森山威男公認HPライブレポートNo.115

(*この間にあったNHKのレポートは、皆さんが公共放送でお聴きになれただろうということで書きませんでした)

2006年3月25日(土)音川英二(ts)佐藤芳明(acc)田中信正(p)望月英明(b)北杜市須玉町ふれあい館

朝からM坂屋の靴相談会、4時に終わるつもりだったし予約の患者さんも順調に来られ、これならなんとか間に合うかな、と思ったけれど最後のお客さんが長引き、相談に乗っている間に4時を大きく回ってしまった。急いで車で高速道路へ、と思うが結構渋滞していて、都市高速に乗れたのが4時半。途中のSAでトイレ休憩、眠気覚ましのガムを買う。渋滞もなく順調に進んでいたが、駒ヶ根あたりでガス欠予告ランプが・・・しまった、ガソリン入れておくべきだったなと思ったがそこまで頭が回らなかった。諏訪湖SAまでもってくれ〜と祈りながら車を飛ばす。ちょうど開演時間の6時半、給油しながらあとどれくらいかな、と考える。7時に着くかな、やはり予定通り2時間半、とするとやはり4時に出られれば間に合ったはず、残念。

会場についたのが午後7時過ぎ。いそいで入り口に向かうがとめられ、ドアの外で聴く羽目に。あ、NOWだ。ノブ君のソロ、この時間でこの曲だと多分1stステージの最後の曲だろう、ドアの中に入れてくれないかな、じゃまになるのだろうか。全力疾走からすっとトーンダウンしてベースソロへ?インターバル?あ、佐藤君のソロになった、ドラムとのデュオだ、ああ見たいなあ。もう少し早く着きたかったなあ。きっとすごいバトルなんだろう。リムショットが聞こえる。縦横無尽にドラムを叩きまくっている森山さんが目に浮かぶ。ありゃ?テーマにはいるところだった?ドラムソロないわけないな、そうか、4小節のテーマを入れそこなったんだ、もう少し佐藤君ソロをし直してテーマの終わり4小節のフレーズを入れ、ドラムソロへ移る。う〜、やっぱりこの曲で1stステージの終わりだね、見損ねてしまって残念。一番後ろでもいいから立って見たかったなあ。このドアの前に立ってステージを見たかった。テーマに。拍手が聞こえる。ドアを開けてくれたが、この場所なら客席から死角があるから、観客のじゃまにならない場所に立てたのに!とてもくやしい。

森山さんがメンバー紹介をしている、「少し休憩します。少し休憩して気を取り直して(笑)出てきたいと思います。ありがとうございました」

席に着くと、周りはやはり見知った顔ぶれ・・・って自分が席割りしたんじゃん。お名前を知っていても初顔の方も。電話をかけたり、座席附属のテーブルを起こして録音機のセットをしたりのうちに、あっという間に休憩時間が過ぎる。

7:40
真っ暗な中、森山さんがドラムヘッドやらなにやら持って登場。
「プレゼントを持ってきました、よかったらもらってやってください。これは、私のために作ってもらったスティックなんですが、お持ち帰りいただけばと思います。じゃんけんにしましょうかね。じゃんけん大会が好きなんですよ〜、ちょっと客席の明かりをいただけますでしょうか?あ、ありがとうございます。じゃあ、じゃんけん大会に参加してやろうっていうかた、立っていただけます?あっというまに終わっちゃいますよ、じゃ〜んけ〜んぽん!」3人になったところで、「ありゃ、妹じゃない?もう一回、じゃんけんぽん!」妹さんここで敗退、「あら〜、いいとこまで行ったのにねぇ、お兄ちゃんと一緒だねぇ」スティックを持って「こんなものもらってもしょうがないね、」といって他にTシャツを見せるが、alaのライブ記念Tシャツ、何年前のだ?って思わずOkadatoと顔を見合わせて笑う。「毎年やっているコンサートの限定品なんですよ。どっちがいい?これ3年前のなんですよ」バラさなくてもいいのに・・・。今回はドラムヘッドとスティック、Tシャツの豪華3点セット。「いいなぁ〜」の声があがる。「行きますよ〜」の声でまた客席からテーブルをたたんで立ち上がる、「ちょっと意地悪ですよね、3人残ったんだから、3人に上げればいいのに。いやぁ、妹が混じってたからね、あいつだけにはやりたくない、また参加してください、じゃ〜んけ〜んぽん!」隣に座っているおじさん、意欲満々。私はまたも1回戦敗退。テーブルをまたセットして座り直す。6回めくらいで決まり、残った2人でじゃんけん、アイコが2回続く。
「1番遠くから来た人は?東京からの人〜」何人か手が上がる、客席からおお、という声が。「大阪は?1人。それより遠くはいらっしゃらないですか?」いないみたい、イワナさん、滋賀県ですよねえ、けっこう遠いのにね。「奄美。喜界島です」という女性が現れ、Tシャツをゲット。「今日(来たの)じゃなくてもいいんですよね」本当は、わざわざこのコンサートのためにどこから来たのかの距離を競うはずなのだけれど「いいんですよ、お遊びですから」と森山さん。「やっぱりじゃんけんしましょう、最後です、いきましょう」Nelsonさん、3回目はいいところまでいったのに残念でした。私は3回とも1回戦負け。毎度テーブルを片づけて立ち上がるも「どうせ負けるのにな」なんて思うからいけないんだわね。3回目にゲットした女の子、後ろから「一高のブラバン」と声がかかる。森山さんの出身校らしい。「楽器は何をやっているの?」「トロンボーンです」「トロンボーン、もっと早く判ってればねぇ、一高のブラバンの人と一緒にやりたかったなぁ。僕がブラバンにいた頃、金丸っていううまいクラリネットがいたんだけどね、う〜ん、どっかにいるんだろうねぇ〜(笑)。ケンちゃんっていうへたなホルンがいたんだけどね、どこにいるんだろうね」多分客席にいらしているのだろう。客席がざわめきがおさまり、2セットめが始まる。

Hush-a-byeだ。お、ネクタイ着用?音川さんピンクのシャツにネクタイ、佐藤君は楽器に隠れてネクタイの有無は判らないが赤と白と青のストライプの、ノブ君はペパーミントグリーンのシャツ。グズラさんはコシノジュンコのシャツ?にネクタイ姿。テーマが終わったところ、森山さんがスタン!と音を切ったところでまったくブランクになってしまった、誰がソロを?慌ててノブ君がソロを弾き始める、森山さんがかけ声。音川さんが声を立てて笑い、佐藤君と顔を見合わせる。Now the timeのフレーズを入れるノブ君、思わず私はずっこけるが、音川さんと佐藤君がまた笑っている。ノブ君が床を蹴る音がタンタンと響く。佐藤君ソロ、森山さんがサビで歌う。和音がいい感じにまとまっている。ちょっと切ない感じ、足踏みしながらソロを弾く佐藤君。ソロの終わりの方ちょっと走ったかな?一拍とはいわないまでも半拍くらい早くなった感じだった。音川ソロ。髪の毛が短くなったせいか、ネクタイをしていると背広を脱いだサラリーマンがサックスを吹いているみたいでほっとオカシイ。シルバーのサックスがぴかぴかと光る。のけぞって吹く音川さん。森山ソロ、流れるようにまとまってテーマへ。いつもならハッシャバイはアンコールに近いところでやるので、来たばかりなのにもうステージが終わってしまいそうな、次がグッドバイになりそうな錯覚を起こして少し気が焦る。

口笛とアコーディオンのメロディーで始まるGratitude。鍵盤を押さえるカタカタという音もよく聞こえる。イントロの後半はベースとピアノも入り、テーマへ。うっとりと聴き入ってします。アコーディオンソロのバックで、ブラシがいろいろな表情をみせる。アコーディオンの美しいフレーズに、ベースが力強さを添える。ノブソロへ、拍手どうしようかやめておこう。一番静かで美しいところで、あー咳が出そうだ、必死でこらえていたら涙が出てきた、違う意味の涙を流したい曲なのに・・・。音川さんがそっとテーマのメロディーを吹く。ああ、音川さんのソロ。グズラさんの粘りけのある音がサックスの音にからみつく。いい音出てるなぁ〜。いかん、「さっき立ってでも見たかったなぁ・・・」なんていう雑念が振り払えない。うわ、目の前のレコーダーのレベルメーターの針がいきなり目盛りを振り切ってしまうほどのブラシワーク。エンディングは静かに、アコーディオンと口笛、ベース、ピアノでそっと締めくくる。ゆったりと、うっとりとした時間。

パカン!サンライズが始まる。ん〜、次の曲は何かな、いかんいかん集中しよう、音川ソロ。ノブ君の踵の音がウラを打っている。佐藤君が真剣に森山さんを見つめつつバッキング。森山さん、リズムリフをノブ君と合わせてにっこり笑いながら叩く。結構長いサックスのソロ。森山さん「もうこのへんでヤメロ」ってな感じのドラミングとなり、佐藤君ソロに。グズラさんが存在感をみせる。舞台上は朝焼けの朝日のような色に。蛇腹を思い切り引っぱって大きな音を立てる2小節のフレーズ、残り2小節を森山さんが叩きまくる、の繰り返し。さりげなくおちゃらけドラミングもいれつつ・・・出た前腕弾き、膝蹴り、そしてソロの終わりへと持っていく。ノブソロ、またまた不思議な感じのソロ。なんか、佐藤君にんまり笑いながらうつむいて聞いている。コーラスの頭でリフを入れるのかな?って顔で一瞬音川さんを横目で見上げる佐藤君、でもはいらず。次のコーラスの頭で今度は音川さんが佐藤君を見て、リフを入れる。森山さんおちゃらけしてストップ、ベースとピアノのデュオになる、グズラさんも止まりかけ、ノブ君のソロになるのか?いやデュオだ。スネアの響き線が反響している。なんだこりゃ?のノブソロ。コーラスのアタマからもうむちゃくちゃのメロディーになり、あっけにとられているうちにリフが入り、ソロ終わり。ノブ君なぜか両手を拳にしてアタマをぽかぽか殴っている・・・?うゎ、すごいドラムソロ。パカン!と一発叩いた音で音川さんがぴくっと反応してサックスを構えそうになったがまだソロは続く。またパカン!でテーマに戻る。

「ありがとうございました。音川英二!佐藤芳明!田中信正!望月英明!」拍手拍手。「ありがとうございました〜」歓声、口笛が拍手とともに。ステージの上でグズラさんと握手する森山さん、客席がざわめく。こんな光景初めて見たわ。拍手が徐々にアンコールを求める拍手に変わっていく。

ありゃ〜、今気付いた、レコーダーのマイクに風防がかかったまんまだった。しまったなぁ〜。慌てて取ろうとしたが、うまくはずれず。このままにしちゃえ・・・。

「今日は緊張していました。いろんな方から連絡をいただきましたし、滅多に会うこともない親戚も来てくれたり、こういうときはドラムをやってきてよかったかなあ、と思うときもあります。うちのオヤジは歯医者をしていたんですけれど、70過ぎてもう80ちょっと前でしたけれど、『威男』って、真剣な顔をして言うんですよ。『お父ちゃんはどうも歯医者に向いてないような気がする』」(笑)「そんなこと言われても困るんですけれど。私も来年か再来年、『どうもドラムに向いてないような気がする』って言うのかしらね」爆笑。「向いてるよ〜」とヤジ、確かにそうです。「何か昔からがんばるっていうのがきらいで、なりゆき任せの人生ですから、この前母親を見舞いに行って、87になるんですけれど、『よくきてくれたね』って喜んだんですけれど、物忘れが激しくなってしまって、『前にもコンサートをやって来てくれたよね』『あらそうだったけ』写真みせて『ほらこうやって』『あらそうなの』『そのときお母ちゃんなんて言ったと思う?こんないいコンサートやって、いい友達に恵まれて。・・・それで仕事は何やってるの?』」爆笑。「その話をしたんです。『そうやって、いまでもお母ちゃん僕をからかうんだよね』『まぁ〜、そんなこと言ったの?ごめんね。で、それで仕事何やってるの?』しょうがないんですけれど。でも、母親を見ていると、傍目から見ているとなんだか楽しく年を取っているように見えまして、年を取るのもまんざら悪いもんじゃないかな、なんて思ってるんです。ねぇ田中さん!」いきなり振られても、ノブ君はもう慣れたもんで以前みたいに椅子から飛び上がったりせずに頷く。「本当にありがとうございました、亡くなった父親も『あんまりがんばって叩くんじゃないぞ』って言ってましたし、母親も『お前はいくつになってもがんばりのない男だ』って言ってました。まあしばらくはその通りやっていこうと思います。もうお会いすることもないでしょうけれど(笑)、本当にありがとうございました」

割れんばかりの拍手の中、アンコールにはGood byeが始まる。初めて聴くアプローチだわ、テーマは高らかに歌うサックス。アコーディオンの和音が彩りを添える。ソロは佐藤君。しんみりした、やさしい雰囲気が会場を包む。蛇腹に当たるライトが反射して緑色の光が客席を動き回る。ああ、やっぱり来て良かったわ。サビからテーマに戻る音川さん。いつも思うけど、満足感と終わっちゃう寂しさでなんともいえない気持ちになる。

拍手が続く、またアンコールを要請する拍手に。会場は真っくらけ、立ち上がって退席しようにもできない。隣のおじさんは「もう(アンコールは)やらないよ、早く明るくすればいいのに!」と怒っている。うん、完成しましたね、その通りです。拍手が続く、森山さんが戻ってくる、拍手。
「あの、客席、明かりをいただけますか?俺だけみられるなんてずるいよ。(明るくなって)あ、ありがとうございます、人と話をするときは顔を見ろってうちの親が言ってました、ヒヒヒ。あの、今日はありがとうございました、勝沼小学校の同級生、いらしてくださってありがとうございました」拍手。「そして、甲府一高のブラスバンドの方、ありがとうございます。今、ブラスバンドって、多いんでしょ?部活やってる人。30人くらい?」「40人」と客席から返事。「40人!うわぁ〜、俺らの頃は10人くらい?俺と金丸だけ?ハハハ。本当にそうだったんです、楽器がなくてね。スティックだって、一回割れたのをなんどでもセメダインで貼り合わせて叩いていたのを思い出します。時代は変わりました。・・・・あの、私の親戚の方もありがとうございました(爆笑、拍手)。滅多にお会いすることもなくなってるんですけれどね・・・。勝沼はいい町でした(拍手)。あの、川へ魚を捕りに行ったり、山で沢すべりってご存知ですか?秋になると落ち葉がいっぱいになって、そこへ松の木を持って、あれが滑るんですよね、あれを持って山の上からざああって滑るんですけれど、あんな遊びをやったりして楽しかったんです。父親は田舎の歯医者ですから、滅多に患者さんが来ないんです。小ちゃい勝沼町に7件も歯医者さんがありましたから、ましてうちは終戦であとから勝沼へ来たから、そういうわけで父親はよく遊んでくれまして、日がな一日川へ釣りに行ったもんです。そうすると土手の向こうからおかあちゃんが呼ぶんですけれど、『お客さんよぉ〜』って。『患者さんっていいなさい、恥ずかしい』って父親は怒ってましたけど。覚えてますそのころ、みんなお金で払わないでニワトリ一羽持ってきたりして、父親がよくさばいてました。そんな昔を思い出しました。あの、こう、話すと淋しい話ばかりになるんですけれど、気持ちは淋しくないんですよ。あの、声の調子と、終わると力がぬけるんで、ちょっと淋しい感じになるんですけれど、やたら元気なんです。楽しいんですから。あの〜、このあとも何かありそうなんで、ちょっと余力を残しておかなければいけないんです。ほんとうにありがとうございました、遅くなりました、気をつけてお帰りください、ありがとうございました!」


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