「伊勢海老ってあんなに生臭かったっけ?」 「いや、臭くないぜ」 「それにしてもまずかったな・・・あの缶詰作ったホテルのシェフがダメなのか?」 「いや、缶詰に詰めたやつだろう」 「そうなのか!?そいつは味見したのか?」 「あんなにまずかったからしてないだろう」 「まずは、作ったやつが味見をするのがスジだよな?」 「だよな」 「じゃぁ、そいつはスジを通してないわけだな?」 「そうーゆーことになるな」 「極道なら指詰めだろ?」 「そーゆーことになるな」 「その指が缶詰に入ってたりしてな〜!」 「ゲゲゲゲっ〜〜」 「ワハハハハハハハハ!」 「退屈だな」 「だな」 「おっ、コイツもう来年のカレンダー掛けてるぜ」 「あ、ホントだ」 「めくってみよう」 「なんだ・・・景色ばかりだな」 「こんなつまらねぇモンどこでもらったんだ?」 「ここに書いてあるスキー用品店みたいだぜ」 「ふ〜ん、お前スキーやったことある?」 「ないよ」 「俺もないな」 「面白いのか?」 「やったことないからわからねぇよ」 「だよな」 「ただ、わかることは・・・”寒い!”ということだけだ」 「そんなこと俺だってわかるよ!」 「一月に雪山の写真なんてあたりまえすぎるなぁ〜」 「すぎて面白くねぇ」 「なら、こうして小人を書いて登らせてみよう」 「おっ!おもしれぇな!」 「一人で登るのは寂しいからもう一人書こうぜ」 「二人じゃなんだし、団体客を」 こうして一月のカレンダーの雪山の写真はたくさんの小人で賑わった。 「しかし、ツマらねぇ写真ばっかだな」 「だな」 「だいたい四月に桜の写真ってぇのもあたりまえだな」 「だな」 「よし!桜にちんげ貼ろう!」 「おっ、おもしれぇな!」 「けっこう抜けたぞ」 「これじゃ足りないな・・・もっと集めないと」 「もう痛いよ〜〜」 「おい、ハサミ貸せ!ケチらねぇでバサっといきなよ」 数百本のチン毛を貼り、桜は・・・いや、ちんげは満開となった。 「スゲェ!こんな桜みたことねぇ!!」 「見事だ・・・」 「しかし、桜というよりシダレヤナギに見えるな」 「フフフフフフ・・・」 「なんだかヘンな植物だな・・・」 「ワハハハハハハハハ!!」 四ヶ月後にこれを見た井上は「やりやがったな」だったらしい。 翌年の井上からの年賀状が粋であった。 謹賀新年の横に長いちんげが貼られていたのだ・・・・ 一年の計はちんげにあり! だな。 back number 「 志 向 」 「 祖 父 」 「 メ モ 」 「 ネ タ 」 「 ガッツ石松と具志堅用高 」 「 アンネ 」 「 入口と出口 」 「 長嶋茂雄 」 「 壁 」 「 三宅裕司の奥さん 」 「 願 い 」 「 写 真 」 「 高田純次 」 「 エ ロ 」 「 いたずら 其の一 」 |