さんは「割れてるんだよ」マイクを口に近づけ過ぎだと思うんだけどな。「え〜、でも聞こえますよねこんばんはっ!」客席から「こんばんは〜」と返ってくる。「私は今日はサイドメンですが、最初にしゃべれっていわれたので、場をリラックスさせるために。とりあえずメンバー紹介します、ベース望月英明。テナーサックス井上淑彦。そして怪物ドラマー森山威男、ピアノ板橋です。一曲目井上淑彦の曲です、バース・・・バース?・・・・バース、オブ、ライフ

ドー、ソッソッソとピアノのイントロから入るのだけれどどうも危なっかしい。決められた音を延々繰り返すのは苦手と見た。バシーッとドラムが入るまでちょっとヒヤヒヤ。でもああ、始まってしまえばなんとパワフルな演奏。私の顔の前は淑ちゃんのベル、なんと贅沢な席でしょう、皆様ごめんなさい。ペンを持つのも忘れてサックスのベルに見とれてしまっていたが、左の方では板さんが立ち上がってグリッサンドをしている、立ち上がってるし・・・ステージはちょっと高くなっていて、椅子の後ろは階段、もし椅子の足が落ちたらと思うと怖い。段差までの距離は10cmほど、いつもの椅子の下がり具合を考えると落っこちても不思議ではない。そういえば昔はこのタイプの椅子だと板さん漫画雑誌をつめこんでガムテープでぐるぐる巻きにしていたけど最近はしないのねグズラさんのばりばりうなるベース。板さんの席のま後ろは小学生と高校生くらいの女の子が座っていて、顔を見合わせて笑って大受けしている。森山ソロ、う〜んますます叩きまくり。あれ、後ろの席の方でチャリ〜ンとベルのような音が、携帯が鳴ったのかな?テーマに戻る。

終わって、拍手。淑ちゃんが森山さんを見てにっこり。おもむろに眼鏡を出す淑ちゃん。テンポ出しを「やってよ」と森山さんに頼む板さん。少しテンポが遅めのアリゲーターダンス。板さんソロから。しかし、遅れてくる人が多いなあ。店の入り口とステージが同じ方向なので、どうしても目に入って気になる。ま、私たちも道に迷いそうになってたどり着けるかどうか危なかったんだけどね。ピアノソロ、足を交互に高く上げ、ダンスのステップを踏んでいるみたい。拳でがんがんと鍵盤を叩く。淑ちゃんソロ、音が目の前から立ち上る。板さんの地団駄が伝わってくる、ペダルを踏む振動がバスドラの響きのようだ、いやそれ以上かも。椅子の足から断崖まであと7〜8cm、板さん頼むからもう少し椅子を前に引いてよ、ドラムソロ、ますます絶好調。バシ!と森山さんが決めると板さんが鍵盤をかき鳴らす、テーマへ。あ、また椅子がずれた。初日は後ろに座っていて膝でずれてこないように押さえてたんだけど今日は無理だね。

「え〜、ありがとうございましたアリゲーター・ダンス。もう終わってもいいかなあ?」と板さん、「次の曲は井上淑彦のバラードでお休みください(?)、Gratitude

グラティチュード。テーマ、森山さんがマレットからブラシに持ち替える。このバラードの最中になんか騒いでる人がいるんですけど・・・。ああ、淑ちゃんのサウンドすてき。思わずうっとりとして、ふわあっとなってしまいそう。あ、ライターの音がする。タバコ吸ってる人がいる・・・。板さんのグラティチュードってのはどんなになるのかな、と思ったけれどさすが、板さんらしい明るいけど切ない感じのソロに。おや、まだやる?こんな曲なのに足を交互に蹴りだしてバタバタしているところがなんとも味がある。空手チョップのGratitudeだ。何かまたメロディーが後ろから聞こえる、携帯の音かしら?切っておかなくちゃね。最後はオクターブのトリル奏法(?)でまとめる。淑ちゃんの音ってどうしてこううっとりするのかしら、ブラシで暴れだす森山さん、板さんがエンディング、ほっ、ちゃんと終われた。余韻を残して、拍手。「井上淑彦お〜」

森山さんがドラムをどかどかと叩き始める、井上さんが譜面台を上げる。Exchange だね。ああ〜、いい感じ森山さんのアフロリズム。ああ、椅子の後ろあと3cmくらい!板さんが立ち上がると椅子が傾くし心配だな。サックスソロ、Witch-tai-toみたいなフレーズが入る。森山さんと板さんが目と目を見交わす。板さんも大丈夫か、真っ赤な顔をしている、ウォーと叫ぶ。あれ、サックスソロのエンディングちょっと合わず、井上さんらしくないな。板さんソロ、ああ、怖いこの曲だけ保てば1st setが終わる、・・・あと2cm。ああ、そうかこの前ここで淑ちゃんを聴いた時はピアノが佐山さんだったからこんな心配しなくてすんでたんだ。あ〜と叫ぶ、立って弾いてるし・・・。女の子たちに大受け、あとでわかったがこのテーブルのご家族は森山さんのお弟子さんでもある「ドラマーな建築家」のJunpeiさんのご一家であった。静と動を叩き分ける見事なドラムソロ。タムの回し打ちの正確なこと、驚嘆する、ほれぼれするわ。エンディングへ。「望月英明、ベイス。井上淑彦、テナーサックス。森山威男ドラムス。ピアノ板橋でしたしばらく休憩させてください〜」無事椅子も板さんも転げ落ちることもなく終了、ほっ。ピアノを見たら、白鍵のキーの表面が一つ飛んでる〜。お嬢さんたちによれば、「この曲で折れて、最初は折れたまま弾いてたんだけど、キーの間に挟まって邪魔になってつまんで弦の方に置いた」らしい。

後ろからクリちゃんちゃんが涙目でやってきた、「写メール撮ってる人がいるの〜」そうか、あの音は写メールだったか、それは反則だよな。他にもしゃべる人やら何やら後ろの方にはいたらしい・・・・。モクモク集団には、ライブスケジュールの紙を持って行って「すみませんが演奏中は・・・」と頭を下げておく。

21:30。ステージ上にみんな揃うが、板さんだけいない。いつもの森山バンドでピアノだけいないのはよくあることだが。みんなが待ってるところへ板さんが登場、拍手。井上さんが「後から出てくるとおいしいなあ〜」「トイレがつまって(混んで)たんだよ〜」と言いながらメンバー紹介をする板橋さん。「テナーサックス・・・え〜、井上淑彦。ベース、望月英明〜。あ、ドラム森山威男」「ピアノ板橋文夫〜」と森山さん。
渡良瀬だね。グズラさんなしのピアノとドラムスだけの音から始まり、グズラさんが入る。やはりベースが入るとグンと締まる。井上さんが吹き始める、ああ、ここでもう鼻の奥がつ〜んとして目が潤んでしまう。ゆったりとした河の流れ、人が乗った船が行く。はあ〜。グズラさんがきっちり盛り上げて行く。グリグリのグリッサンド、プレス。うひ〜、渡良瀬ここにあり!

淑ちゃんと森山さんが顔を見合わせて打ち合わせ。淑ちゃんのサックスが鳴り響く。In a sentimental moodだね、めっちゃかっこいい〜、もうぞぞぞぞぞぞっ、しびれる〜。う、淑ちゃんに寝ていると思われてはいけないのでがんばって目を開けているのにうっとりとして思わずまぶたが下がっている。板さんソロにどっぷり浸る。グズラさんソロ、サビから淑ちゃんが入る。終わりの8小節でぱっと森山さんがスティックに持ち替える。

Sunrise、かっこいい〜。テーマの音がいつもよりオクターブ低い?サックスソロ、にこにこしながら聴き入ってしまう。森山さんの腕の動きがしなやか、バスドラが鮮やか。おおまだやるの?吹きまくりの音が立ち上るベルを見つめる。これが最後のコーラスかと思ったのに、ありゃまだやる?スゲー。もう信じられない、何コーラスやるの、は〜、びっくり、思わず口をぽかんと開けて淑ちゃんの顔を見上げてしまう。板さんも負けちゃいられないね、さあてまたこれがすごい!メモを取る手がとまったまんま、つい握りこぶしを作って膝の上で握りしめる。また森山さんが圧倒的、一人で休まず叩き続けているんだものね、このすごさ!カッコよすぎ、ビシバシ!は〜、すごいドラムソロ、終わったら思わず脱力。

「森山威男〜!」と板橋さんが叫ぶ。「ピアノ板橋文夫!」と森山さん。板橋さんが「ありがとうございます」と頭を下げ、マイクを森山さんに渡そうとするが、森山さんの方にもあって、森山さんがマイクを持つ。

「ありがとうございました、今日は久しぶりで板橋文夫と演奏をさせてもらって三日目の最終日になりますが、今日が一番うまく」・・・「彼が話せました」笑い。「いや、あの板橋がリーダーになってこうやってメンバー紹介をしたり、何か少し話したりするのをめったに聞くチャンスがなかったんですけど、最初に彼がぽろっと言ったんでわかりました、『お客さんをなごませなくちゃいかん』って」板橋さんがそこで「ウォ〜」と吠える、「あれが本音なんですね。彼は話でお客さんを引きつけようと思っている訳ではないし、いかに、自分もそうだし、みんなをリラックスさせようと心がけているのがよくわかりました。あの、彼のきれいなメロディーの音楽作りにもそういうのがよく現れていて、決してむりをしないというか、誰もが当たり前にこうくれば当たり前にこう行くだろうという、そういう方程式をきちんといつもこう心がけていて聞かせてくれるのでうれしいです。今日はちょっと奥歯に物が挟まっているようなしゃべり方ですが、あごの治療をしていましてこんなことになっています。テナーサックスは井上淑彦です。井上淑彦があまりしゃべったりメンバー紹介をしたりするのを聞いたことがないんですが、得意なんでしょう本当は?」「井上が一番うまいと思うよ!」といきなり板さんが割って入る。「本当に?」と森山さん。
「いちばんしっかりしてるもんな。ほらわかるでしょ?井上君、井上君」とマイクを持たせようとする、笑い。森山さんもへっへっへと笑っている。淑ちゃんが「そんな」とちょっと色っぽく。もっと話して、とヤジが。「いきなり振られても、まあでもインテルサットでは、もう、ね。話のほうが長いんですよね。演奏はさくっと切り上げて、トークショーですよね。だから今日はいいです」客席から「逃げた逃げた」というヤジ。森山さん「今日は楽しかったです。機会があれば、こういったメンバーでも井上も板橋も新しい曲を書いてきてくれると思いますし」誰も何も言わないので客席からへへへ、と笑い声。「絶対書かないのが望月で、望月さん本当はトークが上手なんですよね」大受け。「マイクを向けて上げて」と客席から、「いいよいいよ」という感じでグズラさん手を振る。「終わってからこの辺でかなり話をするんじゃないかと思います。ええ、長い間こういういい仲間に恵まれてやってこられたのをほんとうに嬉しく思います。またどこかでお会いすることがあったら、声をかけてください。ありがとうございました」拍手。ここでハッシャバイに入るかと思ったら、板さんがマイクを持って「森山威男〜。ほんとにね、来ているひとの中でも滅多に聞けない人です。こんなにすばらしいドラマーは本当に他にいませんから!限りある人生ですから、生きている間に聞きにきてください!」ん?


ハッシャバイ。井上さんがテーマを吹き始める。客席から歓声。テーマから続けてあまりに隙のない淑ちゃんのソロ。ピアノ懐かしい感じのソロ、ちょっと軽めに。グズラさんソロからドラムソロ。それこそさっきの井上さんの言葉じゃないけれど「さくっ」と行くかと思ったら、森山さん1コーラスで終わらない・・・力が余ってるわけではないだろうけど。しかし、リズムだけでなくて音階もちゃんとエンディングではメロディーが聞こえてくるように叩くってのはすごいテクだな・・・ああ、テーマの終わり方は昔の森山組と一緒だ。

Goodbye。何の音?ライターの蓋?このきれいなテーマのときに一体何をしてくれるのよ〜。思わず振り返って見てしまう。森山さんが大きくブラシを振り上げる、テーマからピアノソロへ。う〜ん、ちょっとピアノの音がひずんでいるのが残念、でもまあこれだけ弾けば調律も狂ってくるわね。淑ちゃんが吹いて、板さん16小節のソロ、テーマにサビから戻る。
十分堪能しました。ふう、すごい。200回記念にふさわしいライブだったでしょう!




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