2005年9月4日 新宿ピットイン (ts音川英二 acc佐藤芳明 p田中信正 b望月英明)


さあて、2日目のレポートも書き上げたし、と晴れ晴れ気分で新宿へ。クリコちゃんとカオルちゃんといっしょに待ち合わせ、佐藤君の記事が載っている「モノ・マガジン」を購入してトルコ料理店へ。昨日から中近東料理の連続。
今日はピアノの側、最前列。目の前は佐藤君。わくわく、楽しみだな。19:58にメンバー登場。え〜!?
ノンチェック!!あっとびっくり、緊張感が走る。イントロからテーマ、カン!とリムショットでブレイクするところがかっこいい、グズラさんのベースがまたいい。音川ソロ、このスピーディーな感じがいい調子。森山さんもばりばり元気!わ〜、佐藤君ががっと音を大きくするところと森山さんのリムショットで盛り上げるところがぴったり一致。ぱっと音川さんが振り向いて合図、みんなで合わせてテーマのフレーズを。佐藤君ソロ、音川さんのストレートなソロと少しイメージが違う。優しくクールな感じで少しずつヒートアップしていく。森山さんがパカンパカンとあおる。鍵盤を押さえる右手と同じように左手もボタンの上を動いている。初めてだよね、この曲・・・あ、この前のドルフィーで演ったか。ノブソロ、ベースとデュオ、バリバリのソロ。佐藤君が小さくバッキングをする。だあっとロールが入って、トリオに。佐藤君も音川さんもじっとノブ君を見つめる。ノブ君が合図して佐藤君がぱっと立ち上がり、テーマのフレーズを入れる。森山さんソロ。あら、テーマに戻るのかしらと思わせるフレーズを入れるが、まだまだ叩く。今日も元気だ森山さん。スネアだけで小さく小さく音を出し、無音になるかと思った瞬間、ぱっと腕を大きく振り上げたスティックをシンバルに振り下ろす、その動きに合わせてグズラさんがベースの音を入れ、ガーンとテーマに戻る。難しい曲なのでタパタパタ、タータータッと全員が揃う音が心地よい。


「音川英二!佐藤芳明!田中信正!望月英明!ありがとうございました、3日連続いらして頂けるとはおもっても見ませんでした。これで心おきなく可児市へ帰れます、なんて始まったばかりなのに終わっちゃいそうな雰囲気ですね。これは難しい曲でしてね。絶対間違うだろうと思ったんですけれど。とちったらどう取り繕うかということまで考えてあったんです。面白かったんですよ、もし間違えたら別の展開があったんです。一曲目はノンチェック、井上淑彦の曲でした。今度は板橋文夫の、この曲です」


森山さんがテンポを出したのかと思ったら、実はカウントだった・・・あれ?何の曲かな、と一瞬思った、ノブ君も一瞬出遅れたようだ、
アリゲーターダンス。ソプラノに持ち替えた音川さん。アコーディオンソロから。バックの照明はグリーンやらオレンジやらブルーやらのカメレオン的な照明。ああ!デジカメのカードをレポート書いてたホテルの部屋に忘れて来ちゃった、だめだ・・・いい場所なのに、もったいない、がっくり。この曲を聴いているとどうしても身体が左右にスイングする。ソプラノソロ、ウキョー、と高音で吹きまくる。森山さんが後ろからあおり、両手を広げる派手なショット。ノブ君ソロ、何かフロント二人が笑い合っている。身体は正面を向いたまま、肩越しにノブ君を覗き込む佐藤君。ノブ君のフレーズに反応してリズムを叩き出す森山さん。いい感じの長さでソロ終わりのリフを入れる、ベースがリズムパターンを残したままドラムソロに持っていく。いい感じのソロ。テーマに戻り、ソプラノが和音でも出しているんじゃないかと思うくらいに、アコーディオンの音とシンクロして、いいハーモニーだ。森山さんエルヴィンみたいなしつこいエンディング、叩き足らないようだ・・。


ん〜、と言ってノブ君の方を見ながら頷く森山さん。ちょっと和音の付け方がいつもと違う感じのGratitude。アコーディオンのサウンドがそっとすき間を埋める。テナーでテーマを吹き終わり、横目でソロを佐藤君に振る音川さん。優しい気持ちになれそうなソロ。心を揺さぶられたところにピアノソロが心の奥底まで染みわたるようなソロ。音川さんがつけて、テーマに戻る。森山さんブラシで暴れまくる、凄い音量だ。エンディングで少し音量ダウン、ノブ君がきれいに締める。あれ?ピアノの弦が切れているのかな、ちょっと妙な音がした。


タン、タン、タンッタタッタと
サウンドリバー。テーマ、ノブ君のバッキング、少し感じが違う、音を切るような。あれ、足の運びがいつもと違うような・・・。ノブ君のソロから。森山さんのアフロ。ズダダダダダと森山さん楽しそうにバッキングをする。音川ソロへ。飛び跳ねるように、伸び上がるようにしてソロを吹く音川さん。おお、太い音が出て吹きまくっている。森山さんあおる、ノブ君もつける。佐藤君ソロ、抑えめの音から・・・ええ?ドラムピアノも止まっちゃった、どうなるの?佐藤君森山さんの方を見て仕掛けるが森山さん知らん顔。あ、ノブ君に仕掛けていった、ベース止まる、ノブ君笑いながらデュオに突入。ありゃりゃ、面白いデュオ。狐と狸の化かし合いのような・・・ノブ君の方を見て二人でぎゃんぎゃんとやりあう。森山さんすごく楽しそう。あ〜、すごく良いポジションなのに、デジカメがないのが惜しい、この二人のデュオ。望月さん、森山さんが入ってQuartetに、快走。音川さんが太い音でつけてあおる、佐藤君膝蹴り、肘弾き。ノブ君楽しそうにバッキングをしている。息詰まる演奏、ドラムソロ、絶好調ですねスネアの響き。一気にテーマ、エンディングへ。
「佐藤芳明!音川英二!田中信正!望月英明!しばらく休憩します!」

2nd setは21:20から。森山さん「リクエストあります?」「日本海の朝焼け」と言ってみたが、どうせポーズなのはわかっている。ナウだ。この曲が始まると、ステージから風が吹いてくるように感じるんだけれど・・・アコーディオンの蛇腹のせいじゃあるまいね。森山さん、また派手なドラミング、佐藤君のソロ。あー、息を詰めて聞いているウチに終わってしまった。ノブソロ、なんか今日はテンポが速いのかな、両手で鍵盤を打ちまくる、森山さんも叩きまくる、リズムを合わせて暴れる、大バトル、凄いドラミング、ノブ君がんばれ。グリッサンドばりばり、手、切れない?必死の形相で一瞬だけ音川さんを見上げたノブ君、そのまま音川ドラムデュオに。森山さん時々音を切って、またまた「サックスソロにしちゃおうっかな・・・」っていう雰囲気をかもしだす。あれ、今のフレーズ何の曲だったかな。佐藤君笑ってノブ君と顔を見合わせている。おお、すごいデュオだ。森山さんが合図を出してあとの三人をバッキングに引き戻す。この、このスピード限界ぎりぎりっていう感じの爆走というか、暴走寸前・・・うゎ〜。ドラムソロ、パカン!で戻る、テーマ、エンディング、うほ〜、決まりすぎ・・・かっこよすぎるわ。


「ありがとうございます。N.O.W.何も言うことはありません。New and Old Wonder、秋にちなんでお送りしました」全員ステージで大笑い、グズラさんまで笑っている、よくこんなフレーズを思いつくわね。「3日間叩くと、叩いている間はいいんですが相当手がむくむんですね・・・」と手を見せる。そりゃそうでしょうよ。「はぁ〜」とため息をついて沈黙。「誰も何にも言ってくれなくて、たまに独り言を言ったりするんです」爆笑。「たまに顔まねなんかしてみたりして。でも誰も笑ってくれないんです」えっ?「誰の顔真似をしているんですか」と佐藤君がたまらずつっこむ。「いや、よく知っているというわけじゃなくて・・・名前を出すと嫌われたりするから」・・・・「ひとりごとをまた言ったりして」爆笑。「佐藤君は、暇なとき何をしてるんですか?」といきなり振る。「料理とか」おおっと客席から驚きの声が。「たいしたもんですね。田中さんと趣味が合いますね、田中さんは洋菓子の方でしたか、クッキーとかケーキとか」これも客席から意外そうな声が上がる。「音川さんは料理とかするんですか?」「1ヶ月だけ毎日作ったことがありましたが飽きちゃいました」「1ヶ月毎日同じものを作ったんですか?」違う違う、と手を振る音川さん、笑い。「コルゲンさんってすごく料理が好きで、献立表にメインディッシュとか筆で書いてね、たくさんの人を呼んだりしてました。タモリさんもやるんですよね。私も料理でもやろうかしら。なんだかジャズマンでも向井滋春さんとか井野信義さんなんて、野菜を作ったりしてるんですって・・・・グズラさんは野草でも摘んでるんですか」グズラさんステージで吹き出す。「言いそうで言いませんね、CDなんか売らないで、農作業で作ったもの持ってくればいいのにね、とかなんとかいいながら1日1日過ぎていくんです。次の曲は板橋文夫が故郷の川を歌った曲です、どうぞ」と手をさしのべる。ノブ君に振ったの?佐藤君?どっち?佐藤君が「ボク?」と自分を指差して森山さんに聞く、「あなたの故郷ですから」と森山さん、そうなのか。


ワタラセを佐藤君が弾き始める、なつかしい感じのイントロ。ぱっと3人がうしろでつける。音川さんがソプラノを吹き始める。ああ〜、また弛緩モードになって、ゆったりよだれ系の浸り加減。良いフレーズだ、岩場にかかる滝のようなメロディー、吹きまくりよりずっと好きだわ。佐藤君のフレーズにかかるノブ君の水がはねたような音のしぶき。ノブソロになって急に静かになる、がすぐに雨だれから急流に。何じゃ?このフレーズ!聴いている佐藤君の表情がくるくる変わっておもしろい。だいぶ障害物やら川をかき回す人やらがいるなあ、今日は。本当に流れを感じる、情景を作れる曲だ、テーマだ、名曲だ。

音川さんがサックスをテナーに持ち替える。次はサンライズだね、と思ったら森山さんが肩を落としてぽつっと「なんだか同じ曲ばかりやってるような気がする」思わずブッと吹きだしてしまったが、すかさず「パカン!」とスネアを叩く森山さん、ミュージシャンも笑いながらテーマに入る。森山さんアコーディオンソロのバックでバスドラをむやみに強く「バン!バン!」と踏んであおりたてる。ああ、このドライブ感たまりませんわ。良い感じのソロ、ああしびれちゃう、楽しいわ〜、いいぞいいぞグズラさん凄いぞ。音川さんが吹き始めて、2小節ごとの頭にピアノとドラムがドカ!とつけて。ベースとサックスのデュオ。だんだんつけるパターンを変えていく、頭から16小節は変則的、さびからコーラスの終わりまではブレイクしていたがそのうち叩きまくりになる。凄いバンドだわ、ああ、やっぱりよだれが出てきそう、嬉しいな〜。音川さん延々吹きまくる、森山さん「もう止めろ」って感じのドラミングだけど・・・ありゃ、ドラムストップしちゃった、これじゃ終わるに終われないでしょう・・・。曲の頭からサビまでは叩きまくり、またストップ。ノブソロ、良い感じでベースと共鳴している。すご〜っくベースがまた今日は良い雰囲気を作っている。フロント二人、とても楽しそう。パーカッシブなノブ君のフレーズを森山さんあおるあおる、カリカリカリカリガリガリゴリゴリ、森山さん大きなかけ声を楽しそうにかける。ドラムソロ、何というか、もう形容しようがない(メモを見ても、う〜、わー、きゃーとしか書いてない)、凄すぎる。わ〜わ〜、もうメモを取る手がとまる、んじゃなくてメモとペンをテーブルに置いて両手を握りしめて聴いてしまう。拍手拍手。


「ありがとうございます。今回は娘も『行きたいな〜』って言ってたんですけれど。来させないようにしたわけじゃなくて、無理にはお誘いしなかったんです。出がけに言われました、『お父さんって仕事したことあるの?』」爆笑。「楽しそうに見えるからでしょうか、趣味だと思ってるんでしょうか。趣味を仕事にできたらこれほどいいことはありませんね。今日はそんなことになってるんでしょうか、申し訳ありません」と頭を下げる。
音川さんが吹き始めてハッシャバイが始まる。もうすっごい充足感。サビは佐藤君が弾き、残りのテーマを音川さんが。佐藤君のソロ。つんつん頭のヘアスタイルがおでこに陰を作る。少しもの悲しげなフレーズで音川ソロが始まる。森山さんと目があった、おちゃらけたドラミングで身体をぶんぶんと左右に動かす、佐藤君大笑い。ノブソロ、3拍フレーズ多用。グズラさんソロ、サビから音川さんがつけ、森山さんも歌う。音川さんがテーマに入るが、森山さん昨日に引き続きソロをしたかったような顔つき。もう、こんなところでまたおちゃらけドラミング、もうおかしくておかしくて、もうダメー。お腹の皮がよじれてしまう。


「ありがとうございました。音川英二。佐藤芳明。望月英明」・・・「田中信正!」と一瞬間が空いてみんなが笑う。「ありがとうございました。もうピットインは40周年になるんですね。思い出しますなあ、一番最初にピットインに私が入っていったとき、誰もミュージシャンと思わずに、やくざが取り立てに来たかと思ったんでしょうか、カウンターの人もびびってました。・・・このごろ少し鏡を見て涙ぐんでおります」佐藤君爆笑、「ホントだってば。NHKに出たとき、さる方が田中さんと音川さんはヴィジュアル系ですねって、それなら俺らは何系だって。私だって家では靴を磨いたりヒゲを剃ったりしてるんですが、誰もそうは見てくれなくて。今日はひとりごとが多すぎましたね、帰ってまた反省しておきます」と頭を下げる。ノブ君ピアノから立ち去ろうとしたが、森山さんに指示を出されて「やるの?」って顔。


グッドバイ、ノブ君のイントロ、きれいだ。う〜、この落差がたまりません。ありゃ、どこまでがイントロでどこからがテーマなんだろう。サビからは誰が?あ、音川さんが吹き始めた。ソロ、佐藤君。う〜、ひたるなあ。サビからまたぐっと盛り上がる。終わりのテーマ、少し押さえたドラミングから瞬間的に爆発へ。ああ、終わっちゃう・・でも今日は(も)大満足!


今日はノブ君の足の動きが少しへんだな、と途中で思ったが、実は前日の夜に段差で足を踏み外して骨折していたのであった。演奏後に見せてもらったときは、歩きかたがそれほど変ではなかったので、靱帯損傷かと思ったが・・・(骨折している人はもっと痛がるんだよね)。ごめん!
アーラに登場する時は松葉杖だろうけれど、またまた「かわいそう〜」で人気上昇?
オットは「車いすで出てきたらオスカーピーターソンみたいじゃない!」なんて言ってますけど。まだペダルを踏む右足じゃなくてよかったね、手じゃなくてよかったね、なんだけど。
ノブサマ、入院中はしっかり足を上げて腫れないようにね。

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