ラブリー1日目のレポートを順調にアップしてから、午後は戦争展に。セイブ・イラクチルドレン名古屋のブースがあるし、仲間が講演をするので顔を出しに。ウロウロしている間に入場時間の6時がせまり、あせって名古屋駅から栄のラブリーへ向かうが、お盆で車がガラガラ、ほとんどノンストップで到着、一安心。京都のK枝先生、大阪のOちゃんが店の前に。ちょっと立ち話しているうちに、あっという間に人が集まってきた。今日は昨日に比べてずいぶん人が多い。席を確保してから、スケジュール表の印刷と着替え(ドラム片づけのためスカートからパンツスーツに)、車を置きに一旦自宅に戻る。50枚ほど印刷してラブリーに戻ると、もう通路まで補助椅子が出て、チラシを配るのも大変な状態に。なんだかMDの調子がおかしいような気がするけど・・・ま、大丈夫でしょう。今日は電池ケース忘れずに持ってきたし、準備万端。

皆の期待が高まる中、8時10分にライブスタート。昨日と同じ、Impressionsから。お?今日は全員黒、グレー系の上着だ。森山さんは黒のTシャツ(長袖)、望月さんは黒のTシャツ(半袖)。音川さんは黒の縁取りがあるシルバーメタリックのシャツに、ノブ君は肩と脇にラインの入った黒Tシャツ。若手はおしゃれね、でも同じのを森山さんやグズラさんが着たらどんなんかな、と思ったら吹き出しそうになっちゃった、なんて怒られるかな?今日の私の位置は音川さんのベルの前。音川さんの二拍三連に合わせて森山さんのスネア左手炸裂。しかし、最近の音川さんはいつも同じヘアスタイルなような・・・切ってはいるんだろうけど微妙に伸びた長さのまま、なんだよね。いつ床屋(または美容室)へ行ってるんだろうか?森山さん爆烈、今日はトップは欠けシンバル、あれ、シズルが付いてるシンバルは今日は一枚だけ。ハイハットに置いた左脚を持ち上げ、右側に大きく体を傾けてクラッシュシンバルを派手に叩く。最初からパワフルでスピーディーなフレーズを繰り出している音川さんだが、フレーズに切れ目なくどんどん盛り上がっていく。わ、気がついたらMDが動いていない。再度録音スイッチを入れるが、エラーが出て動かない。慌てて予備のMDに変えたら動き出した(実は翌日わかったが、このMDは横浜ドルフィーの板橋セッションのMDだった、泣)・・・・何だろう。でも一曲目で気がついてよかった、でもドタバタしているうちにノブソロが終わってしまった・・・。ドラムソロ、今日は余裕がみえる、ニヤッと笑って叩きまくる、だ〜、ノックアウトされそうだわ、ありえないドラミングだわ、テーマに戻る、みんなすごい!

「テナーサックス、音川英二!ベース、望月英明!ピアノ、田中信正!」とメンバー紹介だけしてアフロブルーに突入。先端のカーブしたソプラノ。ノブソロから。ノブ君の両手打ちのフレーズ、バックでグズラさんがぐいぐい伸ばす。ノブ君が合図して、音川さんのソロに突入、いいサウンド。テナーの位置より一歩下がってのけぞって吹く。ああ、徐々にヒートアップ、森山さん叩きまくって煽る。全員で大音響、そしてフレーズが少しずつクールダウンしてテーマに戻る。

「何も言わないと怒っているみたいだって言われるので・・・・」とMCが始まる。「コルトレーンがよくやっていた曲を2曲続けてやりました。2階の控室にコルトレーンの大きな写真が貼ってありまして、コルトレーンって、44才くらいで亡くなったんでしたっけ?」音川さん「41か2」「1か2ですか!1か2で、ねぇ〜。じゃあ30くらいではもう第一人者だったんですか?」音川さん「突然脚光を浴びたんです」「へぇ〜・・・音川さんはいくつ?」爆笑。「音川さんの素晴らしい曲を、のちほど、ね。あ、こんどスローバラードをやったら次は音川さんの曲です。なじむ曲をよく作ってくれるんですよね。今回もまた新しい曲があるのかなと思ったら、何もなかったんです(笑)。私だけが、いつも同じ曲をやっていると思っているんですが、他の皆さんは私とやっている時がたまに、なのでいつもきっと新鮮なんでしょうね。どうですか田中さん」毎回ノブ君、振られるたびに体が「びくっ」と動いてのけぞる。森山さんの方を見てうんうんと頷く。「では次の曲もコルトレーンがよくやっていた曲です。・・・なんて曲でしたっけ?」「I want to talk about you」を2回繰り返す音川さん。「あ、I want to talk about you、ですね。じゃあお願いします、って、わたし司会者みたいですね」爆笑、拍手。

すてきなテーマで、うっとりと聞いていた。ピアノの音もとても美しく、さっきまでのピアニストとは同一人物とはとても思えないノブ君。以前より背中は伸びているけれど、肘はまっすぐだね。きれいな音というだけならポピュラーミュージックの和音だろうが、不協和音の一歩手前、音の組み合わせと流れで怪しく美しいサウンドになっている。ノブ君が森山さんを見てソロを終わろうとするが森山さんがにや〜っと笑って返す、ノブ君慌てる、すんでのところで音川さんが吹き出し、ノブ君ほっとした顔。音川さん力強いソロ、テーマに戻る。森山さんがブラシからスティックに持ち替える。カデンツァー、もう独擅場である。こういう曲はうっとりと聞き惚れてしまうので書くことが少ないわぁ。いつものヤジ男も来ているようだが、今日はおとなしい。カデンツァーの間、静かにしてくれていて助かった。

Sound River。テーマのバッキングも厚みがある和音だなあ・・・。今日はノブソロアフロリズムで始まる。地鳴りのようなドラミング、これ本当に一人で叩いているのかしらってくらい、おおノブ君スゴイ、わーすごいキャースゴイ!二人のバトル、それも延々続く。音川さんも笑って見ている、どこまでやるのかな、昔のノブ君だったら指が割れていたんじゃないかしらん。お、ノブ君がリズムリフを入れたところでぱっと音川さん反応して音川ソロへ。音川さんがおもしろフレーズを吹いたらすぐノブ君が反応している。ノブ君ソロをていねいに聴きながらバッキング、音川さん縦横無尽。グズラさんは時々客席に目をやりながらも黙々と弦をうならせ続ける、森山さん調子良さそう。サックスのベルがマイクに当たって向きが変わってしまった。ドラムソロに突入、きのう60才近い・・・なんて言っていたけれどこんな60才が他に世界のどこにいるかね?テーマ、サックスを振り上げてエンディングへ。拍手の嵐。「音川英二!田中信正!望月英明!しばらく休憩します!」歓声の中をメンバー退場。ふぅ〜。

2部。昨日と同じBlue Indigoから。不思議な揺れのある曲。音川さんテーマ、ちょっと2回目のフレーズの頭がよれた。ちょっと不思議な進行、ブルースと言われてもなかなか理解不能。ノブソロから。右手でのフレーズ、和音っぽいところをちょっとタイミングをずらしているので不思議に長く響いて聞こえ、ブルージーな感じがうまく出ている。ンカッカッカと裏のリズムでソロを仕上げると音川ソロへ。ちょっと怪しいベースラインに乗って展開、この揺れが不安げで面白い。ただ、流れて行ってしまって盛り上がりにちょっと欠けるかしら、なんて辛口評すぎ?

ンタッタ、ンタッタとN.O.W.が始まる。このテーマ、高音から低音にかけてタムががあ〜っと響くところがすごくかっこいい。ノブソロから。カリカリカリカリと弾くノブ君に森山さんがタカタカタカタカ、シャバダシャバダのフレーズにはドカタドカタと即座に反応。リズムの呼応が素早くて、ノブ君の音を聴いてから、というより反射的に出てくるのがお互いに通じ合っているみたいにぴったり、ガーンガーンのピアノにガシャーンとクラッシュシンバルが盛り上げたところで音川さん乱入、すかさずドラムとのデュオバトルに。これが結構長い、フレーズを繰り出す後ろからあおるあおる、キュキュキュキュキュキューにスネアのロールが続いているはずなのにシンバルも鳴っている、やはり腕が4本無いとこのドラミングはできないぞ!ソロが終わったら即座にドラムソロに。と、あのねぇ、森山さんたらドラムソロになったとたん「ドン・パン・ドンドンパン」ってロックのリズムはないでしょう、思わずずっこける。スティックを落とすがすぐさま次のに持ちかえて大音量のソロ、ドカン!でテーマに、派手なロールで盛り上げ、最後の「ンタッタ、ンタッタ」の音量も徐々に大きくなり、派手に終了、拍手、歓声!「ウォイ!イェッ!」

「ありがとうございます。これも、音川の作った曲ですね。いい曲ですね」「イェィ!」拍手。「ウチのグループは、伝統的にそうなんですけれど、ピアノ・と、サックス・は、譜面は、かなり、難しい」と、望月さんがとぼけた顔をする、爆笑。「実にいい曲を書いてくれます」「ウォイ!イェーッ!」「すごくドラムも難しそうなことやっているように聞こえるでしょう?・・・難しいんです。あの、今日昼間、テレビ何ぞを見ていましたら、今オリンピックなんですよね」「夜中も@*+・・・」「田村、じゃないや谷亮子さんですね、順調に勝ち進んでいるなんて言っていましたが。こういう時間帯でなくて、私どもとしては非常に助かっていますよね、夜中にやってくれるのは。そういうこと、あるんですよ。サッカーの試合を楽しみにしていたら、ちょうどその日ラブリーにぶつかった、なんてことが。」そういえば、この前のオリンピックの時は北海道にいたんだなぁ・・・登別でのライブのとき、サッカーの試合に当たったんだった。

「この頃は仕事の回数が少ないですから、そういうことに当たることが珍しいことなんですけれど。昔はよくありました、山下トリオの頃は。月に20回以上演奏してましたから(!)、何かは当たるわけでね。東北へ行った時にさんざんな目にあったんです。思い出しましたよ、何ていう町だったか忘れましたが、実に20何年かぶりでそこの高校が甲子園に行くっていうんで、それで試合の日と演奏の日がぶつかってしまって」「おおー」「だからあれは昼間の演奏なんでしょうね、高校野球をやってるんだから。で、おかしいんですよ、曲と曲の間に『ただいま何対何で』なんてアナウンスが入るんです」爆笑。「そりゃおもしろいナァ〜」「サッカーの試合なんかだと我々も楽しみだからそういうアナウンスを聞いても『ああそうか』、って思うんですけれど、私たちその町の高校を知りませんから・・・・。そういう時は皆さん楽しみなんですよね、時々場内アナウンスはいるのを楽しみに聞きながら『早く次の曲が終わらないかな』なんて」爆笑。

「今日はそういう方はいらっしゃいませんよね」「じっくり聞きまっせぇ〜」「何か、あなたと話しているみたいですね、ははは。なんか、こうやってお客さんと話すっていうのありましたよね、林家三平でしたっけね、『あぁまだ帰らないように』なんていって。このごろ滅多に聞かないんですけれど・・・お亡くなりになって・・・・・・・何の曲だったっけ?(笑)そうそうそう、この次の曲のGratitude、『感謝』という曲が実にいい曲なんですよ。いい曲だから毎回やるんですけれど。他の曲も毎回やってるんですけれど(笑)。バラードだと、このGratitudeとクロージングテーマにしているグッドバイはいい曲ですよねぇ、お客さんが言ってましたよ、『あの曲をやるために前をやっているんですか』って、そういうわけでもないんですけれど。でもまぁ、そういう受け取り方もあるんでしょう。どういうわけか、このグループの『いい曲だなぁ』って思うのは他の人が作った曲で、田中さんないんですか、何か。きれいなバラード、あなた作りそうじゃない」

・・・と、2部の頭から、見ていたように書いてきたけれど、これは実は録音から拾ったもの。一部を聴き終わってから中座せざるを得なくなってしまったのだ。休憩中、京都からのK枝先生を、名古屋名物味噌串カツ・味噌おでんなどでおもてなししようと、隣の久富へ。そりゃ、普通他の所に出て食事なんていけないことだけどさぁ、経営がいっしょなら落とすお金の先はいっしょかな、なんて勝手な言い訳をしつつ。麦焼酎のロック、ササミの霜降り、ポテトサラダなど注文。味噌おでんをちょっとつついてからふと携帯を見たら、着信がいくつも。実家に行っている息子からで、かけ直したら「夏休みの宿題の紙が机の前に貼ってあるからファックスして」「ママ今外に出ているからだめ」「お父さんは?」「お父さんも一緒にいるし」「何時頃帰る?帰ってからでいいから」「遅くなるよ」「ライブかぁ・・・?」別に、ライブに出かけているのは悪いことではないはずなのだが、父からも携帯に着信があった上に、母からも追い打ちをかけるように「宿題の紙を送って下さい」とメールが。2部の録音を「同居人」さんに頼み、しかたなくタクシーに乗って慌てて自宅へ帰り、FAXしてさっさと戻ろうとするが、メカに弱い家族、電話に出て「あ、ファクスだ」と言って受信ボタンを押さずに切ってしまうので何度送信してもつながらない。「もう〜」とイライラする。ああ、2ndセットはもう始まっているな・・・。やっとのことで送信したら「別の紙も」あのねぇ、どこにあるか探せって?もう馬鹿息子!思えば、もう何年前になるか、まだ名古屋にブルーノートがない頃に、東京のブルーノートにオットといっしょにエルヴィン・ジョーンズを聞きに行ったら、実家に行ったはずのヤツが行方不明になり、真っ青になった。エルヴィンをキャンセルして新幹線で豊橋に戻る途中「見つかった」と電話があり、新幹線「こだま」を静岡で途中下車、反対のホームに止まっていたこだまに飛び乗り、Uターンして横浜で初めて田中信正カルテルを聞いたのだったなぁ。3年前のスタジオFの打ち上げでも、ヤツが行方不明という電話が入り、中座したのだ。息子がらみでジャズライブのくやしい思いをしたのがよみがえってきて余計腹立つ。・・・と、私事で長々と書いてしまいました、読者の皆様すみません。

ようやくラブリーに戻ったら、森山さんのMC中。ああ、多分Blue IndigoとNOWの2曲が終わっちゃったんだ・・・。K枝先生が気を利かせて、久富での飲みかけの焼酎グラスをそのまま運んで下さっていた。ありがとうございます。

ここから聴いていた分のレポート。「あっ、前一回作ったんですね、そう、ちょっと演歌みたいなのを」爆笑。「『雨』っていうのをね。まぁ、渋谷とか入らなくてよかったんです、『名古屋の雨』なんていうと急に演歌っぽくなっちゃう」(音川さん笑)「またいつか折を見て田中さんのバラードも演奏することにしましょう。・・・・・あの、曲と曲の間にくだらないことを言っているのは、自分の気持ちを落ち着かせようとしているんですよ、そして次の曲が台無しに鳴ってしまうことが多いんですけれど、これとこっちは切り離して聴いてくださいね、話を楽しみに曲を聴かない、なんてことのないように」爆笑。「まあ余分なことはいいから、やりましょうか、井上淑彦の作った、『Gratitude』です」拍手。

ああ、きれいにイントロがピアノからそっと始まる。イライラしている気分を少し鎮静化させてくれるかしら。途中からグズラさんが入り、そしてテーマが始まる。音川さんの音に、シンバルのシズルの残響が乗ってゴージャスに。森山さん歌っている。きれいなノブソロ。バックで音川さんがつける。サックスソロも歌い上げる、そう、時々テナーソロがないこともあるけど、やっぱり聴きたいよねぇ。森山さんブラシで大暴れ、最後にはそっと、優しく、美しく胸の中に余韻を残すように終わる。ううう、いかん、なかなか雑念が消えない・・・。

森山さんスネアの響き線を戻す。サンライズが始まるな、っていう緊張感。ノブ君を見つめ、スティックを振り上げて、はいるかと思ったらフェイントをかけ、入らないでタイミングをずらす、ノブ君笑ってのけぞったところに森山さんがタタン!ノブ君バッタのように復元して鍵盤に飛びつき、「ターンターンタッタッタッタ」を弾き始める、皆大笑い。テーマが終わるところで音川さんがソロのスタートをノブ君に振る、ノブソロ。バックで音川さんがリフを入れる、望月さんも反応、うねるベース。スネアのヘッドがだいぶ傷んできたな、そろそろじゃんけん大会行きだな、なんて余分なことを考える。スゴイ爆音、ノブ君vs森山さん、おや、まだやるか、以前だったらここでリタイアだったのに・・・延長戦まで、って感じのバトル。ソロ終了の合図でノブ君がリズムリフ、音川ソロに。フレーズが切れ目なく湧いてくる、ただ高音で伸ばすだけでなくフレージングがここまで続くとあっぱれとしか言いようがない。おお、雄叫びのようなサックス。ドラム、リズムをピアノと合わせてつける。ハイハットが揺れながらカシャーンカシャーンと派手な音を立てる、森山さん楽しそう、音川さんまだ行くか!はぁ〜。ドラムソロも終わるかと思うとまだまだ、ひっかけか?って緊張感のあるソロ、いつまで、とおもったらぱっと顔をあげて「タタン!」のリズムどころか「パン!」でテーマに。以前は歌舞伎の大見得みたいに派手にロールをダァァア〜っと回して、「タカタドン!」それから「せぇのぉ〜」って感じで入っていたのに今や全く気が抜けない。全力のエンディング!

「ありがとうございます、音川英二!田中信正!望月英明!ええ〜、また、年末ライブを計画しております、このラブリーで。何か店から頼まれる前に私が公表してしまって、後からオーナーに叱られました。でも、やれるんですよね?」とレジの中のN尾チーフに訊く。「その時は新しい曲をきっと」爆笑、「音川さんと田中さんが作ってきてくれると思います。私も作ろうと思えば作れるんですけれど(笑)、山下トリオの頃は作っていたんですよ(へぇ〜)、題がつまらないんですよ、『さて』とか『どれ』とか。あんまり内容がない、聴いただけでわかりそうな下らんものなんですけれど。あの、簡単なんですよ、ドラムがドンッ!っていったら始まるよ、ってただそれだけの曲ですからできたんですけれど。このグループではそういうわけには行きません。ピアノの前に座って『どういう曲を作ろうかな』ってやるんですけれど、なんか『ティラリラ、ランチャララン』なんてメロディーが出てきてしまって(爆笑)、どうにも格好が付かないんです。ぜひ、よろしくお願いします(音川さんと田中さんに)。じゃあ、ハッシャバイやりましょうか」やったぁ〜、うれしいなぁ。自分のせいだけれど、このまま終わっちゃ聴き足らないな、って重いが残ったかも。

安心して聴ける曲だわ〜。ノブソロ。ノブ君、本当にいろいろなカラーを出せるピアニストだねぇ。ノブ君音川さんを見上げているが、音川さんはいるそぶりがない。ノブ君一瞬不安な顔をしたがぱっとコーラスの変わり目で音川さんが吹きだして、またほっとした顔。テナーソロ。あ〜、なんだかすっとしてきた。息子にお仕置きしてやる!なんて思っていたけど、忘れた。ああ、グズラさんのソロ、拍手と共にテーマに戻る。ふぅ。

「ありがとうございました。音川英二です、あの、なんか、CD持ってきているんですよね?」音川さん「そちらに」とカウンターを指さす。「よろしければお買い求め下さい。田中さんはCDは?」「あ、はい」と慌てて頷く田中さん。「持ってる!」と驚いたように森山さん。「一枚」とノブ君、「いちまい!(笑)それは売るためなんですか?」爆笑。「なんとまぁ、謙虚な・・・・最近、鼻とか喉の調子が悪いんですが、お医者さんは別に何にもない、アレルギーだけだって、レントゲンも血液検査も異常ないって。元気であれば、また年末にお会いしましょう」ふだんだったらここでノブ君のグッドバイのイントロが始まるところなのだけれど「ウチの母親もつい最近デイサービスってところから、夜一人では危ないってことで、ずっと面倒を見てくれるところに変わりました。非常に居心地がいいそうなんで、ほっとしたんですけれど。ぜひ9月のアーラには連れて行けって、本気で来るみたいな様子なんですよ。この前・・・・話が長くなりますが(笑)・・・山梨へ行く時、母親が自分のお金を出してくれるからって、じゃあグリーンで行こうって、母親を見舞いに行くのに母親の金で行くことになったんですが、何のことはないグリーン代を払ったって普通車両ががらがらでして、しかもグリーン車は列車の一番端でして、ホームをエライ暑い思いをして一番端まで歩いて、『もう二度と乗るまい』思ったんですが。JRは私はあんまりいい想い出がないんです」詳細はお話にならなかったが、多分この話だな、と音川さんと目を見合わせて笑う。

「え〜、9月の18日のalaにお越し下さい。その時にはねぇ、この私のモデルのスティックができているはずなんですよ」とスティックを手に持って眺めながら「これは、どういうスティックがいいかって、いろいろ取り寄せてみたんです。こう、切ったり、ここを削ったりいろんなことをして、自分の叩きやすいのを注文したんですけれど。これは元はポンタ秀一モデルってので(大爆笑)、それでこのポンタ秀一って所だけを消してモデルにしようかって言ったんですけれど、パールの人が『それはやめてください』って。せめてここを2mmくらい削って短くしたくらいのもので、たわいのないものなんですけれど(本当はチップの形とか結構こだわっていらっしゃるので、これは謙遜)。欲しかったら、またいらしてくださった時にじゃんけん大会で差し上げましょう。今日よろしければ一人くらいの方に差し上げてもいいんですけれど。これは貴重ですよ、わたし手間暇かけてこのところを削ったんですから。じゃあ、ありがとうございました。・・・・話で終わるってのは・・・今日は何か音楽やりました?」

みんなが笑いながら拍手。前に出てきた森山さん、そしてスティックを何人かに渡す(手を出したがさすがにもらえなかった)、遠くには投げる。でまたドラムの所に戻ってスティックを吟味しているので、きっとグッドバイが始まるなと思って音川さんはサックスを持ったり置いたり、ノブ君は立ったり座ったり。でも、森山さんを先頭にみんなそのまま出て行ってしまった。客席はみんなで「あれ?」「あれ?」といいながら拍手を続ける、そうしたらしばらくして戻ってきた、グズラさんが「忘れてたんだって」爆笑!「私より皆さんの方がよくご存知で、『何か忘れてないですか』って。そうだよね、終われないものねぇ、これじゃあ。終わらせますよ(笑)。・・・田中さんです」拍手、歓声。

美しいメロディーのイントロ。ラブリーの中を静寂が訪れる。ノブ君の座っている椅子がきしむ音。テーマに入る直前、全くの無音状態。サビから音川さんがテーマを吹く、ノブソロ。ベースとのハーモニーがすばらしい。サビから音川さんが吹いてテーマに戻る。ううう、心にしみるなぁ・・・。聴衆一人一人の中に、きっといろんな情景が浮かんでいるんだろうなぁ・・・

ありがとうございました、と言いながら退場。みんな満足。