森山威男公認HPライブレポートNo.124

2006年5月27日(土)清瀬市児童センター「ころぽっくる」田中信正(p)

やってきました清瀬市。急いでドラムのセッティングに間に合うようにと思ったけれど、とっくの昔にカメチンさんが組み立ててくださってあって、何もすることなし。カメチンさん入念なサウンドチェック、家族総出で山梨から機材を積んでPAに駆けつけていらっしゃったようだ、お疲れ様です。
リハーサルが済んで開演まで3時間・・・。原稿でも書こうかな。りっぱな児童センタ―、図書館も充実、楽しそうな子供がいっぱい。年齢それぞれ子供が遊ぶのには申し分ない環境だが大人が遊ぶわけには・・・。周りにはなにもなく、暇つぶしにいったん都内まで戻るには遠いし、雨の中お茶を飲みに出るようなところでもない。畳敷きの3畳くらいの椅子といおうか島と言おうか、ノブ君がやってきてその上でストレッチ。ほんとに体が柔らかい、強烈に体が硬い私からみたら驚異。私を含め山梨からいらしたなかざわさんと息子さんで即席ヨガ教室みたいになって、他人から見たら何じゃこりゃ?の世界が展開。


会場は収容数200人ほどのホール。えらく都心から遠いので大丈夫かなあ、と思ったのだけれど、森山さんと古くからの親交がある主催者の方が、いろいろな民族音楽を紹介するコンサートをずっと開催されていて、その常連さんがいつも150人くらい、とのこと。一昨年も森山田中デュオをなさったそうで、ほぼ満席でほっとした。
7時に主催者の方がご挨拶。
「お二人をお招きできて、とてもうれしく思っています。夕べのひととき、激しい音と、繊細な音を楽しんでいただけたらと思っています。どうぞこの時間をリラックスして楽しんでください」と、デュオの紹介。まずノブ君が登場、最初は
「浜辺の歌」。一人で弾き始めるイントロ、海の波が押し寄せては退くような、なつかしい感じの1コーラス。終わる間際に森山さん登場、叩き始めて拍手。ステージ左に森山さん、マオカラーのスーツ。右側にノブ君、横縞の長袖シャツにジーンズ。ドラムのフィルインが入り、倍テンに。最初は倍テンなし、と言ってたんだけれど、この曲はやはりこれがないと寂しいよね。ノブ君がんばれ〜。倍テンで弾きまくるノブ君、森山さん楽しそうににっこり笑いながら叩きまくる。倍テンのままテーマのフレーズを入れる、ドラムソロに突入、叩きまくる森山さんのドラミングをノブ君は首を左右に振りながら聴いている。すっと静寂が訪れる。ノブ君がテーマを弾き出す、左手の旋律が穏やかな海の情景をまぶたの裏に映し出す。サビからはまた倍テンになって急ににぎやかになる、春の海から真夏の太陽が照りつける騒々しい海になったようだ。この曲のエンディング、ノブ君のCDの「odd or even」に入ってる「Tea for two」みたいなエンディングにしてみたらどうかな、と思った。


拍手と歓声、森山さんがマイクを持つ。「どうもありがとうございます、ピアノ田中信正です」大歓声。「ありがとうございます。雨の日にもかかわらず、ようこそお越しいただきました。開演までの間、少し外を見ながら雨を楽しんでいました。あれは何歳くらいの頃だったでしょうか、勝沼という葡萄の町なんですけれど、小学生の時ずっと住んでいました。おばあちゃんのうちのすぐ隣に家を借りて、疎開して住んでいたんですけれど。おばあちゃんのうちの二階から、葡萄棚がずーっと遠くまで広がっているんですけれど、上から見る形になるので、芝生が広がっているように見えるんです。雨がざあっと降っているのを見ながら、『大きくなったらどんな人になるんだろう』って、ずいぶん大人びていましたが、そんなことを葡萄の葉に当たる雨を見ながら考えていたことを思い出しました」なんだか森山少年の後ろ姿が目に浮かぶようですね。「こんな風になりました」と頭を下げる、笑いと拍手。「私が高校の時に、ドラマーになりたいということを父親に言ったんですけれど、父親は反対はしなかったんですが『ドラマーなんて言ったってな、どうせ銀座で歌謡曲の伴奏をやって、帰りには終電にスティック二本ズボンの後ろにはさんで、寂しく帰るんだぞ』って。親父の知ってるドラマーっていうのはそういうのしかいなかったんでしょうね、その当時はきっと。私はそういうものを夢見てドラマーになったんじゃないんですけれど。まあでも、そうなってもおかしくないような競争の激しい世界でしたから、ようまあ、こんな風にしてたった二人で演奏するだけなのにこんなに大勢に聴いていただけるようになったと思いました。ねえ田中さん!」とノブ君に振る、ノブ君最近はだいぶ慣れたのだが、急に背中を伸ばして頷く。笑い、拍手。「この二人は変なんですよ、あの」「あはは」とノブ君が笑う。「まあ時代はまるで違って、たぶん私の息子くらいの年なんでしょうけれど、彼も音楽大学を出て」はいったのは入りましたが出てないんですけれど・・・。「音楽大学にいる間にジャズミュージシャンになろうと思っていたわけじゃないんでしょ?」「なりたかったんです」「なりたかったけどなったわけじゃなかったね?」「・・・」どう答えていいのかノブ君迷う。「それで、ジャズを知るようになる前は何なんですか?特にこういう音楽をやりたかったとか。まだお聞きしていなかったので急に聞いたんですが」確かロックバンドをやってた時期もあったようだけど。「ありました」「ありました?童謡歌手になりたかったとか」「演歌歌手になりたかったんです」「演歌の歌手!」客席からもえ〜っ、と驚きの声があがる。「小学校の時。最初はピンクレディーで」笑い。「そのあとは演歌歌手。小林幸子とか」なぜ両方とも女性歌手なんだろう。「ほ〜・・・ああ、そうなのぉ。じゃあそこがおじさんと似てるな。おじさんもね、東海林太郎とか」「あはは、知らない」「そういうのから急にジャズになってしまったので途中がないんですよ。あの、今も童謡を演奏したんですけれど、このあと何をやるのかっていうのが困るんですよね、演歌をやるわけにはいかないし、ジャズを知らないけれど今日はじゃあスタンダードのジャズに挑戦してみましょうね。ええ、じゃあやりましょうグリーンドルフィンストリートジャズを知らないなんて言って大丈夫なかしら、観客の皆さんが本気にしたら・・・まあ、二人とも普通の「ジャズミュージシャン」ではないことだけは確かだけれど。


おや、思ったよりテンポが速かったわ。そういえば先週、スタジオFでやったよね、ペコさんの歌で。おや、4バースだ珍しい、普通の「ジャズミュージシャン」みたい。ノブ君多彩な弾き方。4バースの切りのいいところでテーマに行こうと思ったのかな?森山さんがドラムソロにつっこむ、ノブ君曲の頭で弾き始めて「キャーン」という音を出したまま大笑いしている。ドラムソロの勢いのまま叩きまくる森山さんだが、ノブ君は挑戦するかのように弾き始め、テーマに入っていく、そしてエンディング。やっぱり普通のジャズにはならない・・・当たり前か、この編成では。


汗を拭く森山さん、そのままノブ君の方を見て頷く。ポツポツという感じの音で
Gratitudeを弾き始める。森山さんがマレットでシンバルを揺らし、音がすっと切れる。ふっと意識が遠のきそうになる。ノブソロ、歌いながら弾いているようだ。頸から背中、腕の動きが柔らかい曲線を描く。森山さんはじっと止まっている。ノブ君の美しい音で会場の空気が埋め尽くされる。サックスがいないのに、音川さんがバッキングをつけているかのように一瞬聞こえる。森山さんがブラシに持ち替えて暴れ出す。そしてエンディングでは小さくシンバルのシズルを鳴らしてつけていく。


「Gratitude、「感謝」という曲でした。次はこのセット最後の曲でBlue Bossa
アフロからガーンと入ったので、サンライズが始まるかと錯覚した。森山さんのアフロリズムは本当に迫力がある。途中で4ビートになり、ノブ君は背中を丸めて靴のかかとでリズムをとりながら弾き続ける。ソロ終わり、拍手。ドラムソロに、シンバルが大きく揺れる。叩きまくり、会場から拍手がわき起こる。ドラムソロの終わりは大きな拍手、そしてテーマ、エンディング。
「ピアノ田中信正、しばらく休憩します」会場のざわざわ感がいつものライブハウスとは違うのが楽しい。

じゃんけん大会が始まる。「一枚しかないので」とドラムヘッドを出す。「欲しい、ほしい〜」という声があがる。森山さんたら、本当に楽しそう。最近調子が悪い私は一回戦負け・・・。2回終わったところで13人。3回目で7人。「楽しいなあ〜。昔田舎の方でね、紙芝居屋さんとか、こういうふうに喋っているのを遠くから見ていたものですよ、今私がやれていて幸せです、いくよ、じゃんけんぽん!」4回目で3人となった。「勝ち残っても最後まで行かなくてはだめなんですよ」と5回目のじゃんけん。ドラムヘッドは最後に一人のこった後ろの方に座っていた女性がゲット。「そんな後ろの方にいないで前に出てきてください」いいな〜、拍手。「ころぽっくるライブ記念、日付が書いてあって、こちらが私のサインでこちらが田中君のサインです」いいな〜、の声がまた上がる。「ありがとうございました」といって終わるかと思ったら「ものすごい楽しいから、これでもういっかいこれでやろうか」とスティックを取り出す。拍手。「これもね、結構貴重なんです。サインは書いてないんですが森山威男モデル、でも市販をしていないんです、いきますよじゃんけんぽん!」2回のじゃんけんで9人、3回目で2人となった。「これね、この前ね、2人残ったところでやったんですよ。それで2人負けちゃったんですよ。それでどうしようかと思ったんですが、最初からまたやりましょうっていうことで、その二人の方がかわいそうだったので今日は二人でじゃんけんしていただいて勝った方に差し上げるということで」確か3人残って3人ともあいこか負けだったんですよ。「いきますよ、じゃんけんぽん」で2列目同士の対戦で男性がゲット。「これはにちゃにちゃしてるようですが汗じゃなくて、滑り止めが塗ってあるんです」握手してスティックをゲットした男性が喜ぶ。「ありがとうございます、それじゃこれで今日は終わりにしましょう」会場は大爆笑。「それでは田中さんがかわいそうなのでもう一回やりますよ、田中さ〜ん」

どうしましょう、と入り方を相談。「え〜、一人で始めるの?」とうろたえるノブ君。「情けない顔しなさんな!」と森山さん、「あとでほめてあげるから」ほんとにほめてあげたんだろうか?内心爆笑。「ワン、ツー」とスティックでテンポを出す森山さん。「Now’s the time」を弾き始めるノブ君。そういえばこの前のヴォーカル発表会で歌った歌だなあ、・・・といっても、普通のジャズヴォーカルを歌いたい人が選ぶ曲ではない。ありゃまあ、両手で同じ音でソロをするノブ君、これ難しいんだよね・・でもプロに向かってそんなことを言ってはいけませんね。私としてはブルースだったらノブ君のぶちかまし Billy’s bounceを聴きたかったんだけどな〜。そういえばそれを聴いたのは確か六本木のペコさんのバックをノブ君がしていたときの後だったかな?あれは何年前・・・なんて、なんかの歌詞みたいだわね。ありゃ、また4バース。何度かこのデュオを聴いているけれど、だいぶこなれてきたかも。ノブ君の仕掛けるフレーズに森山さんが応える、ラグタイム風、チャイナ風の音階にも。そろそろテーマかな、それともドラムソロかな、と思ったところ、コーラスの頭でノブ君はどっちに行ってもいいように鍵盤を押さえ、森山さんはソロに入らず(まあ4バースはドラムソロみたいなものだから)テーマに、ノブ君はすかさずテーマを弾き始める、このかけひきがおもしろいね。でも思いっきり崩したテーマ、また内心爆笑。

拍手。
「ありがとうございます。え〜、次の曲はダニーボーイ。ハッシャバイとかダニーボーイとか、メロディーが好きだったんです、ジャズをやる前から。ジャズミュージシャンになる前から。絶対きれいな曲をやりたいと思っていたんですが、やった相手が悪かったんです」ここまで喋っただけで会場はくすくす笑い。「山下洋輔はこういう曲をやらないんです。こういうやつですから(とげんこつで鍵盤を叩くまね)。それで長いこと心の中で暖めていただけだったんですが、田中さんと巡り会えたのでダニーボーイを」ノブ君吹き出す、「これは前にも話したことがあるんですが」と、芸大打楽器科に入ったときの話。「甲府から芸大打楽器科に行ったってのは初めてで、新聞にも載ったんです。『芸大合格、打楽器科!』って。ずいぶん将来を期待されて、親も鼻高々だったと思うんですが、入るまでクラシック(音楽)の大学だってことを知らなかったんです。ドラムが叩ければ入れるかと思って」本当に?笑い。「入ったらベートーベンとかモーツァルトとか、そういう話しか出ないんです。本当に悩みまして、毎日泣いて暮らしていました。とうとう大学3年の時だったですかね、退学届けを出しに行ったんですが、ある教授からこんこんと説得されて、『芸大を卒業したって何も悪いことはないじゃないか、なぜやめる必要があるんだ』って。説得されると弱い方ですから、すぐ応じてしまって」笑い。「そして卒業まで行ったんですが、その暗く寂しい青春時代にもっぱら聴いて涙していたのがこのダニーボーイだったんです。どうしても演歌調になりますね、私が喋ると。そのうち演歌じゃなくなるんじゃないかと思うんですが、ネェ田中さん!」笑い。「田中さんってこのごろちあきなおみを聴いてるんですって!」さすが最近慣れてきたノブ君ものけぞる、「僕も影響されそうで怖いんです。ではダニーボーイ

ノブ君が弾き始めるきれい〜なテーマ。森山さんは小刻みにつけていくが、タラララー、という最後の4小節、森山さん曰く「やるぞー」って元気が出る部分ではマレットでドロロロロ!と盛り上げる。テーマが終わったところですぐに2人のバトル。お互い間合いを計ってにらみ合い、どう相手が出るかのフェイント、そしてだんだん本気の取っ組み合いになる。しかし、しかしだ。ソロでこのフリーバトルじゃ、山下洋輔とやっても同じじゃないかしら?あら「エリーゼのために」だ。ガリゴリキャキャキャキャ、ビシバシドカン!でブレイク合わせる、会場から拍手。最後はそっと、そっとのエンディング。拍手。


森山さんいたずらっぽい顔をしてハイハットを直す、もしかしておちょこになってた?う〜ん、気がつかなかった、失格だな。昔はよくステージに行って直していたけど、最近なかったのに。さすがにこのステージによじ登っていく勇気はないけど。


パカン!と
サンライズが始まる、左隣の聖子先生手を叩いて喜ぶ、右隣のクリコちゃんはにんまり、いやお得意の「えへらぁ〜」か。しかしこの曲デュオでやるのは大変だよ、いやこの曲をデュオでやるなんてのはこの2人しかいないよ多分。作曲者の板橋さんだってやらないだろうなあ。おやノブ君アタマから曲想を変えて。森山さんが大きく腕を振り上げシンバルを揺らす。低音から高音までめまぐるしくノブ君の指がかけめぐる。歯を食いしばって弾くノブ君を森山さんは冷静な顔で見つめて叩き続ける。テーマのリズムを入れると森山さんはその通りにバスドラを踏んで盛り上げていく。ドラムソロになってもノブ君の左足はずっとリズムを刻んでいる。いやすごいソロだわ、うはぁ〜。ドラムソロの終わり、ぱっと顔を上げてノブ君を見る森山さん。ノブ君すかさずテーマに。大拍手。
「ありがとうございます」拍手が続く。「アンコールといってもそう趣向が変えられませんので、どうしましょう」笑い、拍手。「ああ、よかったら最初っから全部やり直しましょうか」大拍手。「じゃあ田中さんお願いします」


ノブ君
ハッシャバイを弾き始める。いいフレーズ満載。森山さん「ほう」という顔つきで聴いている。今のフレーズは何だろう、「in the mood」?ドラムソロのエンディングノブ君一瞬弾こうかどうしようか迷ったがちゃんとはいる。サビはラグタイム風。


歓声、拍手。
「どうもありがとうございました。叩いているときの顔っていうのは自分ではわからないんですが、父親が私の演奏を聴きに来て、苦しそうな顔をして叩いているからって『あんなにやらなきゃ喰えんのか』って涙ながらに心配してくれましたが。見方は様々で、うちの娘は私が叩いているのを見て『お父さん仕事は何やってるの』って、遊びでやってると思ってるんです。この間、母親は87才になるんでしょうか、山梨の方で一人で介護の施設に入って楽しく暮らしてるんですけれど、遊びに行きがてら会いに行くんですけれど、からかってやろうと思ってからかわれて帰って来ます。可児市で毎年9月にコンサートを大ホールで計画してくれるんですが、それに母親を、一昨年ですか、連れにいって聴いてもらったんです。そうしたら『威男はいいねえ、いい人に囲まれて。おまえは幸せだ』なんてえらい褒めてくれるんです。良かったなあと思ったら『それで、仕事は何をやってるの?』からかわれたんじゃないのかな、って。それでこの前、もう、ちょっと遠くへは連れて行けないので山梨へ見舞いがてら行ったんです。そのときの写真を見せて、『ほら、この前こっちへ、可児市に来て聴いたんだよ』『おや、すごくいいホールだね、大勢いるんだね』って喜んでくれてました。で、また同じことを訊くんです。『で、仕事は何をやってるの?』」爆笑。何度聞いても笑ってしまう。落語と同じだね。「まあ、あまり馬鹿にされないようなドラムを叩こうと思いながら、今日も感動していただいたというよりも、笑っていただいたという部分が多かったのじゃないかと思います。こうやって反省しつつ、岐阜の方へ帰りたいと思います。田中信正さんです、ありがとうございました」


森山さんが喋っている間、舞台の下では花束を持った女性がいつ出て行ったらいいのか迷っている、早く行かないと・・・ノブ君はピアノで
グッドバイのイントロを弾き始めてしまった、森山さんに花束を渡す、大きな拍手。ノブ君にはどうするんだろうと思ったが森山さんがノブ君の方に行くようにと促す。ノブ君は右手でピアノを弾きながらうまく片手で花束を受け取る、頭を下げてお礼をしながら床に花束を置き、ファンファーレのような和音を弾く、場内から笑い声。そしてテーマを弾き始める。
美しい音が広がっていく、森山さんのブラシワーク、多彩。A-A-B-AのB、サビの終わりから終わりのAに戻るところ、タムのロールが炸裂。ソロは16小節、サビからまたテーマに戻る。なんともの悲しい、哀愁をそそる響きなんでしょう。会場から鼻をすする音が聞こえる。最後のAのところはまた森山さんが大暴れ、一撃、シンバルが大きく揺れる。


拍手、花束を持って二人とも舞台から去っていく。ああ、あっという間に終わってしまった。
主催者の吉井さんの挨拶。「すばらしかったですね。もう、今日が最後かもしれないと思っていましたが、こんなすばらしい演奏を、ステージを聴かせていただけると、また来年も、と思いました」拍手。「ありがとうございました、スタッフも年をとって、Y井さんも疲れているのじゃ?という声があるものですから、ぼつぼつ(定例コンサートをやめよう)と思っていたんですが、みなさんの励ましを得て、もう一度森山さんとご相談しておきます」拍手。「今日の音響をやってくださった方は藤巻さんです」拍手。いきなり振られてカメチンさんあせりながら立って頭を下げる。「とても遠いところからたくさんのスタッフをお連れくださって、この日のためにやってくださいました。それとともに、Photoで藤森さんが今日のことを記念に撮ってくださっていると思います。外はまだ雨が降っているかもしれません。気をつけてお帰りください。今日は本当にありがとうございました」

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